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映画『秒速5センチメートル』あらすじとネタバレ感想

映画『秒速5センチメートル』の概要:「雲のむこう、約束の場所」(04)の新海誠監督が短編アニメとして描いた青春ラブ・ストーリー。山崎まさよしの名曲「One More Time,One More Chanse」を起用し、初恋の切なさを際立たせています。

映画『秒速5センチメートル』 作品情報

秒速5センチメートル

  • 製作年:2007年
  • 上映時間:60分
  • ジャンル:青春、ラブストーリー、アニメ
  • 監督:新海誠
  • キャスト:水橋研二、近藤好美、花村怜美、尾上綾華 etc

映画『秒速5センチメートル』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『秒速5センチメートル』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『秒速5センチメートル』のあらすじを紹介します。

第1話「桜花抄」

”桜の花の落ちるスピードって知ってる?秒速5センチメートルなんだよ”。小学生の頃から思い合う、遠野貴樹(13)と篠原明里(13)。しかし、親の転勤で明里は中学入学と同時に栃木市へ転校。2人は文通を続けていたが、貴樹も親の転勤で鹿児島に引っ越すことになります。
冬。貴樹はついに電車を乗り継いで、1年ぶりに明里の住む栃木で会うことに。東京から2時間ほどだが、雪のために電車が遅れてなかなか2人は会うことができない。ようやく午後10時を過ぎて電車は駅に着きます。待ち合わせの午後7時からずっと待っていてくれた明里。2人は、明里が手紙に書いた桜の木の下でくちずけをかわすのです。
”キスの前と後では世界がなにもかも違うんだ”。その夜、2人は納屋で過ごし、朝早くに駅で別れた。”貴樹君なら大丈夫だよ”と微笑む、明里。心の距離は埋めたが、物理的な距離を埋めることは容易ではないのだ。

第2話「コスモノウト」

鹿児島の高校に通う遠野貴樹(17)。弓道部に所属し、放課後まで練習の毎日。墨田花苗(17)は、貴樹が中学に転校してきた初日から片思い。”遠野君は他の男子とは違う。はるか遠くを見ているような気がしていた”と一緒に下校するといつも考えてしまう。そのせいか、趣味のサーフィンが上手くゆかない。高校卒業後の進路についても悩んでいた。
ある日の夕方。丘にただずむ貴樹の姿を発見。進路について話すと貴樹は東京の大学に進学したいと言う。夜空を見上げると天の川や星座がきらめいていた。帰り道、2人の目前をNASDA(ナスダ:日本宇宙開発事業団)のH2ロケットが運ばれてゆく。・・僕たちはどこまでゆくのだろう。貴樹の心ははるか宇宙を見つめています。翌朝、半年ぶりに波乗りが成功した、花苗。「波に乗れた今日、告白しなければ・・」と決意するが。
2人きりの帰り道。2人の目前をH2ロケットが飛翔してゆく。”遠野君が他の人と違うのが分かった気がした。もっとずっと先の方を見てる・・叶わないけれど、私はずっと好きなのだと思う”と。

第3話「秒速5センチメートル」

東京。桜が舞う季節。遠野貴樹はシステムエンジニアとして忙しい日々を過ごしていた。一方、明里は、来月に結婚式を控えており、貴樹へ”結婚するの”と最後のメールを送ります。その頃、探査機は太陽系最遠へ到達しようとしていた。貴樹は、踏切で明里に似た人を見かけます。その刹那、振り返るがもう彼女はいない。
2人は結局、一緒になることはできなかったが、どこか遠くで幸せに生きてゆくだろう。山崎まさよしの名曲「One More Time,One More Chanse」の切ないメロディが二人を包むように、人生もまた流れてゆく。

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映画『秒速5センチメートル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『秒速5センチメートル』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

季節感あふれる風景、リアルな恋心~ぼくらが見つめる先にあるもの

初恋をテーマにした3連作です。桜の季節からはじまり、また春に物語は終わります。宇宙を俯瞰するかの様な視点で思考する、主人公遠野貴樹。文通を通じて、一度は離れた心の距離を近づけた明里。それでも、物理的距離を埋められない切なさ、もどかしさに胸が締め付けられます。

特に季節感あふれる風景、桜と雪の描写が美しく、手に触れられそうなほど鮮明です。ただ残念なのは、人物の表情が暗く、感情の変化に乏しい点。少年少女の心理描写がとても丁寧なのに画力が追いついていない印象を受けました。また、貴樹が転校する前ではサッカー部、鹿児島に転校後では弓道部と違うのはどうしてでしょうか?

部活動を統一させるか、宇宙をテーマに心情を語る場面を生かすために天文部に所属のほうが良かったのではと思います。せっかく、宇宙開発の町・鹿児島県種子島に転校させているのに設定が残念です。しかし、3連作のうち、どの作品が好きか問われたら迷わず、第2話「コスモノウト」を推します。

遠きまなざし~新海誠の世界

新海誠監督は、ゲーム業界から、アニメーターに転職したという経歴を持ち、アニメ映画だけでなくテレビCMや小説執筆等多方面で活躍しています。純粋な青春ラブ・ストーリーを描かせたら、この人しかいないと思わせる程、自然描写に優れています。新海誠作品を観ると、風景の美しさに思わず、日本人に生まれて良かったと実感できますね。

ライトノベルが好きという人にも新海誠作品はおすすめ。今はオリジナルにこだわっている様ですが、将来、ライトノベルのアニメ化に関わってくれないかなと期待しています。「雲のむこう、約束の場所」から「秒速5センチメートル」までは、”恋ともどかしい距離”がテーマでした。次に発表した、「言の葉の庭」(13)では、よりファンタジー色の強い作品になっています。

映像と特に曲が好評で、いつも誰の曲を使うのだろうかとわくわくします。その反面、キャラクター造形や物語の構成力がいまひとつな面があり、もったいなく思います。大事なのは脚本です。アイデアと物語はそのままで、脚本だけ新しい人に描いてもらうのも一つの方法ではないでしょうか。


今をときめく新海誠監督のいわば「夜明け前」の作品。
短編3本からなる60分という構成は集中力を維持して観れる長さで良かった。また他の新海誠監督作品同様背景の書き込みが写実的でロケ地を知る者にはその当時の空気感まで味わえて楽しい。ストーリー的には淡い初恋の話。叶わぬ恋の方が絵になるのは十分承知しているものの、何か奇跡が起きないかなと思いつつ観てしまった。(その奇跡は後年のあの作品で起きるわけですが)
最後に流れる山崎まさよしの曲が良くハマり、もしかしてこの曲の為の60分だったのかと思わせるほど。(男性 40代)


昔から根強い人気のある作品。わたしが新海誠監督を知ったきっかけになった作品でもあり、今でもふと観たくなってしまう魅力あふれる作品。決してハッピーエンドではなく、初恋やすれ違いといった苦しい恋を描いている作品で、虚無感や喪失感に襲われてしまう。この作品のどこが良いのかと聞かれると説明するのは難しいが、大人になって忘れてしまった初恋の感情や空気がここには詰まっているのではないだろうか。しんみりしたい気分の時は、迷わずこの作品を観てしまう。(女性 20代)

映画『秒速5センチメートル』 まとめ

山崎まさよしの名曲「One More Time,One More Chanse」が流れるたび、本作「秒速5センチメートル」の桜の場面を思い出します。曲とアニメの映像が鮮やかに焼付いた瞬間。少年少女の心の内にタイムスリップしてしまう。短編ながら、2人のもどかしい距離に幼い恋が引きつけられてゆくのが楽しく、何度も観たくなります。新海誠アニメの魅力は、風景の美しさ、音楽とピッタリ合った時の情感が素晴らしい。

ただ、曲が先なのか、物語に合う曲を探していて出会うのか分からないが、次作では誰の曲で物語を紡ぎだしてくれるのかとても楽しみです。恋人同士で鑑賞したら、好きな歌やお気に入りの場所について、映画が終わった後も話せるのではないかしら。ぜひ、大画面でご覧下さい。迫力ある美しい、空や雪の風景に癒されますよ。

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