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映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』の概要:仕事一筋のキャリウーマンの娘が心配な父親。彼は愛犬が老衰で亡くなったことを機に、娘にしつこく付きまとうようになる。上映時間が3時間と長いが、父親の行動や恰好が面白く、人と人との繋がりや情の大切さを描いている。

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映画『ありがとう、トニ・エルドマン』の作品情報

ありがとう、トニ・エルドマン

製作年:2016年
上映時間:162分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:マーレン・アデ
キャスト:ペーター・ジモニシェック、ザンドラ・ヒュラー、ミヒャエル・ヴィッテンボルン、トーマス・ロイブル etc

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』の登場人物(キャスト)

ヴィンフリート / トニ・エルドマン(ペーター・ジモニシェック)
冗談を言って人を笑わせたり、驚かせたりするのが趣味。一人娘が仕事人間であることを心配しているが、やることなすこと裏目に出ている。親愛や情の大切さを娘に教える。
イネス(ザンドラ・ヒュラー)
ヴィンフリートの娘。コンサルタント会社で働く仕事人間。常に厳しい表情でいることが多く、成果や利益ばかりを気にして情を失っている。
アンカ(イングリット・ビス)
イネスの部下。黒髪で可愛らしい女性。とても真面目で一生懸命。イネスの誕生パーティーでは一番に服を脱いで来てくれる。
ヘンネベルク(ミヒャエル・ヴィッテンボルン)
イネスの会社の大事な顧客で代表取締役。イネスに妻の買い物の案内を頼んだり、ヴィンフリートの言葉でヒントを得たりとできる人物。

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のあらすじ【起】

自宅で近所の少年にピアノを教えたり、小学校で音楽を教えたりして毎日を過ごすヴィンフリート。彼はとにかく悪ふざけが大好きで、普段から冗談を言ったり変装して人を驚かせたりしていた。自宅には老いた愛犬と住んでいるが、ヴィンフリートもすでに老人である。

小学校でイベントに参加した彼は、ブカレストで働いている娘が一時帰省しているというので、会いに向かう。だが、娘のイネスは休暇だというのに仕事の電話で忙しそうだ。ヴィンフリートはイネスとのコミュニケーションがうまく取れず、父子はどこかギクシャクとしているのだった。

翌日の朝、ヴィンフリートは自宅にて愛犬が息を引き取っているのを発見。彼は肩を落とし愛犬の死を悼んだ後、急に思い立ち荷物をまとめて空港へ。行き先はイネスがいるブカレストだった。

娘が勤めるコンサルタント会社を訪ねたヴィンフリート。イネスは連絡もなしに突然、やって来た父親に驚愕し、仕事の合間を縫って合流。彼女はその足で大事な顧客であるヘンネベルクへ会いに向かう。

会場に到着したイネスは、父親と共にヘンネベルクと挨拶を交わした。彼とは契約延長がかかっているため、友好的な関係を築いておきたい。ヘンネベルクは妻が贈り物を買うための案内役をイネスに頼む。彼女は快く了承するが、その間にヴィンフリートがヘンネベルクと接触。父親は事情も知らず、娘が不在なので代わりの娘を雇ったという冗談を言ってしまう。

しかも、二次会にてヘンネベルクはヴィンフリートの冗談からヒントを得て、外部委託も視野に入れることを示唆するのである。
つまり、石油施設の維持管理を外部へ委託するということだ。企業の代表取締役であるヘンネベルクは、合理化を図るために数百人の従業員を解雇しなければならない。だが、彼は責任を取りたくないのでイネスの会社へ業務を委託し、従業員を解雇させ責任を負わせると言うのだ。これは非常にまずい状況である。

翌日、イネスはマッサージを受けた後、父親に観光案内をしようとしていたが、ヘンネベルク夫人から連絡があり、ただちに向かうことにする。夫人の買い物が終わるまで、1人で時間を潰すことになったヴィンフリート。彼は顧客の望みを叶えるために、休みすらも返上する娘を目にし、お前は人間なのかと問いかけてしまうのであった。

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映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のあらすじ【承】

翌朝、娘を休ませたくて起こさなかったヴィンフリート。だが、そのせいでイネスにしこたま叱られてしまう。どうやら、この日も顧客との約束があった様子。苛々しすぎてどうにもならないイネス。片づけをしていて足の親指を挟めてしまう。ひたすら娘を心配する父親をイネスは厭っている。ヴィンフリートは荷物をまとめて帰ることにした。

自室へと戻ったイネスは、父親のせいでプランの見直しをしなければならなくなり、複雑な心境を持て余して泣いてしまう。
とにかく、翌日はヘンネベルクへのプレゼンの日であるため、ミスは許されない。

翌朝、上司と車内で打ち合わせし、そのままプレゼンへ向かったイネス。前日に練り直した割にプレゼンは上出来で、ヘンネベルクも外部委託には慎重になり、堅実で有効な案を検討することになった。

しかしその日の夜、同業の女子会へやって来たイネスの前に驚くべき人物が現れる。彼はトニ・エルドマンと名乗ったが、鬘を被って合わない入れ歯を入れた父親だったのである。どう見てもバレバレの変装だったが、父親は飽くまでも自分はトニだと言い張る。しかも、話の内容も大半が嘘ばかり。笑えない冗談である。どうにか話を合わせやり過ごしたイネス。

翌日、会社にて上司に呼び出されたイネスは、現地スタッフの結束を固め直すため、自分の誕生パーティーに呼んで鼓舞することにする。その会話中、会社のテラスに見覚えのある姿が。またあのトニである。イネスはキャリアアップを目指し、香港支社への転属を希望していたが、上司にはブカレストで仕事を続けて欲しいと言われる。イネスは場所を変えるため、一旦社内へ。その後、父親の元へ戻り詰め寄るも、相手は飽くまでもトニだと言い張るのであった。

何だかもう、父親のせいで自分のリズムを崩されっぱなしのイネス。心身ともに疲れ果ててしまう。そのせいでセフレの同僚とは、盛り上がらず。

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』のあらすじ【転】

その日の夜、イネスはパーティーへ参加。そこでも彼女はトニに扮する父親を発見。今度はこちらから積極的に話しかけ、わざと輪の中に入れることにした。その後、イネスはトニを連れて仲間達とマリファナを楽しみ、クラブへ遊びに行った。

翌朝、ホテルから出たヴィンフリートは朝食を購入し、合鍵を使ってイネスの部屋へ。どうしても娘が心配だった父親は最早、ストーカーと化していたため、イネスは部屋に侵入していたヴィンフリートに激怒。ここでまた父親が悪ふざけをして娘と自分に手錠をかけてしまう。しかも、鍵を失くしたせいで一緒に仕事へ行かざるを得ない状況に。

途中で鍵を外してもらい、重要人物との相談へ向かった。ついでに父親も連れて行き口から出まかせで紹介をする。そこで、ふと冷静になったイネス。父親と自分の相似点を発見してしまい、大事な話をしている最中に思わず吹き出してしまうのだった。

その帰り、イネスが寝入っている間にヴィンフリートはとある家を訪問。目を覚ましたイネスは慌てて父親の後を追った。そこは以前、パーティーで会った女性の自宅で、イースターへ向けて卵に絵付けをしていると言う。ヴィンフリートは卵の絵付け体験をさせてもらうも、その役をイネスへと譲った。

適当に絵付けをした後、用は済んだとばかりに帰ると言い出したイネス。ヴィンフリートは良くしてくれた礼に、またも急に2人で歌を唄うと言い出すのだった。
しばし、逡巡していたイネスだったが、父親は諦めてくれそうになかったので、歌を披露。だが、イネスは唄っているうちに乗ってきてしまい、思わず熱唱してしまう。歌い終わった娘は、挨拶もせずに立ち去ってしまうのだった。

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』の結末・ラスト(ネタバレ)

急いで帰宅したイネスは、翌日の誕生パーティーの準備に大わらわ。
翌朝、ケータリングの準備も整いドレスも選んだイネス。だが、ちょっとのことが気になってドレスを交換しようとする。しかし、背部のチャックが引っ掛かってしまい上からも下からも脱げなくなってしまう。しかも、こんな時に限って来客のベル。彼女は急いでドレスを脱ぎ下着一枚で来客を歓迎。相手は女友達だった。

友人と話している間にまたも来客。イネスはそこで瞬時に判断し、なぜか最後の下着すら脱ぎ捨てて全裸になる。来客は上司だったが、全裸パーティーであることを話すとプレゼントだけ置いて帰った。次はセフレの同僚。彼も裸パーティーだと聞くと、プレゼントだけを置いて行く。イネスは女友達に裸になれるか聞いたが、友人はそれだけはできないと言い、帰ってしまうのだった。

急な思いつきで全裸パーティーだなど、確かに正気の沙汰ではなかった。だが、それでも来てくれたなら、最も信頼できる人になるかもしれない。裸になるとは、そういう覚悟が必要だった。

もう誰も来ないかもしれないとイネスが諦めかけた頃、部下のアンカがやって来る。その後は謎の毛むくじゃらの着ぐるみを着た人。アンカ曰く、どうやらこの着ぐるみはブルガリアのもので魔よけになるらしい。更に、上司も酒の力を借りて戻って来てくれる。すると、着ぐるみの人は何も言わずに部屋を出て行ってしまうのだった。

イネスはもしかしてと思い、着ぐるみの人を追いかける。そうして、確信を持って抱き着いた。恐らく彼は父親のヴィンフリートである。その後、ヴィンフリートはイネスを威嚇し、部屋へ戻るよう促すのだった。

しばらく後、イネスの元に祖母が亡くなったとの知らせが入る。祖母は高齢で孫のイネスに会いたがっていた。だが、イネスは仕事の忙しさにかまけ結局、会わずにいたのである。
イネスはあの後、転職して現在はシンガポールで働いていた。

ヴィンフリートは成果ばかりを気にせず、その過程で生まれる親愛や笑顔を大切にした。それが、彼の生きる意味だと娘に告げる。すると、イネスは父親の入れ歯を自ら装着し、祖母の帽子を被っておどけて見せるのであった。

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』の感想・評価・レビュー

本作は、人としての感情を失いかけている愛娘イネスを父親ヴィンフリートが救い出す姿を描いた、3時間にわたる長編コメディーヒューマンドラマ作品。
父親のジョークがあまり笑えず、失笑を誘うところがツボだった。
初めは、どこまでも自由奔放な父に呆れるような気持ちで鑑賞していたが、最後には「この父あっての娘」だと思えるほど、愛娘に対する無償の愛情を感じた。
大きな一歩を踏み出し感情を取り戻したイネスの進化や、終盤に2人が抱擁するシーンには涙が止まらなかった。(女性 20代)


私は父と仲が悪いです。特に決定的な理由はないけど、昔から父が嫌いで約30年生きてきましたが、父との思い出はほとんどなく、もっと言えば「おはよう」「ただいま」以外の会話をした記憶もありません。今は離れて暮らしていますが、私も父もお互いのことを心配する様子は無く、連絡も取りません。
そんなひねくれている私からすると、こんなお父さん本当に羨ましいです。自分でも薄々感じていますが、父から貰いたかったのは「愛情」です。子供の頃から、もっと可愛がって欲しかっただけなんだろうなとこの作品を見て強く感じました。
娘との関係に困っているお父さん、参考にはならないかもしれないけど、素直に気持ちをぶつけることは本当に大切です。(女性 30代)


娘想いな父親の、少しずれていて一生懸命な姿に心が温まる、親子愛を描いた作品です。
自分の父親も、ヴィンフリートのように子供たちに近づいてかまってくれるタイプなので、イネスが鬱陶しがる気持ちもよく分かります。私も大人になるにつれ、たくさん愛情を注いでくれる父親のありがたさを感じるようになりましたが、この映画を観て、自分が想像している以上に、父親は家族のことを想ってくれているのかもなと気づきました。
また、子供たちにみせている愛情はほんの一部で、表現の仕方が分からない父親(母親も)はたくさんいるのだろうなと感じました。
自分も親に感謝を形にしていきたいし、自分にもし子供ができた時には、どんな形でも愛情を伝えていきたいなと思いました。(女性 20代)

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