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映画『ひだまりが聴こえる』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ひだまりが聴こえる』の概要:中学生の頃、難聴を患い次第に人との距離を置くようになった杉原航平。大学生になった彼はある日、良く通る声の持ち主、佐川太一と出会う。真っすぐな彼と出会ったことで、救われた航平は次第に太一へと惹かれるようになる。

映画『ひだまりが聴こえる』の作品情報

ひだまりが聴こえる

製作年:2017年
上映時間:72分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:上條大輔
キャスト:多和田秀弥、小野寺晃良、三津谷亮、山崎あみ etc

映画『ひだまりが聴こえる』の登場人物(キャスト)

杉原航平(多和田秀弥)
中学3年の冬、推薦で高校が決まった途端に倒れ、高熱で1週間寝込み難聴を患う。先入観や聞こえないことで阻害され続け、普通の人としての生活を諦めている。太一と出会い考えを改め、彼に惹かれていく。高身長で容姿が整っており、控え目な性格。
佐川太一(小野寺晃良)
真っすぐな性格で通る声の持ち主。曲がったことが大嫌いで形振り構わず暴力を振るったり、説教をしたりする直情型。航平のノートテイカーをするようになり、難聴の難しさを知っていく。
横山智紀(三ツ谷亮)
太一の親友。同大学生の従妹から要請があり、太一と会うようセッティングする。航平と太一が仲良くなったことで、航平への先入観を改める。事情を知って謝ってくれる気の良い人物。
杉原涼子(高島礼子)
航平の母。料理研究家で息子のことを応援している。自然体で明るい人物。息子の友人だと太一を大歓迎する。

映画『ひだまりが聴こえる』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ひだまりが聴こえる』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ひだまりが聴こえる』のあらすじ【起】

大学生の佐川太一は高額のアルバイトを探していた。彼は元より声が大きく、曲がったことが大嫌いで形振り構わず説教してしまう厄介な性格。そのせいでアルバイトをクビにされることが多い。つい最近もそういう理由からアルバイトをクビになったところだった。

そんなある日、大学構内の道端にある柵へと腰かけた太一は、バランスを崩して転倒してしまう。視線の先には木の根元に腰かけた1人の青年がいた。彼が上手そうな弁当を食べようとしていたので、羨ましがると太一に譲ってくれる。しかも、青年は何も言わずに去ってしまった。

あとで、彼のことを聞いてみると、意外と有名人らしく杉原航平だと分かった。航平の容姿はとても整っている上、聴覚に障害があるらしい。そのためかノートテイカーを募集しているようだ。ノートテイカーとは、聴覚に障害がある人の代わりに講義を受け、その講義内容を筆記でまとめ対象生徒へと通訳する仕事である。
前日に遭遇した場所を訪れると案の定、航平を発見。太一は洗った弁当箱を返却し、お礼として航平のノートテイカーへと名乗りを上げる。2人はそこでようやく自己紹介するのだった。

報酬は弁当にしてもらい、ノートテイカーの仕事を始めた太一だったが、授業中に居眠りしてしまう。航平の耳は全く聞こえないわけではなく、半分は聞こえているため、要点さえ押さえてくれれば問題はないらしい。太一の声はよく通るため、航平にはとても聞きやすく話しやすいと言ってくれた。

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映画『ひだまりが聴こえる』のあらすじ【承】

難聴は個々の程度による。航平の場合、手話を使うほど重度ではない。それなのに、周囲の人々は聴覚に障害あると聞くと、手話で会話するのだと思い込む。彼は読唇術もできるため、聞こえにくいだけで会話は充分に成立するのである。よって、先入観による押し付けは非常に迷惑だと感じるのだった。

授業中にまたも居眠りをしてノートを取ることができなかった太一。素直に謝ると実は航平も報酬の弁当を忘れてしまったと言う。そこで、太一は航平と共に学食へと行ってみることにした。ところが、メニューを見ていると手話サークルの女子たちがやって来て、航平が囲まれてしまう。同時に太一は隅へと追いやられる。航平は彼のことを気にしていたが、そこへ男子も加わり航平を揶揄する。彼は何も言わずにその場を去ってしまう。一連の出来事を見ていた太一は、航平が大学生活を謳歌できない状況にあることを理解し、彼らへと喧嘩を売ってしまうのであった。

太一は聞こえないからと言って、周囲がいいように言っていいはずがない。聞こえないからと言って航平が諦める必要もない。聞こえないなら素直に言って、何度も聞き返せと当たり前のことを言ってくれる。これまで不遇の生活を送ってきた航平は、彼の言葉に救われ思わず涙を零してしまうのであった。

それ以来、太一のことが気になる航平。彼の好物を弁当に詰めて大学へ登校するも、頼んでいる講義が休みであることに気付く。だが、太一には太一の世界があって自分に付き合っているのは、ノートテイカーを頼んでいるからだと思ってしまう。しかし、太一は航平のことをすでに友達として認定しているため、遠慮なく声をかけて欲しいと言ってくれるのだった。

映画『ひだまりが聴こえる』のあらすじ【転】

昼食を一緒に摂っていると太一の元に親友、横山智紀がやって来て同じ大学に通っている従妹が太一と話したいと言っていると言う。そこで、太一は放課後に待ち合わせて親友の従妹と会ったが、彼女の目的は航平だった。しかも、彼女は航平が難聴だと知ると目を輝かせる。太一は腹が立ってしまい、航平にとっては現実なのだと怒鳴ってしまうのだった。

後日、太一に弁当を渡した航平に強い耳鳴りが襲う。そのせいで、太一の声すらも聞こえなくなり、強い不安に襲われる。病院で検査をすると聴力が落ちていると言われ今後、耳が全く聞こえなくなる可能性もあると言われるのだった。

ショックを受けた航平だったが、病院の帰りに横山と遭遇。彼から従妹が太一を怒らせた話を聞き、感極まってしまう。太一を呼び出した航平は嫉妬から告白し、横山の従妹と何があったのか聞き出そうとしたが、太一は言いたくないと断ってしまう。

すると、航平は更にショックを受け、太一に別れを告げノートテイカーとしての仕事も断ってしまう。メールをもらった太一は構内を連日探し回ったが、どうやら航平はここ1週間、大学を休んでいるようだ。横山から話を聞いた太一は、航平の母親が料理教室をやっており、住所などすぐに調べられると思い出し航平の家を直接、訪ねることにした。

映画『ひだまりが聴こえる』の結末・ラスト(ネタバレ)

航平の母親、涼子は太一が弁当の子だと知ると大歓迎する。彼女は航平が病院から帰るまで待っていればいいと言ってくれるが、あまり長居しても悪いため、帰ろうとする。すると、涼子は航平が太一のために好物のハンバーグを自分で作ったという話を聞くのだった。
翌日、横山に対し従妹との一件を話して聞かせた太一。ところが、偶然そこへ航平も居合わせ、太一が航平のことをとても大切に思っていることを聞いてしまう。彼は忘れ物の携帯を太一に渡すと走り去る。太一は彼を追いかけ、非常階段でようやく捕まえるのだった。

航平は太一に恋心を抱いており、彼に振られたと思っている。だが、太一にはそれが分からず、言いたいことを言えと怒鳴りつける。航平は太一に口づけをして、これまでの礼と別れを告げるのであった。

以来、2人は全く会うことのない日々を送り、春がくる。太一のお陰で前向きになることができた航平。いずれ耳が全く聞こえなくなることを想定して、手話サークルへの参加を決めた。ところが、そこへ太一が登場。いつも通りの様子だったため、驚く航平。だが、太一は会わない間に一生懸命、航平のことを考えたが、嫌いになる理由が見つからなかった。だから、今年もノートテイカーを引き受けたいと笑うのであった。

映画『ひだまりが聴こえる』の感想・評価・レビュー

漫画家、文乃ゆきの同名BL漫画を実写映画化。難聴をテーマに人生を変えてくれた相手へと、次第に恋心を寄せていく様子を繊細に描いている。これまで聞こえていた耳が突然、聞こえにくくなるというのは大変なことで、周囲は障害を持っているというだけで、先入観を持って相手を判断し、あるいは面倒だと拒絶されることも多い。そんな生活を送ってきたら卑屈になるのも仕方ないことだと思う。

原作でもそうだが、今作でも難聴はとても難しく物凄く曖昧な病気であることが描かれている。程度は人によってそれぞれだし、全く聞こえないわけでもない。障害は障害であるのだが、重度というわけでもなく耳が聞こえづらいだけで、普通の生活を送ることができる。今作では、そんな難聴当事者の生きづらさもきちんと描かれている。(MIHOシネマ編集部)

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