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映画『CASSHERN』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『CASSHERN』の概要:50年にも及ぶ戦争が繰り返され荒廃した世界では、不治の病である公害病が蔓延していた。ある日、謎の稲妻により命をも蘇らせることのできる細胞が完成。これにより、新たな生命体が産まれる。政府と新生命体、そして生き返った主人公の三つ巴の攻防を描く。

映画『CASSHERN』の作品情報

CASSHERN

製作年:2004年
上映時間:141分
ジャンル:SF、アクション
監督:紀里谷和明
キャスト:伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾聰、樋口可南子 etc

映画『CASSHERN』の登場人物(キャスト)

東鉄也 / キャシャーン(成人:伊勢谷友介 / 幼少期:寺島涼音)
東博士の息子。父親に反発し、兵士となるも不幸な事故で死亡。父親が研究する新造細胞により復活し、驚異的な肉体を持つことになる。心優しく強い正義感の持ち主。
上月ルナ(成人:麻生久美子 / 幼少期:森迫永依)
鉄也の幼馴染で上月博士の娘。幼い頃から鉄也と共に育ち、結婚の約束をしている。
東博士(寺尾聰)
鉄也の父親。難病に冒された妻を助けるため、新造細胞の研究に没頭し、息子との関係をこじらせる。命をも蘇らせる新造細胞に魅入られ、命の尊さを見失ってしまう。
上月博士(小日向文世)
ルナの父親で兵装学者。鉄也の復活後、状態の安定を図るため、研究中のスーツを着せて鉄也を助ける。
ブライキング・ボス(唐沢寿明)
新造人間のリーダー。新造細胞により、復活した新生命体。金髪で目つきが鋭く、人間を憎んでいる。
上条ミキオ(西島秀俊)
大亜細亜連邦共和国、総帥の息子で中佐だが、クーデター決行後は自らが総帥となる。
内藤薫(及川光博)
日興ハイラルの社員。大亜細亜連邦共和国、総帥の命令で東博士の研究へ出資する。いかにもエリート然とした男。

映画『CASSHERN』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『CASSHERN』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『CASSHERN』のあらすじ【起】

世界は50年にも及ぶ、戦争により荒廃を極めていた。大亜細亜連邦共和国はユーラシア大陸全域の制覇に成功。その後、民族優位主義を掲げた政府により徹底した差別と弾圧が行われ、各地でテロが勃発。中でも第七管区での戦いは酷いものだった。
軍部は状況を打破すべく、兵力の拡大を決定。徴兵された大勢の若者が、戦地へと赴くことになった。

巷では戦争へ向けた産業発展により、工場から出る産廃物や環境汚染、科学戦争によってもたらされた公害病が蔓延しており、現在の医療では治療が困難であった。
そんな折、遺伝子工学の第一人者である東博士が、長年の研究していた新造細胞を発表。どんな細胞にでも変身できる新造細胞は、失われた部位を補うことのできる極めて素晴らしいものであった。

大亜細亜連邦共和国の総帥は日興ハイラルを通し、東博士の新造細胞研究の続行を命令。これらは社員の内藤薫が任されることになった。

東博士と兵装学者の上月博士は親友で、家族同士の付き合いがあった。東の息子鉄也は上月博士の娘ルナと婚約。2人は幼馴染で、戦争が終わったら結婚する予定だった。しかし、正義感に燃える鉄也は制止する父親と反目し、終戦へ一役買うために出兵を決意する。

1年後、前線の第七管区で戦っていた鉄也は、殺戮を繰り返す日々に疲弊していた。彼は幼い赤子を発見した際、母親が握っていた手榴弾により、不幸にも命を落としてしまう。

東の妻は公害病を患っていたが、病状は思わしくなくすでに視力を失っていた。博士は妻の病を治すべく研究を急いでいたがそんな折、息子の訃報が届くのだった。

鉄也の葬儀は軍で行われることになった。しかし、家族が遺体と面会できる日は1日だけ。
そんな時、研究所にて異常が発生。空には突如、閃光が走り暗雲が立ち込める。そして、強い光と共に、天から稲妻の柱が研究所へと降下。謎の柱は驚異的な早さで、新造細胞を完成させ、新たな生命体を産み出すのだった。

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映画『CASSHERN』のあらすじ【承】

未知の存在に脅威を覚えた研究所は、新たな生命体を排除しようとする。内藤はこのことを即座に総帥へと報告した。
新生命体は逃亡の際、たまたま居合わせた東の妻をも連れて去ってしまう。そして、全てを察知した東博士は、息子の亡骸を新造細胞のタンクへ沈め、生き返らせるのだった。

新生命体たちは東の妻を連れて、公害により立ち入ることのできない魔の森を抜けて行く。
一方、生き返った鉄也を託された上月博士は、現在開発中のスーツを彼に着せることにした。復活した鉄也の身体は、筋肉が異常に発達し細胞分裂を繰り返しており、このままでは生き続けることができない。開発中のスーツはそれらを抑え、上手く制御してくれるだろう。

魔の森を抜けた新生命体たちは、雪がそぼ降る北の地へと到達。彼らは道程で人としての感情を取り戻していた。
北の地には廃棄された砦が残されている。彼らはそこを根城とすることにし、排除しようとした人間への復讐を誓った。そして、自らを新造人間と称し、砦に残されていたロボットを復興させて侵攻を開始。彼らはまず、科学者たちを強制連行し王国建造を企んだ。

上月博士の奮闘により、鉄也の調整がほぼ終わった頃だった。突如、やって来た新造人間が上月博士を連行しようとする。しかし、培養タンクに入っていた鉄也が意識を取り戻して立ち上がる。新造人間と戦闘を開始。復活直後の慣れない身体で、彼は新造人間の1人を倒した。上月博士は腹部を負傷し、最期の言葉を残して息を引き取る。

ふらふらの鉄也を連れてルナは邸から脱出。2人は破壊された街で、何百体ものロボットを率いる新造人間のリーダー、ブライキング・ボスと邂逅する。
奴が母親を攫った男だと思い出した鉄也は突如、覚醒して奴へと挑む。大砲の弾をも素手で受け止める、鉄也の能力は凄まじいものだった。彼は軍隊のほぼ半数を撃破。ブライキング・ボスとの戦闘を開始するも、奴との力量は互角だった。しかし、一瞬の隙を突かれ鉄也は負けてしまう。

映画『CASSHERN』のあらすじ【転】

その頃、内藤と東博士は連邦共和国上層部との会合にて、新造細胞の完成を詰問されていた。しかし、ここで総帥の息子である上条ミキオがクーデターを起こし、現総帥の座を父親から奪う。

魔の森へとやって来たルナと鉄也。鉄也はルナを助けたかったが、ルナは彼と共にいると意見がすれ違う。しかし、ここは公害病が蔓延する魔の森。ルナは公害病を患い、意識を失ってしまう。たまたま、通りかかった老医師の助けを借りて、鉄也は森を抜けて行く。行き先は第七管区だった。

医者はルナに応急処置を施し、僅かに所持する公害病の薬をくれる。鉄也は老医師の家で、この地に住む人々が大勢、どこかへ連れ去られる話と、守り神として言い伝えられているキャシャーンの神話を聞く。

連邦共和国が再び、第七管区へと襲撃。ここへは新造人間も来ていた。鉄也は兵士の1人を以前の自分と重ね合わせる。老医師は、この町を救えるかと鉄也に問うた。彼はかつての自分がしたことの償いをするべく、自らがキャシャーンとなる決意を固め、敵へと立ち向かって行くのだった。

鉄也は新造人間との対決にて、壮絶な戦闘を繰り広げる。その間にも、軍は第七管区の住民をどこかへ連れ去ろうとしていた。中にはルナの姿も見える。鉄也はルナを追いかけようとしたが、一歩届かず。ルナは連れ去られてしまう。

住民を乗せたコンテナは、列車の研究施設へと収納。逃亡の際、ルナに助けてもらった恩返しのため、彼女を追ってコンテナに潜り込んだ新造人間は、殺されそうになったルナを庇って深手を負う。列車には東博士も乗っており、彼はルナと新造人間を密かに助ける。
稲妻の刺さった新造細胞のタンクへ来た、東博士とルナの前に内藤が立ち塞がる。だがその時、研究施設の稲妻が倒壊。

第七管区にて新造人間を倒した鉄也は虫の息だった。しかしその時、あの稲妻が発生。彼は強い光に包まれ瞬間移動。
研究室の稲妻が倒壊すると同時に、空から鉄也が降って来た。そこへ、ブライキング・ボスが現れ、東博士に言いたいことを伝えると、意識の無い鉄也を連れルナと共に去って行った。

映画『CASSHERN』の結末・ラスト(ネタバレ)

自分を救ってくれた新造人間の死を看取ったルナ。彼女は新造人間も同じ人間であることを知る。
ブライキング・ボスは鉄也を母親の元へ連れて行く。彼は彼女を手厚く保護していたが、母親は公害病末期。すでに意識を消失して昏睡状態となっていた。
ブライキング・ボスは鉄也に、生きる意味と戦う意味を問い続ける。彼の恨みは深く、容易には氷解しない。彼は鉄也に仲間になれと説いた。

それぞれに考え抜き、各々の向かう道を見極めた鉄也とブライキング・ボス。
その間にも、新造人間と連邦連合軍との戦いは、熾烈を極めていた。ブライキング・ボスは巨大な最終兵器を起動する。
心を決めた鉄也は、戦場の最終兵器の元へ向かった。

上条はブライキング・ボスの砦を訪れ、事の詳細を明かす。
第七管区の住民は、人間の始祖であるオリジナル・ヒューマンの民族だった。新造細胞を完成させるため、軍は激しく抵抗を示していた第七管区の住民を実験材料として使用。全ては上条の父親が延命するために行われたことだった。

ブライキング・ボスは血の涙を流し、侮辱を口にする上条へと襲い掛かる。
その頃、鉄也は最終兵器を止めるために奮闘中だったが、閃光が迸った瞬間にブライキング・ボスの過去の記憶を見る。そこには、鉄也との深い因縁があった。

最終兵器が爆発。鉄也は稲妻の力に守られて1人助かる。砦ではブライキング・ボスが息を引き取っていた。鉄也は彼に心から謝罪。そこへ、亡くなった妻を抱えた東博士が通りかかる。父と子は命について口論を展開。流れでルナが父親に射殺されてしまう。新造細胞があれば生き返ると言う父親。息子は父の息の音を止めた。

憎しみは憎しみを呼ぶ。どこかで止めなければ、ループは止まらない。鉄也はルナの願いと、死した者達の願いをその身に変え、光となって天へと飛び立つ。光は宇宙を進み、時空を飛び越えて行く。そうして、別の惑星へと到達し誰かの願いを叶えるために、あの稲妻となって降下するのだった。

映画『CASSHERN』の感想・評価・レビュー

いわゆる単純な善悪で構成されたヒーロー映画とはまったく方向が異なる作品。戦場から瀕死の状態で戻ってきた鉄也は、父親である東博士が自身で開発した新造細胞という万能の細胞を使用し、瀕死の状態から回復する。しかし、父親のエゴといえる行動で復活した鉄也は再び悪夢のような戦場に戻らなければいけない現状に絶望する。さらに、新造細胞から生まれた新造人間を次々と駆逐していく人間の狂気や、その憎しみを抱えて生まれた新造人間のリーダーであるブライキングボスの反乱。それぞれが抱える信念が交錯していく。何が正しいのかという答えは出ないが、非常に見応えのある作品である。(男性 30代)


タツノコプロによるテレビアニメ『新造人間キャシャーン』を原作に紀里谷和明監督が実写映画化。映像作家でもある紀里谷監督のデビュー作で当時、妻でもあった宇多田ヒカルが主題歌を担当したことでも話題を呼んだ。監督はなぜ戦いが亡くならないのかを表現したかったと言っている。今作は基本的に暗めのトーンで描かれており、絶えず戦争が勃発し荒廃した世界設定である。そして、多用されたCGにより世界観を別にすることでファンタジックでダイナミックな世界が出来上がっていると思う。物語の根底には神話があって、特殊な血筋の人々が研究のために無作為に狩られている。誰もが悲劇に遭い、それでも未来に希望を託すという終わり方には、切なさを感じた。(女性 40代)


映像作家である紀里谷和明監督が初の長編映画に挑んだ作品。
元はアニメ放映していた「新造人間キャシャーン」の実写となるが、内容はまったく別物。ただの勧善懲悪ものではなく、それぞれの立場の人物たちの背負っているものが見事に表現されている。特に唐沢寿明演じるブライキング・ボスの背景がとても切なく、悲しい気分にさせられる。何となく陰があり、全体的に暗い雰囲気なのが、さらに物語に重厚感を与えている。
ともかく、CGを駆使したビジュアルは画期的で、「日本もここまでできるのか」と知らしめた映画である。(男性 40代)


監督を務めた紀里谷和明と当時の妻であった宇多田ヒカルが主題歌を歌ったことで話題となった今作。存在は知っていましたがタツノコプロの『新造人間キャシャーン』の実写化という事であまり興味をそそられず鑑賞していませんでした。
正直、もっと早く見れば良かったと感じました。紀里谷和明が伝えたかったのは「戦いはなぜ無くならないのか」ということ。戦いを終え、「死んで」帰ってきた者を人間のエゴによって蘇らせ、再び戦いの地へ向かわせると言う終わりの見えないループや、善も悪も関係無く「背負った過去」があるということが物凄く強いメッセージとして伝わりました。
かなり重い雰囲気の作品ですが、見終わった時に自分が少し成長したような気持ちになれました。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 男性 50代 より:

    キャシャーン、DVDで観ました。はっきり言って初見では内容が理解出来ないものでした。展開が唐突で、設定も複雑でした。特に、天空から突如降りてきた稲妻、あれが何故物質化しているのか。また、主要人物がいつ、新造細胞に入って復活していたのかなど、時間軸も把握できず自分には難解なストーリーでした。監督が表現しようと思っていたものが何なのか、まだ何回か観てみないと、この映画の良さ?はわかりません。