映画『ドリアン・グレイ』の概要:若さと美貌を持った青年ドリアンは祖父亡き後、屋敷を相続してロンドンへやって来た。そこで出会った画家が描いた肖像画が、自分の身代わりとなることを知ったドリアン。彼はやがて享楽と快楽に溺れ、身を滅ぼすことになる。
映画『ドリアン・グレイ』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:オリヴァー・パーカー
キャスト:ベン・バーンズ、コリン・ファース、ベン・チャップリン、レベッカ・ホール etc
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映画『ドリアン・グレイ』の登場人物(キャスト)
- ドリアン・グレイ(ベン・バーンズ)
- 祖父の遺産を相続した純朴で美しい青年。ヘンリーと出会い、あらゆる享楽に溺れていく。バジルの渾身の肖像画により、老いることのない体を手に入れる。
- ヘンリー卿(コリン・ファース)
- ドリアンの友人でドリアンに世俗の楽しさを教える。生粋の遊び人だが、子供が生まれてからは控えるようになる。
- バジル(ベン・チャップリン)
- ドリアンの友人で画家。ドリアンの美しさを肖像画に描く。ドリアンに好意を寄せている。
- エミリー(レベッカ・ホール)
- ヘンリーの娘。25年の時を経て、戻ったドリアンに恋をする。新しいことに興味を持つ、革新的な精神を持つ。
- シビル(レイチェル・ハード=ウッド)
- 女優でドリアンの初恋の相手で清純な女性。ドリアンとの結婚が破談になったことにより、川へ身投げし命を落とす。
映画『ドリアン・グレイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ドリアン・グレイ』のあらすじ【起】
青年は人をナイフで殺害。彼は深夜に馬車で大きな衣装箱を川へ運び、それを投下した。
1年前、1人の青年がロンドン駅に降り立った。ドリアン・グレイは群がる少年達から、金品を奪われても不思議そうな顔をして、物珍しそうに辺りを見回している。
駅にたむろする青年達に声を掛けられそうになった時、迎えに来た執事に声を掛けられ馬車に乗った。
ドリアンは祖父を亡くして、実家であるロンドンへ帰郷。ピアノの演奏を披露し、ご婦人方と会話する。そこで、画家のバジルと出会った。バジルは2週間、美青年であるドリアンを描き続けた。
ドリアンが退屈している様子なので、バジルは社交界へ連れて行くことにする。そこで、頻りに煙草を勧めてくる男性ヘンリーと出会う。
ヘンリーに連れられて下町の社交クラブへ。世間知らずのドリアンに楽しみを教えようと言う。良さそうな女性を逃がしたドリアンに、ヘンリーが言った。
人生は1度きり、一瞬ごとに燃え尽きなければ後悔すると。
バジルがドリアンの絵を完成させた。今までにない最高の出来だった。ヘンリーが太鼓判を押すのだから、間違いないのだろう。ドリアンの美しさを描ききった肖像画は、彼が老いても後世に残り続ける。もしも老いを止めるなら、悪魔に魂を捧げなければならないだろう。
ヘンリーはドリアンに、魂は売れないだろうと笑った。
バジルの絵は屋敷の玄関に飾られた。その夜、ドリアンは1人で下町へ。劇場にて社交クラブで見かけた女性シビルを見つける。彼女は女優だった。演劇終了後に楽屋を訪ねたドリアン。彼はシビルの演技を褒め、彼女と接点を持つことに成功した。
映画『ドリアン・グレイ』のあらすじ【承】
ドリアンはシビルと逢瀬を重ねた後、真摯な愛を囁いて体を重ねた。その夜、祖父との幼い記憶を夢に見たドリアンは、無意識にベッド脇のランプを倒して拳を傷つけてしまう。彼の背中にも多くの傷痕があったはずだが、いつの間にか消えていた。
ドリアンは友人達を集めて、シビルとの結婚を発表する。しかし、誰もが祝いを口にするも、表情は嬉しそうに見えない。特にバジルは祝いの言葉すら口にしなかった。何事も経験だと言う、ヘンリーだけが嬉しそうである。
ヘンリーは妻に子供が出来たため、人生の終わりを感じていた。娼館に誘われたドリアンは、馴染みのない雰囲気に戸惑うばかり。彼は娼婦に誘われるまま、その身を預けた。
その後、観劇に向かったドリアン。シビルは以前とは様子が違うことに気付き、彼と口論となる。
ドリアンはシビルとの結婚を破談にした。女は1人ではないと唆すヘンリー。
ある夜、複数の女性を侍らせ遊興に耽るドリアンの元へ、シビルの兄が訪ねて来る。彼はその手にシビルのドレスを持っていた。汚れたドレスは、彼女が最後まで身に付けていたと言う。シビルはドリアンとの結婚が破談になり、川へ身を投げたのだった。
シビルの兄は怒りに任せ、ドリアンの首を絞めるも友人達に救われる。兄は警察に身柄を引き渡された。
母を亡くした幼いドリアンは、祖父に憎まれ虐待されて育った。彼はその記憶を脳裏に蘇らせ、戦々恐々となるが、ヘンリーに励まされてどうにか持ち直した。
1人になってふと、広間の肖像画に目を向けたドリアン。絵の中の自分は顔色も悪く、左手に怪我をしている。目玉からは蛆虫が落ちて来た。彼は左手に巻いた布を取り去る。そこにあったはずの傷が消えていた。
翌日、訪れたバジルが肖像画の行方を問うと、ドリアンは安全な場所へ移したと言う。大事な絵であるため、人に見せたくないらしい。バジルはヘンリーの言いなりになるドリアンに、忠告をして去った。
ドリアンは社交界デビューした年若い女性を篭絡。更には娘を捜しに来た母親さえも、その美貌で虜にして快楽を貪った。ドリアンは次々と飽くこと無く、女性と交わり堕落していく。その代りに肖像画は見るも恐ろしく、様相を変えていった。バジルはドリアンの肖像画を見たいと言うが、彼は決して肖像画の在り処を知らせないし、飾りもしなかった。
映画『ドリアン・グレイ』のあらすじ【転】
ドリアンは、つべこべ言うバジルをも篭絡。快楽の前には性別という垣根など、無きに等しい。彼は夜毎、屋敷でパーティを催しては享楽に耽った。
パーティ終了後、バジルが戻って来る。人が変わったドリアンを心配するバジルへ、肖像画を見せた。バジルは唖然とする。あの美しく最高の傑作品が、見るも無残な姿と化しているのだ。これは最早、悪魔の仕業である。狂人と化したドリアンに恐怖を抱いたバジルは、彼から逃げ出そうとする。しかし、ドリアンは鏡の欠片でバジルを殺してしまった。
血塗れとなったドリアンを醜くなった肖像画のドリアンが見ている。
そうして、ドリアンはバジルの亡骸を川に投げ捨てた。
表の世界では美しいドリアンが夜毎、快楽の境地を極める。肖像画は増々容貌を変化させた。
そんなある日、バジルの遺体が発見される。ドリアンは素知らぬ顔で葬儀に参列。これを機に旅へ出ることにした。旅の共にヘンリーを誘うも、彼は子供が生まれるからと理由をつけて、ロンドンに残った。ドリアンの手紙は何年もヘンリー宛てに送られることになる。
時代は馬車から車へと変わる。グレイ邸に主が戻った。年老いたヘンリーは、その姿を目にして驚愕する。ドリアンは美しい青年のままで、年老いた影など、どこにも見られなかったのである。
ヘンリーはドリアンに、なぜ戻ったのかを問う。彼は疲れたからと呟いた。ドリアンの美貌の秘密を知りたがるヘンリーだったが、それを教えたら殺さなければならない。ドリアンは大事な友人を殺したくなかった。
カメラを持った女性がドリアンを撮影する。彼女はエミリーと名乗った。少し風変りな女性は、ヘンリーの娘だった。
肖像画の自分は、今や腐りかけている。ドリアンは思い出す度に、忘れようと足掻いた。
自分のせいで川に身投げしたシビルを思い出し、後悔や罪の意識に苛まれる。彼はひとけのない裏路地を歩き続けた。そこで突然、年老いたシビルの兄に襲われる。銃をこめかみに突き付けられ恨み言を囁かれるが、あれから25年が経過している。人違いだと言い張って走り去った。
肖像画の呻き声に怯えるドリアンの元へ、エミリーが訪ねて来る。乞われて写真を撮られた。肖像画の件もある。歳を取らないドリアンの容貌は、なるべく形として残したくはなかった。
映画『ドリアン・グレイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
エミリーに好意を寄せる一方で、ドリアンは人殺しの罪を今頃になって悔い始める。彼女に本当のことを明かせば、殺さなければならない。また罪を重ねなければならないのだ。
ドリアンはエミリーを突き放した。これ以上、近付いては彼女を傷つけてしまう。
徐々に精神を病み始めたドリアンは、長年勤めた屋敷の執事を解雇。
屋根裏の肖像画を自らの手で破壊しようとしたが、できなかった。
教会から出て車に乗り込んだ時だった。突然の銃声に降車して地下鉄へ逃げたドリアン。シビルの兄が殺そうと追いかけて来る。だがそこへ、運悪く電車が通過。兄は無残にも轢かれてしまった。ドリアンは虫の息となったシビルの兄に謝罪をし、彼の死を看取った。
外は土砂降りの雨。ドリアンは助けを求めてエミリーの元へ。翌朝、居間で寝入った娘とドリアンを見たヘンリー。彼はドリアンを怒鳴りつけ、追い出してしまう。だが、エミリーはドリアンを諦められず、彼を追いかけて体を重ねた。
ドリアンはエミリーに秘密が漏れるのを恐れ、屋敷と家財道具の全てを売却。肖像画だけを持ってニューヨークへ行こうとしていた。
最後の宴席にヘンリーの姿がないことに気付いたドリアンは、急いで屋敷へと向かう。案の定、ヘンリーは屋根裏でドリアンの肖像画を見ようとしていた。ヘンリーと口論になるドリアン。彼は唯一の友人をも手に掛けようとする。だが、ヘンリーは隙を突いてドリアンに攻撃。肖像画を目にしてしまう。
バジルが描いた最高傑作は腐って年老い、命をも宿していた。ヘンリーは唖然とするも、肖像画にランプを投げつけて、柵をするとドリアンが逃げられないように閉じ込める。
柵の前に来たドリアンはエミリーに別れを告げて、絵に剣を突き立てた。すると、肖像画の醜いドリアンが身を乗り出して来る。長年、貯め込んだ穢れを身の内に戻したドリアンは、炎に焼かれて命を落とした。
しかし、不思議なことに肖像画だけは、燃えずに美しいドリアンへと戻り、ヘンリーによって大事に保管されることになったのだった。
映画『ドリアン・グレイ』の感想・評価・レビュー
作家オスカー・ワイルド唯一の長編小説『ドリアン・グレイの肖像』を3度目の映画化。
原作ではドリアン・グレイは金髪碧眼の美しい青年とされているが、今作は黒髪で秀麗なべン・バーンズが演じている。元は純朴な青年だったドリアンが都会のロンドンに来て身を持ち崩していくという内容だが、不思議なのは画家が描いた肖像画が全ての穢れを吸い取ってしまう現象だ。それは画家の執念とドリアンの美しさが呪いとなった結果なのだろかと勝手に解釈しているのだが、要は誘惑の多い世の中でまともな精神を保つのは、とても難しいことなのだから、用心しろという教訓のように思う。今作で登場する肖像画が徐々に醜悪な様子に変貌していく様子がとても禍々しく、リアル且つ主人公の危うさが表現されていてとても良かった。(女性 40代)
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