この記事では、映画『ミスティック・リバー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ミスティック・リバー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ミスティック・リバー』 作品情報
- 製作年:2003年
- 上映時間:138分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、フィルムノワール
- 監督:クリント・イーストウッド
- キャスト:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン etc
映画『ミスティック・リバー』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『ミスティック・リバー』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『ミスティック・リバー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ミスティック・リバー』 あらすじ【起・承】
ボストンのある町。11歳のジミーとショーンとデイヴは近所に住む幼馴染で、仲が良くいつも一緒に遊んでいた。
ある日住宅街の道路で、まだやわらかいアスファルトに名前を刻んで遊んでいると、大人の男に咎められ、デイヴだけが車で連れ去られる。
行方不明になったデイヴは、男に監禁されて性的暴行を受けていた。なんとか自力で脱出することができたが、この事件をきっかけに三人は以前の様な仲ではなくなり、近所に住みながら疎遠になってしまった。
それから25年後。
デイヴはまだ小さい男の子の父親に、ジミーは服役した過去を持ち、二度目の結婚をして今では雑貨屋を経営、ショーンは刑事になっていたが妻とは冷え切っている。
ある日、ジミーの愛娘ケイティが射殺される事件が起こる。この事件を機に三人は再会する。ショーンは事件担当の刑事として、デイヴは事件当日の目撃者の一人として。
デイヴは被害に遭った時から25年経った今も、当時のまま傷を抱えて生きており、ケイティが殺された日は深夜に血を浴びて帰宅していた。これを見たデイヴの妻セレステは、ケイティを殺したのは夫ではないかと疑い苦しむ。

映画『ミスティック・リバー』 結末・ラスト(ネタバレ)
セレステは不安を留めておくことができず、ジミーに「デイヴが犯人かもしれない」と話してしまう。
愛する娘を殺されたジミーは、復習するためにデイヴを呼び出す。デイヴは、少年が男に性的ないたずらを受けているのを見て男を殴り殺してしまったと告白するが、ジミーは信じない。口を割らせようと「やったと正直に言えば許す」と言い、助かりたいデイヴはそれを信じて「自分が殺した」と嘘をつく。だがジミーは許すことなくデイヴを殺し、川に沈めてしまう。
一方、その頃捜査は進み、銃痕から犯人を割り出し、ケイティの恋人ブレンダンの弟レイとその友人が真犯人だと突き止める。
ケイティはジミーに交際を反対され、反抗してブレンダンと街を出ようとしていたのだが、兄を奪われるという思いがあったのか、障害を持つレイたちに殺されてしまったのだ。
そしてデイヴが殺したという性犯罪者の男の死体も見つかる。
ジミーは真相を知る。レイの父はかつてジミーを警察に売った裏切者で、ジミーは出所後に復讐を果たしレイの父を殺した。その罪を背負ってレイの母親に送金をし続けてきたが、また新たな十字架を背負うことになるのだった。
映画『ミスティック・リバー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ミスティック・リバー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
サスペンスよりも人間ドラマがメイン
この映画は、ジミーの愛娘ケイティを殺したのは誰か、そしてそれと関わる事件の真相は何なのかというサスペンス色が強い作品だが、根本は幼馴染三人の人間ドラマだと思う。
デイヴは25年前、少年時代にジミー、ショーンと三人で遊んでいたところで、一人だけ車で連れ去られ、行方不明になる。性的虐待を受け、なんとか逃げ出すが、この事件がきっかけで三人は疎遠になる。デイヴはそれから25年経った今も、傷を抱えたまま生きている。
ショーンは刑事になっているが、妻とは別居中。ジミーは強盗で服役した悪で、今は雑貨屋を営みつつ子分をもつ町のボス。
事件をきっかけに再会するが、そうでもなければ三人はバラバラのままだっただろう。
ジミーはデイヴを信じずに殺してしまい、結局は三人はあの時に離れたまま元にはもどれなかったのだ。
ジミーの娘が殺されたのも因果のようだし、デイヴの不幸もあの25年前の事件が起こった時から決定づけられていたかのよう。
ショーンが奥さんとうまく行きそうになること以外は最悪のラストである。
月並みだが、所詮人間ってそういうもんなんだな、と落ち込んでしまう内容。
観終わった後誰かと話し合いたくなる映画
ビートたけしが「討論できるような映画をつくらなければならない」というようなことを言っていたのを覚えているが、なるほどこの映画はまさに討論したくなるような映画だと思った。
映画を観て、「はい終わり、これはこういう映画だ」と言い切れる作品って、映画の中で説明しすぎているのだと思う。最初から観客が簡単に理解できるように作るし、俳優も演じているというより説明している。
「いい映画」というのもいろいろあると思うけれど、観客に考える余地、想像する余地を与える映画はいい映画だと思う。「なんでそうなったんだろう?」が、「もしかしたらこういうことなんじゃないか」「いや、こうじゃないか」と、観た一人一人がいろんなことを考える。それが一番面白い楽しみ方だと思う。
そういう意味で、『ミスティック・リバー』は、ジミーは罪を抱えてどう生きるのかとか、ショーンはなぜジミーの罪を知りつつ黙っているのかとか、三人の罪とは何かとか、この映画に救いはあるのかないのかとか、考えても確かな答えが見つかりそうにない事がポンポン出てくる、議論を深められる映画だと感じた。
幼い頃のトラウマが大人になってからの人生に影を落とし、やがて悲劇を呼ぶというテーマが重く、心に刺さりました。デイヴの壊れていく様子が痛々しくて、彼が殺されてしまう展開にはやるせなさを感じました。ショーン・ペンの鬼気迫る演技も圧巻で、彼の怒りと悲しみの混ざった表情が忘れられません。観終わった後、しばらく心がざわつきました。(30代 女性)
静かな街の中で巻き起こる事件と、過去に囚われた男たちの悲劇が交錯する物語に惹き込まれました。デイヴが犯人ではなかったと分かった瞬間は、本当に胸が苦しくなりました。ジミーの暴走も理解できるだけに複雑で、彼らの友情の儚さに涙が出ました。クリント・イーストウッド監督の演出が抑制されていて、それが逆に強烈な余韻を残します。(20代 男性)
人生の選択と偶然の残酷さを突きつけられた気がしました。過去の出来事が3人の男たちの運命を決定づけていたと感じると同時に、「もし違う選択をしていれば」という思いが何度も浮かびました。エンディングでジミーが自分の行為を正当化しようとする姿に、人間の恐ろしさと哀しさを見た気がします。傑作ですが、重すぎて何度も観られません。(40代 男性)
セリフの少なさや静かな演出の中に、人物たちの感情がじわじわとにじみ出てくる。とにかく演技陣のレベルが高く、特にショーン・ペンの娘の死に取り乱すシーンは鳥肌が立ちました。デイヴがあまりにも不憫で、なぜ彼だけがここまで苦しまなければならなかったのか、考えずにはいられません。重厚な人間ドラマが好きな人には強くおすすめします。(50代 女性)
あまりにもやるせない物語に、ただただ呆然としました。デイヴのような人物が現実にもいそうで、胸が痛みます。登場人物それぞれに正義があり、誰も完全に悪くないところがまたリアルです。あの結末に納得することはできないけれど、それでも最後まで見届けずにはいられない、そんな力のある映画でした。演出も演技も完璧でした。(20代 女性)
犯罪ミステリーかと思いきや、実際は過去の罪と痛みがもたらす悲劇を描いた人間ドラマ。ジミーが真犯人ではないデイヴを殺してしまう展開には胸がえぐられました。少年時代のたった一つの出来事が、ここまで影を落とすとは…。最後のパレードの場面が逆に虚しく、誰も救われていないのに街だけが平穏を取り戻しているのが印象的でした。(60代 男性)
子どもの頃のトラウマが人生に与える影響を真正面から描いた作品。デイヴの狂気とも取れる言動に最初は疑念を抱いたけれど、真相が明かされた後はただ彼の不幸が哀れでなりません。ジミーの悲しみや怒りも理解できる分、観ていて非常につらかったです。映像のトーンも全体的に暗くて、内容とよくマッチしていました。(30代 男性)
女性の視点から見ると、登場人物たちの暴力性や過去への執着があまりにも男性的で、恐ろしくすらありました。ジミーの妻が「あなたは正しい」と告げるシーンは、愛情ゆえか、それとも諦めなのか。あの一言の重さが心に残ります。静かに進む物語ながら、濃密で、感情の揺さぶられ方が凄まじい作品でした。(40代 女性)
心理描写が緻密で、特にデイヴの孤独や狂気に迫る演出が印象的でした。加害者にも被害者にもなり得る人間の弱さと不条理が丁寧に描かれていて、正義とは何かを深く考えさせられます。物語が終わっても、彼らの人生は続いていく。その重みを観る者に残すラストシーンが、とても静かで、それがまた恐ろしくも美しかったです。(50代 男性)
ミステリーを期待して観ましたが、それ以上に心に残る人間ドラマでした。ラストでジミーがショーンに問いかけるシーン、そしてその後のパレードの光景に、何とも言えない喪失感を覚えました。誰かの罪が誰かの人生を壊し、その連鎖が止まらない…。その現実をまざまざと見せつけられるような、力のある作品でした。(20代 男性)
映画『ミスティック・リバー』を見た人におすすめの映画5選
ゴーン・ベイビー・ゴーン
この映画を一言で表すと?
「正しさとは何か?」を観る者に問いかける、道徳的ジレンマの極限ドラマ。
どんな話?
ボストンで幼い少女が失踪し、私立探偵パトリックが事件の真相を追う中で、警察や地域社会の闇に触れていくサスペンス。表向きの善意の裏に潜む人間の複雑さと、選択の重みが浮かび上がる、骨太なドラマです。
ここがおすすめ!
『ミスティック・リバー』と同じ原作者デニス・ルヘインによる物語で、道徳と感情がせめぎ合う結末は強烈な余韻を残します。ベン・アフレック監督の緻密な演出と、弟ケイシー・アフレックの繊細な演技も見どころです。
プライズ・ウィナー・オブ・デファイアンス・オハイオ
この映画を一言で表すと?
崩壊しそうな家族の中で、母が文字で希望を紡ぐ感動の実話ドラマ。
どんな話?
1950年代、アメリカの田舎町で10人の子を抱える専業主婦が、懸賞投稿で家計を支えながら、アルコール依存の夫や困難な日常に立ち向かう物語。家庭の中の痛みと愛を、ユーモアと感動を交えて描きます。
ここがおすすめ!
『ミスティック・リバー』のように、家庭の影や感情の複雑さに触れる物語が好きな人には刺さる作品。ジュリアン・ムーアの力強くも繊細な演技が、観る者に深い共感を与えます。
プリズナーズ
この映画を一言で表すと?
父の絶望が暴走する、道徳と正義を揺さぶるクライムサスペンス。
どんな話?
娘が誘拐されたことから、父親は警察に任せきれず、自らの手で事件を追い始める。やがて極端な手段に走る父親と、それを追う刑事の葛藤が交錯し、正義とは何かを問いかける重厚な物語が展開します。
ここがおすすめ!
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの迫真の演技が光る。『ミスティック・リバー』同様、家族、喪失、暴力、そして取り返しのつかない選択の連鎖が描かれ、深い余韻を残します。視聴後は重い沈黙が訪れることでしょう。
マッチスティック・メン
この映画を一言で表すと?
詐欺師の人生に突如訪れた「父親」という運命の転機!
どんな話?
潔癖症で詐欺師の男のもとに、ある日突然、自分の娘だと名乗る少女が現れる。詐欺と親子愛が交錯する中で、予想外の展開が待ち受ける感動とサスペンスのハイブリッド作品。
ここがおすすめ!
家族の再生と心の傷というテーマは『ミスティック・リバー』にも通じるものが。ニコラス・ケイジの繊細な演技が光り、サスペンスでありながらどこか切なく、ラストには心を揺さぶられます。
マグノリア
この映画を一言で表すと?
傷を抱えた人々の人生が交錯する、壮大で繊細な群像劇。
どんな話?
ロサンゼルスを舞台に、親子の確執、過去のトラウマ、病、孤独などを抱える複数の人物たちが、一日という時間の中で奇妙に交わりながら、自分と向き合っていく様子を描く。
ここがおすすめ!
『ミスティック・リバー』のように、過去に囚われる人間たちの葛藤や再生の可能性に触れられる作品。ポール・トーマス・アンダーソン監督の詩的な演出と、トム・クルーズらの名演技が心に響きます。
みんなの感想・レビュー
ミスティックリバー、めちゃくちゃモヤモヤしました。最後らへんのジミーの妻がジミーに「あなたがやることはすべて正しい、あなたは街のキングだから」みたいなことを語りかけるシーンになったとき、絶対黒幕はこの妻だ!って確信しました。だってあのシーンで妻が話してた内容、なんだか度が過ぎてて異常じゃなかったですか?でも結果は全然違くてびっくりしました。
最初のジミーと妻が一緒に起きるシーンでも「娘はケイティだけじゃないのよ」って不機嫌そうだったし、妻は再婚だし、ジミーは「ケイティを誰よりも(多分家族の中でも特別に)愛していた」って語ってたし、妻は、どう見てもジミーとケイティとの仲をよく思ってないように描かれていたと思うんです。
あの最後のジミーと妻の二人のシーンが意味深すぎてモヤモヤします。
娘が殺されたというのにあそこでキスに至る経緯から、妻のジミーへの強い独占欲しか感じられませんでした。
真犯人であったケイティの彼氏の弟たちのケイティを殺した理由もパッとしないし、ジミー妻が殺したっていう方がしっくりきたような気がするんです。最後の最後でうわーなんだこれ〜モヤモヤする〜ってなったのでなんだか惜しかったです。