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映画『薔薇の名前』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『薔薇の名前』の概要:ウンベルト・エーコによる有名小説の映画化作品。中世の修道院を舞台に、ミステリアスな連続殺人が発生する。果たして犯人は人間か悪魔か…?主演にショーン・コネリー。監督はジャン=ジャック・アノー。

映画『薔薇の名前』の作品情報

薔薇の名前

製作年:1986年
上映時間:132分
ジャンル:ミステリー、歴史
監督:ジャン=ジャック・アノー
キャスト:ショーン・コネリー、F・マーレイ・エイブラハム、クリスチャン・スレイター、エリヤ・バスキン etc

映画『薔薇の名前』の登場人物(キャスト)

ウィリアム・オブ・バスカヴィル(ショーン・コネリー)
フランシスコ会の博識の修道士。かつては異端審問官であったが、異端者をかばったことにより投獄されたという過去を持つ。当時からベルナールとは対立していた。
アドソ・オブ・メルク(クリスチャン・スレイター)
ウィリアムの弟子。師匠と共にベネディクト会で起きる連続殺人事件の解決を試みる。調査をする過程で貧困の娘と恋に落ちる。しかし結局、別れる日までお互いの名前も知らないままであった。
ベルナール・ギー(F・マーレイ・エイブラハム)
異端審問官。ベネディクト会で起きた一連の事件を解決すべく、教会から派遣された。事件は悪魔崇拝によるものだと断定するも、最後は民衆の怒りを買って殺される。
娘(ヴァレンティナ・ヴァルガス)
修道院の周りに住む貧困民。ある日アドソに出会い、肉体な交わりを結ぶ。サルヴァトーレの悪魔崇拝の近くにいたところを発見され、魔女だとして火あぶりの刑を宣告される。
ホルヘ長老(フェオドール・シャリアピン・Jr)
ベネディクト会の盲目の修道士。笑いを徹底的に禁じる厳格な性格。
サルヴァトーレ(ロン・パールマン)
ベネディクト修道院に属するも、その実は異端者。常に不敵な笑みを浮かべている。

映画『薔薇の名前』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『薔薇の名前』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『薔薇の名前』のあらすじ【起】

イタリアの僻地にある修道院を訪れた、フランシスコ会のウィリアムと弟子のアドソ。そこは清貧主義を掲げるベネディクト会の修道院であった。ここでは最近、アデルモという若い写本絵師の青年が亡くなっていた。しかし死因がはっきりしておらず、修道院全体は悪魔の仕業だと動揺していた。修道院長は、ローマ教皇の使節団が別件で訪れるまでに、この事件を解決したいとのことで、頭脳明晰なウィリアムに捜査を依頼した。

アデルモが死んだ現場を調査するウィリアムとアドソ。修道院がある丘のふもとに位置するその場所では、貧困民たちが教会からなけなしの施しを受けていた。その様子を見ていたアドソは、その集団にいた娘と目が合った。

翌朝、修道士たちが合唱しているところへ、殺人が起きたとの知らせが入る。現場である豚小屋へ行くと、甕の中に逆さまに突っ込まれた状態で、ヴェナンツィオという名の修道士が死んでいた。彼はギリシャ語の翻訳者であった。ウィリアムはアデルモの死と関連があるかもしれないと、自ら調査に名乗り出た。

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映画『薔薇の名前』のあらすじ【承】

調査を続けるウィリアムとアドソは、サルヴァトーレという男に遭遇する。彼はベネディクト会に属していながら、ドルチーノ派という異端派の掛け声を唱えていた。容姿も明らかに怪しいサルヴァトーレだが、ウィリアムは、犯人は彼ではないと考える。

その後、犯人のものと思しき足跡を見つけたウィリアムとアドソは、その足跡が続く図書館を調べることに。その中でホルヘという名のベネディクト会の長老に出会う。彼は笑いを「悪魔の風」だと言い、厳格に笑いを禁じていた。

その夜一人で歩いていたアドソは、手元のランプが消えたため建物内に入る。そこに乞食を追って修道院長が入ってきたため、アドソは慌てて身を隠す。修道院長が出て行った後、アドソが後ろを振り向くと、先日の貧民娘がいた。彼女は薔薇のように美しかった。すると娘の方からアドソに寄ってきて、そのまま二人は交わる。アドソはその娘を貧困から救ってやりたいと強く願った。

ある日、フランシスコ会の一行が修道院を訪れる。彼らは教皇の使節団と討論をするためにやって来たのだが、修道院全体に悪魔がいるとのうわさが広まっていることに、気を揉んでいた。

ある日、図書館の副司書ベレンガーリオが死んでいるとの知らせが入る。ウィリアムは、彼が以前から怪しい行動をとっていたため、事件の鍵を握っていると踏んでいたが、今回の死亡を受け、事件の核心に迫っていた。検死を済ませたウィリアムは修道院長に、一連の事件に対する自信の見解を、このように伝える。

修道院内に禁書があることを知った写本絵師のアデルモは、それを見させてほしいと副司書のベレンガーリオに懇願。同性愛者であるベレンガーリオは、肉体の交わりを条件に、禁書のありかを示す暗号をアデルモに渡す。行為後に自責の念に駆られたアデルモは、自殺しようと決心し、死ぬ間際に暗号をヴェナンツィオに手渡す。

受け取った暗号をもとに、ヴェナンツィオは禁書を手に入れた。しかし本を読んでいる最中に激しい痛みに襲われ死亡。禁書が持ち出されたことを隠そうとした副司書のベレンガーリオは、ヴェナンツィオの死体を甕に入れた。その後、禁書を読んだベレンガーリオ自身も、激しい痛みに襲われる。痛みを和らげようとライム湯に浸かるも、そのまま溺死した。

映画『薔薇の名前』のあらすじ【転】

説明を終えたウィリアムは、修道院長に図書館を調べさせてほしいと願い出る。しかし、そこにローマ教皇の使節団と異端審問官のベルナールが到着するとの知らせが入り、ウィリアムは事件の調査から手を引くように伝えられえた。

使節団とベルナール一行が来る前に、事件の真相に迫ろうと、ウィリアムとアドソは禁書を探しに塔に入る。奥に進んでいくと、ウィリアムの予想どおり大きな図書館があった。迷宮のような内部で迷う二人だったが、ある部屋で怪しげな隠し扉を見つけた。しかし、暗号の解読ができず扉を開けることができない。二人は諦めて一度塔から出ることにした。

同じ頃、馬小屋の中でサルヴァトーレが悪魔の儀式をしながら例の貧困娘を誘惑していた。娘はそれを拒否したはずみで藁に火をつけてしまう。騒ぎになっているところへ修道士たちが集まる。ウィリアムやアドソも向かったが、そこには先ほど到着したばかりの異端審問官ベルナールもいた。彼は、娘が悪魔崇拝によって一連の事件を起こしたと結論付けた。

翌日、到着したばかりの教皇の使節団は、清貧主義を掲げて聖職者の財産放棄を望むフランシスコ会と討論会を開く。しかし討論の最中、またもや殺人事件が発生する。犯人は図書館の司書マラキーアであったが、彼にハメられたレミージョが無実の罪を着せられることになる。しかしレミージョ自身も異端者であった。

映画『薔薇の名前』の結末・ラスト(ネタバレ)

ベルナールによって異端審問会が開かれた。貧困民の娘、異端者のサルヴァトーレとレミージョの三名が被告人であった。三人はそれぞれ有罪と宣告され、承認を求められたウィリアムもそれに同意するも、一連の事件の真犯人は別にいると断定。審問官に反対したウィリアムは異端と宣告された。

罪人の処刑当日、今度は司書マラキーアが死んだ。ウィリアムとアドソは騒ぎに乗じて塔内部の図書館に入り込んだ。暗号を解読していたウィリアムは、今回は扉を開けることに成功。部屋の中には禁書を持ったホルヘ長老がいた。本の内容はアリストテレス著の喜劇であり、笑いを厳禁するベネディクト会にとってはまさに「禁書」であった。禁書には毒が塗ってあり、ヴェナンツィオ、副司書ベレンガーリオ、司書マラキーアの死因は禁書を読んだことによるものであった。

逃亡するホルヘ長老は、毒が塗られたページを口にして自殺を試みる。ウィリアムとアドソはホルヘを追い詰めるも、ホルヘはアドソが手に持っていたランプを振り落とし、塔の内部が火事に見舞われる。ウィリアムとアドソは何とか脱出するも、ホルヘ長老は死亡する。

同じ頃、野外で火あぶりの刑が行われていたが、塔の火事騒ぎに乗じて、貧困民たちが娘を救出する。馬車で逃げ出したベルナールを追う貧困民たちは、彼を追い込んで崖から転落死させた。

一連の事件が一応の収束を見せ、修道院を後にするウィリアムとアドソ。そこに例の娘が現れ、アドソとの別れを惜しんだ。アドソは薔薇のように美しい娘の名前を、最後まで知ることはなかった。

映画『薔薇の名前』の感想・評価・レビュー

良くできた中世ヨーロッパの時代劇。
中世の修道院の様子が細かく描かれていてとても興味深い。宗教を初めとする西欧文化の知識がないと多分全てを理解することはできないのだろう。しかしそういう部分を抜きにして舞台を脳内で現代に置き換えると実は筋はシャーロック・ホームズなので、単なる謎解きモノとして単純に楽しめる。もちろんショーン・コネリーもこの作品の観やすさに大きく貢献。
難しそうに見えて実は間口の広いエンターテイメント作。(男性 40代)


キリスト教とか派閥などは、馴染みの無い日本人にとっては難しい…いまいち誰が味方なのかが分かりづらく、黒幕が判明しても完璧に解決した気がしません。サスペンス映画なので登場人物が皆怪しく見えてしまうことは仕方のないことですが。”信仰と狂言は表裏一体”というセリフがありましたが、神の信じ方が違うだけで自分にはどちらも狂言に視えます。ですが、作品の雰囲気は非常に手が凝っていて好きです。迷路の隠し図書室には観ているだけでもワクワクします。(男性 20代)

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