映画『ハイネケン誘拐の代償』の概要:アンソニー・ホプキンス主演の、実話を基にしたサスペンス。共演はジム・スタージャス、サム・ワーシントン。北欧版「ミレニアム2」のダニエル・アルフレッドソン監督の2015年ベルギー、英語、オランダ製作映画。
映画『ハイネケン誘拐の代償』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:95分
- ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
- 監督:ダニエル・アルフレッドソン
- キャスト:ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クワンテン、アンソニー・ホプキンス etc
映画『ハイネケン誘拐の代償』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ハイネケン誘拐の代償』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ハイネケン誘拐の代償』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ハイネケン誘拐の代償』 あらすじ【起・承】
1982年、アムステルダム。コル・ヴァン・ハウト(ジム・スタージェス)は、幼馴染の仲間5人で銀行を訪れていた。
会社の資金繰りが難しくなったため、銀行から融資を得ようとするが、嘘の決算書のせいで融資は必要ないと断られてしまう。
会社はコミューンが多く点在する、ラィツュグラフトにあった。そこで、コルたちは、強制的にコミューンに住む人々を追い出し、そこで事業をやればいいのではと考えてしまう。
暴力的な行為を繰り返した彼ら5人は、すぐに警察に捕まり、留置所で過ごすことに。
警察で素直に取り調べに応じたコルは、すぐに釈放された。家に戻ると、不機嫌な顔をした妻ソーニャ(ジェシマ・ウェスト)がいた。少し経ってから、ソーニャはコルに打ち明けた。
“私、妊娠したの”と。2人は妊娠に喜びを感じていた。
新年を迎え、妻ソーニヤの実家を訪れたコル。ソーニャの父親は、世界的に有名なビール製造会社ハイネケンの元社員。リストラされたが、ハイネケン氏と写った写真をとても大切にしていた。
ソーニャの実家では、コルの親友であり義理の兄弟ヴィレム・ホーレーダー(サム・ワーシントン)もいた。
ヴィレムを含めた5人で、会社倒産後どう暮らしてゆくかの相談が小舟の上で行われた。
コルは、ヴィレムに“デカイ仕事があるんだ!”と誘拐計画を持ち掛けられた。
ターゲットは、フレディ・ハイネケン。ハイネケンの大金持ちで社長だ。
コルたち5人は親友で、犯罪にはド素人だったが、武器や変装グッズなど誘拐の準備が始めた。
手始めに、資金調達のため、銀行を襲うことに。現金輸送車を狙い、川をボートで下りながらコルたちは逃げた。銃撃戦を装いつつ、銃を放ったが誰1人死んだ者はいなかった。
映画『ハイネケン誘拐の代償』 結末・ラスト(ネタバレ)
犯罪に対して素人にも関わらず、5人はグループのリーダー・コルを中心によくまとまって動いた。
アジトには、誘拐したハイネケンを監禁する部屋も作られ、新聞社へ送る脅迫文も完成した。しかし、素手で脅迫文を触ってしまったり、コピー機に脅迫文を置き忘れるなど初歩的ミスも多い。
コルは、“忘れるな!話す時はドイツ語だけだぞ!”と身元を悟られないようにする用心深さを見せたが、まだ他の仲間たちには緊張感が足りないのだった。
ある日の夜、屋敷にフレディ・ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)が現れたところを、彼と運転手を誘拐した。その後、アジトの地下にある、監禁場所に2人を閉じ込めた。
そして、警察のポストへ、“脅迫状”が投函された。
当初の予定は、誘拐して5日後に身代金を受け取って、誘拐事件は終わるはずだった。
しかし、新聞欄には、“身代金”に応じると書かれた“告知文”が載ることはなかった。
一方、監禁されているハイネケンはかなり狡猾な性格だった。3度の食事の度に、バスロープや椅子、本、食べたい物などリクエストするのだった。
何日経っても、新聞には“告知文”は載っていない。次第に我慢の限界を感じ始める彼らは、“お金が払われていない・・もし、払わなければ、お前を殺す!”と脅すのだった。
その事態にまず、子煩悩なヤン・“カット”・ブラート(ライアン・クワンテン)が、俺は辞めると言い出した。
誘拐から3週間目。必死に仲間の団結を維持しようと、コルは苦心していた。
そこで、ハイネケンらの態度を見るため、わざとハイネケンと運転手が会話できるように扉を開けてみたりもした。
ハイネケンらの会話は筒抜けだった。
一方、警察からの動きはなかったが、どうやらコルたちの出方を見ているようだ。
事態が一向に動かない状態に痺れを切らしたヴィレムが、ハイネケンを殺そうと動いた。
なんとか阻止するが、このままでは仲間割れになってしまう。
誘拐19日目。ラジオが事件の進展はなし、と告げていた頃。久しぶりに我が家へ戻ったコルは、妻ソーニャから“一緒に出産クラスにゆくはずでしょ?”と怒られてしまう。
だが、コルの頭には子供ではなく、この誘拐事件が成功するかどうかでいっぱいだった。
その日の新聞には、ようやく、ハイネケン側の“告知”が載った。
大金持ちであるハイネケン氏には格言があった。
“お金持ちには2通りの種類があり、1つはお金、2つ目は多くの友人を持っていることだ!しかし、その両方はありえない”と。ハイネケン氏には、コルたちが仲間割れするのが見えていたようだ。
それでも、コルたちは巧妙にハイネケン側に指示を出し、身代金を得ることができた。
身代金の大部分は、隠したようだが、アジトに運べるだけ運んだ。
一方、ハイネケンは長い監禁生活に狂いそうになっていた。運転手のほうも、不安を募らせていた。
コルは、年少のマーティン・“ブレイクス”・エルカンブス(トーマス・コックレル)にアジトにあるお金を託した。また、地面に700万ドル隠したと言う。
コルは計画として、ほとぼりが冷めるまでパリで暮らすつもりだった。
コルたちのアジトは、警察側にばれていた。警察がアジトに踏み込んだ時には、ハイネケンと運転手は衰弱しているものの、元気だった。
神経質でよく問題を起こしたフランス・“スパイクズ”・メイヤー(マーク・ファン・イーウェン)は、お金を持ったまま徒歩で逃げて後に捕まった。
コルとヴィレムは最後まで逃げ切れるかと思われたが、コルが妻ソーニャに電話をしたことであっさり潜伏先が見つかってしまう。
“子供が生まれたら帰るよ!”と愛する妻ソーニャに告げるのだった。
事件解決後の2003年にフレディ・ハイネケンは死亡した。同じ頃に11年服役したコルもまた暗殺された。ヴィレムはオランダの組織のトップにいるらしい。
映画『ハイネケン誘拐の代償』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ハイネケン誘拐の代償』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
狡猾なハイネケン氏VS素人犯罪集団!
アンソニー・ホプキンス演じる、誘拐されたフレディ・ハイネケン氏は言う、“金持ちには2種類の人間がいる・・1人目はお金をたくさん持つ、2人目は友人が多い。ただし、その両方を持つ人間はいない”と。
その格言がずっと頭から離れない。しかし、犯罪に関しては素人である5人が、なぜビジネスとして誘拐を選んだのか切ない。そして、狡猾なフレディ・ハイネケン氏に巧みに翻弄されるのだ。
一見、アンソニー・ホプキンス演じるハイネケン氏の存在感が目立つが、誘拐を計画し実行した側の人間ドラマとしても面白い。例えば、リーダー格のコルは妻ソーニャを愛し、初めての子供を楽しみにしていた。カットは子煩悩で、銀行に融資の相談に行く際も子供を連れていた。
実話を基にした話ということで、期待していたが、身代金を得ようとするまでの展開にかなり時間がかかるのと、なかなか仲間割れしそうでしないのがリアルだと感じた。
ただ、ソーニャの父親がリストラ後もずっとハイネケン氏を慕っているのも不思議だし、ハイネケン氏側から奪った身代金の一部がどこに隠されたのか分からないのも捜査不足だろうと思う。
犯罪ドラマとしては、中途半端な印象が残り、アンソニー・ホプキンス演じるハイネケン氏がただ憎たらしいだけです。
俳優ジム・スタージェスには美しい破滅が似合う
去年あたりから、イギリス人イケメン俳優の人気が上がっています。例えば、「007スカイフォール」に出演したベン・ウィショーや、ホーキング博士を演じたエディ・レッドメーンなどがその代表格ではないでしょうか。
そんな中、一部で隠れイケメンとして人気なのが、ジム・スタージェスなんです!
彼の代表作は、「ブーリン家の姉妹」や「ラスベガスをぶっつぶせ」(08)から、ラナ&アンディ・ウォシャンスキー監督の「クラウドアトラス」(12)、そして「鑑定士と顔のない依頼人」(12)と多彩な魅力があります。
特に「ラスベガスをぶっつぶせ」で演じたような、知的な役柄が多い。本作でも、犯罪集団のリーダー格を演じています。
ジム・スタージェスの最新作は、「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」(14)です。
今年の7月に日本で公開されたサイコサスペンス。
サスペンス映画に欠かせない俳優として、彼の活躍がこれからも見逃せない!
フレディ・ハイネケンが冷静沈着な人物で、誘拐された側にも関わらず犯人達を翻弄するところが印象的だった。
フレディ・ハイネケンは大企業を経営しているだけあり、人のことがよく分かっていたのだと思う。彼が言った通りに、犯人達が仲間割れを起こすのがなんとも切なかった。コル達は安易にお金を手に入れようとせず、仲間と力を合わせて頑張るべきだったと思う。友情やお金について、深く考えさせられる作品だった。(女性 30代)
映画『ハイネケン誘拐の代償』 まとめ
ハイネケンというビール会社の名前は、誰もが1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
大金持ちとして知られる、フレディ・ハイネケン氏が誘拐されたのが1982年。
誘拐した側の葛藤や仲間を思う気持ちなどがリアルに表現されていて興味深いです。
ただ、アンソニー・ホプキンス演じるハイネケン氏においしいところを持っていかれた感じは残ります。殺人鬼ハンニバル・レクター博士を演じた方ですので、しょうがないかも!
誘拐した側で知的さを魅せた、リーダー格コル役を演じる、ジム・スタージェスの演技も見どころです!妻ソーニャにかける最後の電話が涙を誘います。
実話に勝る物語はないと言いますが、誘拐犯の5人5様の葛藤がよく描けていて95分間のスリリングな体験が出来ますよ。
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