映画『グランド・ジャーニー』の概要:映画「WATARIDORI」の制作に参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレク。息子と一緒に挑んだ「絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるという」旅を映画化した一作。
映画『グランド・ジャーニー』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:ニコラ・ヴァニエ
キャスト:ジャン=ポール・ルーヴ、メラニー・ドゥーテ、ルイ・バスケス、フレデリック・ソレル etc
映画『グランド・ジャーニー』の登場人物(キャスト)
- クリスチャン(ジャン=ポール・ルーブ)
- 鳥類研究家であり気象学者の男性。離婚した妻との間に一人息子・トマがいるが離れて暮らしている。研究熱心で目の前の課題達成には手段を厭わない。
- トマ(ルイ・バスケス)
- クリスチャンとパオラの一人息子。ゲームに夢中な日々を送っていたが、長期休みでクリスチャンと過ごすことになり人生観を大きく変える。
- パオラ(メラニー・ドゥーテ)
- クリスチャンの元妻。新しい恋人とトマと三人で暮らし充実した日々を送っていたが、トマが思春期を迎え関係性に悩みを抱えている。クリスチャンの研究を機にトマの変化を目の当たりにする。
映画『グランド・ジャーニー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『グランド・ジャーニー』のあらすじ【起】
厳しい経済状況でリストラが検討される中、雁の研究に熱心なクリスチャンは、上司の注意も聞かずに絶滅回避のためとある地域へ出張に出向く。離れて暮らす息子・トマは、休暇を利用しクリスチャンと過ごすことになるが、ゲームに夢中で自然豊かな環境に慣れず不満を募らせていくのだった。
村びとの協力を得ながら試行錯誤する研究にはたくさんの失敗があった。奮闘するクリスチャンの姿を見ながら研究には興味を示さないトマだったが、ある日孵化前の卵を眺めていたトマは自分のヘッドホンを近づけ音楽を聞かせてみた。すると卵が動きヒビが入ったのである。トマが研究に興味を持ったことに喜びを感じたクリスチャンは、孵化に立ち会わせ命の大切さを伝えるのだった。
保温機に入ったヒナを眺めながら、自分が孵化させたヒナだけ少し違うことに気付く。あまりまわりと馴染めない自分と重ねながら大事に抱き上げた。さらにクリスチャンの研究に興味を持ったトマは、ヒナの餌やりを手伝うことを条件に超軽量飛行機を教えてもらう約束をするのだった。
映画『グランド・ジャーニー』のあらすじ【承】
最初は嫌がっていたローブも自ら着るようになったトマ。一羽だけ違う種類ヒナにアッカと名付けいつも一緒に過ごしていた。ようやくクリスチャンの計画の詳細を聞いたトマ。鳥は初めて飛んだ場所に戻るという習性を活かし、安全な地域までを出発点に超軽量飛行機を使って絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるというものである。
目標を持ったトマは毎日欠かすことなくヒナの世話をしていた。トマは活き活きとしていた姿に様子を見に来た母親・パオラは驚きを隠せないほどである。パオラは去り際にトマを飛ばせないようクリスチャンに口止めする。しかしクリスチャンはトマとの約束を優先し、少しずつ飛行訓練を始めるのだった。
出発地点を目指し、長い旅路が始まった。クリスチャンの仲間・ビョルンも参加し車での地道な移動が続く。道中、パメラに景色を見せるため電話をするトマ。順調に見えたが、ある国を超える時にガンの採血を求められ、足止めされることになる。しびれを切らしたクリスチャンは鳥たちを空に放った。大きく飛び立ったアッカの姿に興奮するトマ。飛行機に乗り込みガンたちを誘導しようとするクリスチャンを見守るが、役人たちが採血の結果を伝えに来てしまった。
映画『グランド・ジャーニー』のあらすじ【転】
陽性だったことでガンを放つ認可が下りなかった。実はクリスチャンは上司の承認を偽装していたのだ。飛行機に乗り込んだトマは、「天候が変わる」というクリスチャンの注意も聞かず飛び立ってしまった。
文書偽装の嫌疑にかけられたクリスチャン。食べ物も乗せずに飛び立ったトマが心配で居ても立っても居られない状況で、パメラに責め立てられ追い込まれていく。その頃、トマはガソリン不足でとある岸辺に降り立っていた。偶然出会った少女に助けられ、飛行を続けたトマ。少女が撮った動画はクリスチャンたちにも届き、無事に飛行を続けていることが伝わるのだった。
順調に飛行を続けていたトマだが、食べ物やガソリンは道中に見つけた民家から盗み調達するしかなかった。アッカを始めガンたちとはぐれることなく乱気流も越えたトマ。鳥と一緒に飛行するトマの姿は、いつしかネットを通じて世界に発信され始めていた。
映画『グランド・ジャーニー』の結末・ラスト(ネタバレ)
無事にビョルンの家でクリスチャンたちと合流したトマ。安堵した矢先に意識を失ってしまった。パオラはトマの変化を目の当たりにし、最終目的地まで一人で達成するよう背中を押した。まだ子供だと心配するクリスチャンをよそに、世間では「少年の大冒険」と称され絶滅危惧種の鳥を救う試みに注目が集まっていた。
着地予定地点には、一目見ようと多くのギャラリーやマスコミまでもが駆けつけていた。少し離れたところに着水したトマ。一目散に駆け寄り抱きしめたパオラと息子の立派な姿に感極まるクリスチャンはそっと歩み寄るのだった。しかし、多くの注目を浴びたことで、クリスチャンの研究の欠点が露わとなり、飛行ルートの先導は失敗とされてしまった。しかし半年後、ガンたちを最初に放った場所で戻りを待ち構えていたクリスチャンたちの前には待ち望んだ光景が広がった。全てのガンが無事戻って来たのである。
失敗説を覆したクリスチャンと、大冒険でヨーロッパの渡り鳥を救ったトマの存在は語り継がれるのだった。
映画『グランド・ジャーニー』の感想・評価・レビュー
自身も冒険家の監督ニコラ・バニエが手がけた当作。ノルウェーからフランスまでの旅路は、目に余るほど美しい光景が続く。気象学者であり鳥類研究家という風変わりな設定の主人公クリスチャンに引けを取らない、トマ役の新人ルイ・バスケス。思春期の衝動や感動が繋ぐ成長が実に繊細に演じられていたように思う。壮大な環境なだけに、劇場で映像美に溺れたい一作であった。(MIHOシネマ編集部)
父と息子が同じ目的に向かって協力し合い、喜びや苦労を分かち合って成長していく感動のストーリーは観客の心を鷲掴みにします。
冒険物語で言えば『センター・オブ・ジ・アース』、ロードムービーなら『シェフ』など親子の絆を描いた作品は沢山ありますが、今作ほど壮大で感動できる作品は初めて見ました。
少しずつ心を開いていく二人と、トマが育てた鳥たちが羽ばたいていく様子がリンクしていて、胸に込み上げてくるものがありました。
ぜひ、親子で見て夢や喜びを共有して欲しいです。(女性 30代)
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