この記事では、映画『阿修羅城の瞳』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『阿修羅城の瞳』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『阿修羅城の瞳』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ファンタジー、ホラー
監督:滝田洋二郎
キャスト:市川染五郎、宮沢りえ、大倉孝二、皆川猿時 etc
映画『阿修羅城の瞳』の登場人物(キャスト)
- 病葉出門(市川染五郎)
- 元鬼御門で現在は役者。意思が強く腕っ節も強い。あまり深く考えない激情型の男。
- つばき(宮沢りえ)
- 闇の女椿で阿修羅。普段はか弱く温厚だが、阿修羅に変わっていく。
- 美惨(樋口可南子)
- 鬼のリーダー格。普段は尼の格好をしていて阿修羅の復活を願っている。
映画『阿修羅城の瞳』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【起】
時は江戸時代、文化文政。
世の中には鬼がはびこり、人の姿をして紛れ込んでは人間を喰い生きていた。
それを制するため、お上は鬼御門という鬼を退治する専門の奉行を設置する。
5年前、病葉出門は鬼御門としての腕を持ち、あちこちの鬼の住処を襲撃しては鬼達を撃退していた。
しかしある日、小さな少女が「殺せ」と言い、出門の前に立ちはだかる。
出門は少女を斬ってしまうが、この一件で鬼御門を辞めた。
その後出門は役者に転身。
現在は街の舞台で活躍している。
最近、民衆は盗賊集団「闇のつばき」の噂でもちきりだ。
ある夜、出門が船遊びをしていると闇のつばきと思われる女が船着き場に隠れているのを見つける。
役人に追われているようだった。
出門は彼女が闇のつばきだとすぐにわかった、しかし彼女の美しさに目を引かれる。
彼女は出門に気がつき逃げようとしたが、頭につけていた椿のかんざしを落としていってしまう。

映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【承】
別の日、芝居小屋にこっそり入った闇のつばきが必死で何かを探し引き出しをあけていると奥から出門の声がした。
彼はきっとつばきが来るとふんで、待っていたのだ。
2人は暫く見つめ合った。
出門はどこかで会ったような気がするが思い出せない。
つばきもまた、5年より前の記憶が無く出門のことなど覚えていないと言うのであった。
その頃、鬼のリーダーでもある美惨尼は、阿修羅の復活が近いことを知る。
そして鬼の子供を使い、阿修羅の化身である者が人間界に紛れていないかを探していた。
それに便乗してきたのが鬼御門の邪空である。
彼は鬼御門でありながら阿修羅を自分のものにしようとし、陰陽師で主である国成を殺してしまった。
そしてあろうことか敵の美惨の仲間となり、阿修羅を探そうと考えたのだった。
しかし阿修羅は強い男としか出会えず、また真実の恋に落ちないと阿修羅として復活できないと言う。
鬼の子はつばきが化身であることを発見したことで、邪空はつばきを追いかけた。
危険を察知し逃げるつばきは、芝居小屋に紛れ込み出門に助けを乞う。
映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【転】
邪空は出門の鬼御門時代の仲間だった。
しかしその彼がつばきを追っているのに疑問を感じ、彼女を信じ守ってやることにする。
5年前の記憶が無いつばきと、5年前からの記憶を消したい出門。
2人はさかしたの運命だと愛し合うようになる。
しかし愛し合えばあうほど、つばきの肩にある痣は大きくなっていく。
出門に出会ってから出来たとい痣だった。
その肩のあざに出門が触れると、火が出るほど熱い痣を隠しつばきは去って行った。
つばきは自分が何者なのか。
5年前より以前の記憶が無いことを疑問に思っていると、美惨が近づいてくる。
そこでつばきが阿修羅の化身であることを告げてしまう。
出門が5年前殺した少女がつばきであり、阿修羅の化身であったのだ。
そのことを知っても出門の気持ちは変わらず、愛し合う。
皮肉なことに愛すれば愛するほど、相手の男が強ければ強いほど阿修羅化してしまうのだった。
阿修羅になるのには感情の高ぶりが必要で、まず少女の姿になった阿修羅はそこで自分を殺害してくれる人間を探しその高ぶりを覚えたら、次は女性に乗り移ると言うのが大筋の説明だ。
そして遂に真実の愛に目覚めてしまったつばき。
出門の目の前で阿修羅へと転生した。
力を持ったつばきは鬼の世界に阿修羅城を築く。
そして江戸に火を焼き払おうとしている。
映画『阿修羅城の瞳』の結末・ラスト(ネタバレ)
つばきは阿修羅になった自分が出門のせいであると恨み、邪空に出門殺害命令を下す。
しかし阿修羅を思う出門は、自らの死を覚悟して阿修羅城に入った。
邪空は出門と闘う。
同じ鬼御門の2人の力は相当なもの。
五分五分で戦い続けるが、邪空がリードし出門は深手を負った。
最後のひとつきをしようとしたその時、阿修羅は止めた。
出門は「いまだ」と邪空と美惨を殺害。
「鬼は滅びないと救われない」という悟りの元、阿修羅は鬼を殺すことにしたのだった。
そして出門と闘うことを選んだつばき。
白い衣装を身にまとい、愛した男と最後の戦いを繰り広げる。
出門もまた手を抜かなかった。
そして相打ち。
愛しあった2人は共に死んだのだ。
その後阿修羅城は崩れ落ち、江戸の街に平穏が戻る。
その一部始終を見ていた出門の芝居の脚本家、鶴屋南北は「鬼殺逆屍魔浮城」という名前の本を書く。
こうして長かった2人の悲恋は終わり、目撃者によって残されることとなったのだった。
映画『阿修羅城の瞳』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
設定やストーリーは面白いなと思ったが、基になっているのが舞台だからなのか、映画でも舞台をそのまま映像化しましたという感じの演出なので、やはり舞台は舞台として観て、映画は映画としての演出をするほうがいいのだなと思った。映画としてストーリーなどを考えながら観るのではなく、単純に演技のぶつかり合いとして観ると、とても楽しめる作品になっている。
音楽の使い方がすごく素敵で、世界観をより感じられてとてもよかった。(女性 20代)
劇団☆新感線による演劇を基に2005年、滝田洋二郎を監督に迎え映画化した作品。現在、10代目松本幸四郎となった市川染五郎と宮沢りえが悲恋の恋人役を演じている。音楽は菅野よう子が担当しているだけあって、刺激的で非常にかっこいい。演劇での雰囲気を守りつつ、よりスケールが大きくなっている。実際に演劇を観たことがなく今作が初見だった自分としては、この雰囲気は嫌いじゃない。ただ、演劇が基であるためか演者の演技がとても演劇的な面は気になった。阿修羅として覚醒した宮沢りえの美しさは必見。(女性 40代)
鬼と人間が同じ地に存在する世界がこの作品の舞台です。今話題の「鬼滅の刃」のような世界観とは全く違い、昔の日本を感じさせる伝統芸能的な雰囲気が素晴らしいです。鬼殺しの男と、恋をすると鬼になる女。惹かれあってはいけない男女が恋に落ちるという設定。殺し合う運命になるとわかっていながら、抑えきれない感情がとても芸術的に描かれています。
芝居臭いセリフに感じるかもしれませんが、その演技っぽさこそこの作品の見所です。豪華な出演者に、どのシーンも美しく、見所満載でした。(女性 30代)
まるで舞台をそのまま映画に持ち込んだかのような、独特の演出と世界観に引き込まれました。つばきが阿修羅に覚醒するシーンは本当に圧巻。宮沢りえさんの儚い美しさと、悲しみを抱えた演技が素晴らしかったです。エンタメ性と詩的な美しさを兼ね備えた傑作でした。(20代 女性)
妖しくも美しい世界観に酔いしれました。映像も音楽も幻想的で、観ているだけで夢の中にいるような気持ちになります。病葉とつばき、互いに愛し合いながらも運命に引き裂かれる二人の関係性がとても切なかったです。もっと評価されていい作品だと思いました。(50代 男性)
日本的なファンタジー映画が好きな人にはたまらない作品だと思います。特に美術セットと衣装が素晴らしく、世界観にリアリティを与えていました。つばきの悲劇と、それを受け入れる病葉の優しさが胸に沁みました。娯楽映画なのに、観終わったあと静かな感動が残ります。(30代 男性)
壮大な世界観の中で、人間の愛と憎しみが繊細に描かれていました。病葉がつばきを救おうとするラストの決断には涙が止まりませんでした。アクションもロマンもきちんと描ききった映画で、邦画ファンタジーの中でも屈指の完成度だと思います。(40代 女性)
最初は単なる時代劇ファンタジーかと思って観ましたが、実はすごく深いテーマがありました。阿修羅とは何か、人間の内に潜む闇とは何かを考えさせられました。切ない運命を背負った二人が最後に選んだ「共に消える」という道に、静かに涙しました。(50代 女性)
全編に漂う悲劇の香りがとても心地よかったです。つばきの無垢な笑顔が、物語が進むにつれて徐々に影を帯びていく演出が絶妙でした。圧巻のラスト、燃え盛る中での抱擁は、美しくも絶望的で、忘れられないワンシーンになりました。美しき悲恋の傑作です。(10代 男性)
和の美をこれほどまでに幻想的に描ききった作品は珍しいと思います。市川染五郎さんの抑えた演技と、宮沢りえさんの儚い存在感が、物語に説得力を与えていました。最後に全てを悟ったような微笑みを見せるつばきに、涙腺が崩壊しました。必見のファンタジーです。(20代 女性)
映画『阿修羅城の瞳』を見た人におすすめの映画5選
『陰陽師』
この映画を一言で表すと?
平安の闇を駆ける、美しくも妖しい陰陽師ファンタジー。
どんな話?
平安時代の京都を舞台に、最強の陰陽師・安倍晴明が妖しき存在と戦いながら、都の平和を守る姿を描くファンタジー作品。神秘的な世界観と華やかなビジュアルで、古の日本を幻想的に再現しています。
ここがおすすめ!
市川染五郎(現・松本幸四郎)も出演しており、『阿修羅城の瞳』と同じく和の美しさと幻想世界が堪能できます。妖しさと人間ドラマが交錯する物語は、きっとあなたを虜にするでしょう。
『どろろ』
この映画を一言で表すと?
失った体を取り戻すため戦う、哀しき戦士の冒険譚。
どんな話?
手塚治虫原作の名作を実写化。体の一部を妖怪たちに奪われた青年・百鬼丸が、相棒・どろろと共に、自らの身体を取り戻す旅に出る。闇と戦う中で、自身の運命とも向き合う姿が描かれます。
ここがおすすめ!
重厚なダークファンタジーの世界観と、主人公たちの切ない運命が胸を打ちます。『阿修羅城の瞳』が好きな人なら、この哀しみと戦いの物語にもきっと心を動かされるはずです。
『るろうに剣心 京都大火編』
この映画を一言で表すと?
壮絶な戦いの中に宿る、剣士たちの誇りと信念。
どんな話?
かつて人斬りと恐れられた剣士・緋村剣心が、新たな敵・志々雄真実と激突する壮大なアクション巨編。明治維新の後の日本を舞台に、剣心の贖罪と新たな戦いが繰り広げられます。
ここがおすすめ!
圧巻の殺陣と、ドラマ性を兼ね備えたストーリー展開が魅力。愛と葛藤を抱えながら剣を振るう剣心の姿に、『阿修羅城の瞳』で感じたような切ない英雄譚の香りを感じられます。
『CASSHERN』
この映画を一言で表すと?
絶望の中で希望を求める、ヴィジュアル系SF大作。
どんな話?
荒廃した未来世界を舞台に、人類の再生を目指す科学実験が引き起こす悲劇と、戦う宿命を背負った若者の姿を描く。独特の映像美と壮大な世界観で展開される、重厚なヒューマンドラマです。
ここがおすすめ!
圧倒的なビジュアルと、哲学的なテーマが融合した異色作。悲劇的な運命を受け入れながら戦う主人公に、『阿修羅城の瞳』と同じく、宿命に翻弄される悲しさと美しさを感じ取ることができるでしょう。
『陰陽師II』
この映画を一言で表すと?
さらなる試練が待つ、安倍晴明と源博雅の新たな冒険。
どんな話?
前作『陰陽師』の続編。再び暗躍する陰謀と妖異に立ち向かう晴明と博雅のコンビが、京都の未来を守るため奔走する。友情と信頼、そして宿命との戦いを描く壮大な平安ファンタジー。
ここがおすすめ!
前作以上にスケールアップしたビジュアルと、深化したキャラクターの絆が見どころ。幻想的な世界観と、静かで深いドラマを堪能したい方に、『阿修羅城の瞳』に続く一本としておすすめです。
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