映画『秘密 THE TOP SECRET』の概要:生田斗真主演のSFサスペンス。共演は岡田将生、吉川晃司、松坂桃李。死者の脳を調べることで真犯人を暴く。「るろうに剣心」シリーズ、大友啓史監督の2016年製作日本映画。原作は、清水玲子の同名漫画。
映画『秘密 THE TOP SECRET』 作品情報
- 製作年:2016年
- 上映時間:149分
- ジャンル:サスペンス、ホラー
- 監督:大友啓史
- キャスト:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李 etc
映画『秘密 THE TOP SECRET』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『秘密 THE TOP SECRET』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『秘密 THE TOP SECRET』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『秘密 THE TOP SECRET』 あらすじ【起・承】
死者の脳画像から、凶悪事件を解決する専門の部署があった。警察の法医第九研究所(通称、第九)のトッブである薪剛室長(生田斗真)。彼は自分の死を予感させる様な幻覚に度々襲われていた。
第九に新たに配属されたのが、青木一行(岡田将生)だった。彼は、薪の同僚で悲惨な死を遂げた鈴木克洋(松坂桃李)に良く似ていた。
第九では、一家惨殺事件を起こし、死刑となった死刑囚の露口(椎名桔平)の脳画像を見ることになった。脳画像を見る際には、監察医の三好雪子(栗山千明)も立ち会った。
そこには、野口の娘・絹子(織田梨沙)が家族を殺すシーンが映っていた。
事件後、行方不明になっている絹子を捜すことになったが、露口の脳画像から絹子と肉体関係にあった7人の男が判明した。奇妙なことにそのうち5人が同日に自殺しており、残り2名は不明だ。
そんな中、露口絹子が現れ、記憶喪失だと主張した。父親だった露口が死刑になったため、罪が明らかにならないと思ったのだろうか。
脳画像を調べるMRI捜査の結果だけでは、証拠は不十分だった。そんな中、自殺をした男の脳画像から貝沼事件に関わる証拠が。自殺した5人は、貝沼清孝(吉川晃司)と関係があったのだ。
貝沼事件では、28人の少年が犠牲になった。貝沼事件に関わる捜査員で唯一の生存者が薪であり、同僚として共に捜査をしていた鈴木は秘密を抱えたまま死んだのだ。
映画『秘密 THE TOP SECRET』 結末・ラスト(ネタバレ)
薪室長は、露口を逮捕した熱血刑事・眞鍋駿介(大森南朋)を捜査に加えることにした。
そんな中、露口絹子が殺したと思われる盲目の少年の遺体が発見された。
眞鍋は、一家惨殺事件が起きた現場へ急いだ。すると、待ち構えていたかのように絹子がいた。
絹子の自白を促すために、眞鍋は絹子を脅すが失敗。
現場には、青木も駆けつけ、2人は争ってしまう。青木は足を撃たれ、眞鍋も重傷を負ってしまう。
結局、絹子に操られる形で、眞鍋は自殺したのだった。
一方、薪は「貝沼事件」で、命を落とした同僚・鈴木の脳をMRI画像にして再捜査を始めた。
鈴木の記憶に、貝沼の姿が残っているはずであり、その中には露口絹子の姿も確認できた。
〝鈴木は俺を殺したくなるほどの映像を見たのかな…〟
鈴木の脳画像から、「貝沼が自殺する直前」の映像が残されていた。
その映像によると、トイレで貝沼は〝殺した28人はあなたへのプレゼントです。まだ終わっていない〟と薪に向けて不気味に笑うのだった!
その後、絹子からの電話で、現場に駆けつけた薪。自殺した眞鍋に驚くが、負傷した青木を病院へ。
翌朝、病院で目覚めた青木は絹子の姿を見た。青木にさよならを告げて絹子は去っていった。
数日後、退院した青木は、薪に盲目の少年と共に死んだ盲導犬の脳を見てはどうかと提案した。
盲導犬の脳画像により、盲目の少年が殺害された経緯が判明した。
また盲導犬の脳画像からは、殺害現場と思われる場所が映っており、薪は警察と共に向かった。
その現場には、絹子がいたが今回も逮捕することは出来なかった。
炎の中に絹子は包まれて自殺した。しかし、死んだかどうかは分からない。
事件解決後、青木は辞表を出した。第九を去る青木に、薪は1つのUSBメモリーを渡した。
父親の介護をして過ごす、青木はそのUSBメモリーの画像を見た。
そこには、盲導犬から見た幸せな日々が広がっていた。
青木は父親の背中を抱きしめながら、再び第九へ戻ることを決意したのだった。
映画『秘密 THE TOP SECRET』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『秘密 THE TOP SECRET』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ビジュアル重視にこだわりすぎて、失速してしまった「秘密」
清水玲子の原作「秘密」を読んだ時、SF的な設定と薪達の複雑な人間関係に〝日本の漫画でもスゴイ世界が描けるんだ〟と興奮したのを覚えています。
同時に実写化は絶対に無理だと強い確信があったのです!その実写化が叶い、期待して観た原作ファンが多かったと思いますが、原作を超える作品とはなりませんでした。
なぜ、ビジュアル重視で作品が失速してしまったのか考えてみたいと思います。主演の生田斗真、岡田将生などの演技・存在感は概ね良かったのですが、脳画像や幻覚シーンで恐怖を感じる人がたくさんいたようです!
個人的には、恐怖を感じるシーンこそ、「秘密」の醍醐味だと考えていて、主人公・薪室長の美しい死体を見たくなるんですよね。
また主人公薪の中性的でミステリアスな魅力も忘れてはいけない。死んだ人の脳から真実を探ろうとする科学捜査の面白さ、怖さを映画では主に描いているが、薪や死んだ青木にそっくりの鈴木、そして三好雪子の三角関係を見逃さないで欲しい。
映画では、人間関係が深く描かれていないという不満が残りますが、1番の問題点は脚本だと思う。
ストーリー展開がお粗末です。貝沼の事件と絹子の事件をまとめてしまった点が残念です。
脚本家チームに韓国人の脚本家を入れて、作品に膨らみを持たせようとしたようですが、この映画の原作についての想像力が足りなかったのではないでしょうか。
もし、監督が韓国映画の様な、グロさや底知れぬ恐怖を求めていたとしたら違うと思うんです!
無理に2時間弱の映画に収めるのではなく、アメリカで放映されているようなTVドラマにして、科学捜査のスリルと深い人間関係を描けていたらハマること間違いないだろう。
殺人鬼・貝沼を見よ!〜吉川晃司に悪役がハマる理由
「るろうに剣心」で鵺堂刃衛役を演じ、悪役としての存在感を魅せた吉川晃司。
彼が「モニカ」という歌を歌い、ギタリスト布袋寅泰とロックバンドを組んでいたことを知っているだろうか。
音楽でも俳優としてもかっこいい彼の魅力に迫ってみよう。本作では、原作よりも数段、イイ男・貝沼が見られますよ!
顔を見せない様にして、狂気とミステリアスな存在感を大切に演じたと言う。貝沼の殺人動機が、薪への歪んだ愛だと分かる瞬間が1番怖さを感じるだろう。
貝沼の底知れぬ怖さ、そして存在感は、これまで吉川晃司が演じてきた中で最高です!
彼に悪役がハマるのは、楽しんで演じているからに違いない。
映画『秘密 THE TOP SECRET』 まとめ
もし、死んだ人の脳画像を見ることが出来たとしたら、あなたは〝秘密〟を知りたいと思いますか?
記憶と幻想の狭間で揺れる感情と狂気が、押し寄せてくる作品です。
リアルな脳画像や〝死の匂い〟を醸す、生田斗真演じる薪室長の色気に魅入ってしまいます。
役者達のビジュアルは完璧、でも原作にある近未来感、主人公・薪室長をはじめとする関係性の魅力は表現不足でした。
それでも、殺人鬼・貝沼を演じる吉川晃司の存在感に圧倒されました。映画をご覧になった方は、ぜひ原作漫画を読んで下さい。より深い「秘密」に触れることが出来ますよ。
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