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映画『トリコロール 青の愛』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『トリコロール 青の愛』の概要:クシシュトフ・キエシロフスキー監督による、フランス国旗の色を題材とした3部作の1作目。第50回ヴェネツィア国際映画祭では、最高賞の金獅子賞をはじめ3部門で受賞した。事故で夫と娘を失くした女性が、強く生き抜いていく様を描く。

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映画『トリコロール 青の愛』の作品情報

トリコロール 青の愛

製作年:1993年
上映時間:99分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:クシシュトフ・キエシロフスキー
キャスト:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・レジャン、エレーヌ・ヴァンサン、フロランス・ペルネル etc

映画『トリコロール 青の愛』の登場人物(キャスト)

ジュリー(ジュリエット・ビノシュ)
自動車事故で夫と娘を失い、屋敷も財産も引き払い新しい生活を始める。夫のパトリスが書きかけていた協奏曲を完成させることを決意し、その制作を通して少しずつオリヴィエに惹かれていく。
オリヴィエ(ブノワ・レジャン)
パトリスの同僚だった男性。ずっと前からジュリーに想いを寄せている。パトリスが途中まで書いた協奏曲の楽譜を手に入れると、自分が続きを書いて完成させることをテレビ番組で宣言した。
サンドリーヌ(フロランス・ペルネル)
弁護士見習いの若い女性。パトリスが事故死する数年前から、愛人関係にあった。事故のあと、パトリスの子を妊娠していることが発覚した。
ジャーナリストの女性(エレーヌ・ヴァンサン)
パトリスの死後、入院中のジュリーのもとへ取材に訪れた。パトリックの曲はジュリーによって書かれたものではないかと疑っている。オリヴィエが出演したテレビ番組ではインタビュアーも務めた。
リシュール(シャルロット・ヴェリ)
ジュリーの階下に住む女性。娼婦のため、アパートの他の住人が立ち退き希望の署名を集めていたが、ジュリーだけは拒否したため住み続けられることになった。そのお礼にジュリーの部屋を訪れて以来、交流を持つようになる。

映画『トリコロール 青の愛』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『トリコロール 青の愛』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『トリコロール 青の愛』のあらすじ【起】

ジュリーと夫のパトリス、娘のアンナが乗っていた自動車は、走行中に木に衝突する事故を起こす。ジュリーが目を覚ましたとき、そこは病院だった。大怪我をしていて、手術も行われたとの説明を医師から受ける。そして、夫と娘は助からなかったということも知らされた。愛する家族の死に絶望したジュリーは、病院の薬棚から大量の薬を取り出し自殺を図る。しかし、すぐに薬を吐き出してしまい、看護師にも見つかったため失敗に終わる。

パトリスの同僚だったオリヴィエがお見舞いにやってきた。夫と娘の葬式の様子が記録された映像を渡され、一人になったジュリーはそれを見ながら涙を流す。夫のパトリスは作曲家だった。欧州統合のための協奏曲を制作している最中に訪れた死は、多くの人から悔やまれていた。

入院中にも関わらずジュリーのもとにはジャーナリストが訪ねてきて、パトリスのことを聞き出そうとする。取材を断り部屋へ戻ろうとすると、実はジュリーがパトリスの曲を書いていたのではないかという疑惑について質問してきた。ジュリーは何も答えなかった。

退院日を迎え、ジュリーは住んでいた屋敷に戻る。屋敷は売却するつもりで、使用人たちがすでに家具を運び出していた。さらに、弁護士を呼んで財産を処分するようにも伝えた。ジュリーはパトリスの仕事場に赴き、途中まで書かれていた協奏曲の楽譜を破棄した。そして、長年ジュリーに好意を抱いていたオリヴィエを屋敷に呼び出し、一晩を共に過ごす。翌朝、オリヴィエに別れを告げて、ジュリーは屋敷から去って行った。

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映画『トリコロール 青の愛』のあらすじ【承】

ごくわずかな荷物だけを持って、ジュリーはパリに向かった。新しく住むことになった家に着くと、屋敷にあった家具で唯一持ってきていた青いシャンデリアをさっそく取り付けた。

経過を見てもらいに病院に行くと、主治医のもとにアントワーヌという少年から電話が掛かってくる。事故が起きたとき側にいた少年で、ずっとジュリーを探していた。電話に出ると、忘れ物の十字架のネックレスを渡したいと言われる。カフェで落ち合い、ジュリーはネックレスを受け取った。すると、アントワーヌはパトリスの最期の言葉を聞いていたと言う。「ほら、咳が止まった」というものだった。それを聞いたジュリーは笑い出す。事故の直前、夫がしていた笑い話のオチだった。話し終えて笑い合った直後に事故が起きた。パトリスはオチを2度繰り返す人だった。ジュリーはアントワーヌにネックレスをあげることにして、カフェを出た。

隣人のリシュールと交流を持ったり、公園やプールで一人の時間を楽しんだりとジュリーは新しい生活を始めていた。しかし、目を閉じたときなどのふとした瞬間、途中まで書かれた協奏曲が頭に浮かんできてしまうのだった。

映画『トリコロール 青の愛』のあらすじ【転】

ジュリーはある日、処分したはずの楽譜を手にしたオリヴィエがテレビ番組に出演しているのを目撃する。オリヴィエは協奏曲を自分の手で仕上げると宣言する。そして、パトリスが遺したプライベートの写真などを次々と紹介していく。そこには、見知らぬ女性とパトリスが仲良さげに写っているものもあった。ジュリーはパトリスの秘書のところへ行き、なぜ楽譜がオリヴィエに渡っているのかを尋ねる。すると秘書は、事故のあとジュリーが破棄する前に一部コピーを取っていて、それを欧州委員会に送っていたのだと答えた。

翌日、ジュリーはオリヴィエのもとを訪れ抗議する。しかし、曲に加筆した部分を聞きたくないかと尋ねられると興味を示し、オリヴィエの家に付いていった。写真の女性、サンドリーヌとパトリスの関係について聞くと、数年前から恋人だったのだと告げられる。彼女は弁護士の見習いで、2人はよく裁判所で会っていたと言う。

裁判所に赴いたジュリーは、サンドリーヌを見つけると尾行を始める。トイレで待ち伏せをして、彼女に話し掛けた。サンドリーヌは妊娠していた。パトリスの子なのかと尋ねると、そうだと認める。首にはジュリーが持っていたのと同じ十字架のネックレスが掛かっていた。夫はあなたを愛していたと告げ、ジュリーはその場を立ち去った。

映画『トリコロール 青の愛』の結末・ラスト(ネタバレ)

オリヴィエの家で、ジュリーは手直しした協奏曲の楽譜を見せてもらっていた。ジュリーも積極的に指示を出して、共に作業を進めていく。以前住んでいた屋敷がまだ売れていないことをオリヴィエに確認すると、ジュリーは戻る決心をした。

引っ越し作業中、サンドリーヌを屋敷に招待した。お腹の子は男の子だと聞くと、ジュリーは父親の名前と屋敷を受け継ぐべきだと言った。サンドリーヌは、パトリスから聞いていた通り寛大で頼もしい女性だとジュリーを讃える。ジュリーはそれに対しては何も答えず、表情も変えなかった。

屋敷に戻ったジュリーは精力的に曲の続きを書き進めていた。オリヴィエに楽譜を取りに来てほしいと電話をすると、この協奏曲が本当はジュリーの作品であることを公表すべきだと勧められる。ジュリーは納得し、電話を切った。しばらく考え込み、ジュリーはもう一度受話器を取る。今度は楽譜についてではなく、オリヴィエに会いたいと思っての電話だった。家に一人でいると言うオリヴィエに今から行くと告げると、ジュリーは書き上げた楽譜を持って部屋を出た。

映画『トリコロール 青の愛』の感想・評価・レビュー

夫と娘の死、そして夫が愛していた自分ではない女性の存在。それらを受け止め、夫が遺した曲を完成させようと決意するジュリーの強さに胸を打たれる作品だった。飴を無心で噛み砕いたり、血が出るのも構わず塀に拳を擦りつけたりといった描写からは、もがき苦しむ様子が伝わってきて痛々しいほどだった。題名にも入っている青色の使われ方が美しく、とくに空間全体が青く染まったようなプールのシーンが印象深かった。(MIHOシネマ編集部)


本作は、事故により音楽家の夫と最愛の娘を亡くした女性が強く生き抜く姿を描いたラブストーリー作品。
夫との子を身ごもった愛人の存在に苦しめられる姿は、観ているこちらも辛かった。
ジュリーが全てを受け入れた上で再出発しようという寛容な姿勢はあまり共感できなかったけれど、過去の愛から解放された時自由になれるというテーマや、プールやモビールといった青を基調とした映像、流れてくる交響曲が美しくて清々しい気持ちになった。(女性 20代)


ジュリエット・ビノシュの美しさと凛々しい演技に圧倒される。フランスの三色の国旗に基づいた三部作のうちの一作目で、クシシュトフ・キエシロフスキが描くお洒落な雰囲気を楽しめる。

「自由」というテーマだったが、主人公の想いなどが少し分かりづらかった。ストーリーはあまり印象的ではなかったが、青色の使い方など視覚的に素晴らしく、ヨーロッパの芸術映画には欠かせない一作だと思った。(女性 20代)

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