この記事では、映画『南瓜とマヨネーズ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『南瓜とマヨネーズ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『南瓜とマヨネーズ』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:冨永昌敬
キャスト:臼田あさ美、太賀、浅香航大、若葉竜也 etc
映画『南瓜とマヨネーズ』の登場人物(キャスト)
- ツチダ(臼田あさ美)
- ライブハウスで働いている。せいいちの音楽へのこだわりに心酔し、彼を支え音楽に集中してもらおうと奮闘している。生活を支えるために水商売のバイトを始めたことから、心身ともに疲弊してしまう。恋人へ全てを捧げてしまう重い女。
- せいいち(太賀)
- 音楽に対して強いこだわりを持つあまり、人間関係をこじらせている。そのせいで、スランプへ陥り新曲が書けず苦悩している。心優しく誠実。
- ハギオ(オダギリジョー)
- ツチダの元恋人。排他的な人物で非常に軽く、女を渡り歩いている。優れた容姿と色気を持つが、誰にも本気にならない。ツチダに誘惑され、関係を再開させる。
- 尚美(岡田サリオ)
- 新たにバンドメンバーとして迎え入れたボーカル。若さと色気を売りにしているアイドルのような女の子だが、歌は上手い。せいいちに憧れを抱いており、あわよくば関係を持てるのではないかと期待しているが、躱されている。
映画『南瓜とマヨネーズ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『南瓜とマヨネーズ』のあらすじ【起】
ライブハウスで働くツチダは、ミュージシャンを目指す恋人せいいちの夢を叶えるため、必死で働き生活を支えていた。しかし、せいいちは人間関係で悩みスランプに陥り、新曲が書けずに悶々とした日々を送っている。そんな彼に内緒で、ツチダは家計の支えにするべく水商売のアルバイトを始めるのだった。
スランプで新曲が書けず、日々を無為に過ごすせいいちを見守るツチダだったが、次第に水商売の仕事へ慣れ始めた彼女は、新規の客から指名を得るべく客の言いなりとなり、愛人関係を結ぶことになる。
そんな折、せいいちはかつてのバンド仲間から呼び出され、人気が出始めた女性ボーカル尚美を新メンバーに加え再びバンドを始めないかと誘われる。しかし、せいいちは尚美のセンスを認めはするものの、他のメンバーからいい歳をして働きもせず、新曲も書けないのは情けないのではないかと詰られ、深く傷ついてしまうのだった。

映画『南瓜とマヨネーズ』のあらすじ【承】
客との愛人関係を続け生活は楽になったものの、心身ともに疲弊していくツチダ。疲れ切って帰宅すると、せいいちが楽器をまとめて売ろうとしている。ミュージシャンを夢見ていたはずの彼がその道具を売ろうとしていることに腹を立てた彼女は、思わずせいいちに対して自分がこんなに働いているのに、夢を諦めるのかと怒鳴ってしまう。
その日の夜も愛人から金を得て帰宅したツチダ。珍しくやる気になって部屋の掃除をしていたせいいちに愛人関係で得た金を発見され、激しい口論となってしまう。ツチダはせいいちのために働いているのだと言うが、せいいちのとっては彼女の頑張りはただの甘やかしである。2人は互いを思うあまりにすれ違い、怒ったせいいちは部屋を出て行ってしまうのだった。
翌日から心機一転、仕事を決めて精力的に働き始めたせいいち。彼の姿を目にしたツチダは、水商売のアルバイトを辞めることにした。だが、2人の関係はどこかぎくしゃくとしたまま。
そんなある日、ツチダが働くライブハウスに元恋人のハギオが訪れる。
映画『南瓜とマヨネーズ』のあらすじ【転】
久々の邂逅に嬉しくなったツチダは、やけぼっくいに火が付きハギオとの関係を再開させてしまう。一時の衝動によるものとはいえ自分が何をしているのか最早、分からなくなってしまうツチダ。
一方、せいいちは寝る間も惜しんでアルバイトを詰め込み、ツチダとはすれ違いの生活を続けていた。
ツチダがハギオとの浮気を続ける間、せいいちは元バンドメンバーとの関係を修復し、尚美が所属するバンドとの交流を深める。そして、交流することで新曲製作への意欲が湧き新たな曲を書き始めるのだった。
そんな折、ツチダが友人とハギオを呼んで自宅にて酒盛りをする。翌朝、帰宅したせいいちは客人の存在に驚くこともなく、次の仕事へ向かう準備を始める。ツチダは恋人と浮気相手の遭遇に笑いが止まらなかったが、ハギオたちが帰った後、せいいちから別れを切り出されてしまう。
映画『南瓜とマヨネーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
せいいちは尚美をボーカルとしてバンドに迎え、ライブへ出演しようとしていた。彼は音楽に対してこだわりが強く、そのせいでメンバーともギクシャクしていたが、彼の態度が軟化したことで関係も修復され新たな道を歩み始めようとしていたのだった。
せいいちと別れたツチダは、これまで過ごしてきたせいいちとの思い出を振り返り、ハギオとの排他的な関係を断ち切ろうと心に決める。すると、ハギオはそっけなく別れを受け入れ、ツチダとの関係を終わらせるのだった。
しばらく後、せいいちのバンドがライブを開催。リハーサルには来られないと言っていたせいいちだったが、その日は仕事を休みライブへとやって来る。彼はツチダと笑顔で会い、新曲ができたと一番に聞かせてくれる。その歌はとても優しく可愛い歌で、ツチダは泣きながら彼の歌声を聞くのだ。
そうして、ライブは大成功を収め、ツチダとせいいちは友好的な関係で別れるのであった。
映画『南瓜とマヨネーズ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
よくある恋愛映画のような、全てが思い通りに物事が進み最終的には綺麗に収まるようなものとは違い、これぞリアルで大人の恋愛模様をよく表現している作品だなと感じました。
ツチダとせいいちは二人とも悪気は全くなく、性格も良い二人です。
しかし、人間の甘さやダメなところが出てしまうせいいちとそれに拍車を掛けるツチダ。
絶妙なバランスで負の共依存の関係になってしまいます。
そしてこれまた神様のいたずらのようなタイミングでプレイボーイのハギオの登場。
見てて、あまりにもリアルすぎる恋愛関係に思わず見るのを背けたくなるほどでした。
女性という生き物がどういうものなのかを少しだけ知れたような気になる作品でした。(男性 20代)
なんて心地良い余韻の残る映画なのだろう。温かい日差しの空気を含んだような気だるさが私たちの心をほぐしてくれるみたいだ。
ツチダとせいいちの関係は愛が冷め情に変わった離れられない二人なのだろう。好きな人を助けるためなら、女性は信じられないこともする。世の男性には、女性のそんな美しくて愚かで汚い部分にもしっかり目を向けてもらいたいものだ。
太賀が演じるせいいちは女性の母性を刺激する可愛らしさが爆発している。(女性 20代)
相手を支えるために頑張っているつもりでも、結果的にはそうじゃない。甘やかしているだけの関係は苦しいなと思った。ツチダの行いは重たいが、それだけ音楽をしているせいいちに惚れ込んでいたということなのだろう。頑張るあまり自分を見失ってしまったが、ツチダのことは嫌いにはなれなかった。どこにでもいそうなカップルで、臼田あさ美さんと太賀さんの自然な演技が心地良かった。心情が丁寧に描かれていて見ていて苦しくなる部分もあったが、清々しい終わり方で良かったと思う。(女性 30代)
原作は漫画家・魚喃キリコの人気同名漫画。
スランプに陥って腐っている彼氏役に太賀が演じ、2人の男の間で揺れ動く彼女役に臼田あさ美、元カレ役をオダギリジョーが演じている。それぞれに演技力が高くストーリーとも相まって非常に共感できる作品になっている。
スランプに陥っている彼氏を健気に支える彼女。ストーリー的にはよくある展開とも言える内容だが、次第にすれ違っていく様子が繊細に描かれ、よくある展開だからこそ高い共感を誘う。彼女の気持ちも分かるし、彼氏の気持ちも分かる。2人が別れるのは時間の問題だったかもしれない。そこへきて元カレの登場。オダギリジョーが役に嵌っていて、一時でも安らぎを求めようとするのは必然だったと思う。これで彼氏がスランプから抜け出せなかったら、事態はもっと泥沼と化していただろう。袋小路から脱し、前向きになれたことで非常に爽やかな終わりを迎える。ほっとしたと同時にちょっと切ない気持ちにさせる作品。(女性 40代)
ツチダはただ、せいいちに曲を作って歌ってほしかっただけなのに、歪んでもつれて互いに苦しくなっていく。物語が始まったところから、すでに二人の関係は終わっていたのかもしれない。ツチダはせいいちに尽くすことが役割であるとこだわりすぎていて、せいいちはそれに甘えていた。見ていて痛々しいけれど、そこから抜け出せずどこにも行けない現状にどこか共感してしまう。クズな人たちばかり出てくるけれど、それが人間くさくて愛おしい。(女性 30代)
太賀と臼田あさ美の演じるせいいちとツチダのカップルが「わかる」の連続で自然と感情移入してしまう作品でした。
優しく穏やかな性格でもバンド活動が上手くいかないせいいちと、そんな彼に全てを捧げ、全力で彼を支えるツチダ。私自身も恋人に尽くしてしまう性格なのでツチダの気持ちが痛いほど分かりました。
好き同士で一緒になったカップルも、時が経ち様々なことを経験するうちに「愛情」が「情」へと変わり、そこで「決断」を出来るかどうかがとても重要なのだと感じます。(女性 30代)
売れないミュージシャンせいいち役の仲野太賀さん、彼を支えるために水商売を始めるほど恋人に尽くしてしまうツチダ役の臼田あさ美さん、安定した演技の二人が主演で、生活感のあるリアルな大人の恋愛を描いた作品です。
せいいちが派手に売れてエンディングを迎えるようなありがちなストーリーではなく、態度を改め人間関係が少し上手くいき、夢に向き合いなおすという、小さな成長でラストを迎えるところがとても好きでした。ツチダとの別れも爽やかで良かったです。(女性 20代)
恋人のために風俗で働くという衝撃の展開には驚いたけど、それ以上に主人公・ツチダの不器用な優しさに胸を打たれました。夢を追い続けるせいで現実から逃げるような男と、それでも愛そうとする彼女との距離感が妙にリアル。結局、元カレとの再会や浮気などもあり、完璧じゃない人間関係が描かれていて、だからこそ心に残りました。(20代 男性)
安藤サクラさんの演技がとても自然で、まるで本当にその辺にいるような女性を見ている気持ちになりました。理想と現実の狭間で揺れる女性の姿が切なく、決して美化されていない描写がリアルでした。ラストで彼女が“選ばない”という選択をしたことに、どこかホッとしました。現実はいつだってこんなもの、と思わせる映画です。(30代 女性)
正直、あまり期待していなかったけど、想像以上に心に刺さる作品でした。好きな人のために身体を売るという選択が、単なる犠牲や自己犠牲ではなく、どこか共依存的で、観ていて居たたまれない気持ちに。しかもそこに元カレが出てくる展開がまた絶妙にリアル。すべてが中途半端で、それが逆に人間の本音を突いてきます。(40代 男性)
映画『南瓜とマヨネーズ』を見た人におすすめの映画5選
愛の渦
この映画を一言で表すと?
名前も知らない男女が欲望をさらけ出す、赤裸々な会話劇。
どんな話?
匿名の乱交パーティーに集まった男女が、それぞれの欲望や孤独、プライドをぶつけ合いながら、少しずつ心を開いていく群像劇。閉鎖された空間の中で、人間の本音や弱さがリアルに浮き彫りになります。
ここがおすすめ!
『南瓜とマヨネーズ』のように、恋愛や性、人生の不安定さを赤裸々に描いた作品です。ワンシチュエーションの中で展開される鋭い会話劇が秀逸で、人間関係の“どうしようもなさ”を体感したい方にぴったりの一本です。
娼年
この映画を一言で表すと?
若き男が女性たちとの関係を通じて、生きる意味と性の本質を探る物語。
どんな話?
無気力な大学生が“娼夫”として働き始め、様々な年齢・事情を持つ女性たちと出会いながら、自分自身の感情や存在価値を見つめ直していく過程を描いた、大人の人間ドラマ。
ここがおすすめ!
肉体だけでなく心の孤独や欠落を抱える登場人物たちが共感を呼びます。『南瓜とマヨネーズ』に通じる“満たされなさ”や“自分を偽ってでも繋がっていたい”という感情が丁寧に描かれた、深く刺さる一作です。
海を感じる時
この映画を一言で表すと?
性と愛に翻弄される若者の、痛々しくも真摯な青春記。
どんな話?
高校時代、恋愛とも呼べない関係を続けた男女。女性は彼を本気で愛していたが、彼の関心はいつも曖昧で、どこか冷たい。大人になるにつれてすれ違いは加速し、愛とは何かを問い続ける恋愛ドラマ。
ここがおすすめ!
不安定な男女関係を通して、人を好きになることの苦しさと切なさを徹底的に描いた作品です。『南瓜とマヨネーズ』のように、どこか報われない愛に身を投じる女性の視点に惹かれた方には刺さる内容です。
リリィ・シュシュのすべて
この映画を一言で表すと?
音楽とネットにすがる少年たちの、壊れそうな10代の断片。
どんな話?
田舎町の中学生たちが抱える孤独、いじめ、暴力。全てを受け止めてくれる存在として、“リリィ・シュシュ”という音楽アーティストの世界に心を寄せる。崩壊と再生の狭間にある青春群像劇。
ここがおすすめ!
感情の揺らぎや心の痛みを、映像と音楽で詩的に描く表現力は圧巻。『南瓜とマヨネーズ』と同じく、言葉にしづらい“生きづらさ”を映像で見せてくれる名作で、観るたびに新たな発見があります。
ブルーアワーにぶっ飛ばす
この映画を一言で表すと?
働く大人の“疲れた心”にそっと寄り添う、静かで温かい逃避行。
どんな話?
CMディレクターとして忙殺される日々を送る30代女性が、自由奔放な友人に誘われて茨城の実家に帰省。自分のルーツや本音と向き合いながら、少しずつ心を取り戻していくロードムービー。
ここがおすすめ!
『南瓜とマヨネーズ』と同様に、日常に埋もれた“違和感”や“閉塞感”を抱える女性の心を繊細に描いた作品です。派手な展開はないけれど、その分、リアルな会話と空気感が心に染みる秀作です。
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