映画『銀色の髪のアギト』の概要:緑化プロジェクトにて遺伝子操作された植物の暴走により、月は破壊され地球は人類存亡の危機に瀕した。それから300年後の世界。主人公と植物の暴走を止める鍵を持った少女が出会った。自然との共存を訴えるファンタジーアニメ。
映画『銀色の髪のアギト』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:SF、ファンタジー、アドベンチャー、アニメ
監督:杉山慶一
キャスト:勝地涼、宮崎あおい、古手川祐子、濱口優 etc
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映画『銀色の髪のアギト』の登場人物(キャスト)
- アギト(勝地涼)
- 中立都市を作るべく、森の力を使う強化体となった父親を持つ少年。決断力と勇気と根性を持つ。
- トゥーラ(宮崎あおい)
- 300年、カプセルで眠ったままだったが、アギトとの出会いで覚醒。過去の人と呼ばれる。地球緑化プロジェクトの立案者である博士の娘。黒髪の少女。
- ヨルダ(古手川祐子)
- アギトの住む中立都市の代表を務める、壮年の女性。強化体で銀色の髪をしている。
- カイン(濱口優)
- アギトの親友。ハジャンの息子。
- ハジャン(布川敏和)
- カインの父親で強化体。ヨルダとアギトの父親の3人で中立都市の設立をした人物。
- シュナック(遠藤憲一)
- 武力によって森を制圧しようとしている、軍事国家ラグナの大佐。環境再生デフラグメントシステム、イストークの鍵となるトゥーラの協力を得て、過去の文明を復活させようとしている。強化体。
映画『銀色の髪のアギト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『銀色の髪のアギト』のあらすじ【起】
遥か昔、月より1粒の緑の種が落とされた。種は芽吹き緑の龍となって地球を襲い、人間の文明はたちまち淘汰されてしまう。文明は衰退し、辛うじて生き残った人々は細々とその命を繋いで、独自に生活の場を築き上げたのであった。
少年アギトの住む町は、森との共存を目指してきた中立都市である。水を使うにも森との制約があり量が限られているため、アギトは父親の飢えを癒すべく水を盗むよりほかに方法がないのであった。
その日も親友のカインと競い合いながら、貴重な水場へと水を盗みに入ったアギト。水場には人間の見張りの他、森の番人でもあるゾロイドという人型で草木の相貌をした者達がいる。気は抜けない。無事に水を手に入れたアギトだったが、ゾロイドに見つかってしまい逃走。カインは早々に捕まってしまうも、アギトは逃走先の遺跡の奥で赤く点滅する光を発見。
彼はそこで、カプセルに入った黒髪の少女と出会う。
少女トゥーラを助けたアギト。トゥーラは遺跡の外へ出て、アギトの住む中立都市を見る。彼女は聞いていた未来と様子が違うことに、愕然としているようだった。
中立都市の代表ヨルダの元へやって来たトゥーラ。ヨルダは彼女のように目覚めた人を過去の人と呼ぶ。
変わり果てた地球では、意思を持った森が全てを支配し人々を脅かしていた。ヨルダが代表を務める都市は森との共存を目指してきたが、軍事国家ラグナは武力によって森を制圧しようと目論んでいる。ヨルダはラグナとも中和を図りつつ、都市を維持してきたのだった。
映画『銀色の髪のアギト』のあらすじ【承】
都市への滞在を許されたトゥーラは、人々の厳しい生活を体験。岩肌の目立つ都市と生い茂る森との格段の差を目にする。その時、通信機器としても機能している首輪に通信が入るも、世話係の少女に邪魔をされ、通信が切れてしまう。ラバンと呼ばれる首輪は、持ち主にしか使えないのだった。
その頃、ヨルダは水場から水を抜き続ける森との調停へ出向いていた。意思を持つ森は災いを成すであろう、トゥーラを引き渡せと言う。
水を盗んだ罰として、カインとアギトは遺跡の発掘作業へと駆り出されていた。作業中に森へ向かうトゥーラを見つけたアギトは、彼女を追って森へ入る。侵入者を捕縛すべくトゥーラを襲った植物から彼女を助けたアギト。彼は中立都市の成り立ちを話し始めた。
アギトの父親とヨルダ、カインの父親であるハジャンの3人は、中立都市を作るべく森と契約し、森の力を使う強化体となって奮闘した功績を持つ。中でもアギトの父親が1番、頑張ったのだと言う。トゥーラが父親に会いたいと言うため、アギトは自宅へ招く。彼の父親からは木々が生い茂り、半ば植物と化していた。それが、強化体として森の力を使い過ぎた結果だと言うのだった。
過去と現在の狭間で思い悩むトゥーラ。その夜、彼女はラグナの兵に囲まれ、ラグナ軍大佐のシュナックと対峙。彼も過去の人であり、トゥーラの父親を知っていた。
トゥーラの父親は地球緑化プロジェクトの立案者で研究者だった。シュナックもプロジェクトに参加していたのだと言う。しかし、博士の死後はプロジェクトが中断となったようで、その結果がこれまでの地球を作り上げたのだと言う。この状況を改善するべく、シュナックはトゥーラへと協力を仰ぐのだった。
危険を察知した森は、即座に植物を茂らせてシュナックへ攻撃するも、彼は攻撃を素手で抑制。その拍子に甲冑が剥がされる。彼も銀色の髪をした強化体だった。そこへ、アギトとヨルダ、ハジャンが登場。ヨルダとハジャンには、過去にシュナックと何らかの意見の相違があった様子だ。
トゥーラは自分の父親が行ったプロジェクトの収拾をするべく、シュナックと共に軍事国家ラグナへと行くことにした。
映画『銀色の髪のアギト』のあらすじ【転】
一夜明け、アギトは父親に事の次第を説明。すると、父親はトゥーラの持つラバンが地球の存亡を握っていると話す。彼女がプロジェクトの停止をすれば、森は枯れ果て人類も滅びるだろうと。そうして、アギトの父親は最後の吐息をして森と1つになった。アギトはそれを静かに看取り、その後は1人で森へと向かう。
シュナックは中立都市の設立に関わった強化体の1人だった。だが、彼は過去の人であったため、栄えた文明を知っている。荒漠とした岩肌の目立つ地と、緑は生い茂るが支配される地との現在の様子はやはり、異常に見えたのだろう。中立都市を出た後はラグナへ向かい、プロジェクトの停止へ務めることにした。シュナックは結局、現在の状況を受け入れられず過去に囚われているのだ。
トゥーラの父親が制作していた、世界を元に戻す環境再生デフラグメントシステム、イストークというシステムがあった。シュナックはそれを起動させようとしている。だが、トゥーラは思う。なぜ、世界を元に戻せるのに、父親はイストークの起動スイッチを押さなかったのだろうか。
森の中心部へ到達したアギト。森の意思と相対。彼は父の遺言である過去の文明を復活させないこととトゥーラと森を救うべく、強化体となる。アギトの髪は銀色となり、武力にも屈しない恐るべき力を手にするのだった。
彼はその足で、ラグナへ侵攻するも麻酔により意識を奪われ、捕縛されてしまう。
意識の戻ったアギトは、両手両足を拘束。彼はトゥーラを説得しようとするも、彼女も過去に囚われており話にならない。トゥーラが部屋を退室した後、シュナックはアギトの殺害を密かに命令。アギトは拘束から逃れるために、森の力を行使して逃亡を図った。
トゥーラを救おうと必死に足掻くアギトだったが、シュナックは列車を切り離して彼を引き離した。切り離された列車が爆発。奇しくも現場は中立都市付近で、ヨルダがそれに気付き駆けつける。ヨルダはアギトに同じ強化体として、力の抑制方法をアギトに伝授。彼を再び送り出した。
映画『銀色の髪のアギト』の結末・ラスト(ネタバレ)
トゥーラを乗せたラグナの列車は、中立都市を越えた先の火山へ到着。そこにイストークがある。中へはシュナックとトゥーラだけが入った。起動の鍵はラバン。トゥーラのラバンでイストークが起動し、それと同時に映像が流れ出す。トゥーラの父親からのメッセージだ。
緑化プロジェクトは月面にて実験が行われていた。しかし、植物の暴走により実験は失敗。植物は月を破壊し、地球へと襲い掛かった。その暴走を止めるために作られたのが、イストークである。しかし、イストークは植物や地球上の生物の一切を焼き尽くす、兵器を搭載した巨大要塞だったのだ。
かつて研究に携わっていたシュナックは、成果を出そうと焦っていた。故に、植物の遺伝子操作を誤ってしまったのだ。その結果が現在の状況である。彼は自らの失態を収拾すべく、イストークの起動へと乗り出した。だが、それは植物との共存を目指しつつも、平和に生活を送る人々をも脅威に貶める行為であった。
シュナックの裏切りにより、ラグナ軍とアギトが共闘。彼はイストークへと無事に侵入を果たす。アギトはシュナックの牽制を逃れ、トゥーラを連れて逃走。しかし、シュナックの方が上手だった。外ではラグナ軍がイストークへと攻撃を開始。
強化体としての力の抑制には、歴然の差があった。アギトとシュナックでは年数が違う。アギトはシュナックに負けてしまうも、彼は力の解放を行いシュナックもろとも大木となる。難を逃れたトゥーラは、イストークの強制停止に成功。イストークは沈黙するも、起動により活性化された火山が噴火。ラグナ軍は噴火を止めるために砲撃を再開した。
大木となってしまったアギトの元へ戻ったトゥーラ。大木には花が咲き、実が成っていた。トゥーラは必死にアギトへと呼びかける。
森と1つになったアギト。彼は森の意思を感じ取り、森は彼へと守護の感謝を表して命を返還。そうして、彼は大木の実から再び産まれ出でるのだった。
アギトはこれからの人類の未来のために、トゥーラを背負って火山から無事に脱出した。噴火は治まり、被害は中立都市にも多少及んだが、人的被害は最小に済んだ。トゥーラは自分のラバンを捨て去り、この地にて現実を受け入れ生きることを決意するのだった。
映画『銀色の髪のアギト』の感想・評価・レビュー
アニメ制作会社GONZOによる長編劇場アニメ作品。公開当時は社名もあまり知られていなかったらしく、興行収入的には失敗だったようだが、制作費自体が少ないこともあって赤字は出なかったようだ。
緑化プロジェクト研究の果てに植物が意思を持つようになり、地球に蔓延るという設定は非常に面白く、更に緑の力を分けてもらい強化体となれるというのにも惹かれた。だが、タイトルに冠してあるにも関わらず、主人公のアギトが強化体になるのはストーリーの中盤を過ぎた辺り。遅過ぎないだろうかというのが正直なところ。アニメ作品としては悪くないはずなのに残念でならない。ヒロインの行動や言動にも納得できないところがあった。脚本やストーリー展開をもっと練り込んで、見せ所を変えればもっと面白くなるのではないかと思った。(女性 40代)
勝地涼や宮崎あおい、遠藤憲一、濱口優など豪華な芸能人が声優を務めた今作。森と都市が対立する世界で「中立都市」を作ろうとする青年たちを描いた物語は、アニメ作品でありながらとても深い世界観でメッセージ性を強く感じました。
個人的に絵のタッチが好きではなかったので、ストーリーに集中出来無かったのが残念です。物語はとてもよくまとまっているのでアニメ作品が苦手でも見やすいと思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
①生かし切れていない設定
設定はとにかく斬新で面白い。文明が滅びた世界という未来は描かれがちだが、その中でも森と人間が敵対する、森に意思があるという設定は面白い。オープニングの映像もKOKIAの歌と相まって荘厳に作られており、近未来でありながら太古の世界観を肌で感じることができる。だからこそ2時間で収めるにはなかなか難しい設定だったのだろう。ストーリーに厚みを持たせるためには無駄に登場キャラクターを増やせないのはわかるが、一都市の話ではなく、世界規模で森を焼き払うという話なのに、アギト以外は一体何をしているんだろうという疑問が沸いて、最後まで拭うことができなかった。また、銀色の髪になるのは強化体になった後なのだけれど、その強化体の設定がなんというか、ズルイ。そんな簡単に強くなってしまっていいのか、というくらい一瞬にして強くなるアギト。そこに尺を割けないのは重々承知だが、しかしタイトルに冠するくらいなのだからもう少しなんとかならなかったのだろうかと思う。
②ヒロインが残念すぎる
とにかくヒロインが残念である。アギトが一目ぼれするのはまあ百歩譲ってかわいいからだとして、彼女の思想が子供っぽいというか、深みがない。木と化して死んでいく人間たちを見て森に対し反発心がわいたのがきっかけかもしれないが、あっさりアギトを捨ててシュナックと行ってしまうのに対し、恐らく観客は驚いたはずだ。まだシュナックのほうが過去の失敗を挽回したいという動機が強く、わかりやすかったように感じる。
映像と音楽は美しく壮大で、さすが日本のアニメーション技術と思わせてくれる。森と都市という対立もシンプルだけれど遺伝子操作の失敗という要素も加わって面白い。ただ2時間でおさめるにはなかなかのボリュームで、端折るしかなかったのか、描き切れていないのだろうと思えてしまう部分が多かった。そのせいで、せっかく面白い世界観なのだけれど入り込めずに、どこか冷めた気持ちで始終鑑賞していた。また、ヒロインがあまり魅力的とは言えず、アギト目線で話を追っていると突然裏切られてショックを受けてしまうだろう。