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映画『松ヶ根乱射事件』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『松ヶ根乱射事件』の概要:小さな田舎町松ヶ根で、女性の遺体が発見された。警察官の光太郎が検死に立ち会う中、彼女は生きていることが判明する。彼女と恋人がこの町を訪れた訳とは…?同じ頃、双子の兄の光をはじめ、光太郎を取り巻く人々にも様々なことが起こり始める。

映画『松ヶ根乱射事件』の作品情報

松ヶ根乱射事件

製作年:2006年
上映時間:112分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:山下敦弘
キャスト:新井浩文、山中崇、川越美和、木村祐一 etc

映画『松ヶ根乱射事件』の登場人物(キャスト)

鈴木光太郎(新井浩文)
松ヶ根で警察官として勤務している。甲斐性のない父親に腹を立てることが多い。双子の兄の光とは仲が良く、力になろうとする。
鈴木光(山中崇)
光太郎の双子の兄。牛の世話をするなどして、姉が営む畜産を時折手伝っている。警察官として働く光太郎に対し劣等感を抱いているが、仲は良い。轢き逃げ事件を起こしたことにより大変な目に遭う。
鈴木みさ子(キムラ緑子)
光太郎の母。家に帰らない夫に代わり、認知症の義父の面倒を見ている。
鈴木豊道(三浦友和)
光太郎の父。女癖が悪く、家を出てしばらく帰らないことも多い。理容室の娘を妊娠させてしまう。自身の父の死を機に、家に戻ることを決意した。
池内みゆき(川越美和)
光に轢き逃げされ、雪の上に倒れているところを発見される。死亡したと思われ検死が行われるが、実は生きていた。ヒステリックな話し方をする。
西岡佑二(木村祐一)
池内の恋人。池内を轢き逃げした光を脅し、家や金を差し出させる。

映画『松ヶ根乱射事件』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『松ヶ根乱射事件』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『松ヶ根乱射事件』のあらすじ【起】

松ヶ根という小さな町で警察官を務める鈴木光太郎は、母親のみさ子と双子の兄の光、そして認知症の祖父と暮らしている。結婚した姉は実家を継いで畜産を営んでいて、時々光も手伝いに行っていた。女性関係にだらしない父親の豊道は、しばらく家に帰っていなかった。

ある冬の日、雪が降り積もった道で1人の女性の遺体が発見される。光太郎は早朝に電話で呼び出された。検死に立ち会った光太郎は、女性がまだ生きていることに気が付く。意識を取り戻した女性は、病院で取り調べを受けた。池内と名乗る彼女は、轢き逃げに遭ったのだと言う。しかし、詳しいことは覚えていないと言い張り、警察が色々と聞き出そうとすると泣き出す始末だった。退院した池内は、恋人の西岡が待つ宿へ戻った。

光が立ち寄った食事処に、西岡と池内も居合わせていた。注文を終えた光は自分を凝視している池内に気が付く。池内を轢き逃げした犯人は光だったのだ。店を出て車に乗ろうとした光を、西岡が背後から殴る。西岡に脅迫され、光は祖父がかつて使っていた家を2人の滞在場所として貸し出すことにした。裏切るようなことをすれば家族にも危害を加えると言われ、光は西岡に従うしかなかった。

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映画『松ヶ根乱射事件』のあらすじ【承】

光は凍っている池に連れて行かれた。西岡に指示された場所に穴を開けると、ある物を取ってくるよう要求される。躊躇していると、西岡に池の中へ突き落とされた。それは赤い鞄で、中からは金の延べ棒と男の頭部が出てきた。延べ棒を手に入れた西岡と池内は、換金するために町を出て行った。しかし手続きには購入した際の領収書などが必要で、当然所持していないためそのまま持ち帰ることになる。2人が去って一安心の光が祖父の家を片付けていると、西岡と池内が戻ってきた。

ある日、光太郎が帰宅するとみさ子がひどく塞ぎ込んでいた。訳を聞くと、豊道が理容室の娘の春子を妊娠させたのだと言う。交番を訪れた豊道に光太郎は事実を問い質すが、要領を得ない返事しか返ってこなかった。光太郎は、自分たちのことは絶対に頼るなという母からの伝言を伝えた。だが、春子の母は理容室の客から金を取って春子に相手をさせていたため、豊道の子であるという確証はないのだった。

映画『松ヶ根乱射事件』のあらすじ【転】

光は西岡から逃れることができず、金を搾取され続けていた。困窮した光は、姉の事務所の金に手をつけてしまう。すぐに姉の知るところとなったが、光は詰られても不気味に笑うだけだった。一生懸命働いて稼いだ金をたまにしか手伝いに来ない弟に盗まれるという理不尽さに、姉は泣き出した。

見回りで祖父の家に立ち寄った際、光太郎は光が西岡たちといるのを目撃した。光が何かに巻き込まれているのを悟った光太郎は、どうにかして助けようとしていた。そして、轢き逃げ事件の真相や金の延べ棒のこと、そして人目に付かない場所に埋められていた男の頭部の存在を知る。光太郎は警察に届け出ようと提案したが、光は拒否した。

光太郎が家に戻ると、恋人家族が挨拶に訪れていた。本来は明日のはずだったが、光太郎には知らされないまま日程が早められていた。同席した豊道が相手の反応も考えず無神経なことばかり言うため、場の空気は冷めきっていた。一度ちゃんと話し合った方が良いと言って、恋人は帰って行った。

映画『松ヶ根乱射事件』の結末・ラスト(ネタバレ)

恋人家族が帰った後、豊道と言い合いになった光太郎は一人交番で佇んでいた。そこへ、自転車に乗った光がやってくる。西岡たちの件は自分で何とかすると告げるが、交番の外で話す光の声は中にいる光太郎まで届いていなかった。捨て身の光は西岡の元に乗り込み、バットで殴りかかった。すぐに反撃され馬乗りになって殴られるも、光は持っていたアイスピックで西岡を刺し、逃れることができた。

平穏な日々が戻りつつあった。祖父の死をきっかけに、豊道は家に戻ってきていた。そして時折、出産を終えた春子と子供の様子を見に理容室を訪れた。西岡は生きていたが、もう光を脅したりはしていなかった。池内と共に祖父の家に居座り続けている。光は姉の手伝いを再開し、母は太極拳を習い始めた。そんなある日、交番にいた光太郎は突然外に出て、空中へ向けて拳銃を数回発砲した。唖然とする上司に光太郎はもう大丈夫ですと告げ、交番の中へと戻っていった。

映画『松ヶ根乱射事件』の感想・評価・レビュー

全編を通して、次に何が起こるのかわからない不穏さや不気味さが漂っていた。どんなに疎ましく思っても、家族との縁は切れないし閉鎖的な町から出て行くこともできない。そんな状況で、光太郎が鬱屈とした思いを募らせていく様子には恐ろしさを感じた。タイトルの「松ヶ根乱射事件」の意味はラストシーンで判明するが、これは光太郎にとっての精一杯の抵抗なのだろうと思った。とても独特な雰囲気の作品のため、合わないと感じる人もいるかもしれない。(MIHOシネマ編集部)

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