映画『きっと忘れない』の概要:エリート大学生とハーバード大図書館に住み着く団塊世代の浮浪者の間に生まれた友情を追う物語。監督・ケシシアンのファンであるマドンナが主題歌を担当し、全米No.1ヒットを生んだ一作。
映画『きっと忘れない』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:アレック・ケシシアン
キャスト:ジョー・ペシ、ブレンダン・フレイザー、モイラ・ケリー、パトリック・デンプシー etc
映画『きっと忘れない』の登場人物(キャスト)
- サイモン・ワイルダー(ジョー・ペシ)
- ハーバード大学のボイラー室に無断で住み込んでいた浮浪者。偶然、モンティの卒論を拾い、交換条件として寝床と食事を用意させる。読書が好きで大学教授と対等に言い合えるほどの口達者な男。
- モンティ・ケスラー(ブレンダン・フレイザー)
- ハーバード大学で卒業を控えている優秀生徒。政治学を専攻し、市民のために働くことに夢を抱いている。同級生3人とルームシェアしていたが、サイモンと出会い価値観を動かされ始める。
- コートニー・ブルーメンタル(モイラ・ケリー)
- モンティのルームメイト。紅一点の存在だが、サバサバした性格で人気も高い。当初はサイモンを嫌がっていたが、モンティの変化を目の当たりにして徐々にサイモンを気遣うようになる。
- エヴァレット・カロウェー(パトリック・デンプシー)
- モンティのルームメイトであり大学内のラジオ放送を担当するDJ。陽気な性格で友達も多い。「ゴーキー」と名付けた雄鶏を飼っている。
- ジェフ・ホークス(ジョシュ・ハミルトン)
- モンティのルームメイトであり医学部の学生。両親や世間からの目線を気にしているため、サイモンの存在を疎ましく思っている。卒論が思うように進まず抱えた焦りをサイモンにぶつけてしまう。
映画『きっと忘れない』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『きっと忘れない』のあらすじ【起】
名門・ハーバード大学。4年生は150日で、その後の人生を賭けた卒業論文を仕上げなければならない。モンティもその一人であった。教授に呼ばれ、卒論の出来を聞かれたモンティ。優秀賞を取る可能性を示唆され、モンティは上機嫌で帰宅する。ルームメイトたちは優秀なモンティに嫉妬しながらも、応援するのだった。
10章まで書き上げた雪の夜、パソコンがエラーを起こしてしまう。焦ったモンティはコピーを取ろうと大学の図書室へ急いだ。しかし、足を滑らせ地下のボイラー室に原稿を落としてしまう。守衛の目を盗みボイラー室に忍び込んだモンティは、卒論を燃やそうとしているホームレスの男と遭遇してしまった。サイモンと名乗る男は、卒論を担保に砂糖飾りのついたドーナツと清潔なパンツを要求するのだった。
モンティが守衛室に訴えたことで、サイモンは逮捕されてしまった。まだ卒論を返してもらっていないモンティは、罰金を代わりに払いサイモンを監視下に置くことにする。寝床と食事を与え、少しでも早く卒論を返してもらおうと必死になるのだった。
映画『きっと忘れない』のあらすじ【承】
夜遅くまで勉強するモンティは、外で車中泊するサイモンのことが気にかかりそっと毛布を掛けに行った。翌朝、サイモンは寝床とご飯、そして毛布のお礼だと荷物持ちとして図書館まで同行するのだった。
必死に勉強するモンティの姿を見て、自身を「世捨て人」だと語るサイモンは「今を走っているだけ」と嘲笑する。サイモンの言葉選びに負けたモンティは「風呂に入れろ」という要望に応えるが、ジェフやコートニーから大ブーイングを受けるのだった。
役所に連れ出しても文句ばかりのサイモンは、卒論に人生がかかっているというモンティに「人生」の意味を諭した。思い出の詰まった大事な石を見せてくれたサイモンに対して、モンティは興味を深めていく。モンティは幼い頃に父親に捨てられていた。自身の苦い記憶も明かし、サイモンの話を聞こうと耳を傾けるのだった。
ある日モンティはサイモンを講義に連れていった。「ホームレス」であるとはっきり身分を明かしたサイモンは、教授と言葉で対等に戦った。指導者のおごりを指摘し、「政府は変化するものだ」と言い切る。生徒達は堂々とした姿勢に拍手を送り、サイモンは講堂を後にした。追うモンティは、胸を押さえ苦しそうにするサイモンの姿を見てしまい心配するのだった。
映画『きっと忘れない』のあらすじ【転】
ジェフを気遣い、モンティはサイモンを室内には上げずにいた。ある日サイモンは置き手紙を残し、姿を消してしまう。クリスマスを迎え、ルームメイトたちはそれぞれに実家へ戻っていく。卒論に集中するため一人残ったモンティの元に、一人のホームレスが訪ねてきた。モンティの卒論とサイモンからのメッセージを代弁するために来たというのだ。ホームレスから、サイモンはある教会の宿泊所に寝泊まりしていると知らされ、モンティはすぐに向かった。しかし、そこには宿泊所などなくサイモンは病に侵されながら路上生活を送っていたのだった。
造船所で働いていたとき、有害繊維を吸いすぎてしまったと話すサイモンは自分の寿命を知っていた。代償はなくとも面倒を見たいと申し出たモンティだが、病院でも手の施しようはないと断言されてしまい方を落とすのだった。
「聞きかじりの言葉は信じるな、死者の言葉も信じるな。自分のフィルターでふるいにかけろ」サイモンが与えてくれた言葉に感化されるモンティ。大晦日でも卒論に明け暮れるモンティに対して、サイモンは豪勢な料理を振る舞い元気付けるのだった。
映画『きっと忘れない』の結末・ラスト(ネタバレ)
政府から生活保護を受けられることになったサイモン。ジェフは断固反対するものの、コートニーとエヴァレットは快く受けいれるのだった。順調に論文を書き進めたモンティは、教授の学説を覆すような内容に挑んでいた。そしてサイモンも自身の人生を振り返る記録を書き始めていた。
密かにコートニーに想いを寄せるモンティ。サイモンの言葉の影響を受け、素直になったモンティはコートニーに気持ちを伝えるのだった。しかしその夜、サイモンは体調を崩してしまう。卒論の期日を迎えたが、サイモンの最期の願いを叶えようとルームメイトと共にサイモンの息子を訪ねるのだった。
拒絶する息子の姿に気を落とすサイモン。体調は悪化し、モンティとルームメイトたちは代わる代わるサイモンの好きな本を読み聞かせ最期を看取るのだった。モンティの論文は優秀賞を取ることはできなかった。それでも自分の信じられる言葉で論文を仕上げたモンティは、晴れやかな表情でルームメイトたちと卒業式を迎えるのだった。
映画『きっと忘れない』の感想・評価・レビュー
凄く丁寧に言葉の影響力を描いた作品であった。誰が見ても納得の学力面でいう「優等生」たちと、人生をドロップアウトしたように見える男の交流は、見る者に何らかの新たな感情をもたらすと思う。一冬を越すための「良い条件」を得た男は、物語の中で言葉を重ねるほど魅力が増していく。ジョー・ペシが持つ魅力も相まっているのか、終盤は愛らしくて仕方なかった。誇り高く、自分の意志を持って生きることの大切さを学べる一作である。(MIHOシネマ編集部)
「ホームレス」とか「浮浪者」なんて言葉を聞くと、少し身構えてしまう人も少なくないでしょう。しかし、彼らは仕方なくそういう生き方をしているだけであって、自らその道を選んだわけではないと思うのです。そして、私たちは彼らについて何も知らないのに偏見の目で見てしまっていたことが、とても失礼で恥ずかしくなりました。
サイモンと出会い、力強い、魂の言葉を聞くうちに考え方や行動が変わっていくモンティたち。サイモンの言葉はもちろん素晴らしいのですが、彼を拒絶せずに受け入れようとした彼らもとても強く、優しいと感じました。
見てよかった、誰かに勧めたいと心から感動出来た作品です。(女性 30代)
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