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映画『カラーパープル』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『カラーパープル』の概要:仲の良い姉妹は、父親によって引き離された。姉セリーは、強制的に寡夫に嫁がされる。召使同然の扱いを受けながらも、セリーは妹との再会を胸に日々を耐え抜く。スティーブン・スピルバーグによる、アフリカ系アメリカ人の人生史。11ものアカデミー賞にノミネートされるなど、反響を呼んだ。

映画『カラーパープル』の作品情報

カラーパープル

製作年:1985年
上映時間:153分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:ウーピー・ゴールドバーグ、マーガレット・エイヴリー、ダニー・グローヴァー、オプラ・ウィンフリー etc

映画『カラーパープル』の登場人物(キャスト)

セリー・H・ジョンソン(少女時代:デスリタ・ジャクソン / 大人:ウーピー・ゴールデンバーグ)
主人公。母を早くに亡くし、父と妹の3人暮らし。父から性的虐待を受けており、何度か妊娠・出産している。物静かで内気な性格。最愛の妹と引き離され、数奇な運命をたどる。
アルバート・ジョンソン(ダニー・グローヴァー)
通称「ミスター」。若くして妻に先立たれ、多数の子どもと暮らす。ネティに好意を抱き、妻に迎えたいと思っていた。しかし、義父の意向で強制的にセリーを娶る。短気かつ頑固で、セリーを女中同然に扱う。セリーを侮辱していたが、年を追うごとに無自覚に執心していく。
シャグ・エブリー(マーガレット・エブリー)
R&Bのスター歌手。ミスターの元恋人で、彼が未だに強く慕う。華やかで素直、奔放な性格。体調を崩して、ジャクソン家で世話になる。主に看病を務めたセリーと打ち解け、互いに不可欠な存在となる。
ソフィア(オプラ・ウィンフレイ)
ハーポの妻。夫とはできちゃった婚で、以降3人の子どもを授かる。勝ち気で非常に気が強い。アメリカ人の男尊女卑思想にも屈さない。
ハーポ(ウィラード・プーフ)
ミスターの長男。父の影響で継母のセリーを馬鹿にしていたが、いつしか心を許す。気が弱く、女性には弱い。ソフィアと結婚後、彼女に尻に敷かれる。
ネティ(アコーシア・ブシア)
セリーの最愛の妹。10代で姉と引き離され、長らく連絡が絶たれていた。セリーとは対照的に、明るく陽気な性格。教育を受けており、姉妹で唯一読み書きができる。

映画『カラーパープル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『カラーパープル』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『カラーパープル』のあらすじ【起】

1909年、アメリカ・テネシー州の田舎町。14歳のセリーは父から性暴力を受け、子どもを妊娠していた。赤ん坊は女の子で、セリーが顔を見る暇もないまま、父親は赤ん坊を取り上げる。女の子は、この家には「不要」とされ捨てられてしまった。セリーの母は、セリーの最初の出産にショックを受け、亡くなっていた。一人目の子どもは男の子だったが、この子も父によって他の家に貰われていった。

間もなく、姉妹の父は若い娘を妻に迎える。父の結婚式に参加した「ミスター」は、美貌のネティに熱を上げていた。寡夫であるミスターは、ネティを嫁にしたいと父親に申し出に来る。だが、父親は、幼いネティの代わりにセリーをミスターに嫁がせると返事した。姉妹とミスターは拒否することもできず、セリーはミスターと結婚する。

ジョンソン家に来たセリーは、早速子どもたちから手痛い仕打ちを受ける。嫁ぎ先の住処は家中散らかっており、生活感がまるでなかった。ミスターはセリーに辛く当たるだけでなく、実の子どもたちも家人のように扱っていた。セリーが何か意見しようものなら、ミスターは逆上して暴力を振るった。

嫁いで数ヶ月。セリーは買い物で街へ出ると、父との子ども(女児)を見かける。セリーの娘―オリビアは、裕福な夫婦の養子となっていた。養母から愛情を注がれるオリビアに、セリーは安堵しながらもどこか寂しさを感じた。

ジョンソン宅に、ネティが転がり込んでくる。父親に手を出されそうになり、ネティは必死で逃げてきたのだった。ミスターは黙認し、久しぶりにセリーは妹との時間を楽しむ。ミスターの態度は、姉妹で両極端なものだった。セリーのことはなじり、ネティにはとことん優しく接した。セリーは、ミスターの執拗な好意を危惧して、ネティに早く遠くへ行くよう勧めた。ネティはジョンソン家を去るまでの間、学校へ行けなかったセリーに読み書きを教えた。

ミスターのネティへの愛情表現は、エスカレートしていく。ネティはときめくどころか、怯えるばかりだった。学校帰り、ネティはミスターに暴かれそうになる。いきり立ったミスターは、ネティを追い出してしまう。抵抗も空しく、姉妹は引き離される。心の救いを奪われたセリーは、夫を恨むも苦況を耐え忍ぶ。セリーはネティからの手紙を待ち望み、ネティが残した児童小説を毎日読み耽った。

1916年。ミスターは、元恋人でスターになったシャグに会いに行く。20代になったセリーは、精神的に強くなってミスターの「扱い方」を心得ていた。ミスターの実子ハーポには、ソフィアという恋人がいた。ソフィアは妊娠しており、それを機に結婚したい、と恋人たちはミスターと対面する。ソフィアの強い態度もあって、子どもが生まれた後、ハーポたちは式を挙げる。

ソフィアは女系の一族に生まれ育ち、非常に肝が据わっていた。かかあ天下で苦労するハーポは、ミスターに妻への対応を相談する。ミスターは、自分がそうしたように息子にも妻に暴力を振れ、と助言する。意外にもセリーですら同じことを言い、ハーポはソフィアに手を上げる。ソフィアは屈さなかったが、セリーが助言したことに憤慨する。何人も出産した後、ソフィアは子どもたちを連れてハーポの元を去る。

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映画『カラーパープル』のあらすじ【承】

セリーはネティからの手紙を切望していた。だが、ミスターが郵便受けの確認をするため、セリーは手紙の有無を把握できない。ある荒れた天気の日、一人の女性がジョンソン宅に運ばれて来る。その女性は、ミスターの想い人で芸能人のシャグだった。泥酔したシャグは、セリーの顔を見るなり「あんた、醜いわ!」と言い放った。

シャグはしばらくジョンソン家に居候することに。普段は高圧的なミスターも、シャグの前では気弱で一途な男だった。具合の悪いシャグのため、ミスターは料理をしてやろうと思い立つ。しかし、結局食事を用意したのはセリーだった。シャグはセリーを気に入り、セリーがシャグの面倒を見ることになる。

映画『カラーパープル』のあらすじ【転】

1922年。シャグはジョンソン家で療養を続けていた。ハーポはジャズにハマり、音楽仲間と酒場を開業する。全快しつつあったシャグは、何年振りか酒場のステージに立つ。セリーは、元気になり笑顔を振りまくシャグに、羨望の眼差しを向けていた。そこに、シャグが「セリーのブルース」を歌う。それは、世話をしてくれたセリーへ感謝を込めたものだった。疎外感に苛まれていたセリーは、一転して喜びに満たされる。酒場には、ソフィアが新しい恋人と共に、客として来ていた。しかし、ハーポの現在の恋人とソフィアが喧嘩を始め、客同士の大乱闘に発展してしまう。

セリーはシャグに連れられて自宅に戻っていた。シャグは、セリーの笑顔を見たいために言葉で誘導する。セリーは、長年の緊張が解けたように高らかに笑った。シャグは完全に復活し、ジョンソン家を出ると告げる。よき友を得たセリーは、急に不安に襲われる。そして、シャグに自分の過去をそっと打ち明ける。シャグは、「セリーは愛された経験がない」と指摘する。セリーを美しいと称え、シャグはセリーにキスをする。セリーは最初恥じらうが、親友と無邪気に愛を交わした。

初めて愛を知ったセリーは、シャグを慕うようになる。自分の幸福を真剣に考え、セリーはシャグに同行しようと決める。しかし、ミスターに見つかりその願いはあっけなく絶たれる。シャグは意気揚々とジョンソン家から旅立った。

街では、ソフィアが市長夫人とひと悶着を起こした。アフリカ系(黒人)が白人を殴ると罪に問われるため、ソフィアは逮捕・投獄されてしまう。

1930年。8年間の刑期を終えた後、ソフィアは出所する。勝ち気な風貌は形を潜め、廃人のように変わり果てていた。皮肉なことに、ソフィアは市長夫人の専属メイドとして働きだす。クリスマス休暇として、ソフィアは夫人から一日暇をもらう。ソフィアは親戚の家を訪ね、成長した自分の子どもたちと再会する。歓迎会が開かれるはずだったが、アフリカ系に触れられて激した夫人に呼ばれ、ソフィアは市長宅へ戻る。

1936年。シャグはグレイディという夫を連れて、ジョンソン家に遊びに来る。ミスターとセリーは、喜ぶ前にがっくりと肩を落とした。ミスターがグレイディと酒を飲み交わす間、シャグが郵便を受け取り、セリーにネティからの手紙を渡す。ネティは、オリビアの養親であるサミュエル夫妻の世話になり、結婚もしていた。オリビアに加えて男の子―アダムも、夫妻の養子としてすくすく育っていた。初めて妹からの便りを見て、子どもの様子も知り、セリーは天にも昇る気分だった。シャグは思い立ち、セリーに働きかけてミスターが隠したネティの手紙の在り処を探す。二階の廊下の床下に、手紙は保管されていた。一通も捨てられておらず、セリーは笑顔を浮かべる。近年の手紙には、ネティは夫妻についてアフリカへ赴き、教師として生活しているとあった。しかし、アフリカの地は都市開発の嵐で、ネティたちの活動は終わりにせざるを得なかった。

映画『カラーパープル』の結末・ラスト(ネタバレ)

セリーは妹の生存を知って救われる反面、自身を抑圧し続けてきた夫に殺意を募らせていた。散歩に出かけていたシャグは、何か危険を察知してジョンソン家に急ぐ。セリーがミスターの髭剃りに見せかけて、剃刀で彼の喉を掻っ切ろうとしていた。シャグは寸でのところで、それを阻止する。

セリーの苦しみを見かねたシャグは、セリーを一緒に都会へ連れて行くことにする。ミスターにそのことを伝えると、当然のごとくミスターは強く反対する。セリーは堪忍袋の緒が切れ、初めてミスターに怒りをぶつけた。納得できないミスターは、セリーは絶対に自分の所に戻ってくると予言する。セリーはミスターといがみ合いつつも、長年縛り付けられていた田舎を去るのだった。

1937年。ジョンソン家からは子どもたちがみな独立し、ミスター一人が暮らしていた。ミスターはすっかり落ちぶれ、酒と煙草に溺れていた。まだ健在の父が、ミスターに若い嫁を探せと促すと、ミスターは血相を変えて拒絶した。元気を取り戻したソフィアは酒場で働き、ハーポと復縁していた。

セリーの父親が亡くなった。葬儀に参列するため、セリーはテネシー州に帰る。セリーは昔の面影をすっかり失くし、都会的な女性になっていた。セリーの父は、実は義父だったことが判明する。亡母の遺言で、セリーは実家の権利を手にする。田舎に帰郷したセリーは、街でボトムスショップを開く。シャグもセリーとテネシー州に腰を落ち着け、ハーポの酒場で歌を歌っていた。教会ではゴスペルが唄われ、シャグはあえてそれに合わせて同じ歌を歌いだす。そして、何を思ったのか、シャグは酒場から教会に向かって歩きだす。聴衆もシャグの後に続き、大行列が教会に入ってくる。教会の牧師はシャグの実父だった。親子は、和解のハグをした。

ジョンソン家には、ネティから移民局への申請を依頼した手紙が届く。ミスターは覚束ない足取りで、移民局へ出向く。

シャグたちと暮らすセリーの元に、来客がある。それは、アフリカから帰国したネティとその家族だった。20年以上の時を経て、姉妹は再会を果たしたのだ。加えて、セリーは成人したオリビア、アダムとも対面する。密かにネティたちの帰国に一役買ったミスターは、遠くからセリーたちを温かく見守っていた。秋の夕焼けを背に、姉妹は、いつかのように手遊びをするのだった。

映画『カラーパープル』の感想・評価・レビュー

この手の映画に文句をつけると、あたかも自分がひとでなしになってしまうようで二の足を踏むが、要はスピルバーグがアカデミー賞をとりたくて仕方がなかった時代の映画であり、その手法がひたすらに可哀そうな人を描くというものだった。という理由からできた映画だと、『私は』思っている。もちろんそんな人はいただろうし反省すべき過去は反省すべきだろうが、告発にしてもやりようはあるのではないかと思うし、ラストもだから何なんだと思う。ひとでなしでも仕方ないか。(男性 30代)


良い映画かと聞かれるとなんとも言えませんが、間違いなく「心に残る」作品ではありました。現代もアメリカに根付く「差別」の意識。同じ人間であり、同じ地で暮らす者なのに過去に囚われ続け、差別が無くならない理由は何なのか私には理解できませんでした。
可哀想だと感じるシーンが多くありましたが、そう感じること自体が差別や偏見の目で見てしまっているような気がして、自分自身が何とも情けなくなりました。(女性 30代)


黒人差別、また1900年初頭の女性の立場に苦しみながらも、必死に生きる女性の姿が描かれています。内容はかなり重いです。14歳で妊娠、強制的な結婚、主人公の境遇の悲惨さに終始暗い感情を抱いて観ました。それでも理不尽な世界を生き抜く彼女の姿に胸を打たれ、今を全力で生きる勇気が貰えました。神様は見てくれているのですね。

手がけた監督がS・スピルバーグというのが驚きです。ウーピー・ゴールドバーグのシリアスな熱演も見事です。(男性 20代)

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