映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は？

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』の概要：実話を基に制作されたNETFLIXオリジナル作品。元妻をレイプした上に傷害罪で起訴されてしまった息子を救うため、全てを投げ打って奮闘する母親だったが、家政婦が起こした事件によって、恐るべき息子の真実が明らかになる。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』の作品情報

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映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』の登場人物（キャスト）

アリシア（セシリア・ロス）

ダニエルの母親。裕福な家庭の奥様で、一人息子をこよなく愛している。そのため、息子の本当の姿を受け入れず、財産の全てを失ってしまう。非常に愛情深い女性。グラディスを家政婦として一人前に育てる。

イグナシオ（ミゲル・アンヘル・ソラ）

アリシアの夫でダニエルの父親。エンジニアとして働き高給取りであったが、現在は退職している。物事を現実的に受け止めることができ、息子に関しては早々に諦めている。

ダニエル（ベンハミン・アマデオ）

アリシアとイグナシオの息子。アリシアに甘やかされて育てられたため、全てを人のせいにして自分を正当化してしまう。薬物依存症となり悪行を重ねているが、罪の意識は薄い。

マルセラ（ソフィア・ガラ・カスティリオーネ）

ダニエルの元妻。非常に一生懸命で勇気のある女性。一人息子を大切に育てており、ダニエルの手から守っている。アリシアに協力してダニエルを再び留置場へ戻す。

グラディス（ヤニナ・アビラ）

アリシアとイグナシオの家に住み込みで家政婦をしている女性。一人息子がいるが、母親像を描けずアリシアに養育してもらっている。山奥にて虐待されて育ったため、頭は弱いが、素直で従順な上に非常に忠実。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』のネタバレあらすじ（ストーリー解説）

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』のあらすじ【起】

裕福な家庭の奥様であるアリシアは、その日もいつものように平穏な一日を送っていた。ところが、留置場にいる息子ダニエルから電話が入ったことで生活が一変する。
アリシアはすぐさま、夫のイグナシオと共にダニエルが収監されている留置場へ面会に向かった。

ダニエルは妻マルセラとの間に男児を1人儲けたがその後、離婚。その際の取り決めにて接近禁止命令を出されていたが、2年前に命令違反をした上に元妻へと暴力を振るったため、違反と命令により2年の執行猶予が出されていた。そして、今回は命令違反とマルセラをレイプした罪で逮捕され、留置場へ入れられてしまったのだ。アリシアとイグナシオは息子を助けるため、友人の弁護士に相談し、通常は半年から1年かかる訴訟を最短の2カ月で済むよう頼み込んだ。だが、前科持ちであるダニエルの釈放は難しいだろうと言われる。

アリシアとイグナシオの家には住み込みの家政婦グラディスがいる。彼女には幼い一人息子がおり、アリシアはその子を我が子のように可愛がっていた。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』のあらすじ【承】

ダニエルの裁判が開廷。ダニエルは一人息子に会えないのは、マルセラが理由をでっち上げて会わせないためだと供述。更に元妻には浮気癖があり弁護士が彼女の味方をしたのだと言う。加えてマルセラが自分をくず扱いするせいで、薬物依存症になってしまったと明かした。彼の話だけを聞くなら、確かに悲惨な境遇でありどん底にいる。アリシアは愛する息子の言い分を心から信じ、悪いのはマルセラだと思い込んでいた。

対してマルセラは、事業に失敗して無職になってしまったダニエルは育児も家事も満足にせず、就職先を探すでもなく酒を飲んで薬物に嵌り後に虐待するようになったと供述。虐待は次第にエスカレートし、マルセラを酷く苛むようになる。挙句に薬が切れると暴力を振るい、幼い息子にまで手を上げた。そこで、彼女は家を出て友人の元へ避難したのだった。

そうして、ようやく離婚が成立し、ダニエルから逃れられたと安堵したものの、2年前に再び彼の脅威に晒される。しかし、ダニエルは両親が助けたことで執行猶予だけで出所。マルセラは再び恐怖に苛まれることに。そして、今回の事件へと発展してしまったのだ。

どう考えてもダニエルの印象は悪く、訴訟に勝てそうにない。イグナシオは現実的で罪を認めて刑を軽めにしてもらうしかないと言うが、アリシアは決して折れない。彼女は息子が薬物依存でも暴力的でもないと言い張る。そこで両親は有能な弁護士に賄賂を送ってでも息子につけようと考えるのだった。

この頃、グラディスが腹痛を訴えていたため、アリシアは胃腸薬を渡している。
有能な弁護士との交渉も無事に成立したある夜、深夜にバスルームから物音がして目を覚ましたアリシアとイグナシオ。イグナシオは彼女を探してバスルームへ向かい、血塗れの惨状を目にしてしまう。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』のあらすじ【転】

そうして、グラディスは近親殺人の罪で逮捕された。彼女は野生の中で虐待されて育った経緯を持ち、あまり頭も良くない。一人息子の父親は近所の青年で彼女の妊娠を知るや姿を消した。ところが、彼女は再び妊娠し、その父親が誰なのかも話さない。グラディスはバスルームで出産し、産まれたての赤ん坊を窒息死させてしまったのだった。

そして、グラディスの裁判が開廷。彼女はバスルームで出産し、赤ん坊をタオルで包んだが、泣き声を上げさせないように包んでいた。争点はそれが、事故によるものか窒息死を目的にしたものかだ。グラディスが逮捕されてしまったため、残された幼子の面倒はアリシアが見ることに。そんな中、アリシアは家を売ってダニエルを救う資金を工面しようと言い出す。夫婦は口論となったが、呆れ果てたイグナシオはうんざりして家を出て行ってしまう。

グラディスの母親は彼女が幼い頃に亡くなっているため、母親像が上手く描けず産まれた息子は基本的にアリシアが育てていた。そこで、裁判では2回目の妊娠はレイプされた可能性が高いと証言が出る。しかもグラディスは2回目の妊娠に気付いておらず、突然の腹痛から子供が産まれてしまったことでショックを受けた可能性が高い。そのせいで、どのように対処したら良いか混乱してしまったのではないだろうか。

グラディスの裁判が続く中、家を売却して大金を得たアリシアはダニエルを釈放させた後、幼子を育てつつ忙しい日々を送る。ところが、ダニエルは保釈後すぐに母親の元を訪ね、事業を始めたいというもっともらしい話をして大金を強請るのだった。
グラディスの最終判決が下される日がやってくる。グラディスは判決が下される前、自分の人生は無意味なものだったが、息子は違う。故にアリシアに預けたいと告げた。彼女はアリシアが母親のように接してくれたことに心から感謝していると述べる。そうして、グラディスの判決は禁固18年と決定してしまうのだった。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』の結末・ラスト（ネタバレ）

それからしばらく後、アリシアは幼子が母親を恋しがっていることを知り、グラディスの刑務所へ面会に向かう。グラディスは元気な様子だったが、自分の息子をアリシアの養子にして欲しいと言う。更に彼女は驚くべき真実を語り始めた。

以前、家からお金が消えた日があった。グラディスが盗むはずがないので、不思議に思っていたアリシアだったが、グラディスの話では両親が不在の時を狙ってダニエルがやって来て、金を盗んだ挙句にグラディスをレイプしたらしい。しかも、彼は告げ口をしたら息子とグラディスを殺すと脅して去ったと言う。故に、彼女は2人目の子供の父親が誰なのか言えなかったのである。グラディスの2人目の子供は正真正銘アリシアの孫だったが、亡くなってしまった。故にグラディスは自分の息子をアリシアに捧げたいと言うのだった。

その話に愕然としてしまったアリシア。幼子を連れて帰宅したが、自分がしてしまった愚かな行為と愚息のせいで涙が溢れて止まらなかった。ダニエルと自分のせいで家も家財道具も全て売却することになり、次々と外へ運ばれて行く。

そこで、アリシアはグラディスのことを思い、彼女の減刑を訴え出ることにする。裁判でグラディスを擁護してくれた性犯罪研究者に協力を仰ぎ、控訴の準備を始めた。だが、グラディス1人だけの証言だと減刑は難しく、有力な証拠がなければ棄却してしまう。それは容易なことではなく、とても難しいことだった。

同時にアリシアは恥を忍んでマルセラを頼り、ダニエルを再び刑務所へ送ることに成功。留置場にいるダニエルは母親を頼って何度も電話を寄越したが、アリシアは心を鬼にして電話には一切出なかった。そのお陰もあり、マルセラと和解。アリシアは実の孫との大切な時間を取り戻すことができたのであった。

映画『ファミリー・クライム ある家族の過ち』の感想・評価・レビュー

始まりに実話に基づいた作品と出るが、最後にドイツの詩人で劇作家、演出家でもあるベルトルト・ブレヒトの『あかんぼ殺しのマリー・ファラー』から、一部抜粋した文章が出る。

今作は息子を盲愛するあまり、甘やかして躾けに失敗した挙句、財産を全て失う母親の姿が描かれている。幸い、母親は忠実で性根の良い家政婦によって真実を知り、目を覚ますのだが、とにかく息子が本当に最悪である。しかも、その息子のせいで家政婦は重い罪を背負ってしまうので、対比すると辛い現実と向き合うことになり、親の教育についてとても考えさせられる。息子の事件と家政婦の事件が交互に映され、同時進行していく流れとなっており、ちょっと混乱しそうになるが、中盤辺りからぐっと惹きつけられる魅力があった。（MIHOシネマ編集部）