映画『ある子供』の概要:ベルギーの巨匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が監督し、第58回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを獲得した。子供を持ってもその日暮らしを改めないブリュノと、出産を経験し一足先に母の顔をしているソニアの2人を描く。
映画『ある子供』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
キャスト:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ etc
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映画『ある子供』の登場人物(キャスト)
- ブリュノ(ジェレミー・レニエ)
- 盗品を売って日銭を稼ぎ、その日暮らしをしている青年。恋人のソニアが出産し、父親になるがこれまでの生活を改める気配はない。挙句息子のジミーを売ってしまい、それを発端に数々の痛い目を見ることになる。
- ソニア(デボラ・フランソワ)
- ブリュノと付き合っている少女。ジミーを出産し、病院から戻ってきた。ブリュノがジミーを売ったことを聞き、一度は愛想を尽かす。しかし、ブリュノが逮捕されると面会に訪れ、一緒に涙を流した。
- スティーブ(ジェレミー・スガール)
- ブリュノと共に盗みを働く14歳の少年。冷たい川に入ったときには泣き出してしまい、少年らしい一面を見せた。
映画『ある子供』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ある子供』のあらすじ【起】
ブリュノは定職にも就かず、盗品の売却や怪しげな取引でその日暮らしの生活をしている。恋人のソニアは2人の間にできた息子のジミーを出産し、退院してきたところだった。役所へ行って認知の届け出を済ますと、ソニアはブリュノに安定した職業に応募するよう勧める。しかし、ブリュノはまったく聞く耳を持たなかった。
ブリュノのもとには、子供を売らないかという誘いが来ていた。初めこそ迷っていたものの、ジミーを連れて散歩に出る機会を得たブリュノは、取引を主導する男に連絡を取る。ソニアも賛成していると嘘をつき、段取りを進めた。途中ソニアから電話が入るが、公園にいると誤魔化し、ブリュノは指定の場所へと向かう。
そこはアパートの一室のようなところだった。ブリュノは着ていたジャンパーを床に敷き、その上にジミーを寝かせる。別室で待機していると、何者かの足音が近付いてきて、またすぐに遠ざかっていった。部屋を出るとジミーはいなくなっており、代わりに札束が置いてあった。ブリュノは金を手に取り、ジャンパーを来てその場から立ち去った。
映画『ある子供』のあらすじ【承】
ソニアと合流すると、ブリュノはジミーを売ったことを伝えた。ソニアはショックと怒りのあまり、その場で気を失ってしまう。ブリュノは急いで病院へ連れて行った。ソニアの意識が戻り取引が明るみに出てしまうことを恐れたブリュノは、取引相手に電話をする。金は手付かずのままだったため、再度ジミーと交換してもらうことになる。ソニアが目覚めたら、ジミーは連れ帰るから大丈夫だと伝えてほしいと看護婦に告げ、ブリュノは病院を出た。
指示された場所へ到着すると、金だけでなく携帯電話も没収された。無事にジミーを取り戻し、ブリュノが去ろうとすると、取引相手の一人が姿を現した。男は違約金を払うようにと言い、話し合いのための日時と場所をブリュノに伝えた。
ジミーを連れたブリュノが病院に戻ると、警察が来ていた。目覚めたソニアが捜索願を出していたのだ。ジミーは保護され、ブリュノは事情聴取のため連行された。ブリュノが子供を売ったという報告をソニアから受けていた警察官に対し、ブリュノは否認し続けた。ソニアが嘘をついているのだと言い張り、病院に戻るまでの時間は実家に預けていたと説明した。
映画『ある子供』のあらすじ【転】
解放されたブリュノは、ソニアがジミーを抱いて出てくるのを待ち構えていた。ソニアが姿を現し、ジミーの乳母車を持って駆け寄るが無視される。家からも追い出されたブリュノは、質屋に向かった。そして、ジミーの乳母車とソニアに買ってあげたジャンパーを売ってしまった。
乳母車とジャンパーを売って得た金を持ち、ブリュノは食事をしに店へ入った。注文を終えたところに、取引相手の男がやってくる。話し合いの場にブリュノが現れなかったため、ひどく怒っていた。店から連れ出され、外にいたもう一人の男も加わって2人がかりで殴られる。有り金をすべて盗られたが違約金にはまったく足りず、残金を毎週日曜に回収すると告げて2人は去って行った。
一文無しになったブリュノは再びソニアの家を訪ねた。ノックをしても返事がないため引き返すと、ちょうど買い物から帰ってきたところに遭遇した。ブリュノは謝り、ソニアの足に縋り付く。愛していると言っても、嘘をつくなとドアを閉められてしまった。ブリュノは正直に金を欲しいと打ち明けるが、ソニアが反応してくれることはなかった。
映画『ある子供』の結末・ラスト(ネタバレ)
ブリュノは、いつも共に盗みを働いている少年、スティーブを呼び出した。スティーブの兄から借りたスクーターに2人で乗り、道行く女性からバッグを引ったくる。車で追いかけられるが、どうにか巻くことができた。スティーブがバッグから金だけを取り出し、他のものは道に捨てていく。
ブリュノは金を受け取り満足するが、対向車線で先ほどの車とすれ違ってしまう。車はすぐにUターンをして、またしても2人を追ってきた。川辺の方に逃げ込むと、スクーターがぬかるみに嵌り動かなくなった。仕方なく走って逃げることにする。2人を探す人影が見えたため、金を隠して冷たい川の中に身を潜めた。
人が去ったのを確認し川から上がると、もう動けないと泣き出したスティーブをおぶって、ブリュノは近くの小屋に向かった。スティーブをそこで休ませ、ブリュノは金とスクーターを取り戻しに行く。その間に警察が来てしまい、スティーブは捕らえられてしまった
一人で街中へと戻り、ブリュノはソニアの家に向かった。ノックしたがやはり返事はなく、その足で警察署を訪れる。スティーブと直接話す許可をもらい、スクーターの鍵を渡す。そして懐から金を取り出し、同席していた警察官に自首した。
逮捕されたブリュノのもとに、ソニアが面会に来た。持ってきてくれたコーヒーを一口飲んだ瞬間、ブリュノは泣き出した。それを見てソニアも涙を流す。お互いの手を取り合い、2人は一緒に泣き続けた。
映画『ある子供』の感想・評価・レビュー
ブリュノが身勝手かつ無責任で、不幸な目に遭ってもなかなか同情することができなかった。しかし、面会に来たソニアの前で泣き出す表情からは後悔や反省の念が溢れていて、一気にブリュノの見え方が変わった。違約金の支払いも残っているし、前科もついてしまい、これからの未来は明るいとは言えないと思う。それでも、ここで抱いた悔悟の気持ちやソニアとジミーへの愛情を大切に、いずれは幸せになってほしいと願わずにいられないラストシーンだった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、盗みを働きながらその日暮らしをしていたブリュノが恋人ソニアとの間にできた子どもを売ろうとして様々な仕打ちに遭うという、父としての自覚がない20歳の青年を描いた、ダルデンヌ兄弟による青春ヒューマンドラマ作品。
物語や映し方にとてもリアリティーがあって、ドキュメンタリーを見ているかのような感覚になった。
あまりにもどうしようもない主人公に苛立ちを隠せなかったが、無駄がなくシンプルなストーリーで、僅かながらも希望を残す終わり方がとても印象的だった。(女性 20代)
この作品は見る人の環境や立場によって、ものすごく感じ方が変わると思いました。簡単に言うと、若いカップルが親になるお話。もっと言ってしまえば、バカな親とかわいそうな子供のお話です。しかし親と言っても判断力がなく、精神的に未熟で幼稚な若者カップル。若者と一括りにしてしまうと語弊がありますが、18歳くらいの男女が子供を持つということは、しっかりとした覚悟と決意と、周りのサポート無しには難しいと感じました。
ものすごく不快に感じるシーンもありますが、諦めずに最後まで見て本当に良かったです。(女性 30代)
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