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映画『花いちもんめ。』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『花いちもんめ。』の概要:史料館で働いていた冬吉は、アルツハイマー型老年痴呆と診断された。冬吉を引き取ることになった治雄や桂子たち家族は、壊れていく冬吉の姿を目の当たりにしながら、家族としての在り方を変えていこうとするヒューマンドラマ。

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映画『花いちもんめ。』の作品情報

花いちもんめ。

製作年:1985年
上映時間:122分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:伊藤俊也
キャスト:千秋実、十朱幸代、西郷輝彦、中田喜子 etc

映画『花いちもんめ。』の登場人物(キャスト)

鷹野冬吉(千秋実)
松江郷土歴史史料館で働いており、縄文土器を割ってしまったことで退職することになった。日に日に物忘れがひどくなり、アルツハイマー型老年痴呆と診断された。息子の治雄家族に引き取られ、妻の菊代のことを桂子だと勘違いする。菊代が歌っていた花いちもんめを聞くのが好きだった。
菊代(加藤治子)
冬吉の妻。ボケていく冬吉のお世話をしていたが、持病の心臓病が再発する。退院し冬吉を引き取りに治雄の家に向かったが、冬吉と桂子がキスをしたことを知り亡くなってしまう。花いちもんめを口ずさみながら、家事を行なっていた。
治雄(西郷輝彦)
冬吉の息子。浮気相手の女性がいる家と、家族が待っている家に行き来していた。冬吉を預かることになり、改めて桂子の苦しみを理解する。桂子を支えたり、子供たちと遊んだりと徐々に変わっていく。
桂子(十朱幸代)
治雄の妻。治雄が浮気していることを知っており、毎晩お酒に逃げていた。花屋でパートをしている。菊代の代わりに冬吉をお世話することになり、冬吉のためにキスをする。葛藤や苦労をしながらも冬吉のお世話をし続け、冬吉が異変だと気付いたときは菊代が歌っていた花いちもんめを口ずさむ。
信恵(野川由美子)
冬吉の長女で治雄の妹。自分の結婚式で冬吉がスピーチを忘れてしまい、恥ずかしい気持ちになる。冬吉と桂子がキスをしたことに怒っていたが、お世話をし続けてくれた桂子に感謝の気持ちを持っている。

映画『花いちもんめ。』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『花いちもんめ。』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『花いちもんめ。』のあらすじ【起】

冬の降る季節、冬吉は松江郷土歴史史料館で働いており、大事な縄文土器を割ってしまった。その頃菊代は花いちもんめの歌を口ずさみながら、家の整理をしていた。

桂子は花屋で働いているとき、夫の治雄から連絡がきて子供たちを連れて実家に行ってくれと言われていた。家に帰ると娘が母親代わり家事を行っており、息子は正月におじいちゃんの家に行くことを楽しみにしていた。だが桂子は行かないと言い、治雄が仕事で行けないことを理由にしていた。桂子はご飯を作りながらお酒を飲んでいた。

冬吉は家に誰もいないことに動揺していたが、菊代が庭で作業をしていた後に戻ってきて安心していた。治雄は物忘れが多くなり、孫たちのお年玉を書き忘れていた。

治雄は体の調子が悪くお手洗いに行き来していた、浮気相手の女性の家に来ていた。女性のために花を渡し、ベッドで抱きついていた。家族がいる家に戻った治雄は、お酒に溺れ酔っ払っていた桂子を目にする。桂子は治雄が浮気していることを知っており、愚痴をこぼしていた。逆上した治雄はお酒を取り上げようとしたが、桂子は離さなかった。治雄は息子の一言で傷つき、桂子は大笑いしていた。

蝉が鳴く夏の日、治雄と桂子と子供たち家族は、冬吉と菊代のいる治雄の実家に来ていた。冬吉は孫を連れて、自分が働いている史料館にやって来た。館長から仕事を辞めてほしいと願い出され、怒りを露わにする冬吉だったが承諾することにした。家に帰った冬吉は退職願を書き、一息ついていた。治雄は菊代に仕事を辞めたことを伝えようとしたが、忘れてしまっていた。

次の日、治雄は孫を連れて動物遺跡のある場所へ向かっていた。洞窟内を走り抜ける孫を、治雄は後ろからゆっくりと追いかけていた。治雄は史料館にある土器を割ってしまったことに後悔し、泣きながら自分に怒っていた。夜になっても帰ってこない冬吉と孫を心配した菊代は、治雄や桂子に連絡を入れ動揺していた。土砂降りの雨の中、桂子は洞窟の入り口で冬吉と息子の名前を叫んでいた。すると息子から返事があり、息子と会うことができた。桂子は冬吉の姿を見つけ出すことができたが、冬吉は死んだように座っていた。

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映画『花いちもんめ。』のあらすじ【承】

翌朝、冬吉は病院に行き昨晩のことは覚えていないと医師に伝えていた。医師から簡単な数字の計算や問題を出されていたが、冬吉は答えることができなかった。付き添いに来ていた桂子は、医師から冬吉がアルツハイマー型老年痴呆と診断されたことを聞いていた。冬吉は医師の話しを後ろから聞いてしまったと、桂子に伝えていた。また冬吉は治雄が浮気していたことも知っており、これからも治雄のことを頼むと桂子に伝えた。治雄は自分自信がボケてしまい、菊代の手に負えなくなってしまったときは病院に入れてくれと桂子に言い、桂子は泣きながら治雄の話しを聞いていた。

菊代と冬吉は娘の信恵の結婚式に来ていた。信恵は冬吉がボケてしまったことを知っていたため、結婚式には来なくていいと言ったが、冬吉は反対を押し切り会場に来た。冬吉は挨拶を任されており、全く内容の無い挨拶となってしまった。菊代は冬吉が失禁しているとこを目にし、咄嗟にビールを掛けて誤魔化していた。

結婚式を終えた冬吉はボケていく自分自信に腹が立っていたが、隣にいた菊代は冬吉を励まし続けていた。冬吉は服を脱ぎ、海へ飛び込んで泳いでいった。菊代は冬吉に戻ってこいと叫んでいたが、冬吉は戻らなかった。菊代は冬吉が自殺しているんだと感じ、助けを求めようとするが心臓が痛くて座り込んでしまった。

病院に運ばれた菊代は、一命を取り留めたが入院することになった。桂子は菊代のお見舞いにきたとき、冬吉を預かりたいと願い出た。菊代は夫婦関係が上手くいってないことを心配し、桂子に大丈夫なのかと問いかけたが桂子はそれでも引き取りたいと言った。

桂子は冬吉のお世話をしていた。冬吉は治雄や孫たちの顔を忘れ、お世話をしてくれている桂子のことを菊代と間違え何度も母さんと呼ぶようになった。食事やお手洗いすらもできなくなっていた。冬吉は毎晩決まった時間に仕事へ行く準備をし、桂子と治雄は夜道を歩く冬吉の後ろから見守り歩いていた。

治雄は仕事中に浮気相手の女性からの内線が入り、なぜ最近家に来てくれないのかと聞いていた。治雄は父親のことで精一杯な桂子を放っておけないと言い、内線を切った。

映画『花いちもんめ。』のあらすじ【転】

冬吉は下着のまま家を出て、途方に暮れながら歩いていた。学校から帰ってきた息子から電話が入り、桂子は急いで仕事を切り上げ家に帰った。治雄が警察に電話し、冬吉を見つけてほしいと伝えていた。その頃冬吉は工事現場の中に入り込んでいた。桂子は菊代のお世話をしている信恵から、冬吉が逃亡した件についてこっちにも連絡があったことを伝えられていた。また信恵は、何をしているんだと桂子に怒っていたが、治雄は桂子を守り信恵に怒鳴りつけた。警察に保護された冬吉は、何事もなかったかのように家に戻ってきた。

桂子は冬吉がいつも着るスーツの後ろに、冬吉の名前と住所を書いた。桂子がお風呂上がりに髪を束ねているとき、後ろから冬吉が来て桂子肩についている毛を取ってあげた。就寝前、桂子と治雄は冬吉について、ボケても学問は残っていると話していた。治雄は桂子の背中に指で「けいこ」となぞったが、桂子は治雄に背中を向けたまま寝た。

治雄は仕事中、険しい表情をしながら浮気相手の女性に話があると言い、仕事終わりに会う約束をしていた。桂子は作ってきたお弁当を持ち、冬吉と公園のベンチに座って食べていた。冬吉は昔菊代とこの公園でご飯を食べ、キスをしたことを薄っすらと思い出していた。冬吉は桂子を菊代と勘違いしたまま、桂子にキスをしていいかと問いかけた。桂子は冬吉のために頷き、冬吉とキスをした。冬吉は菊代の名前を忘れたため、紙に名前を書いて欲しいと願った。桂子は自分の名前を書くことに抵抗していたが、書くことにした。

治雄は仕事終わり、浮気相手の女性に別れてほしいと言った。女性は慰謝料を払えと治雄を脅したが、治雄はもう終わりにしようと言い女性は泣きながら帰っていった。

退院した菊代は信恵を連れて、冬吉を迎えに来た。冬吉は菊代の顔を覚えておらず、桂子は菊代の代わりにお世話をしたことを申し訳なさそうにしていた。信恵は冬吉の腹巻きから通帳と印鑑を取り出したとき、通帳に桂子の名前が書かれていることに気付いた。信恵は桂子にこれはどういうことだと聞いたが、治雄がお世話になったお礼だと代弁した。冬吉はキスをしてくれたお礼だと菊代の前で言ってしまったが、菊代は信じていなかった。菊代は冬吉を連れて帰ろうとしたとき、倒れてしまった。菊代は冬吉と二人になったときに家に帰ろうと言い、冬吉は菊代に繋がれていた装置を全て外し菊代を抱えて病院を出た。菊代は冬吉の背中にもたれ、花いちもんめを口ずさみながら亡くなった。

映画『花いちもんめ。』の結末・ラスト(ネタバレ)

菊代のお葬式中、冬吉はせんべいを頬張っていた。信恵は菊代の遺骨を持ち、桂子とは二度と関わらないと言い帰っていった。冬吉は自分の家に帰ろうとしていたが、治雄が引き止めた。菊代が亡くなってから、冬吉の症状は悪化していた。また桂子と治雄の関係も壊れ、桂子はお酒を飲みながら泣いた。

冬吉は夜中に炊飯器の中のご飯を貪り食べたり、ノコギリを手に取り桂子の腕を傷付けたりと、悪くなる一方だった。帰ってきた治雄は、そのとき初めて桂子の苦しみを理解した。治雄は冬吉を施設に入れた。桂子は仕事を終え冬吉のお見舞いに行くために花を持ち、施設で待っている治雄の元へ向かっていた。渋滞に巻き込まれ約束の時間に遅れている桂子を待っていた治雄は、先に施設に入っていった。施設で暴れた冬吉は両手を紐で固定され、身動きが取れない状態になっていた。その姿を見た治雄は、冬吉の手を握り泣いていた。桂子が施設に着くと、治雄と冬吉はすでに施設を出ていた。

冬吉を家に連れ戻した治雄は、菊代の仏壇に座らせた。食欲がない冬吉に治雄はご飯を食べさせようとするが、冬吉はそのまま眠ってしまった。冬吉の日記を見た治雄は、冬吉自身がボケて辛い思いをしていることに気付いた。菊代を探しに外で歩く冬吉を治雄は後ろから見守り、心配していた桂子と子供たちが駆け寄ってきた。治雄は施設で縛られていた状態を桂子に説明し、家に連れて帰った。

桂子と治雄は力を合わせて冬吉をお風呂に入れ、気持ち良さそうにしている冬吉の姿に笑っていた。冬吉を寝かせ、治雄と桂子はキスをし体を合わせようとしていた。そのとき冬吉が桂子の側まで来て寝てしまった。桂子と治雄は見つめ合い笑っていた。

治雄と子供たちはサッカーをしながら遊び、桂子はご飯を作っていた。寝ている冬吉を起こそうとした桂子は、冬吉の異変に気付き治雄を呼んだ。冬吉は桂子が割ってしまった器を集め、桂子は菊代が歌っていた花いちもんめを泣きながら歌った。

映画『花いちもんめ。』の感想・評価・レビュー

映画を通して、改めて家族の大切さを感じることができた。アルツハイマーになってしまった冬吉が、自分自身に苛立っている姿に胸が苦しくなった。長年支えてきた菊代の辛さや、本来の冬吉の姿ではない冬吉のお世話をする桂子の葛藤なども見所である。また冬吉が家に来たことにより、治雄と桂子の関係が変わり出し、良い方向へ向かっている場面も見ていてほっこりする瞬間であった。(MIHOシネマ編集部)

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