映画『エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)』の概要:地球滅亡まで残り3週間。大混乱の中、初めて言葉を交わした隣人同士の男女が共に旅を続けながら、心から望む最期の時間を見つけていくロマンティック・ロード・ムービー。2012年公開のアメリカ映画。
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:101分
- ジャンル:ラブストーリー、コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:ローリーン・スカファリア
- キャスト:スティーヴ・カレル、キーラ・ナイトレイ、メラニー・リンスキー、アダム・ブロディ etc
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 あらすじ【起・承】
地球に小惑星が衝突することがわかり、最後の望みをかけてスペースシャトルが打ち上げられるがこれも爆発。3週間後に地球が滅亡することが確定する。
保険会社で営業をしているドッジ(スティーブ・カレル)の妻は、このニュースを聞いて彼のもとを去る。世の中が混乱する中、ドッジはただ漠然と日々を過ごす。
地球滅亡まで残り14日となり、ドッジは友人宅で開かれたパーティーに出席するが、みんなのように馬鹿騒ぎする気になれず、一人で帰宅する。そこへ隣人のペニー(キーラ・ナイトレイ)が家族のいるイギリス行きの飛行機へ乗り遅れたと泣きついてくる。2人が会話するのは、この時が初めてだった。
その後ペニーは家へ帰り、間違えて届いていたドッジの郵便物を返す。さらにペニーの発言で妻には別の男がいたことがわかり、ドッジは自暴自棄になって公園で洗剤を飲み眠り込む。目覚めたドッジの前には、捨て犬のソーリーがいた。
ソーリーを連れて帰宅したドッジは、ペニーから受け取った郵便物の中に昔の彼女オリヴィアから届いた手紙を見つける。ドッジとオリヴィアは10年も付き合っていたが、結局別々の人と結婚した。しかしオリヴィアは離婚し、最後にドッジと会いたがっていた。
街では暴動が起こり、危険を感じたドッジはソーリーを連れ、ペニーも誘って街から脱出する。ドッジはオリヴィアに会うため、ペニーは自家用飛行機を持つドッジの知人にイギリスへ送ってもらうため、車で目的地を目指す。
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 結末・ラスト(ネタバレ)
ドッジは若くて自由奔放なペニーに最初は戸惑うが、徐々に彼女の明るさや純粋さに惹かれ始める。ペニーも誠実で優しいドッジに惹かれ始め、2人はお互いを意識するようになっていく。
様々なアクシデントに遭遇しながらも、2人はオリヴィアの実家までやってくる。しかし家には誰もおらず、2人は留守の家へ忍び込む。2人はペニーの大好きなレコードを聴きながら、ゆっくりした夕食を楽しむ。互いの身の上話をし、いいムードになるが、ペニーはオリヴィアの新しい住所を書いた手紙を見つけてしまう。最期の時にドッジはオリヴィアと、ペニーは故郷の家族と過ごすのが目的でここまで来た2人は、複雑な想いを抱えながら別々に眠る。
翌日。オリヴィアの新しい家へ到着するが、ドッジは彼女への手紙を玄関に置き、ペニーの待つ車へ帰ってくる。互いの気持ちを確認しあった2人は海岸で楽しい時間を過ごし、次の目的地へ向かう。
自家用飛行機を持つ知人とは、昔ドッジと母を捨てた彼の父親のことで、父は突然の息子の訪問を喜ぶ。そして親子は長年のわだかまりを解き、ペニーも交えて和やかな時間を過ごす。ドッジは眠ってしまったペニーを飛行機に乗せ、父に彼女を託す。
小惑星の衝突が1週間早まり、地球滅亡まで16時間ほどになる。ソーリーと自宅へ戻ったドッジはペニーの部屋でレコードを聴いていたが、ついに電気も止まってしまう。そこへペニーが帰ってくる。2人はベッドに横たわり、本当に愛する人に出会えた喜びの中で最期の時を迎える。
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
穏やかな極限状態
小惑星の衝突が避けられず、確実に後3週間で地球が滅亡するとしたら…。ハラハラドキドキのパニック系アクションを想像してしまう設定だが、本作は予想以上に落ち着いた映画だ。
確かに都会は混乱しており、人々が自暴自棄になっている様子も多少は描かれている。しかしドッジとペニーはそれほど深刻に地球の最期=自分の死を語り合ったり、パニックになって暴れたりすることはない。2人が旅をする田舎の風景も妙にのどかで、もうすぐ地球が滅亡するのだということを忘れてしまうような演出が続く。
地球の滅亡なんて自分には関係ないといった様子で、今まで通り毎週ドッジの部屋を掃除しにくるおばさんの設定も良かった。単純に考えたらどうせ全てがなくなるのに掃除の仕事でもないだろうと思うのだが、なぜかこのおばさんにリアリティーと安心感を感じる。どうあがいても逃げられないとわかったら、案外このおばさんのように淡々と暮してしまうのかもしれない。
地球滅亡という極限状態の設定で、あくまでそういう普通の人々を描こうとする視点は好きだ。
ドッジとペニーというカップル
スティーヴ・カレルの演じるドッジとともに旅をするペニーをキュートに演じているのはキーラ・ナイトレイだ。
人懐っこくて明るいペニー役にキーラ・ナイトレイはぴったりのキャスティングだった。彼女の派手な顔立ちと豊かな表情が、ペニーという女性の持つ天真爛漫な明るいオーラを最大限に引き出している。
スティーヴ・カレルも地味な中年男性のドッジを好演していたが、ドッジの設定があまりに地味なので、どうしてもペニーの印象が強くなる。捨て犬のソーリーに優しいところや、周りに流されず自分のペースを守って生きているところなど、ドッジは確かに魅力ある男なのだが、主人公としてイマイチ弱い。ペニーがあの短期間でドッジを深く愛し始めることに、どうも説得力がない。ドッジがペニーに惹かれるのは、よくわかるのだけれど。
ドッジにあと一押しの魅力があれば、あの結末にもっとグッとくるものがあったような気がするので、そこが何とも惜しい。
地球の終わりを極めて明るく描いた今作。自分が死ぬ時のことなんて考えもしませんでしたが、地球が滅亡し人類が皆同じタイミングで死ぬのだとしたら、私は残された時間を明るく楽しく過ごすかなと思いました。
それぞれの考え方があり、それぞれの過ごし方があるので、あと数日しか生きられない世界でストレスを感じたり不満に思うのは嫌ですよね。
人生の最後を本当に愛する人と迎えられた二人はとても幸せだっただろうと感じました。(女性 30代)
静かな地球終末の物語。昨日と同じように仕事して生活して、案外これがリアルだったりするんですかね。”世界の終わりにより人は平等になった”という言葉が皮肉ですが、非常に印象に残りました。自分ならどうするかと考えてしまいますね。作品の二人のように、ほっこりポジティブに心穏やかに、笑って締められたら美しい人生でしょう。愛した人と過ごすのか、育ててくれた家族と過ごすのか、全員が思い通りに過ごすのは不可能ですよね。(男性 20代)
映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』 まとめ
“もしも地球が滅亡するとしたら最後に何がしたい?”という質問は、お酒の席などで盛り上がるネタとして使う人も多い。誰でも一度くらいは軽く考えてみたことがあると思うが、この映画を見ると、ちょっと現実的に考えてしまう。
多分自分も、住み慣れた我が家で日常を過ごすのが一番落ち着くし、そうありたい。真剣に考えるとやっぱり怖いので、心から愛する人の温もりに触れていないと平常心でいられる自信がない。
よくよく考えるとかなり切ない話だが、暗い気持ちになるような映画ではないのが本作のいいところ。一度鑑賞して“自分ならどうするか”をリアルに考えてみてはいかがだろうか。
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