映画『フィギュアなあなた』の概要:オタクで孤独な主人公。会社では無能扱いされ、付き合っていた女性からも見放されてしまう。そんな彼が夜の街で喧嘩に巻き込まれ、逃げた先のビルで理想の女性と巡り会う。だが、それはプラスチック製の等身大フィギュアだった。R18指定のラブストーリー。
映画『フィギュアなあなた』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ラブストーリー
監督:石井隆
キャスト:柄本佑、佐々木心音、竹中直人、風間ルミ etc
映画『フィギュアなあなた』の登場人物(キャスト)
- 内山健太郎(柄本佑)
- オタク気質でフィギュアを集めるのが趣味。出版社の編集部に所属しているも、無能扱いされ言いたいことも言えない性格。毎夜、フィギュアを相手に性欲を解消している。会社を辞めた後に心を病み、マネキンに愛を囁く生活を続けるようになる。
- ココネ(佐々木心音)
- サチコとアッキーナの店にいた精巧な作りのフィギュア。まるで人のような感触で時々、言葉を話す。戦闘能力は高い。可愛らしい容貌と豊満な肉体を持っている。
- ヨッちゃん(風間ルミ)
- レズビアンの女性で喧嘩がめっぽう強い。柄が悪く短気。執拗に健太郎を追いかけ、痛めつける。
映画『フィギュアなあなた』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フィギュアなあなた』のあらすじ【起】
出版会社の編集部に務めている内山健太郎は、部長から押し付けられた仕事をどうにかこなして本を出版したが、返品率70%を越えてしまったことで、経営会議にて無能を責められてしまう。だが、彼は言い返せない性質で一方的に責められるばかり。更には部長から総務部へ異動を命じられ、同じ部署に務める恋人とも上手くいかなくなってしまう。
翌日、出勤すると同僚達が自分のデスクを片付けている。部長に問い合わせると異動命令を出したのだから、さっさと去れと言われてしまうのだった。
ストレスの発散法と言えば、夜な夜な飲み歩き風俗店をハシゴ。酔っぱらって愚痴を吐き出す健太郎は、風俗嬢に乱暴を働き店から追い出されるのだった。
その帰り、ビルの階段で女性カップルとぶつかり絡んでしまう健太郎。相手はスーツを着た柄の悪いヨッちゃんという女性で喧嘩がとても強かった。怪我を負いながらもどうにか逃げ出した健太郎は、逃げ延びたビルの一室にて大量の覚せい剤を発見してしまう。早々に踵を返し部屋から出た彼は、ふと振り返って同じ階の店に目を止めた。その店はすでに閉店していたが、サチコとアッキーナという看板がかかっている。
中へ入るとマネキンが山と積まれていた。その中に人の死体を発見。本当に人間かを確かめた健太郎。だが、よくよく見るとそれは死体ではなく、限りなく精巧に作られたフィギュアだった。手触りも人と変わらず、可愛らしい女性である。更に彼の興味は下半身へ。陰部も実に精巧に作られていたが、さすがに性交部までは作られていなかった。
映画『フィギュアなあなた』のあらすじ【承】
その頃、ヨッちゃんは健太郎を追って同じビルの同じ階へ到達。あの覚せい剤の部屋へ入ってしまう。
一方、健太郎はというと、フィギュアの作りを丹念に確認中。胸を揉みしだき、1人でストーリーを展開。ついには、もよおしてしまい自慰に至ってしまう。
その時、隣室でヨッちゃんの怒声を耳にした健太郎。咄嗟に身を隠すも発見され、追い詰められる。ヨッちゃんとその恋人は思う存分、彼を痛めつけると去って行った。
血塗れになりながら、精巧なフィギュアへと寄り添って意識を失った健太郎だったが、ヨッちゃんの怒声に再び覚醒。ヨッちゃんは覚せい剤の部屋へ戻り、中にいた怪しげな男達3人と乱闘を開始。銃で撃たれてしまう。残されたヨッちゃんの恋人は、マネキンの店へ逃れて来るも男達に捕まり凌辱されてしまう。
健太郎は異変を察して物陰に身を隠し、それら一部始終を目撃。ヨッちゃんと恋人は銃殺され、更に健太郎まで見つかってしまう。男達に囲まれ窮地に追いやられたその時、彼はあの精巧なフィギュアが動き出す様を目にするのだった。
驚くべきことにフィギュアは3人の男達を、たちまちの内に倒してしまう。殴られても撃たれても、彼女はフィギュアであるために傷はついても怪我は負わない。フィギュアは奴らが持っていた銃を奪い、3人の男達を銃殺してしまった。
映画『フィギュアなあなた』のあらすじ【転】
そのままマネキンの店で夜を明かした健太郎。フィギュアの傷を確認。更に自分の傷が回復していることに気付き茫然とするも、出勤時間が迫っていることに一瞬、焦る。だが、もう会社に行かなくても良いのだと思い出した。
昨夜はヨッちゃんを含め5人の遺体がマネキンの山に積まれていたが、朝になって見てみると遺体が見当たらない。隣室へ向かうが、覚せい剤の痕跡も見当たらなかった。
どうなっているのか、分からなくなった健太郎。ふと、家に帰ろうと思い立つ。自分を助けてくれたフィギュアを抱きかかえ帰ろうとするも、これが異常に重い。どうにか抱えてビルを出た。
フィギュアを持ち帰るのに日が暮れる。彼女の身体は動かないが、言葉は時々交わせることが分かった。健太郎は彼女にココネと名付ける。
その後、就活のために何社もの面接を受けたが、健太郎を雇ってくれる会社はなかなか見つからなかった。どうやら辞めた会社から、彼に関しての噂が流れているらしい。
健太郎は献身的にココネの世話をしながら生活を続けた。
生活費はまだあったが、収入がない。そのために健太郎は競馬レースに賭けて収入を勝ち取ろうとしたが、結果は惨敗。もうお終いだと絶望に駆られた彼は、衝動的に自殺しようとする。しかし、ここにきてココネが動き出し、彼の自殺を阻止。
映画『フィギュアなあなた』の結末・ラスト(ネタバレ)
彼女が言葉を話すのも、全て自分の妄想だと思っていたが、どうやらそれは違ったようだ。彼女は健太郎に乱暴されそうになり、部屋の中を逃げ出した。その時、健太郎は彼女の陰部に挿入部ができていることを発見。フィギュアだと思っていたが、実は人間なのか。
健太郎は衝動的にココネを抱いてしまうのだった。
その後、ココネを着飾っては性交に耽る健太郎。真面目に働くこともせず、賭け事で一発当ててから仕事を探すと言う。彼女はひたすらに彼を励まして勝負へと送り出すのだった。
しかし、結果はまたも惨敗を色濃く滲ませる。粘りに粘った健太郎。最後の大勝負で勝利を収める。彼は大金を手にし、帰宅の途に就いた。
大喜びで町を駆ける健太郎。途中、道路を横切る際、ココネにそっくりな女性を助ける。その後、ようやく帰宅するも部屋のどこにもココネの姿は見当たらなかった。彼女は健太郎に何も言わないまま、家を出て行ってしまったのだ。肩を落とす健太郎だったがその時、どこからか歌声が聞こえてくる。その声がココネに似ていることに気付いた健太郎は、歌声が聞こえるマンションの屋上へ向かった。
果たして、そこにはバレリーナの衣装を纏ったココネが歌を唄い、舞を踊っている。しばし、その光景に見入っていた彼は成果の報告をして彼女と笑い合い、一緒にダンスを楽しむのだった。
ココネと結婚し、会社にも嘱望され誰からも祝福される幸せな人生を夢見ていた健太郎。彼はココネによく似た女性を助け、トラックに轢かれてしまった。それでも帰宅した健太郎は、自宅にて横たわるただのマネキンをココネと呼び愛を囁くのだ。
映画『フィギュアなあなた』の感想・評価・レビュー
エロが含まれるファンタジーというカテゴリーになっているが、どちらかというとVシネにとても近い作品になっていて普段そういう作品を観ることに抵抗がある人にはおすすめできない作品になっている。こういう作品を見るときにいかに現実的に考えずに観ることが出来るかが大切だと個人的には思っている。
柄本祐は本人が以前、このような作品が好きだと言っているのを観ていたからか、普段出ている作品よりもこの映画の役はハマっているように感じた。(女性 20代)
石井隆監督が自ら原作・脚本を手掛けたR18+指定作品。主演に榎本佑が演じているが、彼独特の演技が光っている。
今作の内容にはかなりのエロスが含まれており、更にマネキンを愛でた挙句、擬人化してしまうという特殊な性癖が描かれる。苦手な人には受け付けられないだろうジャンルだと思うし、実際自分もかなり引き気味で観た。主人公の境遇や性格的な面には同情するが、孤独ゆえの所業に心を病んでいるとしか思えず、心理的にも奥深くまで踏み込んで描かれているので、エスカレートしたその先が気になって最後まで進んでしまう。ある意味、怖いもの見たさという心理が働いたのかもしれない。嫌いじゃないが、鑑賞するにはそれなりの覚悟が必要になる作品。(女性 40代)
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