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映画『サクラサク』あらすじとネタバレ感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『サクラサク』の概要:さだまさしの短編『サクラサク』を映画化。さだ自身の父親との思い出を下敷きにした珠玉の一編。監督には映画『精霊流し』でさだ作品を手掛けた田中光俊。主演の藤竜也を中心に、夫婦役には緒方直人と南果歩。2人の息子、娘役には矢野聖人と美山加恋。新旧の役者が終結し、祖父の認知症で崩壊しつつある一家の再生物語を優しいタッチで描く。

映画『サクラサク』 作品情報

サクラサク

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:107分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:田中光敏
  • キャスト:緒形直人、南果歩、矢野聖人、美山加恋 etc

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映画『サクラサク』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『サクラサク』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『サクラサク』のあらすじを紹介します。

大手の電気メーカーに勤める大崎俊介(緒方直人)は、今時珍しい仕事一筋の中年男性。昇進も一歩手前、部下からも熱い信頼を受け、何もかもが順調で順風満帆にも見えるが、彼の家庭、家族は崩壊寸前だった。俊介の妻・大崎昭子(南果歩)は旦那とは目を合わさず、黙々と家事を、趣味の庭弄りをする一方、夫婦の関係性は冷め切っていた。息子・大崎大介(矢野聖人)は大学受験に失敗し、アルバイトを転々としながら、その日暮らしを続ける若者。娘・大崎咲子(美山加恋)は極普通の女子学生だが、親の言うことは聞かず、毎晩帰りが遅い。この家族4人と同居する俊介の父親・大崎俊太郎(藤竜也)は数ヶ月前から自身の記憶が途切れることが多く、老人性認知症に一人悩む老人男性。

ある日、勤務中の俊介の携帯電話から妻・昭子からの着信が入る。彼女はヒステリーを起こし、電話をしてきた理由を何も言わない。慌てて帰宅すると、自宅の廊下で蹲る父親の姿が。父親の足元は粗相をした汚物で汚れていた。何もしてない妻に憤る俊介。父親を風呂に入れると、自分のこんな姿が情けなく、恥ずかしいと大泣きする父の姿を見た俊介は、父親を食事に誘った。その席で、俊介は妻・昭子の冷たい態度を非難するが、父・俊太郎は俊介にも罪があると諭す。真面目そうに見える彼は過去に一度、昭子に黙って浮気をしていた。その時を境に夫婦の関係に溝が出来ていたのだ。食事の帰り道、ふと足を止める俊太郎。彼はその時、70年前に家族と過ごした福井での日々、子供歌舞伎の思い出、そして朧気に覚えている父親のことを語りだす。傍らで見つめていた俊介に「呆けてしまったのかなぁ」と悲しげに呟く俊太郎。

そんなある日、また俊介の携帯に電話が。今度は娘の咲子から。またお爺ちゃんの様子が変だという、電話だった。俊介が帰宅すると、父親・俊太郎は自室の椅子に座り、虚ろに空を見つめているが、彼の足元にはまた汚物が。その光景を見た俊介は咲子に怒り、偶然その場に居合わせた大介に、手を上げてしまう。その後父親の粗相の後始末をし、じっくり父親と語り合う。その中で、息子の大介が人知れず祖父・俊太郎を支えてきたこと。こっそり大人用のオムツを買い、汚れたモノを家族に誰にも知られずに、捨てていたこと。そして、誰にも言わないことを2人で約束していた。俊太郎は俊介に「人を褒めるには、その人の事を一生懸命見つめないといけない」と…。この時初めて、俊介は息子・大介の優しさに気づかされた。

ある晩、会社からの帰り道、商店街で偶然、大介に出くわした俊介。祖父の俊太郎が家を出て、行方不明だと聞かされた。大介と共に捜索すると、すぐに見つかったが、俊太郎は自身の息子を息子だと分からず、孫の大介を俊介と勘違いするほど、父親の認知症が日増しに進行していることに、俊介は愕然とする。祖父を連れて、帰宅すると、彼はある決意をする。それは前に俊太郎が語った70年前の幸せだった父親と暮らした福井の地に赴き、薄れ掛けている祖父の記憶を取り戻そうと、家族全員で福井に向かうのだった。

映画『サクラサク』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『サクラサク』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

老いや認知症と言う避けては通れない問題を通して描く感動人間ドラマ

さだまさしの短編小説『サクラサク』を映画化。題材は老いと認知症。薄れ行く記憶の中に鮮明に蘇る祖父の思い出を頼りに、崩壊寸前の家族がその記憶を辿るロード・ムービー。認知症を題材にした作品と言えば邦画では『明日の記憶』『恍惚の人』『半落ち』『ペコロスの母に会いに行く』洋画では『アイリス』『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』『きみに読む物語』『やさしい嘘と贈り物』『私の頭の中の消しゴム』など、それぞれ素敵な作品に、本作も仲間入りした。短編小説の映画化とだけあって、小粒な作品だが、メッセージがひしひしと伝わってくる佳作だ。本作は、福井県在住の女性が起こした映画化運動が、実を結ぶカタチとなって生まれた極稀なケース。まるで『風に立つライオン』の映画制作の流れにも似ていて、私はさだまさしの原作は、人の心を動かす魅力の詰まった珠玉の作品だと、いつも感じている。

ただこの映画に対する評価は、そう甘くはない。ある映画サイトでは、この物語に現実感がなく、メルヘン過ぎると・・・。バラバラだった家族が、たった1週間で仲直りするのも、夫への不満をボケた祖父に八つ当たりする妻の言動も、都合良すぎたり、怒る人物の対象が間違っているなど、さまざまな意見が飛び交っている。最も1週間という短期間で人の心が変化することはありえないと。そんなメルヘンな世界はどこにもないと批判する声があるが、作者さだまさしは本作『サクラサク』は、メルヘンチックな視点で観て欲しいと話しています。今の日本は、生きにくく世知辛い世の中だと。災害の問題を中心に、雇用や福祉など、取り組み改善すべき事柄が多い中で、現実は現実で、作品自体はメルヘンで絵空事かもしれないが、物を作るクリエイターとしてこの作品を通して温かい涙、温かい感動を多くの人たちに届けたいと、この映画を作る前に監督田中光俊とさだ本人が語り合った。そんな想いが、物語の所々に垣間見れる本作を多くの人に鑑賞して欲しいと、私は心から思う。

全編オールロケで描かれる風光明媚な日本の原風景

認知症が進む祖父の記憶を基に、70年前に生まれ育った思い出の地を求めて旅に出る家族の姿を描いた本作は、まさに日本のロード・ムービーだろう。ロード・ムービーと言えば、洋画・邦画問わず悪い作品がないと言っていいほど、良作が多いと、私は勝手に思っている。旅を通して、その作品に登場する人物の心の変化が上手に表現される。また観る側も、物語の主人公と共に、心の中で何か変化を感じるのではないでしょうか?それが、ロード・ムービーだろう。気持ちの変化や心の成長だけでなく、それに伴って描かれるのが美しい旅先での風景でしょう。本作『サクラサク』でも十分に表現されている。目的地・福井県を中心に、東京をスタートとし、長野・下諏訪、福井・勝山と都会では味わえない日本の美しい風景を堪能できるのが、ロード・ムービーの醍醐味だ。近年、日本ではスタジオ撮影ではなく、地方ロケで映画が撮られる作品が多く見受けられる。大きなムーブメントに繋がったのは2000年代後半頃に公開された『おくりびと』『バッテリー』が大きく担っているのは言うまでもない。また、本作で注目して欲しいのは、撮影法だ。よく使われる撮影法は、撮影しやすい順に作られるシーンごとの撮影が最も基本だろう。だから、1日に最初のシーンと最後のシーンが撮影されるとなれば、役者がラストシーンを演じるのは高度な演技力が必要となる。本作『サクラサク』ではその真逆の撮影法を採用している。それは、順撮りと言う撮影法だ。すなわち、脚本に沿ったシーンの順番に撮影される技法だ。その撮影法が最も有名なのがスティーブン・スピルバーグの代表作『E.T.』だろう。またアルフレッド・ヒッチコックの『ロープ』も挙げられる。順撮りのいい所は脚本の順番に撮影されるので、役者が演じやすく、その後の物語の先の展開が読みやすい点だろう。それによって安心感が生まれ、演技そのものが自然となってくる。この映画に登場する大崎家を演じる役者たちもラスト近くになると、本当の家族のように自然な演技をしている。そこに、私たちが共感を覚えるに違いない。キャストとスタッフが一丸となって、短編小説を感動巨編に昇華させたのは、この順撮りを採用させた点が、大いに成功したのだろう。


ものすごく複雑な気持ちになる作品でした。自分の親が認知症になったら、これまで通り家族として身の回りの世話をできるだろうか…そんなことを考えてしまいました。
家族だから面倒を見るのは当たり前だと言われるかもしれません。しかし、精神的にも経済的にも困難になってくる時が必ずあるはず。そうなった時に本当の気持ちが明らかになるのだと思います。
今作の家族の形が絶対に正しいとは思いません。しかし、親孝行は出来るうちに出来ることをしたいし、もし自分の親が…という事を覚悟しておかなければならないなと感じました。(女性 30代)

映画『サクラサク』 まとめ

映画作品の題材が認知症、老い、家族崩壊と陰鬱にさせるテーマだけに、毛嫌いする方はいるのでしょうが、それを乗り越えてまで、私たちの心に響くメッセージが、この映画にはたくさん詰まっているのではないかと思います。中には、台詞ばかりに頼らず、シーンごとの役者の動きで物語を表現して欲しいと言う意見もありますが、私はそう思わないです。確かに、私たちに映像で伝える美しさこそが、映画の醍醐味かも知れませんが、時には人の口から紡がれる美しい言葉を聞いて、そこから汲み取れるメッセージを考えるのも、映画の醍醐味と言えるでしょう。

この映画には、もう一つ好きな点があります。それは、作者さだまさしが作詞した本作の主題歌『残春』の一節に『心に咲く花は、季節を選ばない』と言う言葉があります。それは、まさにこの映画のことを指しているのだと気付けます。本作のタイトルは『サクラサク』ですが、物語の季節の設定は実は“秋”なのです。では、なぜサクラなのでしょうか?それは作中に登場する祖父が、生まれ育ったお寺の側に桜の木が植えられています。映画のラスト、季節は秋ですが、家族の目にはその桜の木には満開の桜が咲き乱れているのです。バラバラだった家族が一つになれた時、彼らの心の中に咲く花は、どの季節に咲く花よりも、気高く、そして美しい。これからの家族の行く末を暗示しているのではないでしょうか?あなたも一度、この映画を通して心の旅路に出てはみませんか?

みんなの感想・レビュー

  1. 中原ゆみ より:

    孫の大介がおじいちゃんのオムツを買って、さらに処分もしていると…
    嗚咽しました。今の社会に欠けてるものが大介には備わってますね。メルヘンチックで結構!!