映画『ガルヴェストン』の概要:裏社会に生きてきた男と体を売って生きる女が命を狙われたために逃避行を繰り広げる様子を描いた犯罪ドラマ。『イングロリアス・バスターズ』で有名な女優メラニー・ロランがメガフォンを握る。
映画『ガルヴェストン』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:フィルムノワール
監督:メラニー・ロラン
キャスト:ベン・フォスター、エル・ファニング、リリ・ラインハート、アデペロ・オデュイエ etc
映画『ガルヴェストン』の登場人物(キャスト)
- ロイ(ベン・フォスター)
- 裏社会で生きてきた中年の男。病気で余命がないと思い込んでいる。恋人を寝取られた上にボスの差し金で殺されそうになり。ロッキーと共に逃避行を繰り広げる。
- ロッキー(エル・ファニング)
- コールガールとして働く若い女。継父に虐待を受けてきた。ティファニーという名の娘がいるが、周囲には妹だと偽る。
映画『ガルヴェストン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ガルヴェストン』のあらすじ【起】
ニューオーリンズで医師から肺に影があると指摘されたロイは、最後まで説明を聞かずに病院を飛び出してしまう。そしてアジトで、ボスから裏切りそうな仲間を脅すように命じられる。ロイは激しく咳き込みながらも銃をブーツに忍ばせ、仲間の家に向かう。そこには何者かが待ち受けており、ロイのことを襲ってきた。ロイは相手を銃で撃ち殺すと、家に拘束されていたロッキーを助け出し、書類の束を奪って逃げる。実はボスがロイの恋人と関係を持っており、ロイを消そうとしたのだ。エスコートとして稼ごうとしていたロッキーは運悪くその場に居合わせただけだった。
ボスの手から逃れるためにロイはロッキーを同乗させて逃避行を始める。2人は途中でバーに立ち寄ってお酒を飲み、モーテルで休息を取る。翌朝、ロイは奪った書類がボスの犯罪の証拠であることを気付く。その後、ロイは激しい咳きに見舞われ、血を吐いてしまう。2人は新しい車を調達し、車中泊をしながらロッキーの故郷のオレンジ郡を目指す。
映画『ガルヴェストン』のあらすじ【承】
ロッキーはオレンジ郡の自宅に立ち寄る。ロイが車内で待っていると、銃声が響き、ロッキーが少女を抱きかかえて車に逃げ込んでくる。ロッキーは少女が妹のディファニーで、継父を脅しで撃ったと説明する。3人はそのまま車を走らせ、ガルヴェストンのモーテルに身を寄せることにする。モーテルのオーナーは3人の関係を怪しみながらも、部屋を貸す。3人は海を見たことのないティファニーのために海岸まで水浴びに出掛け、ティファニーはロイに懐くようになる。
モーテルに泊まる若者がロイをビールに誘い、一緒に近く診療所から薬を盗もうと持ち掛けてくる。しかし、ロイは申し出を断る。ロイは医師に電話をして、余命がいつまでか聞こうとする。医師は電話口で説明しようとせず、ロイは怒って電話を切る。翌朝、ロイはロッキーの継父が射殺されたという新聞記事を目にする。そしてロイはロッキーとティファニーをモーテルに残し、車で去ってしまう。ロイはその足で昔の恋人を訪ねるが、冷たくあしらわれる。
映画『ガルヴェストン』のあらすじ【転】
ロッキーはモーテルの住民に子守を頼み、生活のために再び客を取り始める。ロイはモーテルに戻り、オーナーに叱責されてロッキーの状況を知る。ロイは若者にロッキーの居場所を聞こうとし、若者から継父殺害の新聞記事を読んだと脅される。そこでロイは仕方なく盗みの件を引き受ける。そして、夜中に若者と待ち合わせると、若者を絞殺する。ロイは部屋に戻ったロッキーに詰め寄り、ロッキーはそこでティファニーが妹ではないことを明かし、継父に虐待されていた過去を語る。
ロイはボスに電話し、証拠書類と引き換えに大金を引き渡すように脅す。ロイはロッキーとティファニーを再び海に連れて行くと、モーテルの住民にいざという時はティファニーの面倒を見てほしいと頼む。ロイはロッキーを2人だけの夕食に誘い、お金が手には入ったら勉強をし、人生をやり直すように勧める。2人はバーで一緒に踊り、幸せな一時を過ごす。しかし、浜辺を一緒に散歩していた時にボスの一味により、拉致されてしまう。
映画『ガルヴェストン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ロイは暴行され、医師への電話で居場所がばれたことを知る。殴られてぐったりしたロイの元に恋人が駆け寄ってきて、ロイの拘束を解く。ロイはロッキーを捜し出そうとし、無残に殺されたロッキーの遺体を目の当たりにする。ロッキーは見付からないようにしながらアジトを抜け出し、外にいたボスの仲間を殺して車で逃げ去る。しかし、直ぐに事故を起こしてしまう。
病院で目覚めたロイは医師から肺の病が命に関わるものではないことを告げられる。ロイはボスを告発したら、ティファニーに危害が及ぶと脅され、自分だけ刑期を務めることにする。20年後に出所したロイの元に成人したティファニーが訪ねて来る。ティファニーはロイとロッキーに捨てられた理由を知りたがり、ロイはロッキーがティファニーの姉ではなく母親だったことを打ち明ける、そして決して捨てられた訳ではないと説明する。ハリケーンが近づいて危険なことからロイはティファニーを帰らせ、嵐が吹き荒れる中を一人で海辺に向かう。
映画『ガルヴェストン』の感想・評価・レビュー
傑作ドラマ『True Detective』の脚本家ニック・ピラゾットによる犯罪小説の映画化で、小粒な良作に仕上がっている。エル・ファニングが漂わせる儚さが作品に深みを与え、詩的な雰囲気が醸し出されている。しかし、傑作と見なすには何かが欠けている。追跡する側も描かれていたらロイとロッキーに迫り来る危機が一層鮮明になっただろうし、ロイとティファニーが心を通わせるシーンがもっと盛り込まれていたらラストシーンが更に効果的だった気がする。(MIHOシネマ編集部)
アメリカ映画らしくなく、そこはかとなく陰鬱な雰囲気です。監督がフランスの方だと知り合点しました。静かに淡々と流れていくストーリー、クラシカルな音楽、そして程よい余白。心の隅に残る作りだと感じます。さらには、ベン・フォスターの悲哀感に徐々に引き込まれていきます。ハリケーンで何度か甚大な被害を受けてきた、ガルヴェストンという港町。この町で人生をやり直そうと希望を抱くものの、衝撃的な悲劇が襲いかかる。最後の展開が余りに切なく、胸を締め付けられました。(女性 30代)
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