映画『響 HIBIKI』の概要:女子高生の鮎喰響は自分が書いた小説を評価してもらいたくて出版社に原稿を送り付けた。それを読んだ編集者の花井ふみは、その天才的な才能に驚愕する。後にその作品は、芥川賞・直木賞にノミネートされるほど人々を魅了していく。
映画『響 HIBIKI』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:月川翔
キャスト:平手友梨奈、北川景子、アヤカ・ウィルソン、高嶋政伸 etc
映画『響 HIBIKI』の登場人物(キャスト)
- 鮎喰響(平手友梨奈)
- 地味な女子高生。本が好きでひと月に20~30冊は読む。おとなしいが時に暴力的になることもある。今まで本を書いたことはなかったが、初めて書いた“お伽の庭”は圧倒的な出来栄えで高い評価を得る。
- 花井ふみ(北川景子)
- 出版社の編集者。廃棄箱に入れられていた響の原稿を手に取り、彼女の才能に気がついた第一人者。15歳という若い才能を伸ばし、守ろうと奮闘する。
- 祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)
- 響の高校の文芸部の部長。ネットで小説を書いており、近々本も出版して本格的な作家デビューをする予定。父親はベストセラー作家の祖父江秋人。
- 田中康平(柳楽優弥)
- 響と共に新人賞を受賞する作家。態度が横柄で、凡人を見下している。
- 山本春平(小栗旬)
- 芥川賞の受賞を何度も逃している作家。彼の受賞を両親は誰よりも待ち望んでいたが、受賞前に他界。
映画『響 HIBIKI』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『響 HIBIKI』のあらすじ【起】
ある日、出版社の小論社に新人賞の原稿が送られてくる。送り主の名は鮎喰響と書かれていた。参加資格はネットでの応募のみだったために廃棄となるが、編集者の花井ふみは原稿に目を止めて読み始める。彼女はその原稿の素晴らしさに感動し、どうしても新人賞に応募させたくなり、テキスト打ちを始めた。
女子高生の鮎喰響は幼馴染の椿涼太郎と文芸部に入部することにした。だが、部室は不良が溜まり場にしており、部としての活動も全く行われていない。出て行けと不良の隆也に言われたが、響は彼の小指を折って彼らを退散させた。
翌日から部室に不良たちは来なくなった。一応だが文芸部は存続しており、二年の凛夏が部長だった。部として成立させるには4人いなくてはならないため、響は隆也を部活に引きずり込む。
花井は鮎喰響からの連絡を待っていた。名前しか書いていなかったため、住所も電話番号も分からなかったためだ。本人の許可なく新人賞には応募できない。そんな時、響から電話があり、小説の感想を尋ねられる。花井は驚きながらも、最高だったと答えた。新人賞応募の話をしたかったが、それを切り出す前に電話は切れてしまった。
部活で文集を作ることになり、一人ずつ短編小説を書くことになる。凛夏はネットで小説を書いていたが、それを読んだ響に面白いと言われ嬉しく思った。だが、響が書いてきた短編を読んで、その才能に驚愕し嫉妬を覚える。
花井は担当しているベストセラー作家・祖父江秋人の所にコラムを受け取りに行く。実は凛夏は祖父江の娘だった。凛夏も近々作家デビューが決まっていた。祖父江の書斎にコラムと取りに来た花井は、遊びに来ていた響と出会う。文豪の書斎に勝手に立ち入ったことを怒るが、彼女が小説を送ってきた鮎喰響だと分かるとパッと表情を変え、絶対に新人賞を受賞できるからと応募を勧めた。
映画『響 HIBIKI』のあらすじ【承】
響の書いた“お伽の庭”という小説は、評論家の間でも好評だった。新人賞の選考委員の中には祖父江の名前もあったが、彼も響の作品を高く評価していた。それを知った凛夏は嫉妬心を強めていく。
花井は響の担当編集者になった。彼女を知りたくて質問攻めをした花井。響が原稿を送ったのは自分の感性を客観的に評価してもらいたかったためで、新人賞の受賞が目的ではなかったという。小説が好きかと尋ねると、読むのも書くのも好きだと笑顔を作った。
凛夏は出版社で作家の鬼島と遭遇する。鬼島は芥川賞の受賞歴を持つ文豪だったが、今ではテレビでコメンテーターなどをする俗物に成り下がっていた。親の七光りでデビューすることをバカにする鬼島。それを聞いていた響は、思わず鬼島を蹴り飛ばす。花井は驚愕と怒りで響を叱る。大人の世界は自分ひとりで責任を取ることはできない。必ず他人に迷惑をかけるのだと言われた響は鬼島の所に行き、蹴ったことに凛夏は関係ない、文句があるなら私に言えと言い放つ。
響は鬼島に対し、芥川賞を受賞した五作目までは面白かったがその後は駄作だとばっさり切り捨てた。真実を言われた鬼島はそれを否定しなかった。響の小説を読んでいた鬼島は、これからの文学界はお前に任せると言った。そして、今の自分は惰性で書いていると呟き、そのうちお前にも分かると言って去った。
新人賞の選考が開始され、響は見事に受賞。今回はもう一人受賞者がいた。28歳になる田中康平だ。自分以外は皆、凡人で低い存在だと思っており、態度も横柄だった。康平の小説を読んだ響は、独りよがりだと感想を述べるが、康平は響の小説を読みもせずに、見てくれだけのつまらないものだろうと言い捨てた。それが気に入らなかった響は、受賞の記者会見を受けた際、大勢のマスコミの前にも関わらず、パイプ椅子で康平を殴り倒してしまう。帰り道、康平を追いかけた響は、読んでから批判しろと言い、殴ったことを謝罪した。
映画『響 HIBIKI』のあらすじ【転】
凛夏の小説“四季降る塔”が発売された。響は早々に読み終え、感想を伝えようとする。だが、凛夏は芥川賞候補が発表されるひと月後まで話をしたくないと言った。しかし、響は言うことを聞かず、つまらなかったと一蹴。カッとなった凛夏は響を殴り、響はそれをやり返した。凛夏は発表までの一ヵ月間は絶交だと言って去る。
今まで芥川賞候補に三度残りながら、受賞まで一歩及ばずに悔しい思いをしていた作家・山本春平。今年こそ受賞するべく“豚小屋の豚”というタイトルの作品を発表。両親は受賞を心待ちにしていたが、すでに他界していた。両親の弔いのためにも、どうしても受賞したい春平。
芥川賞・直木賞の候補が発表され、響の“お伽の庭”はダブルノミネートを果たす。響は仲直りのために凛夏の家を訪れた。衝動的にひどい言葉を言ってしまった凛夏だったが、それが真意でないことを響は理解していた。以前のような仲に戻った響は、前回の続きとして凛夏の作品のダメ出しをしていった。
候補に残ったタイミングを見計らって、マスコミが騒ぎ始めた。新人賞受賞の時に康平に振るった暴力が取り上げられ、世間に悪い印象を植え付けられる。学校の帰り道を狙った取材カメラマンにつき纏われた響は、逆にカメラマンの後を尾行して自宅へと乗り込むと、自分のことを雑誌に載せるなと凄んだ。彼はしぶしぶ承諾してくれたがマスコミは加熱し始め、響のプライベートは失われつつあった。
受賞日当日。受賞した時のために東京に行くことになった響は、花井に動物園に行きたいと言った。文芸部のメンバーと一緒に動物園を楽しんだ響のところに結果の電話が来る。“お伽の庭”は芥川賞と直木賞のダブル受賞を達成した。春平の“豚小屋の豚”は芥川賞候補に残っていたが、四度目の挑戦も敗者という結果に終わった。
映画『響 HIBIKI』の結末・ラスト(ネタバレ)
受賞の記者会見が始まったが、響がまた突拍子もないことを仕出かすのではないかと心配する者も少なくなかった。花井は彼女を守るため、黒いフードを被せて会見に臨ませ、記者からの質疑応答は全て自分が代弁するという方法を取る。
響の生の答えが聞けないのであっては会見をする意味がない。記者たちは苛立ち始めていった。響につき纏っていたカメラマンの番になり、暴力沙汰を起こした者が偉大な賞を受賞して良いのかと質問した。彼の質問には自分で答えると言った響は、逆にあなたならどう思うかと尋ねた。自分だったら鮎喰響の作品は絶対に読まないと答えたカメラマンに対し、私はこれからも小説を書いていく。自分が書きたいと思い続ける限り書いていくのだと響は返した。
大人しく会見が続いていったが、カメラマンが花井に質問したことがきっかけで状況が変わる。担当編集者である花井は“お伽の庭”にどこまで関わっているのかと尋ね、15歳でここまで書けるとは思えない、あなたが書いている可能性もあると指摘。そんなことはないと弁解するが花井は動揺していく。花井がイジメられていると感じた響は、突発的な感情を抑えず、マイクをカメラマンに向かって投げつけた。会見はすぐさま中止となった。
花井の上司から、本は出版できないかもしれないと言われたが、響はあっけらかんと頷いて会見場を後にしていった。夜道の踏切に差し掛かった時、落選の喪失感から自殺しようとしている春平に遭遇した響は、ここで自殺されると私が困ると言って春平に自殺の理由を尋ねた。彼は10年も小説家をやったが駄作しか生み出せなかったとしみじみ語ったが、面白いかどうかは読者が決めるのだ、作者のくせに決めつけるなと響は言い放った。春平は自殺を思いとどまったが、そこに電車がやってきた。電車は線路の真ん中に立ち尽くす響に向かって突進してきたが、ぶつかる直前で停止した。
電車を停止させたことで逮捕された響は花井に電話を掛けた。花井は記者会見場での騒ぎの謝罪の最中だったが、響からの電話に嬉しい知らせを報告。会見での行動を面白いと思った社長がGOサインを出し、“お伽の庭”が出版されることが決まったのだ。しかも、初刷りで100万部も作るという。印税は1億4千万ほどになるそうだ。それを聞いた響は安心した。鉄道会社に支払う損害賠償は、なんとかなりそうだと思ったからだ。
映画『響 HIBIKI』の感想・評価・レビュー
キャラクターの多さはいかにも漫画原作らしい部分。それぞれのキャラクターには、もっと深い感情や展開があったのだろうが、2時間にまとめなくてはいけないため、バッサリと切った感が強い。そのため、不良の隆也や田中康平などの話はすごく駆け足に感じた。響が書く小説の内容には一切触れていないのがいい。こんなにおとなしく、暴力的な少女がどんな作品を書いたのだろうと想像を働かせる余地を生み出している。(MIHOシネマ編集部)
原作は未読です。原作では登場人物一人一人が丁寧に描かれていると思いますが、映画では尺の都合上キャラが薄い印象です。主人公にもそれが言えます。類稀なる文才を持ちながら、性格も優しいうえに周囲に様々な影響を与える女子高生ですよね。本当は愛されるキャラクターなのに、暴力的で周りを振り回すキャラに見えてしまいました。もう少し人物背景を映してほしかったです。
欅坂の平手さんは凄く適役だと思います。演技も良かったですよ!(男性 20代)
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