映画『はじまりの街』の概要:夫からの家庭内暴力に苦しむ女性が息子を連れてローマからトリノに移り住んで再生を図るイタリア映画。女性の親友や新たに知り合うカフェの経営者の優しさに支えられて親子はトリノの環境に馴染んでいく。
映画『はじまりの街』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:イヴァーノ・デ・マッテオ
キャスト:マルゲリータ・ブイ、ヴァレリア・ゴリノ、アンドレア・ピットリーノ、カテリーナ・シュルハ etc
映画『はじまりの街』の登場人物(キャスト)
- ヴァレリオ(ローワン・アトキンソン)
- 多感な中学生の少年。サッカーと自転車が好きだ。ローマからトリノに引っ越すも、新しい環境に馴染めず苦労する。
- アンナ(マルゲリータ・ブイ)
- ヴァレリオの母で、暴力的な夫から逃げている。かつてカルラと同棲していたことがあり、カルラを頼ってトリノに出てくる。
- カルラ(ヴァレリア・ゴリノ)
- 舞台女優でアンナの親友。独り身で自由に暮らしている。ヴァレリオとアンナを優しく受け入れ、共同生活を楽しむ。
- マチュー(ブリュノ・トデスキーニ)
- 元サッカー選手で、カルラの家の向かいでカフェを営んでいる。事故で子供をはねてしまった悲しい過去を背負っている。
映画『はじまりの街』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『はじまりの街』のあらすじ【起】
ローマで暮らすヴァレリオは友人と遊んで帰宅した際にアンナが父に殴られるのを目撃してしまう。ヴァレリオとアンナはカルラを頼ってトリノに列車で移動する。2人は駅でカルラの出迎えを受け、カルラの家にやって来る。家の向かいのカフェではマチューが爆竹で遊んでいた子供達を追い払っていた。ヴァレリオとアンナはカルラの家に案内される。そして、ダブルベッドが一つしかない客間で居候を始める。その夜、アンナとカルラは近況について話し合い、カルラはアンナを受け入れて良かったと告げる。
カルラはヴァレリオとアンナに近所を案内する。夜中、ヴァレリオはうなされてしまう。翌朝、目覚めたヴァレリオはカルラが泣いているのを目撃して驚く。実は、演技の稽古をしているところだった。ヴァレリオはカルラの稽古の相手をする。自転車で出掛けたヴァレリオは運動場でサッカーをしていた少年達を羨ましそうに眺める。そして、公園の近くの路上に立っている娼婦に気付く。ヴァレリオの帰宅が遅かったのを怒ったアンナはヴァレリオを怒鳴りつけ自転車での外出を禁じる。
映画『はじまりの街』のあらすじ【承】
ヴァレリオは近所の子供達が遊びに出掛けるのを羨ましそうに眺める。父からヴァレリノ宛てに手紙が届き、アンナはそれを開封して読んでしまう。そこにはヴァレリノに詫びて、父の愛を伝える言葉が綴られていた。アンナとヴァレリノは転校手続きのために学校にやって来る。アンナは職探しを始める。ヴァレリノはカルラの稽古を見に行くが退屈してしまう。そして、稽古場を抜け出して娼婦の様子を見に行く。娼婦はヴァレリノのことを追い払う。
自転車を解禁されたヴァレリオは公園に向かい、娼婦の前で転倒してしまう。娼婦はヴァレリオの怪我した足を手当してあげる。就職口が決まったアンナが帰宅すると、ヴァレリオの姿がなく父親からの手紙を読んでしまった痕跡だけがあった。アンナはマチューの手を借りて、ヴァレリオを探しに行く。橋の欄干に座っているヴァレリオを見つけたアンナは必死に許しを請う。ヴァレリオは父との仲直りをしてみることを約束する。ヴァレリオはマチューのカフェに行き、飲み物をご馳走になる。その後、娼婦にお礼を言いに行く。
映画『はじまりの街』のあらすじ【転】
カルラの家でカルラの劇団仲間が集まり、劇団員の一人がアンナのことをくどく。アンナは清掃員としての仕事を始めるようになる。ヴァレリオはアパートの駐輪場で近所の子供から声を掛けられ、マチューがサッカー選手だったことを知る。ヴァレリオはお父さんとボール遊びをしていた近所の子供を羨ましそうに眺める。そして一人でボール遊びをしてから、娼婦の元に温かい飲み物を届けに行く。しかし、娼婦は途中で客を取って消えてしまう。
ヴァレリオの自転車の調子が悪くなってしまい、マチューが直してくれる。マチューは交通事故で子供をはねてしまった過去を打ち明ける。ヴァレリオもローマからトリノに逃げてきた理由を説明する。ヴァレリオは娼婦の元にまた会いに行く。娼婦はヴァレリオの身長を尋ね、翌日に待ち合わせの約束をする。アンナが会社から帰宅しようとしていたところに、カルラの劇団員が車で通り掛かる。劇団員はアンナを車で送るが、カルラの家の前に着くと無理矢理言い寄ってくる。そこにマチューが駆け付け、劇団員を殴って撃退する。
映画『はじまりの街』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヴァレリオは娼婦が弟のために服を買うのを手伝い、一緒に遊園地で遊ぶ。ヴァレリオとマチューは一緒にボール遊びをするようになる。しかし、途中でマチューは劇団員を殴った件で警察に連行されてしまう。アンナは警察に事情を説明に行き、マチューは警察署から出てくる。
ヴァレリオは娼婦が客と車内にいるところを目撃して、傷付いてしまう。家に戻ると、アンナにトリノに引っ越してきたことへの不満をぶちまける。ヴァレリオの心理状態を案じたアンナは学校などに相談に行ってみる。心配したマチューがヴァレリオに話しかけ、ヴァレリオは娼婦との出来事を話す。マチューは手紙を書いてみるように勧め、ヴァレリオはその通りにする。しかし、公園に娼婦の姿はなく、ヴァレリオは手紙を路肩に置いて去る。
ヴァレリオはアンナにも誤り、2人は街を一緒に散策する。アンナは買い物をしていて偶然マチューと出会い、お互いにお礼を言い合う。そしてマチューはアンナをお茶に誘う。ヴァレリオの生活にも変化が訪れ、近所の子がサッカーに誘いに来るようになる。アンナは子供達と遊びに出掛けるヴァレリオの姿を幸せそうに見送る。
映画『はじまりの街』の感想・評価・レビュー
現代では夫の暴力から逃れて新天地でやり直しを図る女性は多く、家庭内暴力を盛り込んだ点がこの作品の新味だった。しかし、残念ながら家庭内暴力が親子の引越の原因として描かれるだけで、その後は夫との関係はほとんど登場しない。このため、引越先で新生活を始める親子のありきたりな物語になってしまった。友達がいなくて寂しい思いをしているヴァレリオが巡り会う相手が娼婦というのも安直で、この関係を通じて描きたいものが曖昧だった。(MIHOシネマ編集部)
夫のDVが原因で母息子は家を出て、親戚の家に隠れ住む。突然トリノに連れてこられたヴァレリオは、変化に対応できず、思春期も重なり母親に怒りをぶつける。陽気で独り身の叔母、公園で客を引く若い娼婦、元プロサッカー選手のおじさんなど、登場人物は皆何かしらの闇を抱えているように見える。ただ、解決しないまま作品が終わってしまう。夫や娼婦のその後が心配のまま幕引き。消化不良に感じてしまうが、日常を切り取った作品だと思えばこれで良いと思える。(男性 20代)
夫の暴力から逃れ、新しい人生を歩み始めたアンナと息子のヴァレリオ。刺激的な出来事が描かれているわけではないため、人によっては単調で退屈な作品だなと思ってしまうかもしれない。でも、アンナ達を支える人々の温かさを感じることができて、じんわりと胸に響く作品だった。
新しい生活が始まったからといって、すぐに幸せになれるわけではないのだなとしみじみと思った。日々悩みながら頑張って生活をしているアンナ達の姿は、とてもリアリティがあった。(女性 30代)
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