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映画『弁護人(2013)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『弁護人(2013)』の概要:苦労の末、高卒ながら弁護士になった一人の男。金儲けに熱心になっていたものの、非道な冤罪事件を担当することになり人生の転機を迎える様子を追う。1981年、韓国で実際に起きた「釜林事件」をモデルにしている。

映画『弁護人』の作品情報

弁護人

製作年:2013年
上映時間:127分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ヤン・ウソク
キャスト:ソン・ガンホ、キム・ヨンエ、オ・ダルス、クァク・ドウォン etc

映画『弁護人』の登場人物(キャスト)

ソン・ウンソク(ソン・ガンホ)
苦労の末、夢見ていた弁護士の資格を取り積極的に金儲けをしていた男。家族を抱え、大きな仕事の契約を目前に学生たちが冤罪で酷い拷問に遭っている事件を知ってしまう。
パク・ジヌ(イム・シワン)
ウンソクが司法試験の勉強中によく世話になっていた食堂の息子。大学生になり読書会に参加するようになるが、反政府運動と勘違いされ冤罪で拘留されてしまう。
チャ・ドンヨン(クァク・ドウォン)
愛国主義者の一人として、お国のために反政府活動を撲滅しようとしている。公安部隊の権力を乱用し、冤罪で学生を拘留しては拷問に至った首謀者。

映画『弁護人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『弁護人(2013)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『弁護人』のあらすじ【起】

大手弁護士事務所を辞め、独立したウンソクは小さな事務所で不動産登記や税務処理に目をつけ地道に稼ぎ妻と子供を養っている。ネズミの出る家から海の見える家に引っ越すまで余裕が出たウンソクはある家を買った。しかし弁護士の資格を得る7年前までは、馴染みの食堂のつけを踏み倒すほど経済的に追い込まれていた。土木現場で働きながら司法試験の勉強をしていたウンソク。買った家は土木現場で働いていた時に自分が携わった物件である。「絶対に諦めるな」と壁に自分を鼓舞するメッセージを掘っていたウンソクは、夢を叶え辛い時代の思い出を込めた家へと戻って来たのである。

食い逃げした食堂にも家族を連れて謝罪に行ったウンソク。店主のスネは立派になって戻ったウンソクの姿を称え、歓迎するのだった。その後も恩を返そうと仕事の相方であるドンホと熱心に通い詰めるのだった。しかし、ウンソクの稼ぎを見習い税務処理に手を出す同業者が増え始めた。収入が少し減った頃、軍事政権下の世間ではデモが少しずつ起こり始めていた。

学生デモが活発化した頃、ウンソクは高校の同級生を連れてスネの店を訪ねた。閉店時間を過ぎていても受け入れてくれたスネ。しかし記者のユンテクと口論になったウンソクは店でつかみ合いの喧嘩をしてしまった。シネの息子・ジヌに謝罪を込めて小遣いを渡したウンソクだったが、金で解決しようとした姿に幻滅しシネは店から追い出すのだった。

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映画『弁護人』のあらすじ【承】

公安は反政府デモの主導となる学生たちを標的にしていた。釜山で大学に通うジヌも例外ではない。文学会を開いていたジヌたちは、一方的に共産主義の疑いをかけられ公安に拘留されてしまった。そうとは知らないスネは、1か月もの間ジヌを探すために店を閉めるのだった。

ドンホのツテを伝ってジヌの行方を気にかけるウンソク。偶然にもスネと再会し、ジヌは交流所に居るが接見が許されず助けて欲しいと泣きつかれてしまう。しかしドンホは警察から「多くの学生が拘留されているが関わらないほうが良い」と助言を受けていた。仕事に影響が出ては困ると案じるウンソクだが、同業者に「金の亡者」と噂されていることもしているため真っ当な仕事をしようとスネを訪ねるのだった。

拘留所で何とか接見権を得たウンソクとスネ。しかし久しぶりに再会したジヌはやせ細り、何かに怯えていた。身体に作られた無数の痣を見つけたスネは、錯乱し面会は強制終了させられてしまうのだった。

理不尽な冤罪を着せられた学生たちが多くいると知ったウンソクは、先輩で釜山弁護士組合会長であるキムに掛け合い弁護人となることを決意するのだった。

映画『弁護人』のあらすじ【転】

ユンテクは逆境に立ったウンソクに対して「出来レースだ」と鼻で笑った。実際に裁判長と検事は前もって話を済ませていた。ウンソク達弁護団の入る隙は無いように見えたが、判決を下される前の学生たちを罪人のように扱うことから否定した。さらに検察が提示した物証の根拠を問いただしたウンソク。第一回の公判はウンソク達弁護団が優位に進めるのだった。

ジヌに拷問について詳細を聞いたウンソクは、争点を公安の異常な体質について絞った。拷問の主導者であるドンヨンも法廷で見つめる中、学生たちを追い込んだ酷い環境と公権力の乱用を立証するのだった。生々しいジヌの証言は、同席した学生たちにも影響を及ぼす。裁判を続けられる状態ではなくなり、裁判長は弁護団に和解を求めるのだった。

信念を貫くウンソクは、控えていた大きな契約を破断にしてしまった。ドンホにも見切られてしまい、孤独になるウンソク。第二回公判の日、公権力を否定したウンソクは法廷に着くと待ち構えていた者たちから「アカ野郎」とゴミや生卵を投げつけられてしまった。陰ながらウンソクの動向を気にかけていたユンテクは、そっとスーツを貸し出す。少しだけ救われたウンソクだったが、公安は追い打ちをかける。ドンヨンが証人として出廷するため、傍聴席には公安の人間しか入ることはできなかったのだ。

映画『弁護人』の結末・ラスト(ネタバレ)

「拷問はしていない」その一言で押し切るドンヨン。めぼしい結果を残すことができなかったウンソクは、事務所を荒らされ私生活にも大きな支障をきたしていく、仲間である弁護団の人間もサポートはしてくれず孤独に苛まれるウンソクにある一通の手紙が届く。拷問を受けた学生たちの治療を任務として勤めた軍医が証言を申し出たのである。

何とか裁判長を説得し、拷問の実証を立てたウンソクだったが、ドンヨンはすでに手をまわしていた。軍医は休暇中であったが、脱営の罪を着せられたのである。裁判長は軍医の証言を削除させ、この裁判は休廷となった。無力感に追われるウンソクたち。そしてジヌを筆頭に学生たちには刑期が課せられるのだった。

1987年、ジヌ達と共に公安による拷問の犠牲者を追悼する集会を開いたウンソク。武力行使を受け裁判にかけられることになったが、キムが弁護を担当してくれることになった。さらにはキムが率いる釜山の弁護士組合に所属する弁護士たちがウンソクに賛同し、弁護に名乗り出たのである。総勢99名の弁護士がウンソクと共に闘う意思を表明した。心強い仲間の存在に、ウンソクは法廷で涙を浮かべ微笑むのだった。

映画『弁護人』の感想・評価・レビュー

上質な人間ドラマであった。「パラサイト 半地下の家族」で認識した人もいるだろうソン・ガンホ。しかし「韓国の至宝」と呼ばれる彼は、演じる幅に制限はない。どんな「人間」にでも姿を変え観客に魅せてくれる。この作品もその一例である。最初の30分ほどは、朗らかな時間が流れる。そして気を緩めた矢先に物語は一気に色を変える。矢のように飛び交う言葉が人を支えるために盾にも変形しながら、一瞬の油断も与えずにエンディングを迎える。ぜひとも多くの人に触れて欲しい作品である。(MIHOシネマ編集部)

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