映画『ボビー』の概要:1968年6月5日、ロバート・F・ケネディが暗殺された。米国の希望が消える16時間前、事件現場のLAアンバサダーホテルに居た22人のキャストは何を新しい大統領に託そうとしたのか。歴史上最高のキャストで送るアンサンブルドラマ。
映画『ボビー』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:120分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
- 監督:エミリオ・エステヴェス
- キャスト:アンソニー・ホプキンス、デミ・ムーア、シャロン・ストーン、ハリー・ベラフォンテ etc
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映画『ボビー』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
映画『ボビー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ボビー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ボビー』 あらすじ【起・承】
映画は、’68年6月4日、ロバート・ケネディが民主党予備選に圧勝した後のLAアンバサダーホテルから始まる。
ケネディは予備選に勝てば、ここを勝利演説の場と決めていた。
宿泊する者の思いは様々。
ホテル支配人エバース(ウィリアム・H・メイシー)は仕事振りは有能だが、美容師である妻ミリアム(シャロン・ストーン)との中は冷え切っている。
若い電話交換手アンジェラ(ヘザー・グラハム)と浮気している現場を、差別主義者のレストランマネージャー・ティモンズ(クリスチャン・スレーター)に見付かってしまう。
レストランでは、一世一代の大舞台を黒人のシェフ・エドワード(ローレンス・フィッシュバーン)が取り仕切っていた。
若いヒスパニック系のシェフ・ホセ(フレディ・ロドリゲス)は、忙しい時期に自分だけがダブルシフトを言い渡され差別だと言い張る。
チェコの新聞記者レンカ(スヴェトラーナ・メトキア)は、やっとの事でケネディ選挙戦を仕切る若いスタッフ・ドウェイン(ニック・キャノン)に
近づけたものの、ケネディへのインタビューは一蹴されてしまう。
共産圏というだけでなく女性として差別されているのを肌身に感じるレンカ。
ティモンズは、マネージャーから、アフリカンアメリカン及びヒスパニック系従業員が投票に行かぬようシフトを
入れていた事を咎められらクビを言い渡されてしまう。
ティモンズは、その腹いせに、ミリアムに夫の浮気をばらしてしまうのだが・・・。
映画『ボビー』 結末・ラスト(ネタバレ)
ミリアムは、今回のパーティーでショーを開く予定のファロン(デミ・ムーア)のスタイリストを担当していた。
ファロンは、かつては誰もが憧れる大歌手だったが、今ではアルコールが手放せなくなり、タバコをふかし、
夫のティム(エミリオ・エステベス)とは、いまや愛犬の世話を巡って口げんかをする始末。
ファロンのマネージャー・フィル(デヴィット・クラムホルツ)は、ティムに相談なくスケジュールを埋めるため、
ますます夫婦仲は悪くなるばかり。
ロビーでは、元ドアマンのケイシー(アンソニー・ホプキンス)と同僚のネルソン(ハリー・ベラフォンテ)が
チェスを嗜み語り合っていた。
数々の著名人がホテルに訪れた年も覚えている彼らは、ホテルの生き証人でもあった。
2人にとってケネディを迎え入れる事が出来る事は何よりの誇りだった。
ケネディがアンバサターホテルに到着した。
興奮の中で始まった勝利スピーチの後、ケネディは凶弾に倒れる様がスローモーションで映し出される。
米国の希望が打ち砕かれた瞬間、様々な思いを抱えたホテルキャストの思いが一変していく。
ファロンは、フィルと向き合い、エバースはミリアムに語りかける。
そして他の者たちは、これから始まるであろうベトナム戦争の泥沼を肌身で感じるところで映画は終わる。
映画『ボビー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ボビー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ケネディと、その時代
映画の中で、もうひとのキーワードになっているのが’68年という時だろう。
徴兵を逃れる為に、若者たちが選挙運動スタッフボランティアになる者や、結婚する若者がこの映画は描かれている。
ダイアン(リンジー・ローハン)は、ベトナム戦争の戦局の悪化を懸念し、恋人のウィリアム(イライジャ・ウッド)を
徴兵を逃れる為の策として、結婚を急ぐ。
クーパー(シャイア・ラブーフ)とジミー(ブライアン・ジェラーディ)が選挙スタッフのボランティアとして
参加したのは、徴兵逃れでもある。
2人、そんな心のスキをヒッピー風のLSDの売人・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)に憑かれ、LSDを売りつけられてしまい、失態を犯す。
ロバート・ケネディは公約に『ベトナムからの名誉ある撤退』を掲げていた。
もしも彼が暗殺されていなければ、戦争は泥沼化したであろうかと、問いただしたくなる場面でもある。
時代のうねりを感じる場面が、随所に現れる映画
映画の時代設定は、公民権運動の最中であり、共産主義国家の間でも東欧諸国では言論の自由が確立されつつあった。
映画の中では、ホテルの厨房を舞台に様々な意見が交わされているが、ヒスパニック系の従業員ミゲルが、白豪主義のマネージャーから
あからさまな差別をうけた時、副料理長エドワードが、『怒りの感情を抑えるべきだ』というシーンは、
その年の4月にメンフィスで暗殺された、キング牧師を彷彿とさせる。
チェコスロバキアは当時民主主義化された共産主義国家としては珍しい例だった。
その為、映画の中ではケネディの側近に一蹴されてしまうのである。
だが、チェコの女性記者が、諦めずインタビューの時間を5分だけでもと最終的に、こぎつける場面はすがすがしい。
ホテル解体前1週間で撮影した現場
ロケ地となるアンバサターホテルは、1921年に建設され、老朽化の為、映画クランクイン直前に取り壊される事になっていた。
監督のエミリオ・エステベスは、当局の許可を経てホテル内で、解体前の1週間だけ撮影する事になった。
建物、外観、回廊、コーヒーショップなどを、映画スタッフが撮影している間にも、作業員がホテルの解体にあたっていたという。
映画のラストの暗殺シーンは、実写フィルムと俳優たちが出演するシーンが、違和感なく繋ぎ合わせられている。
その見事さは、ホテルに居るものだけでなく、まさにあの当時、米国にいた人々がどれだけロバート・ケネディに明日の希望を託していたかが、
読み取れるだろう。
映画『ボビー』 まとめ
元々この映画は、監督エミリオ・エステベスの幼い日の思い出と、彼の人徳があって出来た映画である。
ロバート・ケネディが暗殺された夜、6歳だったエミリオは、ケネディ家の支持者でもあり、
映画にも出演した父・マーティン・シーンを起こし、悲劇の舞台となった
アンバサターホテルに連れて行って貰った事から始まっていた。
映画に出演する役柄は、エミリオが事件当日現場に居た人々をモデルにしたものでもある。
そして何より、これだけのキャストが集った理由は、エミリオの人徳によるものが大きい。
映画の中に、秘められたメッセージは、ボビー(ロバート・ケネディ)が暗殺された日に、
米国の夢と希望が死んでしまったという事ではないだろうか。
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