映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の概要:ケネディ大統領の元、副大統領に指名されたリンドン・ジョンソン。だが、ダラスを訪れた際、ケネディが暗殺されてしまう。彼の死と同時に大統領に昇格したジョンソンは、ケネディの意志を継ぎ、公民権法案を成立させようと奮闘する。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:ロブ・ライナー
キャスト:ウディ・ハレルソン、マイケル・スタール=デヴィッド、リチャード・ジェンキンス、ビル・プルマン etc
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の登場人物(キャスト)
- リンドン・B・ジョンソン(ウディ・ハレルソン)
- 上院院内総務の職に就いていたが1960年に大統領候補に立候補。惨敗はしたがケネディから副大統領の指名を受け、それを承認。1963年、ダラスでケネディが暗殺され、副大統領から大統領に昇格。南部出身のため人種差別の中で育っており、公民権には反対派だったが、ケネディ亡き後は彼の意志を継ぐことを決め、一転して公民権獲得のために行動する。
- ジョン・F・ケネディ(ジェフリー・ドノヴァン)
- 第35代合衆国大統領。甘いマスクで支持を得ていたが、人種差別の問題を解決しようと積極的に行動していた。公民権法案を成立させることを国民に約束していたが、1963年、志半ばで銃弾に倒れ、死去。
- ロバート・ケネディ(マイケル・スタール・デヴィッド)
- ジョン・F・ケネディの弟で司法長官。リンドンを嫌っており、事あるごとに衝突を繰り返す。1968年に大統領候補に立候補したが、その最中に兄と同じく暗殺された。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』のあらすじ【起】
1959年、テキサス出身の上院院内総務リンドン・B・ジョンソンはその長いキャリアと見事な手腕で高い支持を集めていた。世間は翌年の大統領選で湧いており、中でもダントツで人気を集めているのは若き政治家ジョン・F・ケネディだった。しかし、カトリックの彼に対して懸念する者も多く、リンドンの立候補を渇望する者も少なくなかった。だが、彼は大統領に立候補しようとは露程も考えていなかったのである。
1960年、リンドンに立候補してほしい熱が高まっていた。リンドンも大統領に興味が無かったわけではない。ただ、その自信が無かったのだ。しかし、世間と仲間たち、そして、妻の後押しから遂に立候補を決意する。
党大会が開かれたがリンドンはケネディの前に惨敗し、民主党大統領候補はケネディが指名された。注目はケネディが副大統領として誰を選ぶのか。彼が選んだのは、なんとリンドンだった。ケネディはリンドンの経験から得た知識と才能を高く評価しており、また、南部出身のリンドンを味方に付ければ、南部票も獲得できると考えていた。
ケネディの弟で司法長官のロバートはリンドンを嫌っていた。リンドンの所に直接出向き、兄の申し出を断ってほしいとまで言うほどだった。副大統領のポストについては、仲間たちからも反対意見が出た。副大統領が大統領に昇格することは難しく閑職に等しかった。だが、今のまま院内総務を続ければ力を保持することができる。しかし、リンドンの腹は決まっていた。彼はケネディの下で副大統領として尽力する決意をしていたのだ。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』のあらすじ【承】
大統領選挙が行われ、ケネディはニクソンに僅差で勝利し、第35第合衆国大統領に就任する。就任演説でケネディは言った。“私の仕事は100日、1000日、就任中、または死ぬまで成し遂げることができないかもしれない。それでも、ここから始めていこう”と。
ロバートを含め、多くの者たちがリンドンを快く思っていなかった。だが、そんな彼らをケネディは諭す。リンドンに何か打ち込めるものを与えようと考えた結果、大統領雇用期間均等委員会の仕事を任せることにした。ケネディは兼ねてより人種問題を解決するため、公民権運動に力を入れており、その委員会は公民権法案を成立させるために大きな役割を担っていた。
同じ党内だというのにケネディ側の北部と南部の議員たちは公民権で揉めていた。南部では人種差別の意識が強く、黒人に人権を与えたくない議員も多くいた。南部出身のリンドンはそれを逆手に取り、公民権で分断された支持派と反対派のパイプとなることで評価を得ようと考える。
輸送機の製造をロッキードのジョージア工場に任せようと考えたリンドンだったが、そこは南部。幅を利かせるのはラッセル上院議員で、彼は公民権法案に反対派だった。リンドンは彼に、仕事を回すので白人と黒人が共に働ける職場環境にしてほしいと説得。ラッセルは嫌がったが、1963年には従業員の半分を黒人で採用してくれた。しかし、公民権法案には相変わらず拒否を示し、もしケネディが法案を制定しようと行動を起こすなら全力で潰しにかかるとリンドンに宣戦布告した。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』のあらすじ【転】
人種差別による暴力や暴動が活発になってきた。公民権法案の提案はまだ為されていなかったが、ロバートは今すぐに提案すべきだと主張した。しかし、リンドンは時期尚早だと反対。今、提案したとしてもラッセルたち南部の議員を敵に回し、廃案となるのは目に見えていると。
リンドンはラッセルとは同じ南部出身ということで長い付き合いだった。ケネディの下で公民権を支持するリンドンのことをラッセルは残念に思っていた。かつてのリンドンは公民権法案に断固として戦う反対派で、この男なら南部の魂を引き継いでくれると思っていたからだ。
考えた挙句、ケネディは公民権法案を提案することをメディアで発表した。翌朝、リンドンはケネディに会いに行ったが、そこにいたのはロバートだった。冷たい態度のロバートにリンドンは思わず、私を副大統領のポストに置き続けて力を奪い、1968年の大統領選に出馬する気だな、と本音を言ってしまう。だが、ロバートは呆れて部屋を出て行くばかりだった。
1963年、テキサス州ダラスを訪れたケネディ夫妻とリンドン夫妻は、オープンカーに乗り込んで町を走り抜けた。だが、その途中で銃声が響き、ケネディの頭部に命中。現場は騒然となり、車はそのまま病院へと直行した。
リンドンは側近が促すのを制し、そのまま病院で妻と待機した。だが、しばらくしてケネディが亡くなったという知らせが来る。その時点で、リンドンは大統領に昇格。国民に対して現状を報告するためには大統領に就任したという宣誓が必要となる。リンドンはエアフォース・ワンの中で、ケネディの妻ジャッキーや仲間や妻と共に宣誓し、正式に大統領に就任した。
突然に大統領になったリンドンは大忙しとなった。悲劇に悲しむ暇もなく、彼は現政権が転覆しないように根回しの電話をかけまくった。ラッセルが南部の議員を連れてホワイトハウスを訪れてきた。南部出身の大統領の誕生に彼は大いに期待しているようだった。
政務を滞らせないように早急に対応するリンドン。だが、その態度が冷たいと感じる者も少なくなかった。ロバートも、兄に対する哀悼の気持ちはないのかと不服を漏らした。だが、リンドンは悲しみよりも政務の安定を維持することが大切だと思っていた。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の結末・ラスト(ネタバレ)
問題となったのは今後、どうしていくかだ。ケネディとリンドンでは考え方や支持者も真逆。リンドンは強制的に大統領を引き継いだに過ぎず、任期はあと1年。次の大統領選で勝利するとは限らない。世間ではロバートのほうが人気で支持されている。側近たちは話し合い、リンドンが結果を出せなければ次の大統領選ではロバートを推していこうという意見がまとまりつつあった。
大統領になることは子供の頃からの夢だった。だが、暗殺という形で就任することになり、錯綜する現状から少し弱気になるリンドン。そんな彼を妻は優しく励まし、あのケネディから指名されたのだから自信を持っていいと背中を押す。
意を決したリンドンは側近たちの所へ行くと、ケネディが携わっていたことを丸ごと引き継ぎたいと話した。てっきり公民権法案には反対だと思っていた側近たちは面食らったが、今やリンドンは公民権を是が非でも勝ち取るつもりでいた。
大統領執務室はリンドンの仕様に模様替えされた。ケネディの演説の原稿を担当していたテッドが呼ばれ、明日の上下両院合同会議の場での演説原稿を書いてくれという指示が下る。
リンカーン大統領の時代から100年、リンドンは今こそ人種差別を打ち砕き、国民すべてに平等の権利を与えるために動き出した。考えを変えたリンドンにラッセルは驚愕し、激怒した。だが、リンドンは一歩も怯まず、あなたはレイシストだと反論すると絶対に公民権を勝ち取ると宣言した。
議会に顔を出したリンドンは大統領として拍手を受けた。彼はテッドが書いた原稿を読んだ。ケネディの死は悲しいが、我々が成すべきことはそれを乗り越えて、彼が進めていた公民権を勝ち取ることだと強く訴えた。彼はケネディの就任演説を引用し、“1000日、就任中、死ぬまで成し遂げられないかもしれないが、彼は始めようと言った。私たちはそれを続けていこう”と言い、会場は拍手で埋め尽くされた。
ケネディの意志を継いだリンドンは公民権を成立させ、1964年の大統領選ではバリー・ゴールドウォーター議員を破り、圧倒的投票率で勝利した。その後も貧困層に向けた法案をいくつも成立させた。だが、長引くベトナム戦争により、支持率は徐々に低下していく。1968年、リンドンは次期大統領候補として出馬しない意向を表明。現時点で、再選に立候補しない選択をした最後の議員となっている。
映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の感想・評価・レビュー
とてもシンプルで簡潔なストーリー。リンドン・ジョンソンという人物の複雑性は出すことはできていないかもしれないが、作品が伝えたいことはそこではないと思う。ケネディが暗殺され、突如として大統領にされてしまった一人の男が、どうやってそこから状況を立て直したのかという部分を描きたいのだと。公民権成立はアメリカにとって大きな転機だったはず。だが、本国ではヒットしなかったそうで、なんとも複雑。実話を映画化するのは難しいと痛感した。(MIHOシネマ編集部)
大統領が暗殺されてしまい、いきなり大統領へと昇格することとなった副大統領のお話。ケネディ大統領はもちろん知っていましたが、彼の後任である「リンドン・B・ジョンソン」がどんな人物なのか、むしろ後任が誰なのかも知りませんでした。
自分自身も大統領選に出馬しケネディと戦っていたライバルでありながら、ケネディの暗殺後、自分自身が大統領となった際には、自分の意見ではなく国民のために人種差別を無くそうとしていたケネディの意思を受け継ぎ、尊重して大統領として邁進していく姿を知ると、素晴らしい人だったのだなと感動しました。(女性 30代)
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