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映画『ガンジスに還る』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ガンジスに還る』の概要:自分の死を感じ取ったダヤは解脱の聖地バラナシへと行きたいと家族に告げた。仕方なく息子のラジーヴは父に付き添い、二人はバラナシにある解脱の家に辿り着く。そこにはガンジス河で死を迎えようとする者たちが集まっていた。

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映画『ガンジスに還る』の作品情報

ガンジスに還る

製作年:2016年
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:シュバシシュ・ブティアニ
キャスト:アディル・フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニー、パロミ・ゴーシュ etc

映画『ガンジスに還る』の登場人物(キャスト)

ラジーヴ(アディル・フセイン)
ダヤの息子。仕事人間でいつでも携帯で仕事の話ばかり。突然に解脱を考え始めた父に振り回される。ラタという妻、婚約中の娘スニタがいる。
ダヤ(ラリット・ベヘル)
自分の死期を感じ、解脱を考える老人。妻は他界しており、息子夫婦と暮らしている。元教師であり、本を出版したこともある。
ヴィムラ(ナヴニンドラ・ベヘル)
解脱の家に18年住み続ける老婆。死の気配は全く無く、自分から死のうと努力したこともあるが未だにお迎えが来ていない。

映画『ガンジスに還る』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ガンジスに還る』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ガンジスに還る』のあらすじ【起】

毎夜の如く少年期の夢を見ているダヤは、いつしかそれが死の予兆であると考えるようになる。ある朝、彼はそのことを家族に告げ、解脱の地である聖地バラナシへ行きたいと言いだした。

ダヤの息子のラジーヴは父の言うことに理解を示さなかった。バラナシへ行くにしても、年老いたダヤを一人で行かせるわけにもいかず、付き添いは必要不可欠だ。ラジーヴは仕事人間で会社を休みたくなかったが、ダヤは行くと言ってきかなかった。父に押し切られたラジーヴは、しぶしぶダヤとバラナシへの旅に出かける。

バラナシにある“解脱の家”に辿り着いた二人。管理人兼僧侶のミシュラから15日間の滞在を許される。解脱の家にはガンジス河の畔で死を待つ者たちでいっぱいだったが、その誰もが楽しそうに死を待っていた。

ダヤは解脱の家に住んで18年になるというヴィムラと知り合いになる。彼女は夫と共に死を迎えようとこの家に来た。夫は亡くなってしまったがヴィムラにはまだ迎えがくる気配もない。ダヤとヴィムラはすぐに打ち解け、仲良くなっていった。

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映画『ガンジスに還る』のあらすじ【承】

何日も仕事を休めないラジーヴはすぐにでも帰りたいと思っていた。彼は食事中も携帯を片手に仕事の話ばかり。食事は自炊しなくてはならずラジーヴが作ったのだが、美味しくないとダヤに文句を言われる始末。死ぬ時期など誰にも分からない、こんなことは馬鹿げていると言うラジーヴに、今帰ったら必ず後悔するだろうとミシュラは言った。

バラナシに来てから、ダヤは自分の好きなことや興味があることをどんどんとやっていった。教師だった彼は物書きでもあり、朝にはガンジス河の畔でペンを走らせた。ダヤは泳げなかったが沐浴にもチャレンジする。誰かが亡くなると新聞に死亡広告が出るのだが、その文章のあまりのお粗末さに、自分の死亡広告は自分で書くと言って周りを笑わせた。

ラジーヴはダヤを父として尊敬はしていたが、教師だったことで辛い少年時代を過ごしたと感じていた。そのせいでダヤとの間には少し距離ができてしまっていた。

ある日、ダヤが熱を出して寝込んでしまう。ラジーヴは医者を連れてこようとするが、ダヤはそれを制し、ガンジスの水を汲んできてくれと頼んだ。ダヤの死期が近づいたことを察したラジーヴは、妻のラタと娘のスニタにすぐにバラナシに来るように連絡する。

明日の朝までダヤは持たないかもしれない。ラジーヴはダヤを抱きしめて別れを惜しんだ。しかし、翌朝になってみるとダヤはすっかり元気を取り戻していた。熱も引いており、ラジーヴの心配は杞憂に終わる。

映画『ガンジスに還る』のあらすじ【転】

ラタとスニタが到着し、家に帰ろうとダヤを説得した。だが、ダヤは帰ろうとしない。ラジーヴはラタに食事の作り方を教わり、その日はラタのおかげで美味しい夕食にありつけた。ラジーヴは家族について知らないことばかりだった。家にはダヤのスクーターがあったが、それをスニタが乗っていることを初めて知り驚く。

ダヤはスニタを連れてヴィムラと買い物に出た。三人はバング(大麻)入りのラッシーをこっそりと飲んで笑いあった。夜には皆でボートに乗り、ガンジス河のお祭りを見物。ダヤとスニタは多いに楽しんでいたが、ラジーヴとラタは終始呆れたように二人を眺めていた。

滞在して15日が経ったがミシュラはまだ居てもよいと言いだす。ラタとスニタは去って行ったが去り際、ダヤはスニタに囁いた。彼女は婚約しているのだが、それは両親のためだった。迷いの中にいる孫にダヤは、心の声に従えとアドバイスをしたのだ。

スニタが結婚を迷っていることをラジーヴに告げると、私には無関心だったとラジーヴに言われてしまうダヤ。ヴィムラと散歩中、ダヤは彼女から聞かされる。死は心からやってくるのだと。

夕食を作ったダヤは、食事中も仕事をするラジーヴを散歩に誘い、ガンジス河の畔で話をした。なぜ解脱を感じたのかと問われたダヤは、生きることに疲れたのだと返した。来世もまた同じ家族に生まれ変わりたいかとラジーヴが尋ねると、人間でなくライオンかカンガルーになりたいとダヤは答えた。笑いあう二人の間には、久しぶりに親子としての時間が流れていた。

映画『ガンジスに還る』の結末・ラスト(ネタバレ)

ラジーヴはラタのおかげで料理が上手くなった。だが、ダヤの助言のせいかスニタから結婚しないと連絡が入り悩みの種は尽きることがない。何日も仕事を休んだため上司からは怒鳴られ、ラジーヴは苛立ちと悔しさを募らせていく。

ヴィムラはいつしかダヤの隣で眠るようになっていた。そんな時、ヴィムラが解脱した。彼女に死の気配は全くなく元気そのものだったが、ぽっくりと亡くなってしまったのだ。ダヤは彼女のために死亡広告の記事を書く。

ヴィムラの死後、ダヤの心は決まったようだった。ダヤはラジーヴに、お前は行きなさい、と家族の元へ戻るように言った。ラジーヴは嫌がり父のそばにいることを願ったがダヤは頑としてそれを拒否し、独りで逝かせてくれとラジーヴに告げた。

戸惑いながらも、翌朝にはダヤに見送られて自宅へと戻って行ったラジーヴ。だが、ラジーヴの心はすっかり上の空で、食欲もなく、仕事にも手がつかなかった。しばらくして、ダヤが亡くなったという知らせがくる。彼が亡くなったのは解脱の家に住み始めてから28日目のことだった。

遺品を整理しに解脱の家を訪れたラジーヴたち。スニタはダヤのノートを見つけた。そこには自分のための死亡広告が書かれていた。二人はそれを読むと、笑いながら泣いた。

ラジーヴはダヤの遺体を担ぐとガンジス河へと向かった。葬列は皆、歌い、手を叩き、明るさに包まれていた。ダヤは皆の歌声と手拍子に送られながら、あの世へと旅立っていった。

映画『ガンジスに還る』の感想・評価・レビュー

日本で言うところのホスピスや介護施設を舞台にしたドラマと表現できるかもしれないが、解脱という概念がとても民族的、宗教的で大変興味深い。この手の話は暗く、湿っぽくなりがちだがインドという文化的背景もあって、とても明るくコメディ調に作られているのに好感が持てる。それでも最後には別れの寂しさや悲しさが胸を突くよう構成されたストーリーは、オーソドックスながら見事としか言いようがない。(MIHOシネマ編集部)


「解脱」とは何か、何故「ガンジス川」なのかなど宗教的な要素が強く簡単に理解できない部分がとても多かったです。しかし、この行為や場所の意味を知るとそれがとても「深く」「神聖」な物なのだと感じました。
自分の「死」を感じた男が息子と共に向かったのは「解脱の家」。死は恐怖でなく、当たり前のもので「旅立ち」だと言う考え方が私はとても素敵だと感じました。その旅立ちを安らかで穏やかなものにするために「解脱の家」はありました。
旅立つ人と、見送る人。どちらの気持ちもありのままに描かれていて、その自然な雰囲気が見る人の心を癒してくれるような気がします。(女性 30代)

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