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映画『明日へ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『明日へ』の概要:突如不当解雇を宣告されたパートタイマーたちが、先の見えない中で職場に抗議した結末は働く者の心を揺さぶる展開となっている。2007年に韓国で実際に起こった大規模なストを基に、韓国の厳しい労働事情を追った一作。

映画『明日へ』の作品情報

明日へ

製作年:2014年
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:プ・ジヨン
キャスト:ヨム・ジョンア、ムン・ジョンヒ、キム・ヨンエ、キム・ガンウ etc

映画『明日へ』の登場人物(キャスト)

ソニ(ヨム・ジョンア)
二児の母。勤めていたスーパーでは優秀な勤務態度で正社員雇用が決まった。しかしその矢先に大型のリストラがあり、対象となったため不当解雇を強いられてしまう。
ヘミ(ムン・ジョンヒ)
保育園に子供を預けながらパートに勤しむ女性。断られないソニと対照的に、自分のスタイルを曲げずに仕事をする。過去に正社員として働いた職場で不当解雇を受けた苦い経験がある。
スルレ(キム・ヨンエ)
不当解雇に対抗するストを立ち上げたリーダー。誰よりも長くスーパーに務めたことから、会社への反感が強い。年齢から体調に不安を抱えている。
カン・ドンジュ(キム・ガンウ)
人事部で正社員として勤めていた男性。元々会社の酷い雇用状況に不信感を持っていた。パートタイマーたちのストを機に、一緒に会社に立ち向かう。
テヨン(ド・ギョンス)
ソニの息子。思春期の真っ盛りで、家庭環境を恥ずかしがっている。ストに専念するソニに呆れ、自ら働きに出るが不当な対応を受けてしまう。

映画『明日へ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『明日へ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『明日へ』のあらすじ【起】

活気のないスーパーの朝礼。正社員雇用が決まったソニはスタッフの代表として、登壇させられ「お客様は神様」と号令をかけた。ソニが働く大型スーパーには連日買い物客が詰め寄る。レジのスタッフたちは「幸せな一日を」と買い物客を見送るのだった。

二人の子供を抱えているため、残業も断らず熱心に働くソニ。大工の夫は出稼ぎが多く、家を空ける日が続いていた。学生のテヨンは、ガラケーを使っていることも家計が厳しいことも同級生には知られないよう隠している。残業続きのソニが給食費の支払いを忘れると、恥ずかしいと怒ってソニにすぐ電話を掛けるのだった。

ある日、ソニの同僚・ヘミが客とトラブルを起こしてしまった。上司に残業を頼まれても保育園に預けた子供のために断り続けていたヘミは、フォローしてはもらえず土下座を強いられてしまう。その様子を見てしまったソニは、パートへ対応に不満を抱き始めていた。

会社は経営方針を変える一環として、スタッフの外注を始めるという。まずはパートを全て解雇するという上層部。さらに正社員を派遣に切り替えると前持った告知もなく決めたのだった。

不当解雇だと反論しても決定事項は曲げられず、正社員雇用が決まったばかりのソニも解雇されてしまった。新しい携帯を買うというテヨンとの約束も、修学旅行の相談にも耳を貸す余裕はなかった。

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映画『明日へ』のあらすじ【承】

解雇された者たちは労働組合を立ち上げることにした。全体像が見えないまま加入したソニだったが各セプションの代表を決める際、優秀な勤務態度を理由に選定されてしまう。翌日、代表の3人は店へ話し合いに出向くのだった。

1週間毎日話し合いに行っても、全く対応してもらえない組合員代表の3人。上層部とパートの板挟みになった店長は、従順なソニに正社員の話をネタにして労働組合を解散させようとする。しかし組合の団結力は固く、翌日にストライキをするため揃いのTシャツを用意している最中だった。

ストライキ当日。仲間がいる安堵感から浮かれた様子のパートたちだったが、会社も黙ってはいなかった。レジ用のバイトを雇い対抗したのである。事前に気付いたソニの情報のおかげで店が営業できる状態を作るのは阻止できた。さらに店を占拠するために、段ボールを布団代わりに夜を明かすのだった。不法占拠だという主張する会社は法的な対応も辞さなかったが、労働組合は本来の契約も小さな約束も守らない会社に屈することはなかった。各々の意志を主張し団結をより固めていく。

パートたちの立てこもりに頭を抱えた会社は、電気を切るなどして退店させようと必死だった。それでもパートたちの団結は固く、暗闇の中でロウソクを灯しながら笑い合い乗り切ろうと夜を明かす。しかし翌朝、不法占拠による損害を理由に警察が動き出した。パートたちは勾留させられ、身動きが取れなくなってしまうのだった。

会社の管理者たちにも家族がいる。パートたちに同情する人事部のカンだったが、昇進をネタにパートたちを説得するよう上層部から迫られてしまう。上層部の強い言葉に反抗したカンは、一方的にクビを宣告されてしまうのだった。

映画『明日へ』のあらすじ【転】

警察が無理に押し入ったことで、心労が重なり倒れてしまったスルレの見舞いに向かうカン。実はカンは陰ながら他の社員も率いて労働組合を立ち上げていた。そのことをソニやヘミに伝え、労働委員長として迎えられたカンは会社と闘うことを共に誓った。

労働組合の抗議が50日を超えた頃、中央労働委員会が会社の不当解雇を認めた。ソニたちは歓喜の声を上げ、夜な夜な歌い踊るのだった。その頃、テヨンは同級生・スギョンが居るコンビニでバイトを始めていた。スギョンの前では他の同級生には見せない表情をするテヨンだったが、ソニのことを話すのを嫌うようになっていた。

会社は一部のパートを復職させ、表向きは改善したように見せた。その一方で、労働組合の中心となるソニ・ヘミ・カンの3人にだけ損害賠償を請求する訴状を送りつけていた。

ヘミとカンの意見が食い違い、間に挟まれたソニは頭を抱えていた。テヨンのバイトのことを知らないソニは、帰りが遅いテヨンを叱りつけてしまう。給食費の滞納や子供を顧みずストに専念したソニに反抗するテヨン。二人の間には大きな溝ができてしまった。翌日、ソニはスギョンの元を訪ねた。修学旅行のことやバイトについて初めて知ったソニは、パート仲間にお金を借りに行くのだった。

映画『明日へ』の結末・ラスト(ネタバレ)

労働組合は人数が減り、先の見えない闘いに士気が下がっていた。強気に振る舞うヘミ。しかし、会社は暴徒を雇い集合場所となるテントを襲撃させた。ヘミの子供も巻き込まれ大けがを負ってしまう。病院に付き添ったソニは、そっと修学旅行用に借りたお金を置いて去るのだった。

会社の暴挙にしびれを切らしたカンは本社の前で抗議活動を始めた。しかし、上層部の邪魔と暴言に耐え切れず、暴力を振るってしまい逮捕されてしまった。さらに、ヘミは会社の圧力に屈し、復職をするのだった。

その頃、テヨンはバイト代を払ってもらえずに揉め事を起こしていた。警察に迎えに行ったソニは事情を知り、テヨンの雇用主に堂々と抗議する。母親としての責任を果たしたソニ。再び仲間を集めようと声をかけ始めるが、生活は困窮し電気も止められてしまうのであった。しかし、テヨンは修学旅行を諦めると伝えバイト代を手渡した。理解し合った二人は抱き合い、ソニは最後の大きな賭けに出る決心をする。

仲間たちと元職場のスーパーに乗り込んだソニ。マイクを奪い「人として扱ってほしい」と真っ向から意思表示した。即座に警察が駆け込み止めに入るが、パートたちの決意は固い。復職したパートたちも加担し、どんな暴力にも屈せず突き進んだ。

長期にわたったパートたちの戦いは、ストを主導した執行部のソニ・ヘミ・カンの復職放棄を条件に残りの全員が復職する形で幕を閉じるのだった。

映画『明日へ』の感想・評価・レビュー

誰かの犠牲を元に成り立つ成功があっていいものかと、悔しさがこみ上げる一作であった。

全く明るい要素は無い。人気アイドルD.O.の銀幕デビュー作として薦めるには難しい。終始漂うグレーな空気感に堪えられない人は、最後まで鑑賞することは難しいだろう。時折垣間見える、主婦たちの休息と安堵した表情。緩んだ笑顔が唯一の救いであった。団結は力を生むが、権力の前には脆いものであることを象徴した展開。しかし、韓国作品が描く題材の鋭さは癖になるから抜け出せない。(MIHOシネマ編集部)


韓国の労働環境ってこんなに過酷なの?と唖然としてしまった今作。ポスターに映る人たちがとても良い笑顔をしているのですが、作品はこの笑顔とは真逆のもので、非正規雇用の女性たちが会社への不満からストを起こすのですが、その不満がダークすぎて見ていて物凄く不快でした。
格差や弱者に対する不当な扱いなど、こんなのありえないでしょと思うような行為が当たり前のように行われていて、そんなことをされても生活のために働き続けなければいけない労働者の惨めさを感じました。
人気アイドルグループEXOのD.Oが出演していますが、アイドルらしいシーンは一切無く、体を張った演技は素晴らしかったです。(女性 30代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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