映画『ビニー 信じる男』の概要:実在するプロボクサー、ビニー・パジェンサの奇跡のカムバックを基に描かれた作品。プロボクサーとして何度もチャンプに輝いていたビニーだったが、交通事故にて首の骨を折り、再起不能と診断されてしまう。だが、彼は不屈の精神で奇跡の再起を目指す。
映画『ビニー 信じる男』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ベン・ヤンガー
キャスト:マイルズ・テラー、アーロン・エッカート、ケイティ・セイガル、キアラン・ハインズ etc
映画『ビニー 信じる男』の登場人物(キャスト)
- ビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)
- パズマニア・デビルという異名を持つ不屈のボクサー。スーパーミドル級のチャンプであったが、ケビンと出会いジュニアミドル級でのチャンプとなる。交通事故により首の骨を折って再起不能状態となるも、諦めずに突き進む。酒も飲まずストイックなトレーニングを行い、止まることを知らない。
- ケビン・ルーニー(アーロン・エッカート)
- マイク・タイソンを育ててチャンプにまで伸し上げた伝説のコーチ。ボクサーの特性を見て、本人に合ったトレーニング方法を考案するプロ。ビニーと出会い、彼の不屈の精神に影響され鍛え上げる。
- アンジェロ・パジェンサ(キアラン・ハインズ)
- ビニーの父親。ボクサーである息子を全面的に補佐し、試合でもセコンドで指示を与えていた。息子のボクサーとしての能力を信じている。事故をきっかけに命を大切にして欲しいと心配性になってしまう。
- ルー・デュバ(テッド・レヴィン)
- ビニーのマネージャー。ジムを経営しており、複数のボクサーを抱えている。ボクサーとしてビニーの選手生命を勝手に終わらそうとするが、本人に頼み込まれ仕方なくケビンを紹介する。利益重視な面が目立つが、対戦相手との試合を組むプロでもある。
映画『ビニー 信じる男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ビニー 信じる男』のあらすじ【起】
1988年11月7日、ベガスのシーザー・パレスにて、スーパーミドル級のチャンプ、ビニー・パジェンサは挑戦者と対戦。ビニーは相手の強烈なパンチを顔面に受け膝をついてしまい、ドクターストップにより試合に負けてしまう。
ロードアイランド州、プロビデンス。実家に帰って療養していたビニーは、自分の負け試合のビデオから動きについて研究していた。ところが、試合後のインタビューでマネージャーのルー・デュバがビニーの引退を発表。ビニー本人への意思確認もしておらず、父アンジェロが激怒。ルーとの契約期間はまだ残っているため、彼の自宅へと抗議に向かった。ルー曰く、ビニーには根性があるが、アゴが弱いらしい。けれども、ビニーは諦めきれずもう一度だけチャンスが欲しいと食い下がり、ルーは溜め息交じりに了承するのだった。
ニューヨーク州、キャッツキル。ルーの指示により、とあるジムへとやって来たビニー。コーチはかのマイク・タイソンを鍛え上げチャンプへと押し上げた伝説と言われる、ケビン・ルーニーであったが、彼は早速トレーニングを開始し、ビニーのスパークリングを確認。
ビニーはデビュー当初からスーパーミドル級で戦ってきたが、ケビンに言わせると昔とは違ってパワーがついたため、ウェイトが変わって現在のライト級がベストらしい。そこでケビンは階級を2階級上げ、ジュニアミドル級に変更するべきだと言うのだった。
攻撃を躱すリズムを身体に刻むトレーニングから始める。ビニーにとっては最後のチャンスであるため、没頭するあまり限界を超えてまで続けようとしてしまう。無理をすれば、どこかに故障が出る。恐らくビニーはこれまでもそうして、トレーニングを行い試合で壊れてしまうのだろう。そこで、ケビンはとにかく自分の指示に従えと言い聞かせるのだった。
しばらく後、ビニーはケビンと共にルーが経営するジムへと移籍。ビニーの家族はコーチのケビンを歓迎したが、父アンジェロは息子の階級を2階級も上げることに不満を抱いているようだ。アンジェロは息子のためにジムのリングマットを新調したらしいが、ビニーは階級を上げることを父に話していなかった。
映画『ビニー 信じる男』のあらすじ【承】
若干の確執を残しつつ、ジムにてトレーニングを開始。すると、ルーがビニーの復帰戦を決めてくる。それもタイトルマッチで、相手はジュニアミドル級の無敗の王者だった。この件についてケビンは猛抗議。ビニーはまだ体を鍛えている最中で、試合をするにはまだ早い。本人はタイトルマッチだと浮かれていたが、問題はもっと深刻だった。ルーはジュニアミドル級の試合を組むのは大変なのだと言い訳をする。
ビニーがジュニアミドル級で再起を図ることが、テレビの特集やニュースで報道される。試合会場は地元のプロビデンス。記者会見でも強気な発言をするビニーだったが、逸る心はトレーニングへも熱を入れやめることを知らない。彼のやり方はまるでギャンブルのようだ。ケビンは勝つために緻密な計算をしてトレーニングをしているのだと説得。試合前日、ケビンはビニーが負けるとは思っていないと告げるのだった。
翌日、プロビデンス・シビックセンターにてタイトルマッチが開催。いざゴングが鳴り2ラウンド目で本腰を入れたビニーは、なんと無敗の王者を負かしてしまう。彼は階級変更後、第1戦目にしてジュニアミドル級の新王者へと君臨したのであった。
次の対戦相手はスーパーミドル級のチャンプ。このままいけば、ビニーなら勝てるはずだと誰もが思っていた。ファイトマネーにて新車のスポーツカーを購入したビニーは、車の試運転を兼ねて外出。ところが、運転手が脇見をしたことで、対向車と正面衝突してしまう。ほんの一瞬の出来事だった。新車は大破し運転手は辛うじて助かったが、ビニーはこの事故にて首を骨折。瀕死の重体となってしまう。
誰もがビニーの状態を目にし、言葉を失った。ビニーは数日の昏睡状態を経て意識を取り戻したが、状態はかなり深刻で歩けるようになるかどうかも分からない。回復にはかなりの時間を要するだろう。通常なら脊髄固定手術をするところだが、本人の強い要望にて固定はせず、頭部にボルトを入れて首を固定するハレーを装着することに。首を固定することで歩行も可能となったが、ハレーを装着した姿は異様で不気味だった。
映画『ビニー 信じる男』のあらすじ【転】
療養生活はただ寝て起きて食べ、テレビを観て過ごすという酷く退屈なものだ。次第にビニーは自宅へと引き籠り気味になる。そこで、ケビンは彼を元気づけるべく誕生日に外出へと誘う。ケビンが連れて来た場所はバーであったが、なんと中へ入ると家族や知り合い、友人たちが集まってサプライズパーティーを開いてくれるのだった。
そんな中、ルーはジュニアミドル級のチャンピオンベルトを返上しろと言ってくる。ベルトを保持し続けるためには、防衛期間内に次の試合をしなければならない。だが、残す期間はあと3カ月。それまでに骨折が治るはずもないため、致し方ないことだった。しかし、ビニーは諦めることをせず、自分はまた戦うのだと言う。ケビンも骨折が完治してもボクサーへの復帰は無理だと言ったが、ビニーは聞く耳を持たないのだった。
ベルトを持ったままパーティーを抜けて、行きつけのカジノへ向かったビニー。以前は賭け事で負けたことはなかったが、今回ばかりは大負けしてしまう。彼はカジノスタッフに送ってもらい帰宅。その後、ボクサー時代の記録映像を見続け、ある決意を固めた。彼は家の地下にあるベンチプレスで身体を鍛え始め、試合のビデオを見て動きについての研究を重ねる。
2日後、ケビンがやって来る。ビニーはケビンに助けを求め、トレーニングをしたいと頼み込んだ。だが、ケビンはビニーの命の方が大切だと言って断るのだった。
翌早朝、地下へ降りるとベンチプレスが消えていた。どうやら、夜の内にケビンが捨ててしまった様子。ビニーは黙ったままベンチプレスを拾いに行こうとしたが、ケビンはベンチプレスよりも傷にも効果がある肩の運動をする方がいいと言う。彼は一晩、十分に考慮した上でビニーの力になることを決めたのだった。それ以来、2人で密かにトレーニングを開始。記録としてビデオ撮影も行うことにした。時を経るにつれ、2人はコーチと選手という枠を超え、信頼と友情を築いていく。
映画『ビニー 信じる男』の結末・ラスト(ネタバレ)
事故から半年後、ハローの除去が行われ、首のコルセットのみと身軽になる。ビニーはその足でジムへと向かい、ケビンと共に更なるトレーニングを続けた。
ルーに試合を組んでもらうよう連絡もしたが、誰も対戦したくないと言っているらしい。そこで、ケビンはビニーのトレーニング映像をマスコミに流し、ビニーが再起の夢を未だに追っていることを明かした。すると、このニュースは大反響を呼び、ビニーの元へマスコミが殺到。ビニーはすでにコルセットを外して、グローブ姿でトレーニングができるようになっていた。しかし、ジムのボクサーは誰もスパーリングをしたがらない。彼の首を気にしているのだ。それでも、勇気あるボクサーが名乗り出てくれて、ビニーが顔を打たれても平気な様子をマスコミに披露した。
そんなある日、ルーがようやく対戦相手を見つけてきた。相手は以前、戦うはずだったスーパーミドル級のチャンプだった。またもルーは大きな賭けに出て、ビニーにタイトルマッチを組んだのである。ファイトマネーはこれまでの最高額。ケビンの了承も出たことで、ビニーは更にやる気を漲らせた。
そうして、タイトルマッチが開催。開始早々、相手のリズムから逃れられず、ビニーは何度もパンチを食らった。第4ラウンド終了後、ケビンはコーナーに戻って来たビニーに自分の真価を見せろと怒鳴りつけた。すると、ビニーはこれまでの経緯を思い出し、気持ちを切り替えて形勢逆転。そうして最終ラウンド。お互い、すでに満身創痍となっていたが、互角に打ち合いを展開。結果は判定へと持ち越された。
3人の審査員による判定は、奇跡の再起を果たしたビニーへと勝利を与え、彼はとうとうスーパーミドル級の世界チャンプへと上り詰めるのであった。
映画『ビニー 信じる男』の感想・評価・レビュー
実話を基に制作された作品で、ビニー役のマイルズ・テラーが熱演している。彼は実際にボクサーとしての身体作りを行い、今作へ挑んだらしい。そして伝説のトレーナー、ケビン役をアーロン・エッカードが演じ、作品に深みを加えている。
正に不屈の精神を描いている。作中に幼い頃の試合映像が出ることから、ビニーはボクサーとしての生き方しかしてこなかったのだろうと思う。自分の身一つで戦うボクサーは、第一に自分を信じなければ勝つこともできない。恐らく、作中では描き切れない壮絶なトレーニングを積んだと思われ、見えない部分を想像するだけで、この実話がどれだけの奇跡であるかが分かる。(MIHOシネマ編集部)
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