映画『あしたは最高のはじまり』の概要:口が上手く自由奔放に暮らしていた主人公。ある日、彼の元に一夜を共にしたという女性が現れ、彼の子供だと赤ん坊を置いて姿を消してしまう。女性を追ってロンドンへやって来た主人公は赤ん坊を育てるべく奮闘する。父と子の絆と愛を描いた感動作。
映画『あしたは最高のはじまり』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ユーゴ・ジェラン
キャスト:オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトラン、グロリア・コルストン etc
映画『あしたは最高のはじまり』の登場人物(キャスト)
- サミュエル(オマール・シー)
- 南フランスのコートダジュールで気ままに暮らしていた。底なしに明るく口が上手い。フットワークが軽く、ベルニーに認められスタントマンとして活躍。娘のグロリアを育てることで以前にはなかった責任感が芽生え娘一筋となる。グロリアに深い愛情を注いでいる。
- グロリア(グロリア・コルストン)
- クリスティンの子供でサミュエルに育てられる。とても賢く語学が堪能。実は不治の病を患っており、生い先が短いという事実を知らずにいる。父親のサミュエルが大好き。
- クリスティン(クレマンス・ポエジー)
- グロリアの母親。ロンドン出身で現在はNYに暮らしている。金髪の美人だが、精神的に追い詰められサミュエルに赤ん坊のグロリアを託し、姿を消してしまう。8年後、グロリアに会いに来るも、サミュエルと対立する。
- ベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)
- フランス語も話せる英国人でゲイ。映画のプロデューサーをしており偶然、出会って助けたサミュエルをスタントマンとしてスカウト。以来、サミュエルと共にグロリアの成長を傍らで見守っている。気の好い人物。
映画『あしたは最高のはじまり』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『あしたは最高のはじまり』のあらすじ【起】
南フランスのコートダジュールにて、観光地のクルージングサービスで稼ぎ、楽しく遊んで暮らしていたサミュエル。
ある日、彼の前に金髪の女性クリスティンが現れる。彼女の腕には赤ん坊が抱かれていた。
クリスティン曰く、赤ん坊は女の子で1年前に一夜を共にしたサミュエルの子供だと言う。彼女は彼にタクシー代20ユーロを貸して欲しいと言い、赤ん坊を置いて姿を消してしまう。
慌てふためいたサミュエル。フェイスブックからクリスティンのページを見つけることができたが、どうやら友達は1人もいないようだ。
直後、クリスティンからスマホに連絡が入る。精神的に追い詰められた彼女は子供の育児を放棄し、ロンドンに帰ると言う。急いで空港へ向かったサミュエルは、知り合いの空港職員に協力してもらいロンドンへ。
だが、サミュエルは英語を話すことができず、地下鉄へ乗ることもできない。その時、通りかかった英国人ベルニーがフランス語を話せることを知り、彼に助けを求めた。その際、エスカレーターからアクション俳優も顔負けのスタントを見せたことで、ベルニーの目に留まる。
ベルニーは映画のプロデューサーで、サミュエルをスタントマンとしてスカウトするも、サミュエルは赤ん坊の母親を探すことで頭が一杯だったため、スカウトは断った。
クリスティンのフェイスブックに載っていた店を訪ねたサミュエルだったが、クリスティンは見つけられず、しかも財布を失くしてしまい一文無し。更に雇い主からはクビを言い渡され、途方に暮れてしまう。彼はベルニーのことを思い出し、名刺を頼りに自宅を訪ねて拾ってもらうことにした。
その後、赤ん坊にグロリアと名付けたサミュエルは、スタントマンとしての職を得てベルニーと共に赤ん坊を育て始める。仕事が順調に進むと次第に裕福となり、グロリアとの2人暮らしを開始。サミュエルは娘をとても愛し、撮影現場にもよく連れて行った。
映画『あしたは最高のはじまり』のあらすじ【承】
あれから8年。グロリアは賢く元気に育ち、英語もフランス語も話せる。実はゲイであったベルニーも実の娘のようにサミュエルと共にグロリアの成長を見守っていた。
サミュエルは娘に、母親は潜入捜査官で任務のために世界中を飛び回っているから、会いに来られないと嘘をついている。グロリアはそんな母親からのメールを毎晩、待ちわびており必ず返事を書いていた。メールはサミュエルが書いて送っているものだが、娘からの返事はクリスティンのフェイスブックへと送るようにしている。
今やサミュエルはスタントをもこなす名俳優で良き父親。学校の校長からはグロリアの登校日数を心配され母親に会わせろと言われていたが、サミュエルは上手く言い逃れ続けていた。
その日は定期健診で、グロリアと共に病院へやって来たサミュエル。そこで彼は医師から治療が効いておらず、もう尽くせる手がないと告げられてしまう。その上、グロリアからは母親に会いたいと言われ、ベルニーには真実を正直に話すべきだと諭されるのだった。
その夜、サミュエルはメールを送らずに真実を話そうと心を決めていたが、当のグロリアはメールがこないと酷く気落ちしてしまい、話せる状況ではなくなってしまう。思い悩むサミュエルはクリスティンのフェイスブックを眺め、彼女が8年振りにログインする場面に遭遇。クリスティンはグロリアのメールを読み、会いに行くとたった一言返信をするのだった。
翌朝、母親からの返事にはしゃぐグロリア。サミュエルは娘と共に待ち合わせの公園へ向かい、8年振りにクリスティンと会うことができた。
産まれてから一度も会ったことのない母親と会えたグロリアは上機嫌。対してクリスティンはサミュエルとグロリアが住む自宅へ招かれ、遊び心が溢れた室内や父子のやりとりを目にし、8年という月日の長さを思い知る。そうして、彼女は次第に自分が手放してしまったグロリアとの時間を取り戻したいと考えるようになるのだった。
映画『あしたは最高のはじまり』のあらすじ【転】
クリスティンは現在NYに弁護士の恋人と住んでいる。彼女はサミュエルにグロリアを引き取ってNYで育てたいと申し出るも、サミュエルはどの面を下げてそんなことが言えるのかと拒否。勝手に産んで勝手に置いて去ったのはクリスティンの方である。だが、彼女の方も長い間、後悔してきたことで、それは充分身に染みて分かっていた。それでも、娘と過ごす時間を取り戻せるなら、裁判をも辞さない覚悟を決めていたのである。
しかし、その話を立ち聞きしてしまったグロリア。サミュエルから聞かされていた母親の話が全て嘘だと知り、ショックを受けてしまう。娘は父親を酷く罵倒し、自らクリスティンの元へ身を寄せるのだった。
2日後の夜、サミュエルは悩んだ末にやはりグロリアを失うわけにはいかないと、クリスティンと恋人が宿泊するホテルへ。すでに寝入っている娘を連れて帰宅した。そんなサミュエルの頑なな態度に、とうとうクリスティンと恋人は裁判を起こし、グロリアを取り戻そうとするのである。
法廷にてクリスティンとサミュエルは共に自分の主張を話した。サミュエルには仕事やグロリアの出席日数などの問題があったが、改善の余地があるのと娘がまだ8歳であることを考慮され、住み慣れた家と父親の元で過ごすことが最善であると判決が下された。
法的に命令されたことで、サミュエルはスタントマンの仕事を辞め、学校へ教師として再就職。グロリアをなるべく学校へ通わせるよう最善を尽くした。
だがしかし、諦めきれないクリスティン。最後の手段としてDNA鑑定を行うことにする。
映画『あしたは最高のはじまり』の結末・ラスト(ネタバレ)
当然、産んだ本人が自分を父親だと言ったのだから、DNA鑑定をしても問題ないと思っていたサミュエル。
しかし、結果は血縁関係なし。なんと、グロリアとサミュエルは実の親子ではなかった。この結果にはクリスティンも驚きを隠せず。判決の結果、グロリアは血縁関係のある母親の元へと引き取られることになった。
サミュエルはその結果を隠すことなくグロリアへ知らせたが、娘にとっては産まれてからずっとサミュエルが父親である。その関係は変わらない。故にグロリアはサミュエルのことをずっと自分の父親だと笑みを見せるのだった。
出発の朝。サミュエルはグロリアを笑顔で送り出してやりたかったが、どうしても去って行く姿を見送ることができなかった。代わりにベルニーが見送りに出て、空港に向かうタクシーへと乗せた。
自宅を出る間際、サミュエルはグロリアに部屋の窓から見送りをすると言っていたが、見上げても一向に父親の姿が見えない。グロリアは何度も見上げてサミュエルの姿を探したが、タクシーが出発しても見えないため、彼女は家に忘れ物をしたと言って自宅へと戻った。
部屋の中で涙を堪えていたサミュエル。そこへグロリアが現れ、本当は父親と離れてNYになど行きたくないと吐露。2人はそれなら逃げようと手を取り合って、姿を消してしまうのである。
いつまで待っても戻らない娘に焦れたクリスティン。ベルニーと共に家へ戻るが、そこにはすでに父子の姿はなく。逃走したとなると、法的にどうなるか分からない。だが、父子の傍で2人を見守ってきたベルニーは、ここでクリスティンに真実を明かした。
グロリアは病に冒されており、尽くせる手は全て尽くしたこと。もうじき、命の期限がやってきてしまうこと。故に、サミュエルは娘を失う不安をずっと抱えて過ごしてきたことを。それを聞いたクリスティンは愕然とし、サミュエルの愛情の深さに言葉も出ないのであった。
数日後、南フランスのコートダジュール。かつての雇い主の元へ身を寄せていたサミュエルとグロリアの元に、クリスティンを伴ったベルニーがやって来る。真実を知ったクリスティンはサミュエルを許すことにし、大切な娘が笑って過ごす様子を微笑みながら眺めるであった。
映画『あしたは最高のはじまり』の感想・評価・レビュー
最初に想像していた物語とはかなり違ったが、展開が読めなかったことで物語に入り込むことが出来て、最後まで楽しませてもらった。父親役のオマール・シーがすごく好きで、相変わらず素晴らしい歯並びの笑顔を見せてくれ、序盤はどうしようもない奴だったが、徐々に顔つきが変わり終盤には完全に父親になっていて自然な演技がとても良かった。
父と娘ふたりで楽しそうに暮らしていた毎日が幸せそうだったので、ラストは希望こそあったがとても悲しく胸が締め付けられた。(女性 20代)
深く考えずに観ればテンポ良く楽しい話。正直「そんな馬鹿な」な点も多々あるが、そこを気にして観るような映画ではないのだろう。
母親については描かれている範囲ではどう考えても情状酌量の余地はなく「ありえない」。しかし最後の主人公のモノローグ「完璧な親などいない」を深く受け止めるのであれば、責めても仕方がないなという気になる。
親子の話というよりは、主人公が1人の人間と出会った話と思って観ると、切ないがどこか爽やかな余韻が残る1本。(男性 40代)
「あしたは最高のはじまり」このタイトルが全てです。なんて素晴らしいタイトルなんだと感じます。とにかく愛情いっぱいのパパと、そんなパパの愛情を沢山受けて育った娘の親子の絆の物語。
ここまで100点満点のパパは初めて見ました。いきなり「あなたの子よ」と現れた赤ちゃんをここまで愛情いっぱいに育てられる人がいるでしょうか?全て娘のため。娘のために生きて、共に成長していく。そんなかっこよくて、愛に溢れた2人に涙が止まりませんでした。(女性 30代)
本作は、ワンナイトを共にした女性から自分の娘だと告げられ赤ん坊を預かることとなった自由気ままなプレイボーイの主人公サミュエルが、ゲイの友人とともに一人残された娘の子育てに奮闘するヒューマンドラマ作品。
突如現れた母の振る舞いには腹が立ったが、父と娘の関係性がとても素敵でほっこりとした。
母親の存在の大きさや特別感、それに負けないように娘に全力で愛情を注ぐ父親の姿に感動して涙が止まらなかった。
最後は悲しい結末だけれど、前を向いて歩ける作品。(女性 20代)
『最強のふたり』以来、オマール・シーの大ファンなのでこの作品に出会えて大変幸福です。サミュエルのような人が父親なら、どんなに毎日楽しく心強いでしょう。母親であるクリスティンの身勝手さに呆れました。しかし父親、母親、同居人がそれぞれ、グロリアの幸せを真剣に考えていることは十分伝わりました。親権争い後、グロリアが急逝してしまいましたが、一緒に過ごした時間は消えようもありません。音楽や部屋の装飾がポップで楽しい作品です。(女性 30代)
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