映画『テラビシアにかける橋』の概要:孤独な少年ジェスと不思議な少女レスリーは、広大な森に二人だけの魔法の王国を創る。そこでは想像するものは何でも創りだせるのだ。名作児童文学を、原作者の息子デイビッド・パターソンが映像化したファンタジー作品。自由に想像することの大切さを思い出させてくれる。
映画『テラビシアにかける橋』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー、青春
監督:ガボア・クスポ
キャスト:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ、ゾーイ・デシャネル、ロバート・パトリック etc
映画『テラビシアにかける橋』の登場人物(キャスト)
- ジェス・アーロンズ(ジョシュ・ハッチャーソン)
- 本編の主人公。愛称ジェシー。両親と姉二人、妹一人に赤ん坊の弟という大家族の長男。内気な性格。家が貧しいことが原因でクラスでいじめられている。たいてい一人で空想をしながら、絵を描いて過ごす。足が速い。
- レスリー・バーク(アナソフィア・ロブ)
- ジェスのクラスに転校し、彼の隣家に越してきた少女。両親は共に小説家で、豊かな想像力と自由な感性を持つ。一人っ子。クラスでは変わり者扱いされるが、ジェスと友情を育んでいく。
- メイベル・アーロンズ(ベイリー・マディソン)
- ジェスの妹でアーロンズ家の三女。バービー人形集め(遊び)に凝っている。学校で独りでいるジェスを気にかける。家の温室で紫の花を育てている。父親から惜しみない愛情を受けている。
- ジャック・アーロンズ(ロバート・パトリック)
- ジェスの父親。工務店に勤め、一家を支えている。娘ら(特にメイベル)には優しいが、ジェスには厳しく、両者の間には溝がある。
- ミズエドマンズ(ズーイー・デネシャル)
- 音楽教諭。授業ではいつも子どもたちに楽器を扱わせ、一緒に歌(ポップス)を歌う。若く美しく、ジェスの憧れの女性。彼の絵の才能を認めている。
- ジャニス・エイブリー(ローレン・クリントン)
- 8年生の少女。いつも取り巻きの女子を連れて、下級生をいびっている。スクールバスの最奥席は彼女の特等席で、誰も座ることが許されていない。
映画『テラビシアにかける橋』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『テラビシアにかける橋』のあらすじ【起】
アメリカのとある田舎町。ジェス(以下ジェシー)は家庭にも学校にも居場所がなく、窮屈な日々を送っていた。唯一の息抜きは、絵を描くこと。
ある日クラスに、レスリーという少女が転校してくる。独特な雰囲気の彼女に、クラスメイトは好奇の目を向ける。だが、ジェシーは親近感を覚える。
男子だけの駆けっこで、実は俊足のジェシーは一着になる自信があった。だが、転校生レスリーにその座を奪われる。二人は初めて口を聞くが、せっかくの見せ場を奪られたジェシーは面白くなかった。
ジェシーとレスリーは同じバス停で降りる。隣家に越してきたのは、転校生のレスリーだったのだ。レスリーはジェシーに話しかけるが、ジェシーは意地を張って素直になれなかった。
国語の時間、先生から好評を得た詩をレスリーが披露する。レスリーの朗読に、ジェシーは想像をめぐらせる。二人の言葉とイメージは繋がっていた。
映画『テラビシアにかける橋』のあらすじ【承】
打ち解けたジェシーとレスリーは、メイベルを先に帰らせた後、森を目指して競走した。途中ロープが吊るされた川辺にたどり着く。慎重なジェシーを後目に、レスリーは率先して川を飛び越える。森の奥は人っ子一人いなかった。
レスリーはこの森を二人だけの魔法の王国にしようと提案する。ジェシーは最初こそ戸惑うが、大木の上に廃屋を発見し、レスリーに大賛成する。その廃屋は、子どもたちの城にするには十分だった。さらにレスリーは、王国を繁栄させるには闇の魔導師から仲間を解放しなければならないと強調した。
材料を集めていると、醜いリスが襲いかかってきた。レスリーは敵をいじめっ子に見立てることで、恐怖のハードルを超えられると言った。ジェシーは恐れることも忘れて無我夢中で走る。
二人はリスをまくと、王国全体が見渡せる場所にたどり着く。レスリーは目を閉じて、心の目は開けろと促す。ジェシーの眼前に広がるのはただの山野だったが、意識を変えると途端に魔法の王国が現れた。レスリーは王国を「テラビシア」と名付ける。
映画『テラビシアにかける橋』のあらすじ【転】
巨人ハンターが必要という口実で、ジェシーは一人っ子のレスリーにシーズーをプレゼントする。大喜びのレスリーは、犬に「プリンス・テリーン」(以下PT)と名付けた。
矢先、大木の巨人が現れる。ジャニスに似たその巨人はつま先が弱点だった。それを見抜いたレスリーは見事打ち負かした。
人間のジャニスの弱点も考え、意中の男子を装ってラブレターを書く。それは功を奏し、ジャニスはまんまと騙される。あの強情な少女が恥をかいたことに、ジェシーたちはついほくそ笑む。
傷ついたジャニスはトイレにこもった。ジェシーたちは反省し、同性のレスリーが相談に乗ることにする。ジェシーは怖気づくレスリーの背中を押す。ジャニスは実父から虐待されていて、それがクラスに知れ渡り孤立したのだった。
日曜日の教会からの帰り道。レスリーとメイベルはキリストを話題にしていた。敬虔な信者のメイベルは、聖書の原罪やイエスの十字架刑に恐れを抱いていた。レスリーはそれが不思議でたまらない。
ジェシーはジャックの鍵束を失くしてしまう。故意でないことを知りつつ、ジャックは見つからなかったら金を作ってみせろと脅す。真相はメイベルが鍵を持ち出し、城の鐘造りをしていたレスリーに道具を貸していたのだった。しかし、鍵束の居所は不明なままだった。
映画『テラビシアにかける橋』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジェシーとレスリーが王国を探索するあいだ、ジェシーは初めて父への不満をこぼす。父は自分のことなど理解していないと、ジェシーは思っていた。
途中、闇の魔導師たちに妨害される。だが、ハチの兵士たちの助太刀もあり、何とか鍵束を見つけることができた。ジェシーは、弱きものが集まると、強者を超える力を発揮することを知った。
雨の帰り道。ジェシーは別れ際、レスリーの後姿に違和感を覚える。振り向いたレスリーは、いつものように微笑んでいた。
ジェシーはミズエドマンズから美術館に行こうと誘われる。憧れの人からの誘いを断る理由はない。出発の直前、ジェシーはふとレスリーの家を見やる。何かが引っかかりながらも、ジェシーは初めての美術館を大いに楽しんだ。
ジェシーは帰宅すると、ジャックからレスリーが死んだことを聞く。森の入り口でロープが千切れ、川で溺死したと。ジェシーはショックで寝室に閉じこもる。すると、スケッチブックから見覚えのない絵が見つかる。レスリーが密かに描いた自画像だった。
その後ジェシーは、両親とレスリーの葬儀に出かける。レスリーの父はジェシーを問い詰めることもせず、最高の友達でいてくれてありがとう、と感謝した。
レスリーの死を受け入れられないジェシーは、王国へ探しに行く。入口のロープは千切れていた。メイベルがジェシーを追ってくるが、怒声を浴びせて追い返した。
途中闇の魔導師に遭うが、それはジャックだった。崩れ落ちたジェシーは父の腕の中で悲嘆に暮れる。父は、レスリーがくれたたくさんのものを大事にすれば、彼女は生き続けると言った。夜、ジェシーはメイベルに誠実に謝るが、彼女はすっかり腹を立てていた。
森の岸辺に立ち、ジェシーはレスリーの自画像をいかだに載せて、川へ流す。そして日曜大工で培った技術と絵心で、「テラビシアにかける橋」を造った。すでに退居したバーンズ一家から、空き家の材木は使っていいと言われていた。
ジェシーは不機嫌なメイベルに、お姫様になる気はないかと投げかける。すぐさま興味を示した妹を連れて、立派な橋がかかった王国へ足を踏み入れる。ジェシーはメイベルに心の目を開くよう促す。すると、彼女の頭にきらめくティアラが現れる。兄妹は想像力で次々と王国に命を吹き込む。草花、妖精、白亜の城が創りだされた。テラビシアの住人たちが王と姫を歓迎する。ジェシーは銀色の王冠を被り、「建国」したばかりの自分の国を見渡すのだった。
映画『テラビシアにかける橋』の感想・評価・レビュー
個人的に現実とファンタジーが融合する世界観がとても好きであった。また、主人公2人の関係もいい。特にアナソフィア・ロブ演じるレスリーの奔放さは魅力的で、内気なジェスとの関係は、少し「エターナル・サンシャイン」のクレメンタインとジョエルを思い起こさせる。観終わった後、爽やかな感動に包まれ、辛い出来事を乗り越えて、ジェスが進む道を応援したくなる。老若男女関わらず、すべての人におすすめできる作品である。(男性 20代)
原作の児童文学を映画化した本作。子ども向けらしいファンタジックな演出が印象的です。
その中でも、現実的な問題に立ち向かう子ども達の悩みや葛藤がしっかりと表現されており、ただのファンタジー作品では終わりません。特に、「死」というキーワードをここで入れてくるのは文化の違いでしょうか。キリストの話も少し出てきて、神話のような雰囲気も感じられます。
大筋では難しい話はないので、映像だけでも楽しめるかと思います。
家族で観るのもオススメです。(女性 20代)
世界観に入り込めれば心から楽しめる作品だと思います。しかし、空想の物語なのに何故現実に…?などとリアルなことを考えてしまうと彼らの純粋な気持ちがつくりあげた「テラビシア」には入り込むことが出来ないでしょう。
ジョシュ・ハッチャーソンとアナソフィア・ロブが本当に可愛らしくて、内気な男の子と自由奔放な女の子の組み合わせが最高でした。
ただのファンタジー映画では無く、終盤にかけての展開は涙無しでは見られないでしょう。子供の頃の純粋で何の疑いもない気持ちを思い出させてくれる作品です。(女性 30代)
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