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映画『麦秋』あらすじとネタバレ感想

映画『麦秋』の概要:『麦秋』は、家族と、娘の結婚を描いた小津安二郎監督作品。「紀子三部作」の二作目にあたる。大家族のにぎやかな家を描きながらも、その陰には戦死した息子がいるなど、戦後間もない日本らしい家族の姿がある。

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映画『麦秋』 作品情報

麦秋

  • 製作年:1951年
  • 上映時間:124分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
  • 監督:小津安二郎
  • キャスト:原節子、笠智衆、淡島千景、三宅邦子 etc

映画『麦秋』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

映画『麦秋』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『麦秋』のあらすじを紹介します。

北鎌倉に暮らす間宮家の長女、紀子は28歳の独身。
父母、紀子の兄夫婦とその息子たちという大家族に囲まれて暮らしている。
会社の上司には「売れ残り」だとひやかされ、家でも大和から来て滞在する伯父の茂吉にも心配される。

だが、紀子にもとうとう上司の紹介で縁談が舞い込む。紀子も周囲も良い条件にまんざらでもなく、縁談は進んでいく。
この頃、兄の康一と同じく医師をしている矢部にも縁談の話を知られる。矢部は妻を早くに亡くし、幼い娘と母と一緒に暮らしているのだが、この母も息子の縁談を探していた。

休みの日に、紀子の家に友人たちが集まることになっていたが、当日に訪ねてきたのはアヤだけであった。二人は結婚によって友人との距離が離れることを悲しむ。
康一は縁談の相手を調べ、40歳の初婚であることを母と妻に話す。二人はそれを聞いて不満そうにするが、康一は贅沢を言える身分ではないと言う。

そんな中、矢部の秋田へ転勤が決まる。たみは今の家を出ることを寂しがり、出発前日に訪ねてきた紀子に「あんたのような方に嫁にきてもらいたかった」と告げると、紀子は本当かと問い、自分でよければと承諾する。
間宮家では突然の紀子の決意に驚き、進んでいた縁談がもったいないと不満をもらすが、紀子の決心は固い。
紀子は浜辺で義姉と二人で話す中で、「40にもなって初婚もまだの人よりも子供のある人の方が信頼できる」と本音を明かした。
家族全員で写真を撮った後、紀子の結婚や、父と母が茂吉から勧められて大和に移り住むことにしたことで、間宮家はバラバラになることに。紀子は家族と離れることを実感し涙する。
最後、大和に移った父と母は麦畑を眺めながら、道を歩く花嫁を見て、今までのことを思い出していた。

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映画『麦秋』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『麦秋』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

女性の社会進出と結婚について

印象に残った台詞で、「女が戦後エチケットを悪用してますます図々しくなってきている」という、妻の文子と紀子と外で食事をしているときの兄の康一の台詞がある。これに対して紀子は「そんなことない、今まで男が図々しすぎた」と返す。それに対してまた、兄は「そんなだから嫁にいけない」と続ける。
現代では男女の雇用はだんだん平等になってきているが、この映画の当時は戦後まだ数年しか経っていない時代。雇用だけでなく男女の違いによる差別は多くあったことだろう。「だから嫁にいけない」という兄の言葉からも、28歳にもなって嫁に行かずに働いている女性は少数派だったと読み取れるのではないだろうか。
この台詞から、当時女性が働くことは一般的であったとしても、おそらく結婚適齢期を過ぎそうな紀子のような女性が結婚せず働き続けようとするのは、よく見られないことが見て取れる。
「女は家で家事をするもの」という考え方がまだ色濃く残っていたのだろう。現代では30歳を過ぎても結婚していない女性は多く、それが普通になってきているが、この頃の紀子と同じ位の年齢の女性は一体どれほど肩身の狭い思いをして働いていたのだろうか。

常に変わっていく家族の姿

この作品では、紀子の結婚を主軸に、家族が離れ離れになっていく様子が描かれる。物語が始まった時点で既に息子の一人は戦死しており、もともとあった家族の姿ではない。
紀子は結婚して家を出て、老夫婦は兄のところへ引っ越し、残るは兄夫婦とその子供達だけとなる。大家族は散り散りになってしまった。
だが、家族とはそういうものなのである。結婚して家を出た紀子は夫とその子供と一緒にまた別の新しい家族を作る。兄夫婦の家族だって、いずれは子供達が結婚し孫が生まれるだろう。
そうやって、家族は常に変化し続けるものなのである。

映画『麦秋』 まとめ

「紀子三部作」の中で、原節子演じる紀子が一番天真爛漫に、明るい人物として描かれる作品であった。28歳にして会社で働き、上司に嫌味を言われながらも結婚をしたがらない姿は、なんだか現代の女性像に近いものを感じる。
とても戦後間もない時代とは思えないほどである。
そう思わせる要素は、他にもある。現代でも、そうしょっちゅう買って食べることはないケーキ。劇中では、紀子がホールケーキを買ってきて食べるシーンがある。そのケーキは日本生まれのショートケーキで、当時は今以上に高価な食べ物だった。
それを映画に登場させることは、敗戦を味わった日本は、復興と発展に駆け足で向かっていることを思わせる。
家族の中に戦死した息子を配置し、戦争による辛い記憶を抱えながらも、高度経済成長に向かっていく日本の姿が垣間見える作品である。

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みんなの感想・レビュー

  1. takashi ueda より:

    バイプレーヤーが映画史上これほど光ってるシーンはありますまい。実はね、紀ちゃん、ここだけの話だけどね、冗談だと思って聞いてよ、あんたみたいな人がうちへお嫁に来てくれたら、いえね、、杉村春子という役者の醸し出すリアル感は天性のもので、作ろうと思って出せるものではありません。それ自体がひとつの完成された見事な芸術作品と言っていいでしょう。

  2. 夢の助 より:

    「麦秋」は傑作だと思います。紀子3部作のなかでは、映画音楽が一番素晴らしい。というか、小津映画のなかでも最高です。紀子3部作は世界的な映画だが、「麦秋」は順位的には3番目ですが、いい映画です。