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映画『野性の証明』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『野性の証明』の概要:原作はテレビドラマ化もされている森村誠一の同名小説。角川映画の初期代表作となった実写映画。自衛隊の秘密部隊で殺人技術を叩きこまれた男を高倉健が演じ、薬師丸ひろ子は本作で銀幕デビューを果たしている。

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映画『野性の証明』の作品情報

野性の証明

製作年:1978年
上映時間:143分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:佐藤純彌
キャスト:高倉健、薬師丸ひろ子、中野良子、夏木勲 etc

映画『野性の証明』の登場人物(キャスト)

味沢岳史(高倉健)
自衛隊が秘密裏に設立した特殊工作隊の1等陸曹。秀でた能力を発揮し、信頼の固い男だったが虐殺事件に巻き込まれ除隊している。唯一の生存者・頼子を養女として迎え育てている。
長井頼子(薬師丸ひろ子)
小さな集落で起きた虐殺事件で唯一生きのこってしまった少女。両親が目の前で亡くなったことがショックで、事件当時の記憶を失くしている。数時間後の余地をする不思議な能力を持っている。
越智朋子(中野良子)
虐殺事件で運悪く犠牲になってしまった女性の妹。新聞記者をしていて、同僚の事故死に疑問を抱き独自に調べを進めていた。暴走族に襲われているところを味沢に救ってもらう。
北野刑事(夏木勲)
虐殺事件が起きた村の刑事。事件後もずっと唯一の部外者であった朋子の姉について調べている。朋子の後を付けている中で、味沢が頼子を養子に迎え入れたことを知る。
大場一成(三國連太郎)
味沢が除隊後に身を寄せている町で多岐に渡る事業を展開しているグループの会長。剣道教室も営み、市民との繋がりも深い人物だが地元の暴力団を牛耳る裏の顔も持つ。
大場成明(舘ひろし)
大場グループ会長の一人息子。跡取りとして溺愛されているが、逆上しやすく暴走族との繋がりも深い。朋子の存在を疎ましく思い、仲間と襲ってしまう。
渡会登(原田大二郎)
自衛隊を除隊した味沢が勤めていた保険会社で部下として働く男性。本来の姿は自衛隊の特殊工作隊員であり、味沢の監視役として配置されていた。

映画『野性の証明』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『野性の証明』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『野性の証明』のあらすじ【起】

1980年5月。反政府の一団がアメリカ大使の一家を人質に取り別荘に立て籠もった。県警では太刀打ちできず、坂本防衛庁長官は秘密裏に陸上自衛隊の特殊工作隊に出動を命じた。実行部隊を仕切る味沢は、隊員を引き連れハングライダーを使い別荘に乗り込む。犯人たちを全員殺害し人質を素早く救出するのだった。

味沢が所属する特殊工作隊は常に実践を想定し、厳しい訓練を繰り返している。事件後も一般住民との接触を禁じられた状況で、日本のチベットと呼ばれる北山山地の原生林に一人ずつ降ろされ目的地まで自力でたどり着くという訓練に励んでいた。

小さな集落で13人が殺害される悲惨な事件が起こった。唯一の生存者である13歳の少女・頼子は納屋に隠れていたところを発見される。しかし、頼子は目の前で起きた事件のショックから記憶喪失に陥っていた。頼子は唯一「青い服を着た男の人」とだけ証言するが、手掛かりが少なく事件は解決には至らなかった。

一年後、立川という男性記者が水没した車から遺体で発見された。不倫相手のホステス・明美による飲酒運転が原因の事故と判断されたが、記者仲間である朋子はお酒が飲めない立川の死に疑問を抱いた。

味沢は自衛隊を除隊し保険会社で働いていた。明美の遺体が見つかっていない中、夫・井崎から保険金を催促された味沢は、事故の真相を確認しようと調査をしていた。怪しげなバイクの集団に襲われている朋子を見かけ、味沢は助け出した。後日、味沢の自宅にお礼に行った朋子。そこには養子として味沢に引き取られた頼子と出会う。

刑事・北野は虐殺事件の被害者の中で唯一集落の住民ではなかった美智子の存在に引っかかっていた。美智子の妹である朋子について調査を続けていた北野は、親族ではない味沢が頼子を養子として引き取ったことを知り疑問を抱く。味沢が元自衛隊員だったことを知った北野は、味沢の過去を探り始めた。

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映画『野性の証明』のあらすじ【承】

味沢と朋子は保険金殺人の真相を共に追い始めた。朋子は地元の暴力団と政治家の大場、そして警察が癒着している証拠を掴んだ。一方で北野は、味沢が自衛隊の中でも特殊工作隊に所属していたことを突き止めるが、集落で起きた惨劇は頼子の父親・孫一が脳に異常をきたし起こしたことだと発覚した。孫一を殺害したのは味沢ではないかと憶測する北野だが、上からの指示で捜査は打ち切りになってしまった。

味沢は朋子から提供された情報を元に、大場建設が手がけている堤防を訪れた。未だ発見されていないアケミの遺体を探しに行ったのである。予測は当たり遺体を掘り起こした二人だが、井崎達に襲われてしまった。間一髪北野に救われた二人。井崎は逮捕されたものの、味沢に対する北野の疑念は消えなかった。

大場建設に歯向かってしまった味沢は保険会社をクビになってしまう。大場組グループの代表・一成に呼び出された。一人息子・成明の補佐となり従事するように勧められるもその日に返答はできなかった。さらにその日、味沢は頼子の担任から頼子の「予知能力」について相談を受けた。味沢もトラック事故を予知した頼子のおかげで無傷で済んだ経験があるのだった。

精神科医に頼子を診せに行った味沢。医師によると頼子の予知能力の奥には味沢への恨みがあるのではないかと診断を受ける。味沢は朋子にも同行してもらい、頼子が育った集落に向かうのだった。

映画『野性の証明』のあらすじ【転】

懐かし気に友人の家を紹介する頼子。しかし、事件当時発見された納屋を前にすると頼子はパニックを起こしてしまった。朋子が事情を聞くと、味沢は虐殺事件の日のことを話し始めた。

北山山地での訓練は多くの隊員が脱落した。味沢も疲労困憊し、登山道で倒れてしまった時に美佐子に遭遇してしまう。訓練中に民間人との接触を禁じられていた味沢はその場を離れようとするが、美佐子は味沢のために助けを求め集落の方へ向かい事件に巻き込まれてしまった。

追うように集落に着いた味沢は、発狂した孫一が次々と村びとを手にかける様子を目の当たりにした。孫一が頼子の前で斧を振りかざした時、味沢は、咄嗟に助けに入り孫一を殺害してしまった。自衛隊幹部は非合法部隊の存在が明るみに出ることを恐れ、味沢を処分することにしたという。

大場グループの悪事を暴く覚悟を決めた朋子。上司に手をまわしてもらい、印刷前に新聞記事を書き換えることにした。しかし、監視者からリーチで目論見は頓挫される。さらに朋子は成明とその仲間の暴走族に襲われ殺されてしまうのだった。

その夜、頼子は「お姉さんが危ない」と朋子の危険を予知した。朋子の死を知った味沢は頼子を連れ千葉に向かうことにするが、道中に大場の部下に囚われてしまった。頼子は成明を指さし「あの人がお姉さんを殺した」と明言するのだった。

映画『野性の証明』の結末・ラスト(ネタバレ)

「大勢がお父さんを殺しに来る」と予知した頼子。その矢先、警察が朋子殺害容疑で味沢の自宅を捜索しに来た。さらに、成明は仲間を連れ味沢に襲いかかる。逆手に成明を人質に取った味沢は、追って来た大場の部下たちと乱闘になった。そこへ駆けつけた北野が頼子を保護する。斧を手に大場の部下をなぎ倒す味沢を目の当たりにした頼子は「あの人がお父さんを殺した」と証言した。

北野は味沢を連行する。しかし、朋子殺害容疑をかけている地元の警察も味沢を逃すわけにはいかなかった。さらに、除隊後の味沢を監視していた特殊工作隊員・渡会が味沢の身を確保しに来たのである。

特殊工作隊の存在を隠すため、自衛隊は実力行使に出ていた。演習地にある小屋に味沢たちを拉致し、抹殺を計画していたのである。2機のヘリコプターが来たことで、味沢は北野に脱出を提案した。渡会を欺き、脱出に成功した味沢たちは追っ手を倒しながら進んでいく。味沢と行動を共にする中で北野は次第に味沢を信用していくが、不意を突いて命を奪われてしまった。

ヘリコプターからの攻撃を避けるため、トンネルに頼子を残し捨て身で突撃した味沢。それまで味沢を拒絶していた頼子は、「お父さん」と叫びながら後を追ってきてしまう。銃撃を浴びた頼子の亡骸を背負い、味沢は迫りくる戦車に向かって突撃していくのだった。

映画『野性の証明』の感想・評価・レビュー

映画の宣伝に大きな変化を投じた一作とのこと。今やメディアが大きな広告を担っているが、当時は賛否両論を呼んだ話題作であったと知りとても興味を惹かれた。原作の圧は活かしつつ、娯楽に高じた作りだったように思う。オープニングから印象つけられた特殊部隊のインパクトもさることながら、ハリウッド映画のようなスケールで襲いかかる国家権力が実に恐ろしい。「野性軍団」と呼ばれた自衛隊員役は一般公募だったというからまた面白い逸話を持った一作である。(MIHOシネマ編集部)

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