映画『GF*BF』の概要:学生時代を共に過ごした1人の女性と2人の男性の友情と恋愛を、時代を超えて描く一作。主演のグイ・ルンメイとジョセフ・チャンは映画祭での賞を受賞し、注目を浴びるきっかけとなっている。
映画『GF*BF』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
監督:ヤン・ヤーチェ
キャスト:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン、チャン・シューハオ etc
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映画『GF*BF』の登場人物(キャスト)
- リン・メイバオ(グイ・ルンメイ)
- 男勝りな女子水泳部の代表。厳しい教官の目を盗んで、夜市に出るなど学生時代から自立している。就職後もキャリアを重ねるが、シンレンとの関係を切れずにいた。
- チェン・チョンリャン(ジョセフ・チャン)
- 学生時代はメイバオとの関係を噂されていたが、実際は同性愛者であることを明かせずに過ごしていた。就職後、同じ境遇にいるメイバオと再会し、意思を継ぐ決意をする。
- ワン・シンレン(リディアン・ヴォーン)
- 学生時代は広報部に所属し、両親と同じく思考の主張を続けていた。学生運動にも熱心だったが、就職後は権力に身を委ね意思表示する野望を抑え込んでしまう。
映画『GF*BF』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『GF*BF』のあらすじ【起】
2012年、娘たちが騒動を起こしてしまい学校に呼び出されたチョンリャン。形式上は「兄」であるが、事実「父」として育ててきたことに迷いはなかった。
1985年、台湾は戒厳令下に置かれていた。高雄という町で高校生活を送っていたチョンリャン。水泳部の仲間、メイバオと禁止されたお菓子を共有する仲だった。男勝りなメイバオ率いる女子水泳部員は、時折いたずらを仕掛け広報部のシンレンにネタを提供している。学校内での危険分子探しは、良い点数稼ぎだったからである。表向きは厳しい殷教官に協力しているフリをするメイバオ。実はチョンリャンと一緒に夜店で発禁本を売って小遣い稼ぎをしていた。夜店でショーをして生計を立てる母親の稼ぎだけでは、生活が厳しいからである。チョンリャンはメイバオに代わって母親から生活費を受け取ってあげているのだった。
厳しい戒律や思想統制の中で生きる、チョンリャン・メイバオ・シンレンは隠れて渓谷で遊んでいた。メイバオの好意に気付いていたチョンリャンだったが、シンレンの前では気持ちに応えることは避けていた。
広報部のシンレンは特に殷教官に目を付けられていた。反抗すると教官たちから酷い暴力を受けるため、時には髪を刈られることもある。その日も、新聞に隠したメッセージが見つかってしまい、髪の毛をボロボロにされてしまう。丸刈りにするのは負けた気がすると強がるシンレンに対して、メイバオは自分の髪の毛を少し刈り上げ、気持ちを軽くしてあげるのだった。
映画『GF*BF』のあらすじ【承】
体調が優れないメイバオの手を取って寄り添うチョンリャン。シンレンはその夜、友人を集めて遊ぼうと声をかけに来た。少しの現実逃避は、友人たちを解放し夜な夜な踊り明かす。そんな姿を見たシンレンは一人で反抗するのではなく皆で「民意」を作ろうと話した。
不意にシンレンの煙草を取り上げたチョンリャンに「彼女に怒られるぞ」と声をかけるが、メイバオとは元々何もないと返してしまうのだった。そしてその夜から別の後輩と付き合い始める。チョンリャンの気持ちを知ってしまったメイバオ。シンレンは「俺にしとけ」と告白するのだった。いつも通り夜市に行くと、メイバオの母親は金を持って逃げたことを知らされた。気を落とすメイバオに寄り添ったのはチョンリャンではなく、シンレンであった。
ある日、広報部が主導で司令台に落書きをして反抗運動を起こした。殷教官の目を盗んで発行した新刊にとメイバオが教官たちの目を盗んでかけた音楽は、学生たちの気持ちを大きく動かした。追ってくる教官から逃げるメイバオは転んでしまう。手を差し伸べたのはシンレン。チョンリャンへの気持ちを拭えず、涙を浮かべるメイバオをシンレンは抱き寄せた。その様子を見ていたチョンリャンもまた、涙をこらえながら立ち去るのだった。
映画『GF*BF』のあらすじ【転】
1990年、大学生になったチョンリャンとシンレンは一緒に暮らしていた。メイバオはダンスのインストラクターとして働き始め、シンレンとは遠距離恋愛を続けていた。学生運動に夢中なシンレンの様子を伺おうと、抜き打ちで会いに来たメイバオ。
誕生日プレゼントに欲しがっていたスニーカーを買って、シンレンの居る広場に向かったメイバオ。堂々とスピーチするシンレンの姿に惚れ惚れするが、写真を撮る怪しい男の存在に気付いてしまった。「民主」の名のもとに貫く正義でも警察の前には無力なのである。
無理やりシンレン達を家に連れ帰したメイバオ。酔いつぶれたチョンリャンを介抱し、ベッドの下から自分が買ったスニーカーと色違いの物を見つけてしまった。チョンリャンは誕生日祝いを用意していたのである。目覚めたチョンリャンはすぐに広場へ向かった。その目的はメイバオが見つけた男に会いに行くことである。
そして、シンレンも広場へ戻っていった。忘れ物を届けようとしたメイバオは、広場で女子学生と会うシンレンの姿を目撃してしまい、すぐに状況を察した。堪え切れない涙を流しながら、その場を去っていくのだった。
シンレンと一緒に過ごそうと、台北に引っ越しを決めたメイバオ。その時、実はシンレンは小さな事件を起こしてしまい大学を退学し、すぐに兵役に行くことになっていた。シンレンを送り出そうとルームメイトがパーティーを開いてくれた。ゲーム中にシンレンからキスを迫られたチョンリャンが拒否する姿を見たメイバオは、チョンリャンの秘めていた本音を確信するのだった。
映画『GF*BF』の結末・ラスト(ネタバレ)
1997年、チョンリャンとはすっかり疎遠になっていたメイバオとシンレン。同級生の結婚を機にチョンリャンと連絡を取ったメイバオは、シンレンの子供を授かっていた。しかし、シンレンは他の女性の元に婿養子として嫁いでいるのである。実は卵巣に腫瘍を抱えているメイバオ。胎内の子供と一緒に腫瘍も大きくなっているのだった。
偶然、病院でメイバオを見かけたチョンリャンは声をかける。一緒に居たシンレンも交えて食事をした3人。シンレンへの気持ちを抑えきれないチョンリャンの気持ちは、表情からあふれ出ていた。嫉妬するメイバオは、シンレンにいたずらを仕掛けた。学生時代に戻ったようにお酒を飲みながらカラオケではしゃぐが、シンレンの義理の父親からの電話で空気はガラッと変わってしまう。その晩、初めてメイバオは妊娠のことをシンレンに打ち明けた。
妻子ある男性と関係を続けているチョンリャン。同じく「好んで苦を食ってる」メイバオに再会し、鏡で自分を見たように感じたチョンリャンはパートナーに別れを告げた。一方で、シンレンと駆け落ちするつもりでいたメイバオ。しかし、直前まで子供に電話するシンレンの姿を見て全てを諦めようと決心する。しかし子供をおろそうとした時、チョンリャンの顔が思い浮かび思いとどまった。
メイバオの決断に賛同したチョンリャンは、残された娘たちを信念の元育て上げている。
映画『GF*BF』の感想・評価・レビュー
台湾の作品は、なんとも言えない湿度で見る者の気持ちを緩めていく。夜の描き方がとてもきれいな当作品。学生時代に過ごした夜市や踊り明かした更地、時折訪れる農園は戒厳令下にある台湾の息苦しさよりも、3人の瑞々しさを十分に感じられた。きれいことだけではなく、辛さも描いているからこそ際立つのだが、そのバランスが重々しくなくて心地よい。決して多くは言葉にせず、感じさせてくれる3人の入り組んだ感情に共感した時にはすでに涙は溢れているだろう。(MIHOシネマ編集部)
胸がチクチクと痛くなる今作。3人の男女の恋愛模様を描いていますが、簡単に想像できるような三角関係ではなく、愛情に似た友情だったり、若さゆえの苦悩だったり、見ていて胸が苦しくなってしまう作品でした。
タイトルを見ただけでも感の良い人は気づくと思いますが、この作品で描かれているのは脆さや儚さを伴う男女のストーリーでラストも決してハッピーエンドとは言えません。
しかし、見てよかったと思わせてくれるのは間違いないので複雑な気持ちになりながら見てほしい作品です。(女性 30代)
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