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映画『光をくれた人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『光をくれた人』の概要:無人島にある灯台の灯台守とその妻は、2度の流産を経験し悲しみに暮れていた。そんな時、島に息絶えた男性と泣き叫ぶ赤ん坊が乗った手漕ぎボートが流れ着く。夫婦は赤ん坊を自分達の子供として偽り、育て始めるのだった。切ない愛と絆の物語。

映画『光をくれた人』の作品情報

光をくれた人

製作年:2016年
上映時間:133分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:デレク・シアンフランス
キャスト:マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィカンダー、レイチェル・ワイズ、ブライアン・ブラウン etc

映画『光をくれた人』の登場人物(キャスト)

トム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)
元軍人で戦争終了後にヤヌス島の灯台守となる。イザベルと惹かれ合い結婚。紳士的で非常に真面目で働き者。規律を重んじる。
イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)
若く美しく少々変わっている。トムと惹かれ合い文通を経て結婚し、ヤヌス島へ移住する。2度の流産を経験。流れ着いた赤ん坊にルーシーと名付けて育てる。
ハナ(レイチェル・ワイズ)
地元の篤志家の娘。ドイツ人の夫と娘を海で亡くしている。実はルーシーの実母。黒髪の美人で深い愛情を持っている。
セプティマス・ポッツ(ブライアン・ブラウン)
ハナの父親。娘の結婚に反対しているも、孫が産まれたことで態度を軟化。寡婦となった娘を支え続ける。
ラルフ・アディコット(ジャック・トンプソン)
物資を運ぶべく、定期的に船でヤヌス島へやって来る地元の漁師。白い髭を蓄えた気の好い老人で、トム夫妻の良き友人となる。

映画『光をくれた人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『光をくれた人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『光をくれた人』のあらすじ【起】

1918年、12月。西部戦争終結後、軍を退役したトム・シェアボーンは静かな生活を求め、パルタジョウズの先にある孤島、ヤヌス島へ連邦灯台保全局の臨時灯台守として着任する。
2日後、パルタジョウズへ向かったトムは港の有志であるグレイズマーク家へ。そこで、運命の女性イザベルと出会う。彼女はグレイズマーク家の一人娘だった。

ヤヌス島は人気のない僻地である。だが、そこに建てられた灯台は北半球を照らし、船をパルタジョウズ港へと導く大事な役割を担っていた。孤島にあるのは灯台のみで無人島。トムは臨時なので任期は半年である。その間に療養している前任者が回復すれば、任を解かれる予定だった。

漁師であるラルフの船にてヤヌス島へ。海の潮騒と風の音しかない寂しく孤独な場所だった。それでも戦争で荒んだ心を持つ彼には、この先に残された生活として充分な場所だったのである。灯台守の仕事の他に家の補修や修繕をし、浜を散歩したり戦争にて亡くなった兵士達に祈りを捧げたり。淡々とした生活を送る。

3か月後、港長からの呼び出しで本島へ戻ったトム。療養中の前任者が亡くなったため、正式にヤヌス島の灯台守となる。その足でグレイズマーク家へ報告に向かうと、翌日にイザベルとピクニックへ行くことに。イザベルは初めて会った時から、どうやらトムに惹かれていたようだった。

島へ戻ったトムは彼女と文通にて逢瀬を続ける。孤独な生活の中、イザベルとの文通は次第にトムを癒し、再び生きる活力を彼に与えた。数か月後、2人は結婚。ヤヌス島での生活が始まる。

たった2人だけの甘い蜜月を過ごし、イザベルが第1子を妊娠。しかしある嵐の夜、イザベルが激しい腹痛に襲われ流産してしまう。トムはその時、灯台にて灯を守っていたため、彼女の苦痛には気付かず。1921年、5月のことだった。
深い悲しみに暮れるイザベル。トムは以前から家にあったピアノの調律を行うことで、彼女を慰めるのだった。

2年後、イザベルが第2子を妊娠。子供は順調に育った。しかし、島の生活が良くないのか、およそ6カ月に入った頃、再び流産してしまう。
深い悲しみに襲われる夫婦だったがそんなある日、島に手漕ぎボートが流れ着く。中にはすでに息絶えた男性が1人と生後2か月ほどの泣き叫ぶ赤ん坊が乗っていた。

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映画『光をくれた人』のあらすじ【承】

子供服の用意はあった。イザベルは保護した女児の世話を嬉々として行い、トムは灯台守として事の次第を報告しようとする。だが、妻から赤ん坊が落ち着くまで報告をしないで欲しいと言われ、トムは彼女を慮り報告を後回しにし、日誌にもこのことは記入しなかった。

翌朝、実直なトムは再び報告しようとするが、イザベルが必死になってそれを止める。彼女は赤ん坊を自分達の子として育てようと言うのだ。子を失ったばかりの夫婦は深い悲しみに苛まれていたため、甘い誘惑に抗いきれなかったのである。
トムはボートに乗っていた男性の遺体を埋め、イザベルが出産したと嘘の報告をした。

数日後、ラルフが物資を運んで来る。イザベルは女児にルーシーと名付けて紹介。気の好い老漁師は大喜びで夫婦を祝福した。
そうして、偽りの幸せな日々が続く。ルーシーは順調に育ち、良く食べ良く話し、良く笑った。

2年後、洗礼のために本島へ里帰りしたトム一家。イザベルの両親や友人知人らと共に教会へ向かうも、肝心の司祭がまだ到着していない。しばしの間、待つことになったため、ふらりと墓地へ足を踏み入れたトム。そこで、墓に参っている黒髪の女性を発見する。女性が去った後、墓碑を目にしたトムは愕然とした。
その墓は2年前に亡くなった男性と赤ん坊のものだったのだ。

洗礼が済んだ後、ラルフから墓碑のことについて聞いた。
今から2年ほど前、地元の篤志家であるポッツ家の1人娘ハナは父親の反対を押し切って、ドイツ人男性と結婚し1人娘グレースを出産。だがある夜、ハナの夫はドイツ人であるが故に、地元民に囲まれてしまう。当時はまだ、大戦で家族を亡くしドイツ人に恨みを持つ者たちが多かったのだ。ハナの夫は危険を感じ手漕ぎボートで海へ逃走したが、元々心臓が弱く発作にて息を引き取ったのである。それが、ヤヌス島へ流れ着いたのだ。
トムは1人で思い悩んだ結果、ハナの家のポストに手紙を残した。

映画『光をくれた人』のあらすじ【転】

ハナは愛する夫と産まれたばかりの子供を失い、未だ立ち直れずに深い悲しみに苛まれていた。その日も墓碑を参り帰宅したが、ポストに手紙が入っているのに気付く。手紙には子供が生きていることと、亡くなった夫の冥福を祈る文章が書かれていた。

彼女は娘の生存に希望を見出し、捜索願を出そうとするも手紙だけでは信憑性がないと言われる。
ハナの父親セプティマス・ポッツは孫の生存を信じ、2年前から賞金を出して情報を募っていた。故に、娘から手紙のことを聞き賞金の額を倍にするのだった。

ヤヌス島へ戻ったトム一家はその後も幸せな生活を続ける。ルーシーはおしゃべりで可愛らしく、イザベルとトムの愛情を一心に受け順調に成長。
更に2年後、灯台40周年の記念式典へ出席するため、一家は再び本島へ。
式典には灯台の模型が送られたが、模型製作に出資をしたポッツ一家も出席していた。会場にてハナの姿を目にしたトムは、途端に罪悪感で頭がいっぱいになる。

式典後は会場にてパーティが催されイザベルはルーシーと共にハナと対面。トムもハナと挨拶し、彼女が未だに夫と娘のことで悲しんでいることを知る。話を聞いたイザベルも、真実を察して体調を崩してしまう。

トムは真実を明らかにしようと話すも、イザベルは頑としてルーシーを手放そうとはしない。そこで、彼は密かにハナの自宅ポストへ、娘が元々持っていたフクロウの玩具を投函した。全てが露呈するのを覚悟してのことだった。
その後、一家はヤヌス島へ帰島。

ポストにあった玩具を見たハナは、それを警察へ持ち込んで正式に捜査を依頼。チラシも貼って情報を更に募った。

映画『光をくれた人』の結末・ラスト(ネタバレ)

1週間後、島へ警察が訪れる。トムは全ての罪を被り、逮捕されることになった。裏切られたと感じたイザベルは喪失に苛まれ夫を恨むようになる。
投獄されたトムは真実を話すも、ハナの夫の殺害容疑までかけられてしまう。妻は一切証言せず、ルーシーはハナの元へ戻された。

ラルフはトムの説得に赴いたが、彼は妻のために全ての罪を被る覚悟を決めている。せめて、願いを聞き届けようと彼の手紙を妻へと届けた。
だが、イザベルはトムからの手紙に目を通すことなく、机の奥にしまってしまう。

一方、実母ハナの元へ戻されたルーシーは育ての親となるイザベルを酷く恋しがり、決して懐こうとはせず泣いてばかりいた。懐かない娘との距離を縮めようと一生懸命なハナだったがある日、ルーシーが姿を消してしまう。
警察の捜索はグレイズマーク家へ真っ先に向かったが、イザベルの仕業ではないことが判明。子供の捜索が一斉に行われた。
日が暮れた頃、浜辺で眠っているルーシーを無事に保護。彼女は灯台を捜していたらしい。ハナは眠る娘を見守りながら、亡夫との思い出を思い出していた。

その後、イザベルは母親から諭される。ルーシーはまだ幼く、今後も幸せが待っている。だが、トムは天涯孤独で理解者はイザベルただ1人だけ。イザベルの罪を全て背負ったトムは、じきに刑務所へと移送され一生をそこで過ごすのだ。

その日は雨が降っていた。グレイズマーク家へハナが訪ねて来る。彼女は娘のことを思い、イザベルにトムの罪の証言を促した。その後、トムが監獄へ入ったら娘をイザベルに返すとまで言う。イザベルは自らの考えを改め、トムの手紙に目を通した。

手紙によって夫の深い愛情を知ったイザベルは、監獄へ向かうトムの元へひた走り、自らの罪を明らかにする。このことで夫婦は逮捕され、投獄されることになった。
しかし、警察からその報告を聞いたハナは、2人の減刑を願い出る。娘が生還できたのは、トム夫婦のお陰だからだ。
その後、ルーシーはポッツ家の生活へ徐々に馴染み、名前をルーシー・グレースと改め育てられた。

1950年、8月。病気のため、イザベルはルーシーとは一度も会わず、夫トムに見守られ息を引き取った。その後、丘の上の一軒家に1人で住むトムの元に息子を連れたルーシー・グレースが訪れる。トムは妻の手紙を彼女へ渡し、孫を抱かせてもらうのだった。

映画『光をくれた人』の感想・評価・レビュー

ストーリーをリードするのは、アリシア・ヴィカンダー、マイケル・ファスベンダー、レイチェル・ワイズ。3人ともアカデミー賞を受賞経験があり、安定した演技だった。『リリーのすべて』で注目していたアリシア・ヴィカンダーは、見た目の可愛らしい外見とは反して、シリアスな演技もできる素晴らしい女優だと思う。今後の出演作品にも期待したい。

舞台は灯台がある孤島。詩的で優しい言葉が美しいシーンと共に綴られていき、とても心地よい2時間だった。この映画のテーマは、人を許すこと。そのことを今まで以上に意識させられる作品だ。(男性 20代)


今作が公開された当時は、主演のマイケル・ファスベンダーとヒロインのアリシア・ヴィキャンデルは私生活でも恋人関係にあった。現在は夫婦。
今作で2人は夫婦役を演じているが、とにかくその夫婦の触れ合いがとても素敵で私生活が窺えるほどのもの。その感じが作品に良い印象を与えている。作品の舞台は孤島の灯台なので、外界との接点がないことも良かった。それ故に、二度の流産のシーンはとても胸が痛んだ。物語は孤島に男性の遺体と赤ん坊が流れ着いたことから次第に変わっていく。後半はとにかく辛いことばかりが続き夫と妻、子供の実の母親の心情が繊細に描かれるので共感度が高まる。素晴らしい映画だった。(女性 40代)

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