映画『グローリー』の概要:南北戦争時に実在した初の黒人連隊の活躍を描いた歴史劇。『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック監督作で、黒人兵士の一人を演じたデンゼル・ワシントンが第62回アカデミー賞で助演男優賞に輝いた。
映画『グローリー』の作品情報
上映時間:122分
ジャンル:ヒューマンドラマ、時代劇、歴史
監督:エドワード・ズウィック
キャスト:マシュー・ブロデリック、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン、ケイリー・エルウィズ etc
映画『グローリー』の登場人物(キャスト)
- ロバート・グルード・ショー(マシュー・ブロデリック)
- マサチューセッツ州の裕福な家庭に育った北軍の大佐。初の黒人連隊の連隊長に就任する。黒人への厳しい指導を行い、勇敢な兵士を育てる。
- キャボット・フォーブス(ケイリー・エルウィス)
- ロバートの親友で、ロバートに誘われ黒人連隊の将校となる。黒人兵士に厳しいロバートと指導法を巡って対立する。
- トリップ(デンゼル・ワシントン)
- 黒人連隊の志願兵。社会への反抗心が強く、常に挑発的な態度で周囲の人と接する傾向がある。靴欲しさに逃亡を試みる。
- ジョン・ローリンズ(モーガン・フリーマン)
- 黒人連隊の志願兵。連隊内で兄貴分的な存在感を発揮する。その功績が称えられ、連隊の曹長に昇進される。
- トマス・シアーレス(アンドレー・ブラウアー)
- 黒人連隊の志願兵。ロバートやキャボットの親友で、白人同等の教育を受けて育った。そのために兵士としての資質に欠く。
映画『グローリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『グローリー』のあらすじ【起】
南北戦争最中のメリーランド州アンティタムでロバートは北軍部隊を率いて南軍と衝突する。南軍の総攻撃を前に北軍は撤退に追い込まれるが、ロバートは無事に生き残る。初の黒人部隊となる第54歩兵連隊が編成されることになり、ロバートは知事の後ろ盾でその連隊長に任命される。ロバートはキャボットにも加わるように誘う。そして編成のニュースを耳にしたトマスは真っ先に部隊に志願する。
ロバートは志願兵達の前で演説し、兵士達は宿営地に向かう。トマスはトリップやジョンと同じテントになり、トリップはトマスが白人みたいな話し方をするのを馬鹿にする。食事の時間にキャボットはトマスと親しげに話すが、それを見たロバートは例えトマス相手でも気軽に話さず、規律を重んじるように注意する。黒人連隊への訓練が始まり、まずは行進の仕方から徹底的に仕込まれる。
ロバートは兵士を召集し、南部同盟議会の声明を読み上げる。それは北軍の制服を着た黒人や黒人連隊を率いる将校は処刑するという内容だった。ロバートはその内容を踏まえ、除隊希望を受け付けると伝える。しかし、翌朝になっても全員が部隊に留まっており、ロバートは神に感謝する。
映画『グローリー』のあらすじ【承】
黒人連隊に銃が配られ、射撃訓練が始まる。射撃の上手な兵士が得意顔になるが、ロバートはその兵士を厳しくたしなめる。キャボットはロバートのやり方に反発を覚えるが、ロバートは一人前の兵士に育て上げることが重要だと諭す。銃剣の訓練で腰が引けていたトマスのことを指導官が殴り倒してしまう。トマスは泣き言を入れてくるが、ロバートはそれも冷たくあしらって厳しい姿勢を貫く。
ロバートの元にキャボットが脱走兵を捕まえたと報告にやって来る。それはトリップだった。ロバートは規則通りに曹長に鞭打ちを命じる。トリップの背中は過去の鞭打ちの傷でボロボロになっていたが、そのまま厳しい鞭打ちが加えられる。ジョンはロバートにトリップの脱走の原因が靴であったことを説明する。まともな靴がないために兵士達の足はボロボロになっていたのだ。ロバートは補給係を脅し、兵士のための新しい靴を確保する。
ロバートは黒人連隊の給与が白人より下げられたと説明した上で、給与の支給を始める。しかし、トリップが待遇の差に抗議の声を上げ、兵士達も同調し始める。それを見たロバートは賛同の意思を示す。そして皆に北軍の制服を配布する。
映画『グローリー』のあらすじ【転】
第54連隊は南部に向けて進軍を開始し、ロバートはジョンを曹長に昇進させる。彼らはサウスカロライナ州で他の黒人部隊と合流し、補給物資受け取りの任務に就く。ジョージア州の村まで着くと、他の黒人部隊は略奪行為を始める。そしてロバートは村を焼き払うように命じられ、仕方なく自分の連隊に命令を伝達する。
第54連隊はその後も肉体労働ばかりを命じられる。トリップは戦場から退いてきた白人兵士に絡みつく。トリップは更にトマスにも喧嘩を売り始め、ジョンは悪態ばかりつくトリップを叱りつける。ロバートは上官を略奪の件でゆすり、連隊を前線に派遣するように訴える。
連隊はサウスカロライナ州の森の中で初の実戦に臨む。南軍に一斉射撃を浴びせた上で、両者入り乱れての激戦を繰り広げる。トマスは負傷しながらもトリップに襲い掛かろうとした南軍兵士を一突きにし、トリップの命を救う。南軍は撤退し、ロバートは負傷したトマスを故郷に送り返そうとするが、トマスはそれを拒む。ロバートはトリップの活躍を称えて連隊の旗手になってほしいと頼む。トリップはロバートのために戦っているのではないと言って、その任務を断ってしまう。
映画『グローリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
南軍の要塞を陥落させるための一斉攻撃が行われることになり、ロバートは自分の連隊が先陣となることを申し出る。それは多大な犠牲を払う可能性があった。それでも連隊全員の士気は高く、それぞれが戦闘への覚悟を表明しながら神への祈りを唱える。トリップは連隊が自分にとっての家族だと言って、人間としての誇りを抱いて戦場に赴く決意を表明する。
第54連隊はワグナー要塞を攻め入るための海岸に向かい、白人兵士達は敬意の目で彼らを見送る。ロバートは家族宛ての手紙を記者に託し、ここでのことを伝えてほしいと頼む。そして連隊に進軍を命じる。
連隊は激しい砲撃を浴び、砂丘で身動きが取れなくなる。日が暮れるのを待ち、ロバートは突撃を命じる。しかし、連隊はまたも要塞の前で釘付けにされてしまう。ロバートは突破口を切り開こうと、要塞に駆け上がろうとして敵の銃弾に倒れてしまう。それを見たトリップは旗を手にして連隊を鼓舞するが、同じく撃ち殺されてしまう。連隊はキャボットに率いられて南軍との死闘が繰り広げるが、最後は南軍の砲撃により壊滅的な被害を受ける。作戦は失敗に終わり、ロバートやトリップの遺体は重なり合うようにして埋葬される。
映画『グローリー』の感想・評価・レビュー
南北戦争を舞台にした傑作ドラマ。黒人奴隷の問題と戦争アクションの要素をうまく融合させ、娯楽作として仕上げることに成功している。エドワード・ズウィック監督は『ラストサムライ』など史劇を撮らせると一流だ。ロバートと黒人兵、そして黒人兵同士の衝突や葛藤を通して人間性の尊さが見事に描かれている。また、黒人兵士達もアカデミー賞に輝いたデンゼル・ワシントンを筆頭に役者の個性を活かしたキャラクターになっている。(MIHOシネマ編集部)
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