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映画『眉山』あらすじとネタバレ感想

映画『眉山』の概要:80年代に活躍した大監督・伊丹十三の妻として、そして彼の作品のミューズとして数々の伊丹作品で主演をこなし、日本アカデミー賞でも数多くの賞を受賞してきた大女優・宮本信子の10年振りの映画出演作。共演には、娘役の松島菜々子、医者役には大沢たかお等、演技派が多数集結。余命幾ばくのない母と、看病する娘の心温まる交流を描いた感動の母娘のストーリー。

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映画『眉山』 作品情報

眉山

  • 製作年:2007年
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:犬童一心
  • キャスト:松嶋菜々子、大沢たかお、宮本信子、円城寺あや etc

映画『眉山』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『眉山』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『眉山』のあらすじを紹介します。

東京でキャリアウーマンとして働く河野咲子(松島菜々子)の元に、地元の病院から連絡が入る。彼女の母親・河野龍子(宮本信子)が入院したと。上京して以来、実に数十年ぶりに故郷・徳島に帰る咲子。彼女の生まれ故郷には、眉山と言う美しい山が街を見下ろしている。病院に到着すると、病室から威勢の良いいつもの母親の声が聞こえてくる。龍子は正義感が強く、曲がったことが大っ嫌いな女性。この日も、患者からの目にも気にせず、医師の顔色ばかり窺う看護士に対して、覇気のある説教をしていた。そんな言動を起こす母が苦手な咲子は、止めに入るも聞く耳も持たない龍子にうんざりしてしまう。入院したと言っても、思ったより案外元気な母の姿を見て安心するも、後日担当医から思ってもみない事を聞かされる。咲子の母、龍子の余命宣告を聞かされる。たとえ長くとも、残り数ヶ月の命だと。

20年前、龍子と咲子は親子2人だけの生活を送っていた。当時はまだまだ珍しいシングルマザーの家庭だった。咲子は幼い頃からずっと、父親は死んだものと母親・龍子から聞かされていた。彼女が中学生の頃、位牌もない写真もないのに、死んだことになっている父親が、生きていると確信した咲子は、勇気を出して父親の存在を龍子に訪ねてみた。母から返って来た答えは、父親は生きていること、そして不倫の果てに咲子が生まれたこと。けれど父親を愛している上に、愛した人の子どもだから咲子を生んだことを力強く話す龍子に、咲子は「後悔している」「(不倫が)悪いと思っている」と、ただただ責め立てるのだった。

母の余命宣告を聞いてから、咲子の龍子に対する冷たい視線や考え方が、少しずつ変わり始める。そんな矢先、病院の給湯室から先日、病室で怒った看護士の愚痴が聞こえてきた。ある男性医師と話しているようだが、我慢の限界が来ていた看護士が思わず「ベッドが空くまでの辛抱ももう限界」と。それを聞いてしまった咲子は、怒って看護士とその医師に「その発言は一体どういう意味なのか」ときつく問いただす。その時そこにいた医師は寺澤大介(大沢たかお)だった。

龍子の症状も少しずつ悪化していく中、咲子はある箱を手にする。それは母・龍子がずっと大切に保管していた何かが入っている。龍子が亡くなった後に開けなさいと聞かされながらも、彼女はその箱を開けてしまう。その中には龍子に宛てた古い手紙がしまってあった。その手紙の宛て名は篠崎孝次郎(夏八木勳)。咲子のまだ見ぬ本当の父親からのものだった。その手紙の住所を確認してみると、そこは東京。徳島から東京に戻った咲子は、手紙に記載されてある住所を尋ねるのだった。そんな矢先、母・龍子の容態が急に悪化し、また徳島に戻った咲子は、その時初めて龍子が勝手に献体に申し込んでいることを知ってしまうのだった。

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映画『眉山』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『眉山』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

本作の役者と名監督・犬童一心の関係性

この作品でまず注目すべき点は、なんと言っても大女優・宮本信子が実に10年ぶりに映画出演を果たした彼女の記念すべき復帰作だ。彼女は、夫の伊丹十三が他界してから、およそ10年間は映画の世界から遠ざかっていた。それは無理もないことだろう。そんな彼女はその年の日本アカデミー賞で助演女優賞を受賞すると言う快挙まで成し遂げている。また彼女の娘役には、テレビドラマを中心に活躍している松嶋菜々子が演じている他、さだまさしの原作作品には欠かせない大沢たかおが、医師役で出演。龍子の不倫関係にあった男性役には夏八木勳が出演するなど、演技力の高い俳優たちが、この作品を佳作の域まで昇華させている。

多くの演技派俳優を撮影現場で一人まとめ上げたのは、映画監督の犬童一心。彼は、高校在学中から自主制作で多くの作品を制作、発表している、まさに自主制作組の監督の一人でしょう。そんな彼は95年に『二人は喋っている』で長編監督デビュー。その後、脚本家として市川準監督作品『大阪物語』に参加。塩田明彦『黄泉がえり』にも参加。どちらも質のいい脚本を作っている。その後2000年以降から精力的に活動を始め、彼の代表作には『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『タッチ』など、評価の高い、もしくはヒット作など、数多く制作してきている。中でも、前者2つ『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』作品的に高い評価を得ている映画だ。特に『ジョゼと虎と魚たち』は多くの映画関係の世界で活躍している著名人から大きな支持を持っている。2003年の第54回芸術選奨映画部門にて、山田洋二、大林宣彦、市川準と言った日本の映画界では大御所と呼ばれるような映画監督たちの審査員によって「芸術選奨新人賞」を受賞するに至った。この時、犬童一心は43歳で遅咲きの成功だった。また、この作品『ジョゼと虎と魚たち』は映画ファンからの支持も熱く、日本の恋愛映画で言えば、この作品が挙げられるぐらい人気が今も衰えてない。また、この作品以降、コンスタントに監督業を続け、今はテレビ、映画の両方の世界で活躍している。

犬童一心監督の特徴と言えば、新人の役者を起用するところでしょうか。あくまで私個人の見解ですが…。例えば『ジョゼと虎と魚たち』では妻夫木聡と池脇千鶴。『メゾン・ド・ヒミコ』ではオダギリ・ジョーと柴崎コウ。人気漫画を映画化した『タッチ』では長澤まさみと双子の役者・斉藤翔太・慶太。『黄色い涙』では当時は今ほどの人気がなかったジャニーズ・グループの嵐の5人が総出演。ここまで見ても、全員が新人あたりの役者を起用している。その上、ほとんどが日本を代表する俳優や女優に成長している。犬童一心監督の作品に出演すれば、新人にとっては人気が出、次のヒットに繋がる大きなチャンスなのかもしれない。この点を考慮すれば、80年代、90年代に活躍した相米慎二監督にも似てなくもない。彼は毎回各作品に驚異の長回しを入れる日本映画界では、長回しと言えばこの監督が最初に名が挙がるが、やはりもう一つは新人を起用する点だろう。彼の作品に出演した役者には、薬師丸ひろ子、坂上忍、牧瀬里穂、田畑智子など、その後に活躍した役者を新人の頃に起用している習慣が窺える。話が少し逸れてしまいましたが、犬童一心監督も新人を演出するのが上手い監督と言えるでしょうが、本作『眉山』では、宮本信子、松嶋菜々子、大沢たかお、夏八木勳など、中堅からベテランを起用している。従来の作品とは大きく変わって、若さあふれる作品群から、落ち着いた大人の作品に仕上げている。この作品は、彼にとってのターニング・ポイントだったと言えるでしょう。これ以降『グーグーだって猫である』『ゼロの焦点』『のぼうの城』と言った作品を発表しているが、それぞれベテランの役者が出演している。元人気アイドル、演技派女優3人、現役の人気歌舞伎役者など、味付け次第で失敗してしまいそうな演出が難しい役者を起用し、見事成功している。これからの作品が気になる監督は間違いありません。

また、監督本人はホラー映画を大ファンらしく、今後ホラー映画に挑戦したいと、言っているらしいが、一体どんな作品が出来るのか気になるところだ。今までの作品がどちらかと言うと、人間ドラマが多い傾向があるので、私的には『泣けるホラー映画』を作って欲しいとも、願っている。


傍から見れば河野龍子の凛とした姿はカッコ良く思える。だが、娘である河野咲子から見れば、母のキツイ言動にうんざりとした気持ちを抱いてしまう。母娘だからこその絆があり、ぶつかり合う部分がある。そこが丁寧に描かれた作品だなと思った。
自分の母は龍子の性格に似ていないが、それでも作品を見ていると今は離れて暮らしている母のことを思い出した。物語が進むにつれ、龍子が娘のことを深く愛していることが伝わってきて、涙が止まらなくなった。(女性 30代)

映画『眉山』 まとめ

この作品『眉山』も今で言う観光映画の一つなのでしょう。徳島、阿波踊り、眉山と言う3つのキーワードは徳島に行きたくなる。阿波踊り見たくなる。眉山に上りたくなる。とまさに3つの観光促進要素が含まれているが、映画的にはうまく纏まっていると言える。小粒で、小品ですが、観て損はない感動作品。母と娘の関係を軸に、30年前の母親の禁じられた恋愛が語られます。それを知らされないまま大人になった、娘は母親に対してどこか冷たい。また、母親も女手一つで育ててきたからなのか、男顔負けの男気のある発言が、カッコいい。でも、この映画の根本は成就しなかった恋愛を胸に、力強く生き抜いた一人の女性の半生を描いている。悔やみせず、負い目も見せず、落ち込まず、反省もせず、ただ前を見続けたのでしょう。

また、この作品のもう一つのキーワードは『献体』にあるのだと思うのです。献体とは、亡くなった自らの亡骸を大学病院に寄付し、医学生たちの勉強の材料にすることです。骨も肉も臓器もすべて、将来の医学のために寄付するのですから、遺骨なんてものは還って来ません。過去に一度、私の祖母と母にこの映画を見せたところ、ふと祖祖母も死ぬ直前に献体すると言っていたそうで、それを聞いた親たちは猛反対し、献体しなかったそうですが、家族も反対するようなことをするには、何か大きな決意が、この映画に登場する龍子にもあったのではないでしょうか?この行動が最期の最期まで潔く、かっこよくも見えます。ただ一番、最後に娘は母の本当の想いを知らされます。それは、献体を行う学生に対する最期のメッセージです。そこには『娘、河野咲子は、私の命でした』で締めくくられます。死してやっと、娘は母の想いに触れることが出来るのです。

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