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映画『泥の河』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『泥の河』の概要:9歳の信雄は舟で暮らす同い年の少年、喜一と出会う。廓舟(くるわぶね)と呼ばれるその舟で、喜一の母は客を取っている。夜には近寄らないようにと言われる意味もわからず、信雄は喜一との仲を深めていくが…。小栗康平の第一回監督作品。日本国内で数々の賞を受賞し、米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。

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映画『泥の河』の作品情報

泥の河

製作年:1981年
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:小栗康平
キャスト:田村高廣、藤田弓子、朝原靖貴、加賀まりこ etc

映画『泥の河』の登場人物(キャスト)

板倉信雄(朝原靖貴)
9歳の少年。うどん屋を営む両親と暮らしている。純粋で心優しい。同い年の喜一と知り合い、よく遊ぶようになる。
松本喜一(桜井稔)
岸に繋がれた舟で暮らす少年。信雄とは同い年。率直な物言いをする。自分たち家族に対する世間の目を幼いながらに理解している。
松本銀子(柴田真生子)
喜一の姉。大人びていて、母親に代わり家事もこなすしっかり者。可愛がってくれる貞子に対しては、年相応な面も見せる。
板倉晋平(田村高廣)
信雄の父。うどん屋を営み、店内では金つばも焼く。戦争に生き残った者として、恥じない人生を送らなくてはと思っている。
板倉貞子(藤田弓子)
信雄の母。時に優しく時に厳しい、良き妻であり母親。一方で、とある女性から晋平を奪った過去がある。
松本笙子(加賀まりこ)
喜一と銀子の母親。船頭をしていた夫を舟の事故で亡くした。舟で客を取って生計を立てている。

映画『泥の河』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『泥の河』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『泥の河』のあらすじ【起】

終戦から6年が過ぎた昭和31年。9歳の信雄は、うどん屋を営む両親と共に大阪で暮らしていた。店の最初の客である馬車屋のおっちゃんは、その日も店に来てくれていた。馬はもう時代遅れだから、トラックを買うのだという話を父としている。その帰り道、おっちゃんは荷馬車の下敷きになり死亡した。

土砂降りの雨の日、信雄は喜一という少年と出会う。喜一はうどん屋の対岸に繋がれている舟に住んでいて、昨日この町にやってきたばかりだと言った。信雄は舟に遊びに行き、喜一の姉の銀子とも知り合った。喜一は信雄と同い年で、銀子は11歳。2人とも学校には行っていなかった。母親の笙子が来客に気が付き声を掛けてきたが、奥の部屋にいて姿は見えなかった。

信雄は両親に喜一たちと友達になったことを報告し、家に呼んでも良いかと相談した。両親は快く承諾するも、夜には舟に遊びに行かないようにと言って聞かせた。うどん屋に来る客の間で喜一たちの住む舟のことは噂になっていた。喜一の母は、生活のためにあの舟で客を取っているのだった。

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映画『泥の河』のあらすじ【承】

遊びに来た喜一と銀子に、貞子は夕食を振る舞った。銀子は喜一が行儀良くしているかを常に気にしていた。娘が欲しいと思っていた貞子は銀子をとても可愛がり、ワンピースをプレゼントして試着するよう勧める。銀子が着替えている間、店にやってきた客が喜一を見て舟のことをからかった。晋平が客を追い返したが、喜一は落ち込んでしまった。ワンピースを着て戻ってきた銀子は、喜一を見て何かがあったことを悟った。

晋平は喜一を元気付けようと、得意の手品を披露する。喜一はすっかり夢中になり、顔を輝かせた。その様子をしばらく眺めていた銀子は何も言わずその場を去り、元の服に着替える。そして、丁寧に畳んだワンピースを貞子に返し、名残惜しそうな喜一の手を取って帰って行った。

信雄が学校から帰ると、見知らぬ男が家に来ていた。男はすぐに帰って行ったが、両親は塞ぎ込んでいる。晋平の「友達」の女性が、病気で先が長くないため最後に信雄に会いたいと言っているのだった。信雄は晋平と共に京都へ行き、女性を見舞った。行かないと言っていた貞子も後からやってきて、女性に謝罪し涙を流した。信雄には訳がわからなかったが、泣いている母に寄り添った。

映画『泥の河』のあらすじ【転】

ある日、信雄が舟を訪ねると喜一も銀子も不在であった。信雄は笙子に呼ばれ、奥の部屋に通される。自分の母とはまったく違う雰囲気の笙子を前に、信雄はどぎまぎしていた。船頭だった夫が生きていた頃は陸で店を持ちたいと思っていたが、亡くなってからは波に揺られていないと落ち着かないのだと笙子は話した。舟から下りると、ちょうど銀子が帰ってきた。また家においでと声を掛けて、信雄は自宅に戻った。

信雄と喜一は2人で天神祭へ行くことになった。貞子が50円ずつお小遣いをくれる。お金を持って祭に行くのは初めてだと喜一は嬉しそうにしていた。数々の露店に目移りしながら、一通り会場を回った。りんご飴を買おうとしたとき、喜一は信雄の分とまとめて持っていたお小遣いがなくなっていることに気が付く。ポケットが破れていて、歩いているうちに落ちてしまったのだ。外が暗くなっていたこともあり、いくら探し回っても見つからず、2人は肩を落として帰途についた。

映画『泥の河』の結末・ラスト(ネタバレ)

責任を感じていた喜一は、宝物の蟹の巣を見せると言って信雄を舟に誘った。河に浸けた竹箒が蟹の巣になっているのだった。喜一が箒を振ると、たくさんの小さな蟹が落ちてくる。喜一は蟹を拾い上げ、マッチの火をつける遊びを始めた。かわいそうだと言う信雄をよそに、喜一は次々と火をつけていく。そのうちの一匹が奥の部屋の方へ逃げていき、追い掛けた信雄は小窓から部屋の中の様子を見てしまう。そこには、背中に刺青を入れた男と笙子の姿があった。喜一の元に戻ると、何も言わずに信雄を見つめていた。信雄も無言のまま舟を去る。途中ですれ違った銀子にも声を掛けなかった。家に着いた信雄は、窓から舟を見て涙を流した。

翌日、舟が岸から動き出した。その様子を見た貞子が信雄に知らせるが、無気力に寝転がる信雄はなかなか動こうとしない。しかし、ふいに起き上がると外に飛び出した。喜一の名前を何度も叫びながら、かなりの距離を走って舟を追い掛ける。しかし遂に追いつくことはできず、舟は信雄の視界から遠ざかっていった。

映画『泥の河』の感想・評価・レビュー

戦争に生き残った者としての人生に思い悩む晋平、良い母親でありながらとある女性から晋平を奪った貞子、蟹に火をつける遊びをおもしろいと言う喜一、年齢に似合わず大人びている銀子。何かを抱えながら生きている人々が多く描かれていると感じた。その中で信雄は純粋な存在であったが、喜一たちとの出会いと別れで痛みや悲しみを知り、それが今後の人生に大きな影響を及ぼしていくのだと思う。信雄、喜一、銀子を演じる3人の子役の表情や話し方、佇まいがとても印象的だった。(MIHOシネマ編集部)

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