映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』の概要:ロシア発、戦争ロードムービー。死刑を判決された中尉と監視役の兵卒は、判決文の承認を得るため陸軍本部まで歩くことになった。いつ敵と遭遇するか分からない戦時下の旅で、彼らに不思議な友情が生まれ始める。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』の作品情報
上映時間:86分
ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
監督:セルゲイ・ポポフ
キャスト:ユーリー・ボリソフ、マリヤ・カルポーヴァ、アミール・アブディカロフ、マクシム・デムチェンコ etc
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』の登場人物(キャスト)
- オガルコフ・セルゲイ中尉(ユーリー・ボリソフ)
- ソ連陸軍通信担当将校。科学専門校卒。ある伝令を師団に届けようとしたが、戦闘に巻き込まれて届けられず、軍事法廷で死刑を言い渡される。判決文の承認を得るため、ズラバエフに監視されながら本部に向かう。
- ズラバエフ兵卒(アミール・アブディカロフ)
- カザフスタン出身のソ連兵で、オガルコフの監視任務を命じられる。真面目で融通が利かない性格で、あらゆる困難に遭遇しても、頑なに任務を全うしようとする。
- スーニャエフ中尉(マキシム・デムチェンコ)
- 軍事法廷でオガルコフを臆病者だと証言する中尉。それが決め手となって死刑判決となったため、その事をずっと悔やんでいる。
- マリア(マリヤ・カルポーヴァ)
- オガルコフたちが立ち寄った村に住む未亡人。2人を自宅に宿泊させる。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』のあらすじ【起】
1942年、ドイツ軍はソ連を制圧するため、猛攻を仕掛けていた。通信担当将校のオガルコフは攻撃態勢を再編せよとの伝達を命じられるが、敵の攻撃に巻き込まれて任務を失敗する。伝令を受け取れなかった部隊は壊滅状態に陥った。
オガルコフは村の施設で軍事法廷にかけられた。スーニャエフ中尉による「彼は臆病だった」と言う証言が決め手となり、銃殺による死刑判決が下される。彼は村外れの小屋に監禁されることになり、兵卒のズバラエフが監視を命じられた。
法廷書記官から判決文を受け取ったオガルコフは、本部審議会の承認が出るまでは死刑執行されないと聞いて少し安心する。そんなある日、ドイツの大軍が村に攻撃を開始。ズバラエフはオガルコフを小屋から出して、茂みに隠れて様子を伺った。
ドイツはソ連兵を捕虜として一か所に集め、挑発的な兵士を銃殺した。ドイツ軍に立ち向かおうとするオガルコフだったが、ズバラエフは制止。判決文を届けに陸軍本部へ行くぞと言う。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』のあらすじ【承】
ズバラエフはオガルコフを見張るように背後に回り、陸軍本部を目指して果てしない草原を歩き始めた。翌朝、森の中で目覚めた2人は、味方の師団と遭遇する。合流するかと尋ねられるズバラエフだったが、本部に行く任務があるからと合流を断るのだった。
ドイツ軍の攻撃で焼け野原となった村を通り過ぎる2人。大きな川を渡らねばならなかったが、地元の少年から、橋はドイツ軍によって壊されたことを聞かされる。さらに少年は、ソ連軍のパイロットを助けていると言った。
ズバラエフは泳げないため、オガルコフは筏を押す役を務めることに。パイロットを対岸に運んだ後、オガルコフは逃亡することもなく戻り、ズバラエフを乗せて対岸に渡った。
対岸に着いた2人はパイロットを担いで森を歩き、味方の師団に会う。救護所にパイロットを預けた後、再び本部を目指そうとするズバラエフだったが、その上官は2人に銃を持って戦えと命令。敵の包囲網を突破したら自由にすると言った。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』のあらすじ【転】
オガルコフは古いブーツを履いているズバラエフのために、祖父の形見の時計を装具係に渡して新品のブーツを手配する。そうとは知らないズバラエフは、新しいブーツを嬉しそうに履くのだった。
接近戦ではドイツ軍が優勢となった。オガルコフは狙撃兵の位置を特定するため、敵に向かって走り、ジュラバエフが狙撃兵を特定して撃ち倒した。それをきっかけに形勢が逆転し、ソ連軍は敵の包囲網を突破する。
戦車の前で従軍記者に写真を撮ってもらい、勲章をもらえるぞと喜ぶオガルコフだったが、ズバラエフは険しい表情に戻る。2人は再び本部を目指して歩き始めた。野宿中にズラバエフは母への手紙の代筆をオガルコフに頼み、草原を見ると故郷を思い出すことを書いてもらった。
陸軍本部に到着する前に立ち寄った村で、オガルコフを処分する権限のある司令官と会う。彼はズラバエフを追い出し、オガルコフを処刑しようとしたが、執行直前にズラバエフが別の書類を提出して執行を免れる。それは先日の戦いで、赤星勲章を与えると記された書類。勲章か死刑かの判断は、本部でしかできないことを示していた。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』の結末・ラスト(ネタバレ)
ズラバエフは出所したオガルコフに、煙草を差し出した。なぜ助けたかと問われると、手紙を書き終えていないからと答える。その夜2人は、女主人マリアの家に宿泊した。
翌朝、村を出ようとした時に敵の攻撃を受け、ズバラエフは瀕死の重傷を負う。オガルコフは懸命に助けようとしたが、ズラバエフは間もなく息を引き取った。死ぬ間際に、ドイツ人にブーツを渡すなと言い残して。
オガルコフはズバラエフを埋葬。マリアは2人が囚人と護衛の関係だと知り、ここに留まるよう引き留めるが、彼は本部への旅を続行した。焼け野原、戦車の残骸や死者が横たわる草原を歩き続け、ようやく本部に辿り着く。オガルコフが死刑になる証言をしたことをずっと後ろめたく感じていたスーニャエフは、執行しないよう働きかけ、ズラバエフの手紙をカザフスタンに住む彼の母に送った。
1945年。オガルコフは将校として、ドイツの領地で任務に就いていた。スーニャエフと再会し、3年前の新聞を渡される。その紙面には、ズラバエフと2人で写した写真が掲載されていた。
映画『スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望』の感想・評価・レビュー
戦争アクション映画を思わせる邦題とポスターだが、スターリングラードの市街戦は出てこない。原題を直訳すると「ベルリンへの道」で、舞台のメインは果てしない草原、どこかの田舎町だ。死刑を宣告された若き中尉と、その監視を命じられた兵卒が繰り広げるロードムービーである。
2人は同じソ連兵だが、人種と階級が違う。死刑囚はいかにもロシア系だが、護衛はアジア人っぽい顔のカザフスタン人だ。学歴がある中尉と、文字も書けない兵卒。異色の顔合わせの2人が、少しずつ心を通わせていく姿に心が温まった。とは言っても戦争は不条理で悲劇を生み出すもの。ラストシーンの写真はそう物語っていた。(MIHOシネマ編集部)
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