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映画『ハッピー・オールド・イヤー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の概要:スウェーデンに住んでいた頃にミニマリズムの影響を受けた女性が、帰国後デザイン事務所を作るために実家で断捨離をする様子を紡ぐ。タイの新鋭監督ナワポン・タムロンラタナリットがメガホンを取る。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の作品情報

ハッピー・オールド・イヤー

製作年:2019年
上映時間:113分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ナワポン・タムロンラタナリット
キャスト:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、サニー・スワンメーターノン、サリカー・サートシンスパー、ティラワット・ゴーサワン etc

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の登場人物(キャスト)

ジーン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)
タイでデザイナーとして働くため、自宅をオフィスにしようと断捨離に勤しむ女性。スウェーデンに住んでいたことがあり、ミニマリズムに影響を受けている。
ジェー(ティラワット・ゴーサワン)
ジーンの兄。実家でずっと暮らしながら、自作の服をネットで売り生計を立てている。断捨離にはあまり関心がないが、ジーンの手伝いをしてくれる存在。
エイム(サニー・スワンメーターノン)
ジーンの元恋人。スウェーデンへ向かう時に、カメラとフィルムをジーンに贈った男性。表情が豊かではなく、本心が掴みにくい。現恋人・ミーとシンガポールに移住予定。
ピンク(パッチャー・キットチャイジャルーン)
ジーンの友人のインテリアデザイナー。理想のオフィスを作りたいというジーンに協力し、デザインや予算を管理してくれている。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ハッピー・オールド・イヤー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』のあらすじ【起】

ミニマリズムは「仏教哲学」だと語るジーン。スウェーデンに住んでいた頃に影響を受け、帰国後に父が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルを改装したことをインタビューで明かすのだった。

ミニマリストのジーンは、本は買わない。必要なページだけを写真に残すのである。楽器の修理店だった1階をメインオフィスにするつもりだとインテリアデザイナーの友人・ピンクに相談する。物に溢れた3人家族の自宅で大規模な断捨離を行う予定なのだ。

ピンクはミニマリストになるために家族の承諾が欠かせないとジーンを説得する。年末に計画開始する目標で、11月下旬にジーンは活動を始めた。

まずは母親の説得に動いたジーン。しかし、母親は居間を改装することには大反対だった。次にジーンは兄・ジェーの説得に向かう。自作の服をネットで販売しているジェー。30年住んでいる狭い家には慣れてしまっていると言うジェーは、断捨離にあまり興味はないようだった。

断捨離のコツ、1つ目は「目標を設定し、着想を得ること」。面接先のオフィスはまさに理想だった。仕事をするうえで理想通りのオフィスを作ることがジーンには必須だった。

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映画『ハッピー・オールド・イヤー』のあらすじ【承】

ジェーを連れてホームセンターに向かったジーン。断捨離に必要な物を買い漁った。断捨離のコツ、2つ目は「思い出にふけらないこと」である。思い出の本やCD、幼い頃のおもちゃや使い古した携帯電話は全てゴミ袋へと迷いなく入れていく。

成績表まで捨てるジーンに、ジェーは「悲しいな」と声をかけるがジーンは躊躇ない。ピアノも捨てようとするジーンを母親は必死で阻止する。父親との思い出の品なのである。

断捨離のコツ、3つ目は「情を持ちすぎないこと」。シェリーから贈られた大きなクマのぬいぐるみにもジーンはゴミ袋をかぶせる。しかし、ジェーが見つけたカメラといくつものフィルムを前に、ジーンは手を止めた。

様子を見に来たピンクは、自分がプレゼントしたCDもゴミの中にあることに怒りを覚える。言い訳をするジーンだが、ピンクは「不要だと返してくれた方がマシ」とCDを手に帰ってしまった。

ケロッとしてピンクに相談の連絡をしたジーン。その態度にもピンクは怒りを示し「両者が納得しないと意味がない」と告げるのだった。

断捨離のコツ、4つ目「ためらわず非情になること」。一度は家の物を業者に渡したジーン。しかし、罪悪感が湧いてしまい全て取り返してしまった。一度封をしたゴミ袋を開けていると、ジェーに贈ったマフラーが出てきた。自分の贈り物が捨てられる寂しさを知ったジーンは、貰い物は贈り主に返すということにした。

一人一人に面と向かって物を返していくジーン。中には「捨てておいて」という者もいる。ジーンの車に乗せた荷物を見て「売ってほしい」というアンティークショップのバイヤーもいた。唯一、元恋人のエイムにだけは直接返す勇気が出ず、郵送するが受け取りが拒否されてしまった。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』のあらすじ【転】

受け取りを拒否されたカメラとフィルムを捨てようかと悩むジーン。しかしエイムに返すことに決める。「連絡しなくてごめん」と切り出したジーンは、帰国後も連絡しなかった心境を思うがまま口にする。

エイムは黙ってジーンの言い分を聞き入れた。そして「コーンスープを作って」とジーンを自宅に招き入れた。エイムの自宅を懐かしむジーンに、現恋人のミーが声を掛けてくる。二人にコーンスープを振る舞ったジーンは、自分が贈った盆栽がまだ大事に育てられていることに安堵するのだった。

旧友・コーンの結婚報告を受け、昔の写真を探すジーン。その時、エイムから連絡を受け懐かしい店に出向くと、エイムの自宅にあったジーンの物を返されてしまう。

断捨離のコツ、5つ目は「物を増やさないこと」。エイムから渡された荷物の中には、エイムの母親からの手紙があった。お礼を言いたいと連絡したジーンだが、エイムの母親が亡くなったことを告げられる。

エイムと一緒にお墓へ向かったジーン。最期にジーンの作るコーンスープを飲みたがったという話を聞き、「連絡したかった」というジーンに対してエイムは「前進したかった」と初めて怒りを示した。

外で待っていたミーを気遣うジーン。コーンからの催促があり、エイムの自宅のパソコンで写真を探すこととなる。この時、エイムはミーと一緒にシンガポールに引っ越すことを告げるのだった。

断捨離のコツ、6つ目「振り返らないこと」。ジェーが見つけてきた幼い頃の写真をきっかけに、二人は父親との思い出の話になる。母親のためにも思い出のピアノを残そうと思い始めたジーンは、デザインの変更も検討していた。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の結末・ラスト(ネタバレ)

ヴィンテージショップのバイヤーに買い取りの査定を依頼していたジーン。バイヤーはピアノにとても興味を持っていた。覚悟を決めたジーンは父親に電話をする。「ピアノは売れ」と言われたジーンは涙し、ジェーと寂しさを分かち合った。

翌日、母親が父親を忘れるためにもピアノを手放したいと相談を持ち掛けたジーン。しかし母親は大反対する。

旧友から連絡を受け、探し物をしていたジーンの元にミーが訪ねてきた。写真の中でジーンが着ていたTシャツを返しに来たのである。そのTシャツはジーンと初めて会った時、ミーが着ていた物だった。

ミーはシンガポールに一人で行くことを告げた。謝罪するジーンに対して、ミーもジーンからの荷物を勝手に送り返したことを明かす。

エイムの元に向かったジーン。エイムはミーの荷物を整理していた。ミーと復縁すべきだと説得するジーンに対して、エイムは怒りを示す。ジーンは自分勝手な振る舞いを見直せと言い捨てられた。

帰宅したジーンはジェーに翌日母親を連れ出すようにお願いする。その間にピアノを売ったのである。泣き叫ぶ母親の声をヘッドホンで遮断したジーン。12月29日の出来事であった。

少量の荷物を破棄するようにジェーに頼んだジーンは、その日ホテルで過ごした。エイムの連絡先を削除し、思い出の家族写真を破って捨てる。目標を達成したジーンだが、空っぽになった部屋を前に涙を浮かべるのだった。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の感想・評価・レビュー

「ミニマリズムに感化された女性が断捨離する」という主題の裏で、物に宿った思い出についても整理していくという普遍的なヒューマンドラマが展開される一作。過去の恋人と家を離れた父親という二人の男性との関わりがキーになるが、主題同様展開もミニマルである。過去の出来事に関する説明がほとんどないのである。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』でも異彩を放っていたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンだが、今作も自然体でシンプルな演技がいい塩梅であった。(MIHOシネマ編集部)

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