映画『ブレイブハート』の概要:スコットランド独立を目指して先導したウィリアム・ウォレスの生涯を描いた作品。史実とは異なる作風であるが、ロマンスなども含めた壮大なストーリーに仕上がっている。戦のシーンに力を入れただけあって圧巻。
映画『ブレイブハート』の作品情報
上映時間:177分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:メル・ギブソン
キャスト:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハン、キャサリン・マコーマック etc
映画『ブレイブハート』の登場人物(キャスト)
- ウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)
- 平民でありながら、スコットランド独立のために奮闘する実在した人物。賢く志も高い。愛国心の強い男性。
- イザベラ(ソフィー・マルソー)
- イギリス皇太子妃。フランス国王の姫。聡明で賢く美しい。ウィリアムの志に惹かれ恋をする。
- エドワード1世(パトリック・マクグーハン)
- 英国王。非道で残虐。皇太子の不甲斐なさに憤っている。卑怯な手を使うのが常。
- ロバート・ザ・ブルース(アンガス・マクファーデン)
- スコットランド王侯貴族。最もスコットランド王に近い男と言われている。志も良く、ウィリアムの良き理解者であるが、自信がないために心許ない。
映画『ブレイブハート』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブレイブハート』のあらすじ【起】
1280年、スコットランド。世継ぎのないスコットランド王が逝去。空いた王座を非道で知られる英国王エドワード1世が奪った。スコットランド貴族は戦を仕掛け、激しく抵抗。これにより、エドワードは休戦会談を提唱するに至った。
ウィリアム・ウォレスは当時、10歳になるかならないか。
父は農民であったが勇敢な人物で、英国兵が村を襲い村民を皆殺しにする様を目にし、英国兵へと訴えに向かった。しかし翌日、死体となって戻って来る。葬式は村人達の手によって行われ、ウィリアムは叔父の元へ引き取られることになった。
ウィリアムが成人後、エドワード王は皇太子に妃を与えた。フランス国王の姫イザベラは聡明で賢く、肝の座った女性だった。王は彼女を痛く気に入り、噂では皇太子ではなくエドワード1世が姫に子供を産ませるだろうと言われていた。
エドワード王は、スコットランドに重税をかけ圧政を強いている。王はスコットランドへ英国貴族を誘うため、初夜権を復活。新婚夫婦の初夜に、新郎よりも先に領主が新婦と寝られる権利である。
そんな折、ウィリアムが生まれ故郷へ久々に戻って来る。彼は美しく育った幼馴染の女性と恋に落ち、結婚を決意。初夜権の行使を避けるため、秘密裏に結婚式を行った。
ある日、市場でウォレスと戯れる幼馴染の美しさに目を奪われた英国兵が、彼女をレイプしようとする。ウィリアムは彼女を助け、逃がそうとするも幼馴染は捕まってしまう。英国兵に逆らうことは王に逆らうことだと言われ、捕縛された彼女はウィリアムを誘き寄せるために処刑されてしまうのだった。
待ち合わせの場所に妻の姿が無いため、市場へ戻ったウィリアム。彼は反旗を翻し、英国兵へと立ち向かう。彼の奮闘ぶりに村民達がこぞって手を貸した。それほどに、英国兵への恨みは強かった。
ウィリアムは妻を殺した将校を彼女と同じように磔にして殺した。
映画『ブレイブハート』のあらすじ【承】
ウィリアムがしたことは近隣の村々へと知らされ、農民達が加勢に訪れる。彼らは一昼夜を通して森を進んだ。
そして、英国兵に扮して領主の元へ向かい殺害。拠点に火をかけた。
この知らせはすぐさま、エドワード王へと知らされる。ウィリアムは行政官を殺害し、すでに町を1つ乗っ取っていた。王は皇太子に反乱を鎮めるよう命令。
皇太子は兵を派兵しウィリアム討伐へと乗り出すが、一向に討伐できないのであった。
反乱の報はエジンバラのロバート卿へも届く。彼は王侯貴族で、最もスコットラン王に近い存在だと言われていた。聡明で民心を集めるロバートだったが、いかんせん自信がなく父親に意見を求めては、言う通りにしてしまう面があった。今回の反乱についても、父親に意見を窺ったロバート。貴族諸侯を集め、会議にて彼らの声を聞けと言われる。
一方、ウィリアムは村々を英国兵士から救いつつ、戦を繰り返して農民兵を増やしていた。
そんなある日、彼らの元へアイルランド人の志願兵がやって来る。彼は少し変わった人物だったが、暗殺者からウィリアムを救ってくれる。
英国軍がスターリングの地に集結しているという情報が入る。それらへ抵抗を示している貴族も多いようだ。ウィリアム率いる農民兵もスターリングへ向かった。
スコットランド貴族率いる兵達は、英国の大軍を見て怖気づく。彼らは貴族に招集されただけで戦がしたいわけではない。明確な目的など持っていないのだ。
そこへ、ウィリアムが到着。彼は兵達に明確な目的を与えた。スコットランドが自由を勝ち取るためには戦うしかないのだと。
映画『ブレイブハート』のあらすじ【転】
ウィリアムは貴族達に作戦を指示し、いざ開戦。作戦は功を奏し、英国の大軍は退却して行った。ウィリアムは率先して勝鬨を上げる。スコットランド兵達は歓喜の雄叫びを上げた。
これにより、ウィリアムは騎士の称号を得て、晴れて貴族の仲間入りをする。だが、スコットランド貴族達は自分達の保身ばかりで、志も愛国心も低い。くだらない言い争いばかりを繰り返すのである。
ウィリアムは孤立し、英国軍と戦う意思表明をした。唯一、彼の志を理解できたのはロバートだけである。ウィリアムはロバートへ自由のために立ち上がれと言う。周囲を見渡し、貴族と民のどちらも見ることができるロバートならば、国を背負うに相応しいと思っているのだった。
ウィリアムは兵を連れて更に進軍。砦責めを行い、見事に占領。
反乱を鎮められなかった皇太子は、フランスから戻ったエドワード王に厳しく咎められる。王は悪化した状況を好転させるべく、和平交渉を設けることにした。
交渉の使者は皇太子妃のイザベラが選ばれた。彼女は早速、和平の交渉を行った。
兵を引けば貴族の称号と領地、櫃一杯の金貨を与えると。だが、エドワードの約束は必ず反故にされると知っているウィリアム。話には乗らなかった。
交渉は決裂しイザベラは帰国。王にこのことを報告した。すると、王はウェールズとフランス、アイルランドに召集を募り、兵をエジンバラへ向けて征服すると言う。姫が交渉へ向かう前に召集をかけたと言うのだから、交渉が成立してもどの道、征服はしていたということである。イザベラの和平交渉は、ただの時間稼ぎだったのだ。
イザベラからの知らせにより、ウィリアムはすぐさま兵をエジンバラへ。貴族会議へも参加し、出兵を募った。ロバートには貴族の結束を頼み、彼を信じて決戦の地であるフォルカークヘ向かう。
映画『ブレイブハート』の結末・ラスト(ネタバレ)
フォルカークにはエドワード1世も来ており、大軍が向かい合った。スコットランド軍には前回の戦時に出ていた2貴族が出兵。
英国軍の先鋒はアイルランド兵で進軍開始。作戦通りにいけば、スコットランド軍にも勝機はあった。
アイルランド軍の寝返りもあり、勝負はいいところまでいくが、ウィリアムの合図にスコットランド貴族が動かない。エドワード王により懐柔されていたのだ。彼らは援軍に入らず兵を引いて行く。状況は一気に暗転。
エドワード王は勝利が見えたとして、戦場から退こうとしていた。
ウィリアムはそれならば、せめて王を討とうとして後を追って行くが、彼の前には仮面の兵士が立ち塞がる。対決にて仮面を奪ったウィリアムは、相手がロバートであることに気付き、絶望。貴族達の裏切りよりも、ショックを受ける。国に裏切られたような、そんな気がしたのである。
ロバートはウィリアムの失望した表情を目にし、彼を急いで逃がした。
フォルカークの戦は凄惨を極め、被害は相当数に上った。ロバートは戦場跡を彷徨い歩き、自分がしたことの罪を深く悔いた。そして、父親の言いなりにはならず、自分の信念を貫き通すと心を決める。
エドワード王は再び、和平の交渉として使者を送った。だが、ウィリアムは交渉の場である小屋に入りもせず、火を放ってしまう。それというのも、事前にイザベラから手紙で罠だと知らされていたからだった。
密かにウィリアムと会う場を作ったイザベラは、憧れだった彼と一夜を共にする。
ブルースはウィリアムに再度、スコットランドをまとめようと誓うことにした。そのためにエジンバラへ来て欲しい旨を伝える。ウィリアムは側近の制止も聞かずに、エジンバラへ1人で向かった。
しかし、ブルースの願いも虚しく、ウィリアムは英国兵に捕縛されてしまう。ブルースの父親が息子の知らないうちに罠を張っていたのである。父親曰く、ウィリアムの死はブルースが王座に就くための代価だと言う。ブルースはそんな父親に反吐が出そうだった。
ウィリアムは英国へ連行され、尋問と拷問を繰り返された。だが、彼はどんなに痛めつけられても、英国に忠誠を誓わない。潔く、死を選ぶつもりだった。
ウィリアムは民衆の面前で辱められるも決して屈せず、その意志の強さを見せつける。彼は腹を裂かれても、決して悲鳴を上げなかった。そんな彼に憐れみを感じた民衆が、慈悲を乞い始める。それでも彼は慈悲を乞わず。断首の刑に処されるのだった。
1314年。ブルースは貴族をまとめ、大軍を率いて英国軍と戦う。ウィリアムの意志を引き継いだスコットランド兵は、見事に自由を勝ち取った。
映画『ブレイブハート』の感想・評価・レビュー
自由を掲げて貴族の圧政と戦った一人の闘士のお話。CGを使わない大規模な予算が使われた合戦シーンが多くて楽しめる作品で満足感が高い。ただ合戦シーン以外は貴族の横暴に苦しむ住民やなかなかうまくいかない外交という苦境を実直に描いているために少々飽きる。総合しても面白さが十分に勝るとは思うので長尺ではあるが一見の価値は十分にあるだろう。(男性 30代)
歴史上に実在するスコットランドの騎士ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた作品で、第68回アカデミー賞にて作品賞など全5部門を受賞している。
今作の見どころはやはり、戦争シーンだろうと思う。大勢のエキストラを雇い戦争シーンを撮影しただけあって非常に迫力がある映像となっている。スコットランドに対しての英国兵の態度や所業がとにかく悪い。戦争と貴族の策謀が渦巻く中、唯一の癒しはフランス王女イザベラだけだろう。作中ではウィリアムとのロマンスが描かれ、作品の柔らかい部分を描いているが、史実では当時、イザベラはまだ3歳の赤ん坊だったらしい。自由を求めて奮起し、英雄と崇められながらも最後は捕虜にされ処刑されてしまう結末には、胸が震えた。(女性 40代)
歴史もので上映時間も長いので、途中で中だるみというか疲れがきてしまう作品です。一気に観るよりも区切った方が良いかもしれません。
ただ、戦闘シーンや拷問シーンなどはかなりリアルに描かれており、ウィリアム・ウォレスの生き方をしっかり描き切った作品なので見応えは十分です。ソフィー・マルソーはとんでもなくキレイですし、戦闘シーンは細かい部分まで描かれていますが、そのほかの貴族のシーンはなぜ?と思う部分も多く、そこは残念でした。(女性 30代)
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