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映画『カットバンク』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『カットバンク』の概要:アメリカ国内でも随一の寒さを誇るモンタナ州の田舎町、カットバンク。そこで起きた謎の射殺事件。手掛かりは若いカップルの証言と、偶然撮られた動画のみ。迷宮入りするかと思われた殺人事件だが、解決のために町一番の変人が立ち上がる。

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映画『カットバンク』の作品情報

カットバンク

製作年:2014年
上映時間:93分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:マット・シャックマン
キャスト:リアム・ヘムズワース、テリーサ・パーマー、ビリー・ボブ・ソーントン、ブルース・ダーン etc

映画『カットバンク』の登場人物(キャスト)

ドウェイン・マクラーレン(リアム・ヘムズワース)
町に住む青年で、重い病気を抱えている父親と2人で暮らしている。父親の介護に疲れ、父親をホームに預けて街を出たいと思っている。
カサンドラ(テリーサ・パーマー)
ドウェインの恋人。町でも有名な美少女で、ミス・コンテストに出場し優勝するのを夢見ている。
ビッグ・スタン(ビリー・ボブ・ソーントン)
カサンドラの父親で、娘の恋人であるドウェインのことをあまり良く思っていない。車の修理工場を経営している。ドウェインの雇い主。
ジョージー・ウィッツ(ブルース・ダーン)
街で勤勉に働く郵便配達人。だが、外面が良いだけで口は悪く、変わった性格で人付き合いが上手ではない。
ボーゲル保安官(ジョン・マルコヴィッチ)
カットバンクの街の安全を守る保安官。切れ者で、優れた観察眼を持っている。
ダービー・ミルトン(マイケル・スタールバーグ)
森の中で、1人で生活している変わり者で、剥製や蝋人形などを作っている。人とのコミュニケーションが極端に苦手。

映画『カットバンク』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『カットバンク』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『カットバンク』のあらすじ【起】

国内一寒く、3,000人程度の小さな町カットバンク。郵便配達人のジョージーは、毎日の日課で荷物を車に積む。花柄のラッピングが施された最後の荷物を車に積み、配達に向かった。

一面に菜の花が咲き乱れる畑で、一組のカップルが、過去にした「学校を卒業した後町を出る約束」について話し合っていた。具合の悪いお父さんをホームにいれるかどうか悩み、2人はため息をつく。

そしてカップルは、菜の花畑で動画を回す。彼女のカサンドラ・スティーニが、菜の花畑をバックにカメラに向かって故郷カットバンクの魅力を語る。彼氏のドウェインがその様子を、ハンディカメラで撮影していた。

その矢先、カサンドラの背後に男たちが現れ、そうかと思うとあっという間に1人がもう一方の男を銃で撃ち殺してしまった。背後から聞こえた突然の発砲音にカサンドラは驚き、ドウェインは慌ててカサンドラをしゃがませながら、必死にカメラで様子を撮影し続ける。男はその後、もう1発銃を発砲し、死体を車に乗せるとその場を去った。

カサンドラの家に帰ったドウェインとカサンドラは、撮影した映像をカサンドラの父親ビッグ・スタンに見せる。ボーゲル保安官を呼び、2人は再び撮影した動画を保安官に見せる。保安官は、町で初めて起きた殺人事件に衝撃を受け、思わずトイレで吐き出してしまう。殺されたのは、郵便配達人のジョージー・ウィッツという老人であった。

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映画『カットバンク』のあらすじ【承】

深夜、ジョージー・ウィッツの使っていた郵便配達車のロゴを熱し、積み荷を運び出している1人の男がいた。男がとある小屋に入ると、そこには射殺されたはずのジョージー・ウィッツがいた。今回の出来事は、仕組まれた偽装工作であった。ジョージーはマッチと呼ぶ、実行犯であり、ドウェインの仕事の同僚でもある口の利けないネイティヴアメリカンに金を渡した。

次の日、ドウェインが郵便局を訪れると、壁には“職員を不当に殺した事件の証拠を求む”と張り紙がされており、懸賞金10万ドルと記されていた。ドウェインは、その張り紙を心痛な面持ちでじっと見つめる。ドウェインもこの事件に関わっており、懸賞金目当てに仕組んだ事件であった。

郵便局に、町一番の変わり者ダービー・ミルトンが姿を現し、自分宛に届くはずだった小包を探していた。ジョージーが殺されたことで荷物も無くなったと知り、ダービーは事件の起きた菜の花畑にやって来る。ダービーは、地面に残された人の足跡をジッと見つめながら、事件の様子を探り始める。

カサンドラの家で夕食を一緒に取っていたドウェインは、ビッグ・スタンから自分が所持している古い小屋を売りに出すため、荷物の片づけを命じられる。その小屋は、今回の事件のためにジョージーが根城にしている小屋のことであった。ドウェインは、生きた心地がしないまま小屋に赴き、そこでくつろいでいるジョージーに小屋をきれいにするよう命令した。

映画『カットバンク』のあらすじ【転】

ダービー・ミルトンは、現場に残されていた大きな足のサイズから、ネイティヴアメリカンのマッチが犯人だと突き止める。そしてマッチの家を訪れると、郵便配達車の中に小包があるので返してほしいと懇願する。2人はもみ合い、ダービーはその衝撃でマッチを殺害してしまった。

保安官は、現場にあったタイヤ痕から車の車種を特定し、車業者であるビッグ・スタンの家へと赴く。そこで従業員として働いているドウェインに、いくつか質問を投げかけた。事件の核心に近づいている保安官に幾ばくかの不安を感じ、ドウェインはしどろもどろになりながら返答する。

保安官がネイティヴアメリカンのマッチの家へ行くのを見て、慌ててマッチに連絡を取るドウェインだったが、当の本人はすでに殺されており電話にはもちろん出ない。保安官は、マッチの変わり果てた姿の第一発見者となった。

ビッグ・スタンは、小屋を売るために見込み客と小屋を訪れる。小屋の中は、ジョージーがくつろいでいたためにビールの缶が転び、ジャズが鳴りっぱなしであった。購入に難色を示した見込み客を何とか宥めたビッグ・スタンは、この部屋の有様は、ドウェインの怠慢だと思い込む。マッチが電話に出ないことを不審に思い、ジョージーの元へと訪れたドウェインは、ビッグ・スタンと鉢合わせた。怒り心頭のビッグ・スタンは、現れたドウェインを叱り飛ばす。更に、ドウェインが撮影したビデオも、懸賞金欲しさに仕組んだことだと指摘する。最終的にビッグ・スタンは、怒りのあまりドウェインに解雇を言い渡した。

ドウェインを小屋から追い出したビッグ・スタンは、小屋に潜んでいたジョージーを見つける。ジョージーが生きていることを警察に通報しようとしたビッグ・スタンだが、彼は逆上したジョージーに襲われた。

小屋で再びくつろいでいたジョージーの元にダービーが訪れる。小包を返してほしいと懇願するダービーに、ジョージーは暴言を吐き追い返そうとした。だが、逆上したダービーに、バールで滅多打ちにされて殺害された。

罪の意識に耐えられなくなったドウェインは、病気の父親に自分の罪を告白し、自首するためにボーゲル保安官の元へと向かう。だがそこで、ボーゲル保安官からマッチが殺害されたことを聞かされる。自分の預かり知らないところで起きた事態に、ドウェインは不安に駆られる。ボーゲル保安官は、昼間から姿が見えなくなったビッグ・スタンを探すと言い残し、例の小屋へ向かった。

保安官は、そこで変わり果てた姿のジョージーの遺体を発見する。そして、小屋のすぐそばで血まみれになって倒れていた意識不明のビッグ・スタンも発見された。

映画『カットバンク』の結末・ラスト(ネタバレ)

ビッグ・スタンが運ばれた病院で、ドウェインは懸賞金の10万ドルが数か月先にならないと手に入らないことを知る。そのことをカサンドラに話すと、カサンドラは意を決してミス・カサンドラに出場する。

ボーゲル保安官は、ダービーがドウェインの居場所を突き止めるためにお店で暴れたとの通報を受け、ダービーの家を訪れる。その地下で、ダービーが作り上げていたリアルな人間の蝋人形の男女を見つける。ダービーが捜している小包とは、その女性が身に着けるのに必要不可欠なカバンであった。

ドウェインは、自宅まで追いかけてきたダービーに銃で脅される。そして、そこにミス・コンテストで優勝した報告をしにやって来たカサンドラも、人質として取られてしまう。3人は郊外にある倉庫街に行き、ダービーはそこで念願の小包を発見する。だが、大事そうに小包を抱え倉庫を出て行こうとした矢先、車の外板にドウェインがつけていた“911”のマークを見つけてしまい、ドウェインとカサンドラに目隠しをして倉庫に置き去りにする。

倉庫街を出ようとしたところで、到着した保安官に銃で撃たれ、ダービーは死亡する。保安官は倉庫の中から2人を救出し、悲劇の一夜が明けた。

ビッグ・スタンは意識を取り戻し、後遺症もなく保安官と雑談をする。保安官に病院に呼ばれたドウェインは、ビッグ・スタンと3人で遺体安置室に向かう。ここには、ジョージーの遺体が冷凍保存されている。

保安官はドウェインに、今回の事件が懸賞金目当ての犯行であったことを告げる。そして、事件を本物にするため、2人の見ている目の前で銃にサイレンサーを取り付け、ジョージーの遺体に2発発砲した。ビッグ・スタンは、ドウェインに改めて“クビ”を言い渡し、退職金として札束を渡した。

親父さんの面倒は、俺たちが見るとビッグ・スタンに言われたドウェインは、お金は必ず返しますと約束する。その後、カサンドラを車に乗せ、2人はモンタナ州を出て行った。

映画『カットバンク』の感想・評価・レビュー

親の面倒は子供が見る。そんな“みんながやっているから”という街のルールに従って、子供たちは自分の夢を諦めていく。これは、高齢化社会に潜む問題の1つである。何の変哲もないサスペンス映画かと思えば、そうした子供たちの苦悩を描き出す、社会へ向けて問題提起する作品である。更に、コミュニケーション能力を著しく欠損した人物が登場することで、物語の方向性が全く分からなくなり、観客を画面に釘付けにする。過疎化する田舎町が抱える問題を、偽装工作と言う形で浮き彫りにした、感慨深い映画である。(MIHOシネマ編集部)


小さな街で起きた殺人事件。「殺人事件」とは無縁の平和で穏やかな街で起きたこの事件はただの「事件」ではありませんでした。小さな街で暮らすからこそ抱く、若者の不安や悩みをリアルに描いた作品です。
殺人事件の犯人にかけられた懸賞金を目当てに事件をでっち上げる若者の物語。よくあるストーリーかと思いきや、その動機は私たちにもいずれのしかかって来るであろう「親の介護」に対する不安からでした。
動悸が明らかになることで「事件」に対する見方が一気に変わってくるのがとても面白かったです。主人公のドウェインを演じたリアム・ヘムズワースが若者の心をありのままに演じていました。(女性 30代)


アメリカの田舎町、モンタナ州カットバンクが舞台です。のどかな風景とは裏腹に、窮屈で鬱々とした人間模様が描かれ、田舎の善し悪しを赤裸々に表現しています。報酬金を手にする為の偽装殺人のはずが、思いも寄らぬ展開へ傾き連続殺人事件へと発展します。残忍な出来事が淡々と起こり続けますから、サスペンスというよりスリラーなのかもしれません。小包みには何が入っていたのか、気になります。ちょっとした空き時間に、一気に楽しめるミニシネマでした。(女性 30代)

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