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映画『光の雨』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『光の雨』の概要:連合赤軍による事件を書いた小説『光の雨』の映画化が決まった。監督を務めるのはこれが初めてだという樽見。一方、出演する俳優陣は皆、事件については無知で元アイドルや元漫才師など異色な人材ばかり。撮影には不安が募るが……。

映画『光の雨』の作品情報

光の雨

製作年:2001年
上映時間:130分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:高橋伴明
キャスト:萩原聖人、裕木奈江、山本太郎、池内万作 etc

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映画『光の雨』の登場人物(キャスト)

樽見省吾(大杉連)
映画監督としては初仕事で、『光の雨』の監督を務めることとなる。自身も学生運動の経験者。内容が内容だけに賛否両論ある小説の映画化だったためか沢山の読者葉書が原作者に届くが、その中に監督に充てられた葉書が届く。その葉書に何故か心のうち葛藤し、やがて監督を降板して失踪してしまう。
阿南満也(萩原聖人)
『光の雨』メイキング編の撮影を務め、俳優らにインタビューなどを通じてコミュニケーションを図っていた。しかし樽見の失踪に伴い、彼が樽見監督の後任として映画を完成させることとなる。
高取美奈(高橋かおり)
元アイドル。最終的には「総括」されてしまい殺害される高田役を演じる。アイドル時代のプライドゆえ高慢な態度が目立ったが、次第に映画製作に真摯に向き合うようになり出演者に責められた役者を庇ったり、樽見についてもフォローしたりするような姿を見せた。
倉重鉄太郎役の俳優(山本太郎)
元漫才師で、今は路上で詩を書いて生活している。関西弁が特徴。倉重の思想や行動が今一つ理解できず役作りに苦しみながらも自分なりに倉重像を迫真の演技で演じていく。モデルは実際の事件の森恒夫。
上杉和枝役の女優(裕木奈江)
新人の女優。倉重と同じように、上杉の人となりが掴めず監督に彼女は一体何を考えていたのか、と尋ねたりもしていたが、冷酷非道な女幹部である上杉を見事に演じ切る。モデルは実際の事件の永田洋子。

映画『光の雨』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『光の雨』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『光の雨』のあらすじ【起】

学生運動について書かれた小説、『光の雨』の映画化が決定した。メガホンを取るのはこれが初監督作品だという樽見省吾で、自身も若い時、学生運動に参加していた。読者達からは映画化に対して良くも悪くも大きな反響があり、その中にとある1枚の読者からの葉書が樽見の心を大きく揺さぶっていた。作者ではなく監督に充てられた葉書は樽見にとって何か突き刺さるものがあったらしい。そして、そのメイキング編の監督として白羽の矢が立ったのは若きスタッフ・阿南。映画に出ることになった役者らに接触を図り、事件について知っていたか、どう感じていたかなどをそれぞれインタビューするが役者達は皆大半が元漫才師やアイドルなど事件の犯人像からはかけ離れた人柄、そして違う時代を生きてきた者ばかりで今一つ演じる役柄にピンと来ていない。やがてオーディションが終わり、撮影が始まった。

劇中劇、『光の雨』は革命共闘と名乗る反政府運動を行う学生達のグループの活動を描く。倉重という男と、上杉という女を幹部とする学生グループは「革命」を掲げ山岳アジトで射撃の訓練を行っていた。やがてグループの方針に反感を持った学生の一部に脱退の動きが起こる。1人は黒木といい、グループを抜けた後で山岳での体験を基に小説を書くと言う。もう1人は今村といい、メンバーの中では化粧の目立つ華美な印象の女性だ。革命組織にもっと愛や女らしさが必要だという彼女だったが、その主張がグループの錯乱を招きかねないと判断され黒木と共に今後の革命において危険因子と見なされ、殺害され埋められる。

場面は現代へ戻り、阿南が殺された黒木役の役者にインタビューをする。役者は「楽しかったです」と答え、「ライフル銃なんかで革命が出来るわけがない。僕ならもっとうまくやる」と言い、逆に阿南はどうするのか尋ねられ言葉に詰まる阿南。それからクランクラップした黒木役と今村役の役者はカラオケを楽しんでいる様子が映される。

倉重役の青年は、普段は路上で筆で詩を書いて売る生活をしている。台本を読みながら倉重の性格に今一つ馴染めず、台詞を書き起こして役作りしていこうとする。自分なりに倉重がどういう人間なのかを考え、彼は倉重の人となりを解釈していく。

再び劇中劇。革命共闘は赤色パルチザンと連合し、山中のベースキャンプで軍事訓練を行い始める。赤色パルチザン側にいた女性、高田は常に髪をとかしていたり化粧をしていたりとそんな彼女にやる気を感じられない上杉。女としての在り方について非難を浴び、互いに対立するも倉重に「批判されるのはお前の責任だ」と言い返され不服そうに顔をしかめる高田。やがて群馬県の榛名山にアジトを経営した連合軍。潰れた温泉旅館の資材を利用し、これまでで一番立派なアジトができたという。

劇中劇から離れ、ロケ中の風景。役に入り込む役者と、どこか役にピンと来ないままでいる役者の認識の齟齬から来る温度差が生じ始める。「どうせ俺らはすぐ死ぬ役なんやから、こんな寒いところから帰れていいわ」等とこぼす役者にすっかり役に入り込んだ別の役者は「そんな奴、革命に必要ない」とその場を去っていく。

映画『光の雨』のあらすじ【承】

休憩中、上杉役の女優は「上杉がどうしても自分のものにならなくて……あんなに頭のいい女性がどうしてこんなことになるのかよく分からない」と樽見監督に尋ねに来る。樽見は「彼女を肯定するか否定するかで考え方が変わる」と言い、女優は監督はどちらの考えなのかを尋ねかける。すると樽見は「正直言って両方ある」と意見を述べる。

劇中劇では、「連合パルチザン」となり勢力を広げたグループがアジトでそれぞれ自己批判を行っていた。倉重がことごとくその自己批判に対してダメ出しをし、奇妙な空気がアジトを包む。そんな中、恋人同士だった戸張と谷口が外で抱擁し口づけしている姿を上杉が目撃し、不適切だと責める。「この2人の中には敵がいる。反革命が巣食っている!」と捲し立て「総括を要求する」と申し立てた。総括の名の元に戸張を1発ずつ殴り出すメンバー達。倒れた戸張に向かい「自分のためだぞ、立て!立って総括しろ!」と、実の弟にまで殴らせる。谷口も「総括」され、2人は皆に殴られた後、縄で縛られてしまう。倉重は谷口に向かい、「お前は戸張に誘われたと言ったがお前が戸張を誘うたんや。敵は外から来たんやない、元からお前の中におったんや」と恫喝し、顔を腫らした谷口は激痛に耐えられず、「もう殺して下さい」と訴えるも「お前は総括の意味を分かってない!」と倉重にまたも殴り飛ばされてしまう。次いで「総括」を求められたのは北川という青年だった。戸張を殴りたくなかった彼が自らを鼓舞させる時に口走った発言が問題になったらしい。北川の総括援助に玉井が名乗り出るが、その途中カットが入る。殴られる北川に対する演技指導が監督の樽見から何度も入り、NGを繰り返してしまう北川。結局、撮影は上手く運ばずに休憩へと向かう。

休憩中、阿南の元に例の読者から葉書が届く。「どうして返事が来ないんだ」と書かれたその葉書のあて名は覚えのない人物の名、「藤森吾郎」と記されていて、そんなスタッフがいないことから困惑する阿南。プロデューサーの大山に尋ねてみると、それは監督の本名だという。その葉書については、こちらから監督に渡しておくと言う大山。その晩、阿南が監督の元を訪れると監督は1人椅子に腰かけ明日のカット割りについて考えていたと言い、立ち去ろうとする阿南に向かって問いかける。「革命戦士って何だ?革命って何だ?殲滅戦って何だ?俺は時々、自分が倉重になった気がするよ」――阿南はまさかあの葉書が原因なのかと尋ねる。樽見は質問には答えず、「この撮影に終わりは来るのか?撮っても撮っても終わらない気がするよ……」。そして、それが樽見を見た最後の日となる。翌日、「消えます。映画のために」と書置きを残し、樽見は監督を降板した。

俳優達も残念がり、動揺する中、阿南はもう一度樽見と出会う。樽見は自身の学生運動について語り、その時の記憶と葛藤していた。結局彼の考えを変えることはできず、阿南が新たに監督として映画を作ることとなった。

映画『光の雨』のあらすじ【転】

阿南の指揮の元、映画は再開する。劇中劇では、1日でも早く「革命戦士」となるために総括が求められたメンバー達の光景から始まる。総括とは自らの中にある反革命を打ち消し革命戦士としての主体を獲得すること、だった。しかし結局はリンチと同じで傍目から見れば単なる暴力でしかない。総括を受けていた北川が死亡し、上杉は「北川は革命戦士になりきれず、自分に負けて死んだ」と言い放ち、倉重は北川の代わりに先に総括を受けて縛られていた戸張と谷口には総括を成し遂げてもらう、と2人を雪の積もる野外に縛り付けておく。次に総括が下ったのは河村だった。河村は過去に女と同棲していたことをヒモと否定され、金儲けのためにパルチザンに入ったと決めつけられたのだ。河村も野外に拘束されていたが、数時間後に息を引き取った。同じく縛られていた谷口は、「私は総括できる。総括して革命戦士になりたい」と最後まで信じ続けた末に死亡した。次第に総括に怯え、死にたくないと漏らし始める若者達。メンバーの高田が先に死した谷口のようになりたくない、と
漏らすと倉重は「なら自分自身で総括するということか」と彼女に自分で自分を殴り飛ばすように命じる。言われた通り自分を殴り続ける高田だったが、上杉に鏡を見せられ変形した自分の顔に思わず目を逸らす。上杉は「女であることを乗り越えられていない」と非難し、倉重は高田の髪を鷲掴みにし、無理やり切ってしまう。総括しろと怒号を上げながら、泣き叫ぶ高田の髪を切り落とし縄で縛りつけてしまう。倉重と上杉による総括という名のリンチは更に続く。パルチザンの思想にそぐわない者は反革命と見なされ、自己批判した後に総括される。やがて、谷口と共に拘束されていた戸張が死亡する。

戸張役の俳優は出番を終え、メイクを落としていると弟役の俳優に「ちょっと泣きたくなった」と微笑まれ、互いに笑い合う。

劇中劇では、高田が「総括という名の暴力を振るっておきながら私が死ぬのが怖いの?なんて滑稽なんだろう――私が死ぬことで彼らが苦しむのなら、もう死んでやる」。高田は総括によるリンチの末に死亡する。メイキング映像では高田を演じた高取が「きつい役でした。もうこんな役……悲しいです。高田さんは何故死ななくてはならなかったの?」と本音を語り、自身も事件について無知だったことを述べるかのようにコメントを残した。そして、作中でも死に役にしか過ぎなかった俳優らが事件についてそれまで知らなかった真相を知っていく。彼らの起こしたかった革命・世の中を変えたかったというパルチザンへの気持ちも同時に汲みつつ、反面では壮絶なリンチについてはいかがなものかと互いの意見を重ねながら、役を演じるまでは知り得なかった事件の真相について学んでいく。

再び劇へと戻り、倉重と上杉のよる総括は続けられていた。次に総括を求められたのは大沢という青年だった。彼は組織を私物化するつもりではないのか、との理由から自己批判を求められ、大沢は女性メンバーの浦川と月田と関係を持ちたかったと話し2人から平手打ちを食らう。上杉が自分はどうだったのかと尋ねると「あんたのことは殺すつもりだった」と話し、半ば狂ったように笑い声を上げる。上杉から渾身の殴打をもらい、倉重からはナイフで足を刺される大沢。倉重は「お前に総括を求めることはできん。処刑決定や」と彼を殺すことを言い渡し「異議なし!」と大沢は処刑されることに。最後に言い残したことはないかと尋ねられ、「俺は革命がしたかった」と言い残しアイスピックで殺される大沢。倉重と上杉にとって、もはや革命以前に2人に従わぬ者が総括の対象となっていた。同時にそれは死を意味した。

映画『光の雨』の結末・ラスト(ネタバレ)

大沢役の役者はメイキング役のインタビューで語る。「何故か昔、虐められていた同級生のことを思い出しました。自分は虐めてはいなかったけど――、大沢は自分です」。

再び劇中劇。きっかけさえあれば誰もが総括の対象になっていた。現状に耐え兼ねたメンバーの五十嵐と宇野が逃亡し、発覚を恐れ新たなアジトを迦葉山に建設することとなる。次に総括されたのは田所という青年だった。アイスピックで心臓を刺され死亡する田所。次いで総括として、浦川が挙げられる。大沢が死に際に彼女と関係を持ちたかったことを槍玉にされ、派手な服装をしていることを男に媚びを売っていると上杉に言われリンチの末縛られる浦川。続けざま、妊婦で同じく大沢に気に入られていた月田が呼び出され、子を身籠っているにも関わらず上杉に殴られる。理由は倉重のことを異性として特別視していること、主婦を理由に総括を受けないと思っているような仕草が目に余ること。浦川、次いで車の事故の多さに総括された赤津、そして子を身籠ったまま月田が凍死する。

そして来る、1972年2月19日。軽井沢の別荘で、皆も知っている物語の通りの事件が起きる。あさま山荘事件である――「皆が知っているこの物語は、この終わりから始まりそしてあの地獄のような日々に遡ったのだ」……。

エピローグ、クランクアップを終え阿南はロケ地を見つめながら思いを馳せる。失踪してしまった樽見監督に、撮影は終わったのだとこの地上のどこかにいるのであろう彼に微笑みかける。俳優陣らも集まり、死に役だった役者達も含め、彼らは阿南に雪玉を投げつけ「お疲れさまでした!」と笑いかける。お互い雪を投げ合いながら、阿南は笑顔でそれに応じるのだった――。

映画『光の雨』の感想・評価・レビュー

本来の事件については「革命を志そうとした若者達が集結したものの、結局は思想の齟齬から同志へのリンチへと発展し、最後はコテージに立てこもった」程度の浅はかな知識しか持ち合わせていなかった。作中の俳優らと同じで、私にもその程度の知識しかなかったのだ。調べれば調べる程、根が深く人間の暗部が嫌というくらい分かる事件だが、本作は「劇中劇による二重構造」という形を汲んでいるため暗くならず視聴できる。勿論、後味のいい事件ではないのは確かだが……。(MIHOシネマ編集部)

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