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映画『ブラック・スワン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ブラック・スワン』の概要:有名演出家のトマの目に留まり、プリマに抜擢されたニナ。その重圧と役に対する執着心が生んだストレスから、彼女は幻覚に悩まされるようになる。次第に、現実と幻覚の区別がつかなくなっていくニナは狂気に目覚める。

映画『ブラック・スワン』の作品情報

ブラック・スワン

製作年:2010年
上映時間:108分
ジャンル:サスペンス
監督:ダーレン・アロノフスキー
キャスト:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー etc

映画『ブラック・スワン』の登場人物(キャスト)

ニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)
若手のダンサー。トマに白鳥に相応しい純粋さを持っていると評される反面、黒鳥としての魅了がないと言われ、悩む。
トマ・ルロイ(ヴァンサン・カッセル)
有名な演出家。作品の質の追求に熱心で、他人への配慮が無い。
リリー(ミラ・クニス)
ニナと同世代のダンサー。ニナの代役に選ばれる。純粋なニナを悪の道に誘惑していく。

映画『ブラック・スワン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ブラック・スワン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ブラック・スワン』のあらすじ【起】

バレエ団の主演に選ばれたと母に伝えるニナ。母はニナの努力が実ったことを喜んだ。練習のために出かけるニナは、朝食を済ませると着替え始めた。母は自分の娘の背に痣を見つけた。心配する母に痣を誤魔化し、ニナは家を出た。

控室で身支度を整えていたニナは他の出演者たちがベテランのプリマのべスの悪口を言っているのが耳に入った。同業者はライバルであり、敬意はない。そこに、集合時間に遅れてべスがやってきた。その途端、部屋にいた者たちは先程までのことがなかったかのように振る舞った。

演出家の指導の下、練習が始まった。演出家のトマは言う。今度の舞台は古典の「白鳥」だが、官能的な解釈を加えて全く新しいものにする。新しい作品には新しい女王が必要だ。演出家は若いスターを飛び立たせると言った。ニナは演出家の眼に適い、次の審査に進むことができた。練習の終わり、ニナが控室に戻ろうとすると、プリマを降ろされたべスが部屋を荒らしているのを目撃して驚いた。息を荒立てながら帰るべスの背を見送り、彼女の部屋に忍び込むニナ。荒らされた部屋の中からお守り代わりにべスの口紅を拝借した。

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映画『ブラック・スワン』のあらすじ【承】

トマの前で演技を披露したニナ。トマは彼女が表現した白鳥の純粋さを褒める反面、黒鳥のような魅惑が欠けていると指摘した。そこに、集合時刻に遅れて一人の女性がやってきた。トマは彼女のことをリリーだと紹介した。リリーがやってきた途端、トマの興味が自分から逸れたと気付いたニナ。帰るよう促されて、落選を察した。家に帰るとニナは母に泣き付いた。自室に戻ったニナは悔しさを紛らわせるため、鏡の前で練習に打ち込んだ。しかし、足の爪を割ってしまう。ニナは何もかもが上手くいかないと落ち込んだ。

次の日、化粧をしたニナはトマに近寄った。本当に自分には魅惑が足りないのか、もう一度見てもらおうとしたのだ。しかし、既にヴェロニカをプリマにすると決めていたトマ。ニナには白鳥の素養があるが、黒鳥は難しいと言い切る。落胆してトマの部屋を後にしたニナだが、配役の正式発表の張り紙を見て驚く。ニナは主役の欄に自分の名前を見つけた。

練習の汗を流すため、シャワーを浴びたニナ。自分の肩にできた痣から血が流れているのに気付いた。

映画『ブラック・スワン』のあらすじ【転】

ニナは懸命に自分の弱点を克服して黒鳥になりきろうとした。ある日、練習の合間にリリーの踊りを見たニナは、彼女の姿に心を奪われる。あれが官能だと背後からやってきたトマは言う。

トマの新作発表のパーティ会場で、ニナは出資者たちに披露された。トマが参加者に挨拶する隣で、彼女は自分の指先のささくれが気になった。トイレにこもり、ささくれを剥そうとすると指が裂けてしまった。驚くニナ。しかし、自分の手をもう一度見ると、指は裂けているどころか、ささくれもない。自分が見た幻覚にニナは茫然とした。

自室で着替えていたニナの背の傷が悪化していることに母が気付く。ニナにはストレスを感じると自傷するくせがあった。プリマの重圧のせいで自傷癖が再発していると母は心配した。

ニナは日増しに酷い幻覚を見るようになった。風呂に入っていると自分を睨み付けるべスの姿が現れては消えた。

思い悩んでいる自分を心配しているというリリーと共にバーで夜遊びをしたニナ。そのせいで彼女は練習に遅れてしまう。慌てて稽古場に行くと、自分の代わりにプリマを務めているリリーがそこにいた。ニナはリリーが自分を陥れて役を奪おうとしていると思い込んだ。

映画『ブラック・スワン』の結末・ラスト(ネタバレ)

最後の通し稽古の日。プリマとして舞台に立ったニナを見て、トマは黒鳥を完璧に演じ切ったと褒めた。喜びも束の間、ニナは自分の代役にリリーが選ばれたことを知る。先日の件で、ニナはリリーがプリマの座を奪うために自分に危害を加えるのではと恐れていた。ニナはリリーを降ろしてほしいとトマに懇願するが、彼女の不安は伝わらず、トマは杞憂だとあしらった。

稽古場から帰宅したニナは、自分の背中の傷口から黒い羽根が生えた幻覚を見て気を失う。目覚めると母親がベッドの傍の椅子に座っていた。公演が始まる時間だと慌てるニナ。しかし、母は体調不良を理由に休むようニナを説得する。プリマの座に執着するニナは母を押し退け、会場に向かった。

衣装に身を包んだニナは、幻覚と現実の狭間で踊り続ける。腕が羽になったように舞う彼女に、観客は見惚れた。白鳥も黒鳥も最後まで演じ切ったニナは、観客にも、他の出演者からも賞賛を浴びる。完璧に到達した達成感に浸りながら息を引き取った。

映画『ブラック・スワン』の感想・評価・レビュー

「白鳥の湖」のプリマの座を得たことで心のバランスを崩していく主人公を描いた本作は、過激な映像表現も相まって衝撃度の高い作品となっている。様々なプレッシャーによって幻覚に苛まれながらも、最後に見せるパフォーマンスのシーンは圧巻でスクリーンを通して見ているこちらもアドレナリン全開になる。常に悲壮な表情を浮かべながら演じなければいけなかったナタリー・ポートマンは、演技面で非常に苦労したと思う。オスカーにふさわしい名演である。(男性 20代)


視聴していると、バレエダンサーがいかに苦労を要する職業なのかが分かります。権力のあるコーチからは体を求められたり、ライバルや嫉妬する者からは暴言を吐かれたりと、主人公のニナの心労は溜まるばかりです。普段の生活でもストレスは多く、ニナは母親からお祝いのケーキを送られた時、体型維持のためにそれを一回拒んでしまいます。それを見ていると、日常でも相当なストレスがかかっているのだろうなと感じてしまいます。最終的にニナの心が狂ってしまうのも納得がいきます。
そのように複雑な心境のニナを演じたナタリー・ポートマンには感服するばかりです。(女性 20代)


白鳥の湖という演目は、白鳥役と黒鳥役を一人のプリマドンナが演じ分ける。光と闇の表裏一体をどう演じ分けるかに葛藤し、次第に自分の頭の中の世界に押しつぶされてしまう主人公の美しくも壊れていく様が見事。
本筋としてのストーリーは理解できるが、次第に主人公の妄想と現実の区別がつかなくなり難解な場面に思える部分が多数ある。この映画の作り手はその難解さを理解させたいのではなく、主人公の見る幻覚の追体験を視聴者にさせたかったのかなと感じた。見終わってから、どういう内容だったのだろうという余白を残し奇妙な気持ちにさせられるこの種の作品のファンは多い。ナタリーポートマンの演技が光る秀作。(女性 30代)


ナタリーポートマン扮するニナを筆頭に、狂気ともいえるバレエの世界を表現した作品。完璧なプリマになる為のニナの異様ともいえる葛藤に目を背けたくなるが、何故か引き込まれてしまうのも事実である。一つの作品を追求する為の異常なまでの執着心や、ドロドロとしたバレリーナ同士の争い。ギリギリの精神面の中、完璧に表現しきったニナの末路など、見終わった後の余韻を是非とも楽しんで頂きたい作品。善悪だけでは区別できないバレリーナという生き様を描いている108分は、とにかく圧巻である。(男性 30代)


ナタリー・ポートマンの演技の凄さが光る作品。過干渉な母親とコーチやライバル出現のプレッシャー、自分の中での葛藤により精神を壊していくニナ。どんどん追い詰められていくシーンは見ているこちらも心が苦しくなるほど、しんどくなってくる。黒鳥に心が侵されていくシーンはホラー。オープニングから不穏な空気をはらみ、だんだん現実か妄想の境界線が無くなっていく…ラストの黒鳥のダンスシーンは鳥肌もの。純粋で弱いニナ、妖艶で強いリリーの白と黒の対比もとても良くできていた。ナタリー・ポートマンをはじめキャスト人の演技が素晴らしく映画に入り込んでしまう。(女性 30代)


独特の世界観が光っているホラー作品である。バレエの美しさとホラーの融合は、他の映画にはない魅力を生み出している。今作の魅力はオリジナリティーだけではない。観客に恐怖を感じさせる様々な演出も魅力的である。映像や音、精神的にキツくなるようなシーンの数々は、苦手な人は見ることができないだろう。
ナタリーポートマンの演技にも注目である。彼女の演技によって作品全体が引き締まっている。彼女以外には主演は考えられないほど怪演だった。(男性 20代)

みんなの感想・レビュー

  1. タケカズ より:

    とても素晴らしい映画だ。主人公はバレエ団のトップで活躍しながらプレッシャーに耐えているのだが、そのプレッシャーが上手く表現されている。主人公のバレリーナが大きな壁を乗り越えて演劇の主役を華々しく演じるという風に期待して観始めると驚くことだろう。ナタリー・ポートマンの演技は狂気的に素晴らしく、主人公が精神的にも肉体的にも浸食されていく姿を見事に演じていた。どのシーンが現実で、どのシーンが主人公が侵されている幻覚なのかが分からなくなり、映画を観ている私も主人公になったようだった。

  2. ミヤナミ より:

    バレエを主題にした映画だと思っていたが、かなりホラー要素の強い作品だったと思う。美しくもあり、狂気でもある。芸術をテーマにした映画では、一つのことに打ち込むうちに自我、人間性が変わっていくというのはよくあるが、ナタリー・ポートマンの演技でより鬼気迫るものを感じた。特に最後の演技は画面越しに思わず息を飲むほど惹き込まれてしまった。
    繊細で美しいバレエの世界だからこそ、この狂気がよく映えるように思う。美しさと醜さ、純真と狂気。プリマの過酷な世界のアンバランスさが描かれている魅力的な作品だ。

  3. ふくりん より:

    主演に抜擢されたニナは、役のプレッシャーから現実と妄想が錯綜し、人格が崩壊していく。
    観てる方も混乱するほど二つの境界が曖昧で、主演の重圧や痛みを感じた。
    また、ニナが過保護な母から離れていく様子と、純真な白鳥から妖艶な黒鳥へと変身していく過程、そして公演のクライマックスに向けての疾走感が素晴らしかった。
    ニナの主役が決まった日から、すでに彼女の妄想が始まっている。心情の変化が白と黒の対比で見事に表現されていた。

  4. 匿名 より:

    この映画を観る前は、『白鳥の湖』でプリマをやる主人公、というくらいしか知らず、なんとなくダンサーとしての成長とかダンサー同士の戦いとかそんな話なんだろうと思っていたけど全く違った。
    確かに主人公ニナがプリマの座を得て、自分にないものを手に入れようと模索する、成長しようとする話でもあるが、それ以上にプリマとなった彼女の心の闇を描くことの方に重点を置いていると思った。

    誰もがトップの座に憧れる。ニナはその地位を手にしたわけだが、それは恐れや焦りといった闇の始まりでもあった。
    ニナは常に何かにおびえていた。魅力的で実力ある新人のリリーが一番のライバルであり、彼女に奪われまいと足掻く。何度も幻覚にリリーが現れ、時にはそれが自分自身になる。
    ニナの精神状態を表現する演出はホラーでしかない。とにかく怖いけれど、バレリーナが極限の精神状態で舞台に挑むということがよくわかる。
    ナタリー・ポートマンはこの作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。一年ものレッスンで挑んだバレエもさることながら、プリマとしてのニナの内面を表現したことこそ素晴らしい。

  5. 匿名 より:

    『白鳥の湖』のプリマをめぐってのダンサー同士の戦い、そして自分自身の葛藤、成長を描き、成功をおさめてハッピーエンド。映画にするならこれだけで十分だが、観客の心を掴み、アカデミー賞作品賞を受賞するには不十分である。
    そこに加わったのが、きれいごどだけではないバレリーナの内面を描くことだと思う。ニナの苦悩。誰かにプリマを奪われはしないかという恐れや、自分が黒鳥を演じきれるのかという焦り。そしていつかベスのようになってしまうのかという思いなど。常に重圧で押しつぶされそうな一人のプリマの精神を描いているので、フィクションというより一人のダンサーを追ったドキュメンタリーを観ているかのようで、そこに惹きつけられた。

  6. 匿名 より:

    ほとんど前情報やレビューなどを読まずに観たので、こんなにホラーな映画だったのかという驚きが大きかった。
    平凡な人生では絶対理解できないであろうバレエダンサーの心理だったり、バレエに懸ける思いだったり、観た後しばらく呆然としてしまうほどの衝撃だった。
    ニナの幻覚や妄想がとにかく怖くて、特に背中の傷から黒い羽が生えてきて全身を覆い尽くすまでになるシーンは気持ち悪くてこっちまで鳥肌が立つくらい。友人を刺し殺す幻覚を見た挙げ句、実際は自分自身を刺していたとか、そこまで精神が追いつめられてもなお手に入れたいものがある。それが、一つの役を演じたラストのほんの一瞬の達成感と喜びであっても自分の全てを懸けたいと思うダンサーの心を見ることができた。
    正直何度も観たい作品ではないけれど、二度と忘れられないと思う。