映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』の概要:密入国異邦人のための秘密組織、裏都庁に属するただ1人の警官である主人公。拉致監禁殺人事件の捜査にて、犯人は留学生崩れのアジア人犯罪組織、ダーティ・イエロー・ボーイズの若者2人だと判明。主人公は2人の犯行を止め、救うために猛追する。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:熊切和嘉
キャスト:松田翔太、浜野謙太、須賀健太、NOZOMU etc
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』の登場人物(キャスト)
- 久保塚早紀(松田翔太)
- 異邦警察署長。ちょっと情けない面もありつつ、殴られても立ち上がる根性を持つタフガイ。左手首を骨折中。訛りと言葉を聞くだけで、どこの国かを判別できる能力を持ち、語学堪能。
- 鈴木博隆(浜野謙太)
- 異邦警察署の警官で久保塚の相棒。基本的に善人だが、自らの保身を真っ先に考える情けない面もある。腕っぷしはからっきし。
- ジョウ(須賀健太)
- 北京人。地下教会の牧師に育てられた青年。右こめかみに傷があり、右目が見えない。日本語を話し、キリスト教を信奉している。凶暴で残忍。
- リン(NOZOMU)
- 北京人。地下教会の牧師に育てられた青年。身長が高く歯列矯正中。日本語が苦手で人殺しに躊躇しない。ジョウの言うことなら何でも聞く。
- 伊佐久直人(眞木蔵人)
- やくざの若頭。弟分を殺され復讐するため、ジョウとリンを追っている。キリスト教を信奉する紳士的な男だが、やることはえげつない。久保塚と協力体制をとる。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』のあらすじ【起】
密入国異邦人が作り上げた秘密組織、異邦都庁に属する久保塚早紀は、唯一存在する異邦警察署の署長である。異邦警察署では密入国異邦人を守り、救うことが主な活動であった。
署内では夜通しパーティが行われ、その日も無国籍状態で盛り上がりを見せていた。
昼日中、DJを務める女性に友人の身代金要求の電話がかかってくる。身代金は100万円で、振り込み指定された口座はやくざの男のものだった。
深酒のせいで吐き気をもよおしつつ、DJの女性から助けを求められた久保塚は、相棒の鈴木と犯人の居場所を突き止め、すぐさま向かう。しかし、監禁された外国人女性はすでに死亡していた。
犯人が逃亡して間もないと察した久保塚。非常階段で若者2人を発見。裏路地を追いかけるが、教会のある広場で見失ってしまう。
犯人は北京訛りのある日本語を話していた。恐らく、彼らも密入国異邦人である。
口座を持つやくざの男から、報酬を受け取りに来た若者2人は、金額が約束と違うことに怒り、男を殺してしまう。
若者達の目的は2000万円の上納金を支払い、留学生崩れのアジア人犯罪組織、ダーティ・イエロー・ボーイズに入ることだった。
殺害された女性の葬儀に来ていた久保塚を、乱入して来たやくざが拉致。川原で痛めつけられ組員殺害の犯人を聞かれるが、久保塚が知ろうはずもない。若頭の伊佐久は弟分を殺されたことで、犯人に復讐しようとしていた。
若者2人はダーティ・イエロー・ボーイズ関東支部へ来ていた。ダーティ・イエロー・ボーイズの支部は全国に5カ所あり、支部長は皆同格で互いに顔も知らないらしい。
2人は支部に入った初仕事として、家主の老婆を殺せと命じられるが、彼らは関東支部を乗っ取る相談をし翌日早々、支部長を殺してしまった。
その頃、久保塚と鈴木は犯人の2人が、北京人のジョウとリンであることを突き止める。彼らの国では、国が認めた宗教しか信奉することができず、キリスト教の牧師に育てられた2人は、国からも周囲からも迫害されてきたのだろう。久保塚はジョウとリンの写真を手に入れた。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』のあらすじ【承】
犯人を見失った場所にある教会で、神父から事情を聞いた久保塚。2人と同郷出身の神父のリストを入手。仲間から車を借りて、虱潰しにリストの住所を訪ねることにした。
ジョウとリンは関東支部にいた手下を仲間に入れ、警備会社の現金輸送車を強盗。警備員3人を銃殺後、700万円の現金を奪った。事件はたちまちニュースとして報道される。
ラジオで報道を聞いた久保塚と鈴木は、次の場所へ向かおうとして黒塗りの車に止められる。姿を現したのは若頭の伊佐久である。彼からダーティ・イエロー・ボーイズの関東支部長が殺害されたことを知らされた久保塚は、伊佐久と協力することにする。
ジョウとリンが殺した人数はこれで6人。若者達の犯行を止めるには、どうしたらいいのだろうか。
ジョウとリンは手下を連れて大阪へ向かっていた。
その頃、久保塚と鈴木は奴らの行き先で揉めていた。久保塚は大阪だと狙いを定めるも、鈴木は名古屋と言い切る。2人は反目し行動を別にする。
ジョウは道中、手下から金を洗うための闇銀行があることを聞く。全国から集金されるため総額10億円はくだらない。神戸市内のただ中にある銀行では、怪しまれないよう警備が手薄で、銃もサイレンサー付きしか使わないらしい。手下は何回も銀行へ下見に行ったと言う。
一方、久保塚は考えを改め、名古屋の牧師の家を1人で訪ねた。だが、家主は留守なのか出て来ない。しかし、敷地内の水場には、今しがた捨てたと思われる煙草の吸い殻があった。久保塚は罠を張ることにする。案の定、そこにはジョウとリンがいた。久保塚は片目の見えないジョウを捕まえようとするも、リンが銃を放ったために一旦、退避。
ジョウは牧師の首を包丁で切り裂いて逃亡した。
久保塚は牧師を救助。牧師からは、ジョウとリンの不遇な身の上を聞くことができた。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』のあらすじ【転】
伊佐久からジョウとリンが、ダーティ・イエロー・ボーイズを統合させるつもりだと聞いた久保塚。一路、大阪へ向かう。
翌日、ダーティ・イエロー・ボーイズ大阪支部長と会うことができた。そこで、神戸にある闇銀行の存在を知る。恐らく、奴らはそこを狙うつもりなのだ。早々に伊佐久へも助けを乞うことにする。
その頃、ジョウ達は機関銃を入手。試し撃ちと強盗計画を練っていた。
闇銀行は寂れた商店街の地下にある。普通の服屋を入り口としており、地下へ降りるとすぐそこは集計所であった。奥にある金庫は厳重に封がしてある。
伊佐久の口利きにより、闇銀行へ下見に入った久保塚。警備は意外に厳重で、若者達が簡単に強盗できそうな場所ではない。殺すしかないと言う伊佐久とは逆に、どうにかして彼らを助けたいと思う久保塚だった。
久保塚は闇銀行の近場で仲直りした鈴木と合流する。鈴木は車で待機させることにした。
ジョウ達4人は顔に様々な切り抜きを貼り付け、面が割れないようにして、機関銃を手に闇銀行へ。ジョウとリンは銀行から強奪した金で、誰からも虐められない自分達だけの楽園を手に入れようと夢見ていた。
しかし、そうは簡単に問屋は降ろさない。若者達は中へ入る前に、銀行側から銃撃を受けてしまう。暗闇の中、銃撃戦開始。慣れない若者達は怯えてしまい、何の力にもならなかった。ジョウは持っていた手榴弾を銀行内へ投下した。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』の結末・ラスト(ネタバレ)
静かになった行内へ入ったジョウとリンだったが、伊佐久の部下達に襲われる。手下は撃たれて死んだ。だが、ジョウは右足を撃たれても尚、諦められず必死にピッキングで金庫へのドアを開ける。
ドアが開いた途端に銃撃され、咄嗟にリンを盾にしてしまったジョウ。そのせいで、リンは腹部を撃たれてしまう。
ジョウはリンの腹部を圧迫して止血。目前にある本格的な金庫を目の当たりにし絶望する。
金庫の横にある通路から飛び出して来た久保塚。ジョウは恐慌状態に陥り大暴れ。リンに助けを乞うも、彼はもう動ける状態ではない。久保塚は若者達を助け、逃がしてやるから言うことを聞けと説得。
このまま伊佐久に見つかれば、必ず殺されてしまうだろう。その前に、久保塚は何としてでも2人を助けたかった。
車の荷台に2人を乗せ、早々に退散するも道を間違えてしまう鈴木。ひと気のない場所へと車は進む。しかし、荷台でリンが危篤状態に陥る。必死に助けを乞うジョウだったが、真横から別の車が突っ込んで来て、久保塚達の車はぶっとんだ。
車内に取り残された鈴木と久保塚。気絶した鈴木の下敷きとなった久保塚は、簡単に車から脱出できそうにない。
荷台に乗っていた2人には、ひとたまりもなかったはずだ。田んぼに投げ出されたリンは死亡。しかし、ジョウは辛うじて生きていた。
そこへやって来たのは伊佐久である。這いつくばってリンの傍へ行こうとするジョウを、じっと見つめる伊佐久。彼はジョウに問う。大事な弟分を殺したのはどちらか。ジョウははぐらかして答えない。
久保塚は必死に車のクラクションを鳴らすが、何の抵抗にもならず。
リンの亡骸を見たジョウ。死に顔は笑っていた。ジョウは何事か喚きそして、伊佐久にとどめを刺された。
力及ばずにがっかりする久保塚。それでも伊佐久には、ふてぶてしくも言い返す。立ち去る伊佐久に、久保塚は憤りを込め中指を立てた。
翌朝、ボロボロの車で満身創痍の身体を引きずり、海へ来た久保塚と鈴木。海を眺める久保塚の後ろ姿には、悲愴が漂っていた。
映画『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』の感想・評価・レビュー
この映画のチープでダーティーな雰囲気が松田翔太の格好良さを倍増させている。
正直ストーリーはあまり心に残らなかった。そもそも話が安っぽく、ハラハラするような展開もあまりない。感情移入などは全くできない。
しかし松田翔太のダーティーな格好良さは存分に楽しめる。服装や歩き方、セリフが全て似合っているのだ。
ただ、もう一度観るかと問われれば、恐らく観ないだろう。この作品に思わずのめり込むような魅力は感じなかった。(男性 20代)
漫画・すぎむらけんいち、脚本・リチャード・ウーによる青年漫画作品『ディアスポリス 異邦警察』のダーティー・イエロー・ボーイズ編を実写映画化。2016年に放送されたドラマからの続投で主人公の久保塚役を松田翔太が演じている。
今作の前半は北京人、若者2人の冷酷無比で怒り任せの強行が主に描かれており、救いようがないと思わせられるが、彼らの生い立ちや実情が明かされるにつれ印象が一変する。序盤から主人公は、若者を救おうとする考えで一貫した行動をしており、それは長年の経験や勘によるものと思われる。終盤になってから完全に若者2人の立場が逆転するため、自業自得とは思いつつ、ほろっとさせられてしまう。今作を観て一番印象に残ったのは、とにかく主人公がタフということと松田翔太がかっこいいということだった。(女性 40代)
原作の漫画は読んだことはないのだが、アングラな雰囲気がカッコ良い作品だと思った。主演を務めた松田翔太が、作品の雰囲気に合っていた。久保塚早紀の役にきちんと嵌まっていたと思う。個人的には、安藤サクラさんの演技が好きだった。ちょっとぶっきら棒なしゃべり口調がカッコ良い。その一方で、浜野謙太さんが演じた鈴木博隆のちょっと情けない感じがおもしろかった。ほっこりできて、応援したくなるようなキャラクターだった。原作の漫画も読んでみたくなった。(女性 30代)
漫画原作の作品ということでリアルでは無いものの、こういう世界があったら面白いかもという見方をすればかなり楽しめる作品だと思います。
明るみに出ることの無い、裏で生きる人間たちを描いているので現実には体験出来ない危険な雰囲気を味わえる作品です。ヤクザや喧嘩、裏社会などダークなテーマを描いた作品が好きな方はきっとハマるでしょう。
ストーリーはそれほど中身がありませんが、松田翔太がとにかくカッコイイのでファンは必見の作品です。(女性 30代)
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