映画『春待つ僕ら』の概要:原作はあなしんの同名コミック。「脱ぼっち」を目指した女子高校生が、学校内で人気の4人と出会い変わっていく様子を追う。平川雄一朗が監督を務め、主演に土屋太鳳を迎えた一作。
映画『春待つ僕ら』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:ラブストーリー、青春
監督:平川雄一朗
キャスト:土屋太鳳、北村匠海、小関裕太、磯村勇斗 etc
映画『春待つ僕ら』の登場人物(キャスト)
- 春野美月(土屋太鳳)
- 幼い頃から友達ができず悩む女子高校生。幼い頃に心の支えになっていた亜哉の存在を大事に思っている。偶然にも仲良くなった永久たちバスケ部の4人との時間で、少しずつ自信をつけていく。
- 浅倉永久(北村匠海)
- バスケ部で実力・人気共に誰もが認める存在。健気で素直な美月と出会い、すぐに惹かれていく。あまり気持ちを口にはしないが、沸々と美月への気持ちを高めていく。
- 神山亜哉(小関裕太)
- 美月が幼い頃に支えにしていた少女。実は幼い頃から美月が好きで、警戒されないように同性として接していた。アメリカから帰国し、有名なバスケットボール選手として永久のライバルとなる。
- 若宮恭介(磯村勇斗)
- 永久の先輩であり、チームメイト。女子慣れしていて、誰にでも余裕を持った接し方をする。初々しい美月と永久の関係を見守っている。
- 多田竜二(杉野遥亮)
- 永久のチームの次期キャプテン。お調子者で、美月のバイト先の先輩・ナナセに一目惚れをしている。熱血型で真っすぐな少年。
- 宮本瑠衣(稲葉友)
- 美月と永久の同級生。幼い頃から永久とバスケをする仲で、誰より永久の気持ちを理解している。不器用な美月を陰ながらサポートし、二人の関係を見守っている。
- 柏木ナナセ(泉里香)
- 美月のバイト先の先輩。友達のいない美月によくアドバイスをしてくれる存在で、明るく助けてくれる。竜二に好意を寄せられ、嫌な気はしていない。
- 山田レイナ(佐生雪)
- 美月の同級生であり、初めての友達。バスケ部4人の追っかけをしているが、美月が素直に関係を教えてくれたので一緒に応援する仲になった。
映画『春待つ僕ら』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『春待つ僕ら』のあらすじ【起】
新学期こそ友達を作ろうと意気込む美月であったが、現実はそう上手くはいかず落ち込んでいた。教室で一人寝ている同級生・浅倉永久に意を決して声をかけたが、起きる気配もなくバイトへ向かうのだった。バイト先のナナセからアドバイスをもらっていると、公園でバスケットボールをしている子供たちを見かけ、離れた友人・亜哉を思い返していた。すると一人の青年から声をかけられる。それはバスケ部の宮本瑠衣。学校内でバスケ部のイケメン四天王と称される瑠衣に声をかけられ驚く美月。本当の目当てはナナセであり人違いだったが、一緒に居た永久から名前を呼ばれさらに驚くのだった。
翌日、勇気を出して同級生の山田レイナに声をかけた。一緒にカフェに行く約束を取り付け、美月は浮かれたままバイト先に向かう。到着してすぐにナナセに報告した矢先、視界には前日悪絡みされたバスケ部の4人がいた。永久たちはナナセ目的で毎日通うというのだ。せっかくの居場所を奪われたようで落胆する美月に、永久は声をかけた。きちんとクラスメイトであると紹介したいという永久を冷たくあしらってしまった美月。自分の不器用さに再び落ち込むのであった。
いつも公園で一人ぼっちの女の子と過去の自分を重ねていた美月。何とかしてあげたいと思っていたが、4人があっという間にバスケを通じて仲間に入れてあげている姿を見て、思わず涙してしまった。その姿を見た永久は素直な美月を見守りたいと思うようになった。
映画『春待つ僕ら』のあらすじ【承】
レイナは実は4人の熱烈なファンであった。バスケ部に馴れ馴れしい女子に敵対視するレイナの姿を見て困惑した美月は、翌日から4人を避けるようになった。あからさまな態度に違和感を覚えた永久は、話を聞き出すと事実を話すようにアドバイスをする。しかしせっかくできた友達を失いたくないと必死な美月は、何とか隠し通したいと譲らなかった。翌日から永久は美月と関わらないようにするのだった。
バイト先で永久とのことを相談した美月に対して、3人は永久と出会った頃の話を聞かせた。両親を亡くしている永久は悲しい時こそ人に打ち明けない癖があるというのだ。美月を友達だと思ってくれている永久の気持ちを知り、美月はレイナに正直に打ち明けた。嘘をついていたことがショックだったというレイナ。美月の気持ちを汲み取り改めて友達になってくれた。友情を実感できた嬉しさから、きちんと永久にお礼しに行った美月。二人は打ち解け合い、永久は試合を見に来るよう誘いだした。
レイナと試合の応援に向かった美月。会場でブロンドヘアの少年とすれ違うも、美月は気に留めずレイナと走って会場に向かっていた。途中で亜哉とお揃いのヘアゴムを落としてしまっているのにも気づかずに。試合中、それまで見たことのない4人の真剣な姿に驚く美月。劣勢で進む試合展開に、思わず大声で応援してしまっていた。美月の声援は4人に届き、永久は感謝する。試合後、美月にお礼を伝え、ヘアゴムを探すのを手伝った永久。するとブロンドヘアの少年が声をかけてくる。なんとその少年は亜哉だというのだ。ずっと亜哉を女の子だと思い込んでいた美月は戸惑ってしまう。何より、フランクな亜哉の態度に永久は嫉妬してしまうのだった。
映画『春待つ僕ら』のあらすじ【転】
亜哉はアメリカで活躍する選手になっていた。帰国した亜哉の存在は高校のバスケットボール界でも一目置かれていた。幼い時から美月が好きだった亜哉は、あえて同性として接し友達のいない美月を支えたかったと正直に打ち明けた。初めて知った亜哉の気持ちを汲み取るのだった。美月はバイトが休みの日、亜哉と永久は対面した。美月のことを大切だという亜哉に嫉妬を隠せない永久。バスケでもライバルとなる二人は、美月の存在をかけて1on1の対決をする。
翌日、瑠衣の粋な計らいでようやく連絡先を交換した美月と永久。一緒に帰る中で、永久は亜哉の話をした。そして「諦めない」と伝えたのである。ようやく永久のことを好きになっていると気づき始めた美月。亜哉と永久の隠れた対決を知らないまま、大事な試合を控えた永久を応援する気持ちで一杯になるのだった。後日、インターハイの決勝をかけた試合の応援に行った美月。すでにリーグ優勝している亜哉は「美月の彼氏です」と冗談交じりにレイナに自己紹介し、一緒に試合を観戦する。亜哉の隣で、美月は永久への気持ちに揺れ動くのだった。
美月は作文のコンクールで代表作に選ばれた。過去に作文の読み上げで失敗したトラウマがあり、気が乗らずにいる。その気持ちを永久に話すと「自分を変えるきっかけは自分次第だ」と、背中を押してもらえ安心するのだった。
映画『春待つ僕ら』の結末・ラスト(ネタバレ)
亜哉は見事にインターハイに優勝し、注目を集めていた。インタビューなどで「大事な人」について答えていることから、永久の嫉妬は増していく。そんな中、亜哉のお願いで美月は一緒に花火大会に行くことになった。その様子を見かけたナナセは、4人にそのことを話してしまった。嫉妬を隠せない永久。その一方で亜哉はこれまで募らせた美月への思いを告白するのだった。動揺した美月は思わず転んでしまい、亜哉の実家の病院に連れていってもらった。そこで亜哉の母親から、幼い頃に亜哉も友人がいなかった話を聞く。自分ばかり頼ってしまっていたことを反省する美月は、「同じ目線」に立ちたいと思うようになった。
翌日、個人練習をする永久に声をかけた亜哉。永久は再び1on1の勝負を挑むも大敗する。それでも美月への気持ちを抑えきれない永久は、翌日学校で美月を抱き寄せて「待ってて」と伝えるのだった。大事な試合とコンクールを控え、美月と永久はそれぞれ奮闘するのだった。
美月の作文は見事に入賞。永久の試合と同じ日程のため応援には行けない代わりに、美月は刺しゅう入りのリストバンドを贈った。美月の気持ちを受け取り、永久は初めて「好き」という言葉を口にするのだった。その夜、美月は亜哉から試合が終わったら告白の答えを聞かせて欲しいと電話を受けた。複雑な気持ちの中、迎えたコンクール当日。緊張から原稿を1枚落としてしまい、壇上で気付き焦る美月だったが永久の言葉を思い返しアドリブで挑んだ。一方で決勝という大事な直面で対峙する永久と亜哉。試合は接戦で、永久たちは負けてしまった。試合後の亜哉と会った美月は、今は永久が好きだと伝えるのだった。
その年の年越し、4人と美月、ナナセ、レイナは一緒に過ごしていた。携帯を落とした美月に付き合う永久は、初めて気持ちを伝えた。カウントダウンと同時に永久は美月にキスをし、二人はようやく春を迎えるのだった。
映画『春待つ僕ら』の感想・評価・レビュー
実に上手い話である。ヒロインを敵対視する者もおらず、友人と人気者4人と過ごす学生生活。余計な存在を見事に排除された美しい純愛。まさにドリームストーリーだ。さらに、登場する美少年で帰国子女のライバル。笑えるほどキラキラした設定なのだが、演技派な若手で固められた今作は恥ずかしさなく見ることができた。主題歌は主演の土屋太鳳と北村匠海によるユニット「TAOTAK(タオタク)」の楽曲「Anniversary」。話題作り、キュンとできる王子要素に満ちたお姫様映画であった。(MIHOシネマ編集部)
不器用で友達を作るのが苦手という春野美月の性格は、多くの人が共感できるのではないかと思う。失敗したり落ち込んだりしながら自分を変えようと頑張る姿は、自然と応援したくなった。王道的なストーリーかもしれないが、恋愛だけを描いている作品ではないため見応えがあった。
大人向けの作品ではないが、リアルな学校生活を見ているようでなんだか懐かしい気持ちになった。たまにはこういう恋愛青春映画を見るのも悪くないと思う。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー