映画『七小福』の概要:母に連れられて京劇学院に入学した少年が、厳しい訓練を積み役者として成長していく様を描く。ジャッキー・チェンやサモ・ハンらが在籍していた頃の実話に基づく物語である。生徒たちを厳格に指導するユ校長をサモ・ハン自身が演じている。
映画『七小福』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アレックス・ロウ
キャスト:サモ・ハン・キンポー、ラム・チェンイン、チェン・ペイペイ、ヒャオ・ミンクァイ etc
映画『七小福』の登場人物(キャスト)
- チェン・コンサン(ヒャオ・ミンクァイ/チャン・ウェイラン)
- 母に連れられ、京劇学院に入学した。鼻に特徴があり、皆からは「デカ鼻」と呼ばれている。いたずら好きでよく校長に叱られていた。後に「ジャッキー・チェン」の名で映画スターとして活躍する。
- サモ・ハン(ヤン・シンヒェン/チャン・チンジェン)
- 京劇学院の生徒の中では最年長。面倒見が良く、他の生徒たちに兄のように慕われている。コンサンと共に撮影所で経験を積む。
- ユン・ピョウ(クー・フィ/ハン・チンウェイ)
- コンサンの弟弟子。コンサンやサモと共に撮影所で活躍する。
- ユ校長(サモ・ハン)
- 京劇学院の校長。生徒たちを厳しく、しかし深い愛情を持って育てる。唐辛子をはじめ辛いものが好き。京劇の人気衰退を実感しながらも生徒たちを見捨てられずにいたが、最後にはアメリカへ行くことを決意する。
- フー(ラム・チェンイン)
- ユ校長の弟。主にスタントマンとして活躍する役者。生徒たちにとても優しくしてくれる。撮影所を解雇されたくないと思うあまり錯乱状態に陥り、警察に捕まってしまう。
映画『七小福』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『七小福』のあらすじ【起】
チェン・コンサンは、母親に連れられ京劇学院の門を叩いた。そこではユ校長の厳しくも愛のある指導の元、親元を離れた少年たちが日々京劇の訓練に励んでいる。コンサンも他の少年たちのように頭を刈り上げ、10年の歳月を学院で過ごすことになった。ストレッチや曲芸、暗唱などの訓練はとても厳しく、いたずらをすれば体罰が与えられた。
ユ校長が出掛けると、その隙に皆で抜け出して遊びに行くこともあった。その日は、校長の弟フーが学院を訪ねてきた。フーは主にスタントマンとして映画に出演している売れない役者で、少年たちに優しかった。校長がフーに連れられて飲みに出かけると、最年長のサモはフーにもらったお小遣いを持って、少年たちを率いて外に出た。遊び疲れた少年たちは、日が暮れてから学院に戻った。校長はとっくに帰ってきていた。訓練中に抜け出した罰として、少年たちはストレッチ300回を課せられる。酔っ払った校長の数え方は支離滅裂で、なかなか300に辿り着かなかった。
映画『七小福』のあらすじ【承】
数年が経ち、成長したコンサンたちは「フェニックス広東一座」のショーに助っ人として参加することになった。チェ先生率いる「フェニックス広東一座」は女性のみの歌劇団で、戦士役として男の役者を探していたのだった。幼い頃から学院で過ごしてきた生徒たちにとっては、初めての異性との出会いだった。練習中、コンサンは団員のシャオシェンに一目惚れする。サモたちにせっつかれて、ようやくコンサンはシャオシェンに話し掛けることができた。
ユ校長とチェ先生が2人で出掛けている間に、コンサンもシャオシェンとデートをした。そこでシャオシェンが歌劇をやめて学校に戻ろうとしているという話を聞き、コンサンはすっかり気落ちしてしまう。その後に遊園地でのショーを控えていたのにも関わらず、サモとの約束の時間までに戻らなかったコンサンは出番を逃した。そのことを責められ、コンサンはサモと殴り合いの喧嘩をする。物音を聞いた校長がすぐに駆け付けた。外出をしたコンサンよりも、先輩にも関わらず外出許可を出したサモの方が咎められ、学院から追い出されてしまった。
映画『七小福』のあらすじ【転】
京劇の人気は衰退の一途を辿っていた。ショーをやっても収益が見込めなくなっていて、コンサンたちが長く出演していた劇場でもショーの打ち切りが決まった。チェン先生は、一座を解散して子供たちを学校に戻す決意をユ校長に告げる。自身はニューヨークのチャイナタウンで公演を続けることにすると言い、ユ校長のことも誘った。しかし、自分で作った学校や育ててきた生徒たちを見捨てられない校長は断るのだった。
追い出されたサモは、程なくして学院に戻ってきた。生徒たちのこの先を案じた校長は、フーが務める撮影所へ出向き、生徒たちを登録してもらおうとした。しかし、コンサン、サモ、ピョウの3人以外は雇えないと言われてしまう。3人は早速、射殺される役などで撮影に参加するようになった。
ある日、校長の元へ政府からの手紙が届いた。学院の建物を取り壊すことが決まったという内容だった。校長はフーの撮影現場を見学しに行き、そのことを伝えた。抜け出して遊びに行っていた生徒たちも、学院に帰ると建物の住人からその事実を知らされた。
映画『七小福』の結末・ラスト(ネタバレ)
校長が見守る中、フーはスタントの撮影に臨んでいた。だがフーを吊っていたワイヤーが途中で切れてしまい、転落して怪我を負う。解雇されることを恐れ、正気を失ったフーは一人で演技を始めた。生徒たちも撮影場所へやってきた。皆が呆気にとられる中、フーは演技を終え、スタッフや他の役者を観客だと思い込んでお礼を言って回った。そして、通報を受けて到着していた警察に連行されていった。学院へ戻り、ユ校長の口から生徒たちに学院が取り壊されることが告げられた。そして、校長は海外へ行くことにしたと報告し、それまでに全員の進路を見つけると約束してくれた。
校長の旅立ちの日がやってきた。生徒たちは船まで見送りに行った。コンサン、サモ、ピョウは撮影所での仕事に励むことを校長に誓う。校長は、人に見下されても卑屈にならないようにと生徒たちに伝えた。別れの挨拶を交わし、生徒たちは船を降りていく。校長が生徒たちから贈られた扇子を開くと、そこには彼らのことを指す「七小福」の文字が書かれていた。その後、アメリカに移住したユ校長は、そこで北京歌劇の指導を続けた。生徒たちは映画業界でスタントマンとして活躍し、自分たちのスタント作品で名声を得た。
映画『七小福』の感想・評価・レビュー
衣装や家具などは色鮮やかなものが多く、1枚の絵の様に感じられるカットがいくつもあった。ショーのシーンは尺も長めで美しく撮られていたため、見入ってしまった。実際の舞台を見に行ってみたくなる映像だった。生徒たちの幼少期を演じる役者たちは可愛らしく生き生きとしていて、いたずらや失敗も微笑ましく見える。また、ユ校長を演じるサモ・ハンが素晴らしかったと思う。船の上から生徒たちに呼び掛けるシーンがとても感動的だった。(MIHOシネマ編集部)
アクション俳優のレジェンドとも言えるジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーが訓練を積んだ京劇のお話。彼らのあのアクションは子供時代からの訓練によって身につけられたもので、それは生まれ持った才能ではなく「努力」の賜物なのだと知りました。
今は大スターとなった彼らですが、親元を離れて京劇に預けられた時の彼らの気持ちはどんなものだったのでしょう。サクセスストーリーと言えば聞こえはいいかもしれませんが、非常に過酷な環境で可哀想に感じてしまうシーンもありました。(女性 30代)
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